遊☆戯☆王THE HANGS   作:CODE:K

16 / 47
第2章(ハイウィンド編)
MISSION14-新たなる脅威


 私の名前は鳥乃 沙樹(とりの さき)。陽光学園高等部二年の女子高生。

 そして、レズである。

「梓、神簇姉妹のレオタード見たくない?」

「見たくない」

 即答だった。

「どうしてよ神簇は中身はともかくスタイル抜群だし、アンちゃんはおっぱいだし絶対映えるでしょ」

「そういう目でアンちゃん見ようとするからだよー」

 困った様子で梓はいった。

 お昼休み。現在私たちは、弁当をつつきながらアンちゃんの退院祝いを何にしようか相談しあってる所だった。

 元々昏睡状態の原因は外傷よりも精神的なフィール攻撃のダメージが大きかったらしく、一度目を覚ましてしまえばめきめきと回復をみせた。とはいえ、移動には車椅子が必要だったりと、まだ完全復活とは程遠い状態なのだけど、アンちゃんの強い希望に医師がGOサインを出したのだ。

「それに、どうして琥珀さんの分まで」

「勿論見たいから……というのは半分冗談で」

 また梓の《ハンマー・シュート》が飛びかけたので、慌てて私は撤回し、

「今回、病室で騒いじゃったり迷惑かけたじゃない。そのお詫びよ」

「それでレオタードはないと思うよ」

「だとしたら、後はもうマイクロビキニしかごへぇ!」

 結局《ハンマー・シュート》が入りました。

 床で潰れた私を、梓はハンマー担いだまま気乗りしない顔で、

「それに私、まだ琥珀さんは……」

「まあ、そうよね」

 小さい頃に、梓は神簇に虐められた。

 いまの神簇は随分変わってるし梓を虐めたことも後悔してるけど、だからといって簡単に許せるわけでもないだろうし、恐怖だって残ってるはず。何より、バタバタしてたせいで、まだ神簇は梓に謝れてない可能性があるのだ。

「分かったわ」

 心のダメージがどれだけ人の人格を歪ませるかは、つい最近身をもって知ったし、ここは神簇と梓を接触させるような流れは避けることにしよう。

「なら諦めてアンちゃんだけにするわ。レオタード」

 起き上がろうとした所、二発目の《ハンマー・シュート》が脳天を直撃した。

 

 なぜ、いま私がこんなにレオタードに拘ってるかというと、前日のある出来事が由来していた。

 時刻は20:00頃、その時私は依頼の真っ最中だった。

 受けた内容は、とある男が所有する宝石製の彫刻を奪うこと。曰く、依頼人と男は愛人関係にあったのだが、後に男が妻子持ちであると判明。自分が遊びであったと知った依頼人は、せめてもの復讐に彼が大事にしてる彫刻を奪うことに決めた。しかし、男が闇金融や麻薬密売に関わってるとこが分かってしまい、自分から動くのは危険と判断。こうしてハングドに依頼が流れてきたというわけだ。

 なお、この依頼を受けないかと提案したのは木更ちゃん。彼女は舞い込んできた依頼から難易度の低いものを探り当て、リハビリとして私に充ててきたのだ。今回の依頼も、一見潜入作戦のようだけど彫刻を奪う手段は問わないので、方法は破壊。しかも、ターゲットとの接触を極力避ける為に狙撃を提案された。

(私、遠距離からの狙撃は苦手分野なのだけどね)

 とはいえ、いまの私にとって必要なアクションは少ないほうがいい。そんなわけで、私は目星をつけたビルの屋上からライフル銃を構えている。

 標準の先には、豪邸の一室で男が例の彫刻を磨いている。私はじっと機会をうかがい、男が部屋を離れた所を狙って引き金を引く。

 その瞬間だった。

 明りが消え、暗くなった一室にひとりの女性が飛び込むように現れ、不運にも彼女の脚を弾丸が貫いてしまった。

(あ)

 と、思うも仕方ない。彫刻を庇ったわけではないらしく、突然の負傷に驚きつつ苦痛に顔を歪める女性。私はもう1回発砲、彫刻の破壊に成功する。

 さて、と任務を遂行した所で女性を《ワーム・ホール》でこちらに呼び込もうとした所、女性はすでに部屋にいなかった。

 私は激しく後悔した。

 引き金を引くという1秒に満たないタイムロスを惜しんでさえいれば接触できたかもしれないのに。不意に第三者を負傷させた。それも女性相手に。そんなショックから逃れるために、体は冷静に脊髄のまま依頼を全うするマシーンになってたのだ。

 女性は恐らく十代後半から二十歳前後の白人。

 そして、レオタード姿だった。

 

 

「私、近いうちに厄払いでもして貰ったほうがいいかもしれないわね」

 放課後、私は木更ちゃんと屋上に向かいながらいった。

 一応依頼は完遂したものの。こんな簡単な任務でさえ予測不可能なトラブルに見舞われ「依頼は満了したけど任務に失敗した」記録がまた更新されてしまったのだ。ここまでくると、何かに憑かれてるとか思っても仕方ない。

「厄払いというと、神社ですか?」

「まあね」

 私はうなずく。

「この近辺だと何になるのでしょうか、神社は」

 そういえば木更ちゃんはこの街にきてまだ1年未満なのだった。

「ん、白樹神社」

 私がいうと、

「白樹神社ですか。あれ、どこかで聞いたことがあったような」

NLT(ナルツ)協力組織の白樹家」

「あっ」

 ハングド入りした際、資料に色々目を通してる真面目な木更ちゃんだ。私の一言で思い出したようで、

「確か、この地域の地主さんでもあって、神主さんの人望が凄くて一部で非公認の新興宗教化してるという」

「そうそう」

 私はうなずき、

「実際、オーラもあって人格者よ。凄過ぎて逆に胡散臭いけど」

「お会いされたことあるのですか?」

「神主さん美人なのよ」

 レズとしては、そんな人にコンタクトを取らない選択肢は無いわけで。

「ただ数分口を交わしただけで洗脳されるかと思ったけど。初めてDI○に会ったア○ドゥルの気持ちが分かったわ」

「危ないですね、それは」

 木更ちゃんはため息一回、

「でしたら仕事の合間に私のほうで良さそうな神社をピックアップしてみますけど、どうでしょうか?」

「いや、いいわ。性質悪いことに祈祷やお祓い除霊何でもござれのその分野のスペシャリストだから」

「わかりました、でしたらいまのお仕事の話に入りますね」

 と、木更ちゃんは話を切り替える。

 一見、秘書やマネージャーのような応対。だけど、表情や声色のひとつひとつが柔和でさほど事務的という印象を覚えない。

「改めて、今度の依頼者は」

「あ、言ってる所悪いけど。もう屋上」

 眼前の扉を指し、私は言った。

「あ」

「ちょっと白樹神社の話題しすぎちゃったわ」

 謝りつつ、「まあそれに、チェックは私もしてあるし大丈夫よ」と、ドアノブに手を伸ばす。今日は屋上の開放日ではなかったのだけど、先客がピッキングしてくれたおかげで、問題なく扉は開いた。

 そして。

「おおっ」

 そこで待っていた依頼人を見て、私は歓喜をあげた。

「昨日のレオタードきたーーーーーーっ!」

「ファッ、What?」

 動揺する昨日のレオタード。もちろん、いまは制服だけど。

「あ」

 そして木更ちゃんも、

「グレイスさん」

 と、驚き、

「What?」

 もう一名、あちらから驚く声が。

 屋上にいたのはふたりの白人の女性だった。姉妹なのだろう、姉は日本女性としては長身でスタイル抜群、対し妹は150前後くらいの背丈に幼児体型と対照的だ。なお、髪色はどちらもブラウンで、姉はロングヘア、妹はセミロングのツーサイドアップ。

 もちろん、私が見たレオタードは姉のほう。それを証明するように、現在彼女は左脚を怪我し、松葉杖で立っている。そして、私が撃ち抜いてしまったのも左脚だ。

「知り合い?」

 木更ちゃんに訊ねると、

「クラスメイトです。妹さんのほうと。それと先輩、もしかして」

「ビンゴだったわ」

「Hey.アナタがハングドの皆さんデスカ?」

 姉のほうが声をかけてきた。外国訛りが残るも割と流暢な日本語だ。

「はい」

 木更ちゃんが頷いて、

「あなたが怪盗ユニオン・ジャックさんですね。初めまして、ハングドです」

 今回の依頼主は、この二人組の泥棒である。

 つまり、あの時彫刻は私だけでなくて彼女たちも狙ってたのだ。そして、男が部屋を離れた瞬間に彼女も動き出し、盗み出そうとした所に私の狙撃が当ってしまったのだ。

「Yes.ワタシたちがユニオン・ジャック1、アメリア・バートといいマス。ソシテ」

「妹の」

「グレイス・バートさんですね。先ほどぶりです」

 と、微笑みながら木更ちゃんが自己紹介を奪う。

「グレイス、お知り合いですか?」

 アメリアさんが妹に訊ねると、

「クラスメイトデス、Oh.キサラちゃんがハングドなんて驚きマシタ」

 挨拶をさせてくれず、しょんぼりする妹さんことグレイスちゃん。

「ワタシも驚いたネ、てっきりガチムチのスーパーマンが来ると思ったらキュートな女の子がふたりでシタから」

「キュートなんて嬉しいこと言ってくれるじゃない」

 私は近づいてアメリアさんの肩を抱き、

「どう? これからホテルで依頼交渉の続きでも」

「Oh...この反応、もしかしてアナタ」

「私は鳥乃 沙樹、巷ではレズの肌馬と言われてるわ」

「やっぱりデスカー」

 なぜか嘆息をつかれてしまった。

「ってことは、もしかして姉サマを撃ったのっテ」

 訊ねるグレイスちゃんに私は、

「ん、私」

「Oh...No......」

 さらに項垂れるアメリアさん。なんで私だとそんな反応されるって話なのよ。というよりも、

「その様子だと自分を撃った人を狙って依頼を出してきたわけね」

「え、どういうことですか?」

 首をかしげる木更ちゃんに、

「ハングド側としては、今回無関係者を巻き込んでしまったわけよ。つまり誤射されたレオタードが誰なのかを早急に特定する必要があったわけ。下手なことをされない為にね」

 最悪、口封じも兼ねて。

「だから、そこに餌をまけば食いつくって話」

「なるほど……」

 木更ちゃんは納得し、

「でも今回は完全な偶然ですよね。それとは関係なく依頼を受けたのですから」

「What!? ソーなのデスカ?」

 驚くアメリアさんに、

「特定が済んだ時にはすでに木更ちゃんが受託してたからね」

 とか言いながらアメリアさんのお尻をさわさわ。

「ひゃっ」

「レズの成せる運命力の結果って話なのよ。うん、ナイスお尻」

「や、や、や、やめてくだサイ」

 顔真っ赤に困った様子のアメリアさん。てっきり松葉杖で腹突いてくると思ったのに。非暴力最高! とか思ってたら。

「『鳥乃先輩、アメリア先輩に痴漢する』と、徳光先輩にメール送っておきますね」

 うふふと笑顔で木更ちゃん。

「やめてー」

 慌てる私を他所に、木更ちゃんはさりげなくアメリアさんから私を引き剥がしつつ、

「それでは、依頼の詳細をうかがってもよろしいでしょうか?」

「まあ、はいデス」

 アメリアさんはいった。

「ワタシたち怪盗ユニオン・ジャックは、明日夜にフィール・カード《No.7 ラッキー・ストライプ》を盗みだす予定でシタ。ケド、昨晩脚を負傷したせいでワタシたちだけでは任務達成が困難になってしまいマシテ」

「つまり責任持って協力しろと?」

「Yesネー」

 うなずくアメリアさん。

「まあ、そこは構わないわ。まだ内容の途中だから一概には言えないけど、上からすでに迷惑料・医療費・口止め料を引くように言われてるから、格安で引き受けさせて貰うわ。ただね」

 と、私は一拍置いて、

「《No.7 ラッキー・ストライプ》、噂では聞いたことがあるわ。それを所有していると神掛った幸運を手に入れると。道を歩けば財布を拾い、ダイスを振れば狙った目を出せ、ギャンブルに手を出せば大成功って」

「そんなカードがあるんですか?」

 驚く木更ちゃん。あなたも相当大概にやばいフィール・カード持ってるんだけどね。

「逆にいえば、危険な欲を持ってる人が所有したら酷いことになるわ。理由、聞かせてくれるのよね? そんな危険なカードを欲しがる理由。内容次第ではさっきの三つを払って依頼はお断りしないといけないレベルよ」

 するとアメリアさんは、

「欲しがってるのはワタシたちではありまセン」

「え?」

「ワタシたちは依頼者から頼まれて盗むだけなのですカラ」

「依頼者?」

 ってことは、彼女たちは人に頼まれて泥棒を?

「ワタシたちユニオン・ジャックは依頼者からお金を受け取って盗みを働く怪盗ナノデス」

「では、その依頼者はどうしてラッキー・ストライプを求めるのですか?」

 木更ちゃんが訊ねる。しかし、

「ハングドは自分の依頼者のコトを他人に洩らすのデスか?」

 と、グレイスちゃんが返す。

 私は納得し、

「なるほどね。分野は違っても私たちは同業者って話か」

「オフコース!」

 肯定するアメリアさん。

「でも、どんな依頼でも受けるワケではありまセン。恐らく判断基準はハングドと同じニュートラルデス」

「……分かったわ。その話信じるわ。木更ちゃんもそれでいい?」

「は、はい」

 木更ちゃんはうなずくも、どこか疑問が残ってる様子。

「どうしたの?」

 訊ねると。

「いえ。いま聞く話題ではありませんから。その代り、先輩あとでお時間頂いても?」

「ん、了解」

 と、私は再びふたりに向き直る。

「じゃあ改めて依頼は受ける方向で。それで私たちは具体的には何をすればいい?」

 すると、アメリアさんはいった。

「まずワタシたち四人で潜入しマス。場所は先日デュエルモンスターズ展をした美術館倉庫」

「うわ」

 またあの美術館に関わるなんて。しかも今度はカードを奪う側として。

「現在美術館はデュエルモンスターズ展の最終日に使ったフィール・カードを返却している最中デス」

 最終日、つまり私がミストランに負けた日のイベントに使われた中に今回のターゲットも公開されてたということになる。

「ラッキー・ストライプは三日後、いまの持ち主の下に返されマス。デスから、それまでにカードを盗みださなくてはなりまセン」

「っ」

 ()()()ときたか。

「カードの下に辿りつくには、まず警備員、次に各扉のロック、道中の赤外線と幾つもの難関がありマス。肌馬サンはワタシを連れてセキュリティを突破して下サイ」

「脚負傷してる人をって、無茶なことを」

 まあ依頼受けたからにはやらなくちゃいけないんだけど。

「カードの下に辿りついても問題はまだありマス。そのままカードを取ろうとすると床に電流が流れサイレンも鳴る仕掛けになってまシテ。解除するニハ、カードの傍のセンサーに特殊なフィールを送るか、そのセンサーを破壊するしかありまセン。そして、センサーは特殊なフィールと防弾ガラスで護られてマス」

「既に下調べは済んでるみたいね。だったらその時に取れば、あ……」

 言いかけ、そういえばさっき「床に電流が流れサイレンも鳴る仕掛けに」って。もしかして。

「……すでに2回失敗してマス」

 グレイスちゃんがうなだれた。

「うそ……」

 ちょっと待って、本業がすでに二回失敗してるって。それってつまり、当然、美術館側も警備をさらに強めてるだろうし。

「これは大変な任務だわ」

 私はゾッとした。

 

 

「ああ、属性の話ね」

 ユニオン・ジャックと別れた後、私たちは《ワーム・ホール》で事務所に直接向かった。そして、先日花瓶が撤去されたばかりの資料室で話を聞いた所、ニュートラルとは何かと訊ねられたのだ。

「ハングドが保有する情報にも幾つかありましたけど分からなくて。属性、ですか?」

「そ。善悪を計る指針でね、大きくロウ・カオス・ニュートラルで分けてるわ。せっかくだから他の業者のことも兼ねて説明要る?」

「お願いします」

「了解」

 私はパソコンの前に座り、適当に散布図を作り、左にロウ、右にカオスと打ち込む。

「まずはロウ、これは基本的に正義を表す属性ね。法治安維持を目的としてたり、法律に殉じた活動をしてるのがここに当たるわ。代表組織は分かる?」

NLT(ナルツ)ですか?」

「正解。NLTは警察と連携関係にある正真正銘の正義の組織よ。あとはネビュラ財団っていうのもロウ側とみられてるわ」

 私は散布図の左端にNLT、その隣にネビュラ財団と打ち込む。

「次にカオス。これは正義の反対で悪を指す属性に使ってるわ」

 すると木更ちゃん。

「ここは分かります。フィール・ハンターズですよね?」

「正解。フィール・ハンターズは原作遊戯王でいうグールズみたいに、フィール・カードを手段を選ばず回収するハイエナたちよ。組織自体は日本中に分布してるけど、支部ごとに活動する方針や目的が違ってるのが特徴ね。あと」

「あと?」

「黒山羊の実もこっち側っていうのが、私たちハングドと警察それにNLTの見解よ」

「……」

 木更ちゃんにとって、その組織は複雑だろう。かつて自分の命を狙った組織であり、しかも友達が所属してた組織でもあるのだから。

 僅か数秒、重い表情を浮かべていた木更ちゃんだけど、すぐ普段の表情を取り戻し、

「では、ハングドが分類されてるニュートラルというのは」

「どっちつかず」

 私はいった。

「基本的には無法の世界よ。だけど悪に魂を売ってるわけでもない。護衛から殺しまで請け負うけど、無法で自由だからこそ独自の『超えてはいけない一線』てのを持ってる。それが私たちハングドの属性」

 言いながら、私はさっき打てなかったフィール・ハンターズと黒山羊の実を右側に、そして中央にハングドと打ち込んだ。ただし、他の組織は散布図の下なのに対し、ハングドは表の上部。

「法で裁けない相手を裁くダークヒーロー気取りもニュートラルの領分よ。あとは近頃噂のトワイライトもこっち側ね」

 と、同じようにトワイライトの名前も。

「だけど、いまここに出てる名前は全部“同業者”ではない。どうしてか分かる?」

「外から依頼をとってないからですか?」

「正解。フィール・ハンターズは支部ごとに違うから一概には言えないけど、NLTは一応あるみたいだけど法律の下の世界だからね。NLTが銀行や法律事務所の仲間なら、私たちは殺し屋や闇金融とかヤバい所のお仲間さん」

「なるほど」

 一回納得する木更ちゃん。だけどすぐ、

「でも、いま例えた同業者はみんなカオスですよね? ニュートラルではないのでは?」

「そりゃあ同業者だからってニュートラルとは限らないからね。せっかくだから属性別にハングドが注目してる同業者でも確認してみる?」

「はい。させて頂けるなら」

「わかったわ」

 私はいい、別のフォルダを開いて写真データを3枚ほど開き、

「基本的に私たちの同業者はシステム上個人も多いのよね。組織は既に資料で目を通してるだろうし、今回はこっち中心でいくわ」

 と、そのうち1枚を全画面表示にする。

 映されたのは、ひとりのスーツ姿の麗人。

「まずは私たちと同じニュートラル。彼女はアインス・ハイ。性癖がバイで、口説き文句や立ち振る舞いのキザさから女性なのに“王子(プリンス)”と呼ばれてるわ」

「ニュートラルの人は性癖がおかしい人が多いのでしょうか?」

「かすが様偏愛のあなたにだけは言われたくないわ」

 私は軽く乾いた笑いを浮かべ。

「基本的に彼女はハングドにも友好的だから、任務中ばったり会っても衝突不可避な状況じゃなければ説得が利くわ。実際私も組織外では一番共闘経験あるのは彼女かもね。交戦したこともあるけど」

 そう言ってから、続けて私は別の写真を全画面に。

 今度は、バイクに跨ったセミショート髪のボーイッシュな女性と、その隣に長身でロングヘアの大人しそうな女性のツーショット。

「次はロウの同業者、“絶対正義(ジャスティス)”。ボーイッシュなほうがシュトゥルムで、通称シュウ。大人しそうな子が後方支援のシルフィードで、通称シルフィ」

「写真をみるに、まるでヒーローとヒロインみたいですね」

「実際そんな感じ。シルフィはハッカーみたいな所業もできないし、どっちかというとシュウの精神的支えって感じみたい」

「なるほど。私ではなく徳光先輩と鳥乃先輩のコンビみたいな」

「そうそう」

 否定する気はないのでうなずき、

「シュウは私たちに友好的なほうだけど、シルフィが超潔癖でハングドでさえ悪人扱いだから注意して。このふたりは依頼に報酬を要求せず、仕事というよりは、日々パトロールに出て困った人を助けるボランティアみたいな感じらしいわ」

 と、私は最後の写真を全画面にする。

「で、最後にカオスだけど。彼女だけは絶対に交戦も接触も避けて欲しい」

 出てきたのは、バイザーで顔を隠したポニーテールの女児。

「“処分人(スローター)”フィーア。見た目は子どもだけど、ターゲットのみならず自分を発見した人も殺害してる危険人物よ」

「発見しただけで?」

「実際、この写真はフィール・ハンターズが偶然撮影に成功したものが流れてきたものだけど、撮影者とその支部はもうない。全員デュエルするまでなく処分人に暗殺された」

「そんなっ」

 さすがの木更ちゃんも、この話には驚き、素で顔を青くする。

「とりあえず、もし前線に出ることがあれば彼女だけには気をつけて」

 と、伝えた所で。

「あ。鳥乃、藤稔」

 高村司令がやってきた。

「何かあったのですか、高村さん」

 木更ちゃんが訊ねる。司令は重い顔をしていた。

「ここにいたのね。他に人は?」

「私たちだけだけど」

 と、私が伝えると司令は「そう」と呟き。

「ふたりとも覚悟して聞いて頂戴」

 司令はいった。

「速見が死んだわ」

「えっ」

 私たちは同時に驚く。速見とはここの構成員のひとりで、先日の木更ちゃんのパーティにも顔を出してた男だった。

「原因は?」

 訊ねると、

処分人(スローター)にやられたわ。護衛任務中に衝突してね。護衛対象も殺られたらしいわ」

 早速、たったいま話したばかりの人物の名が。

「ただ。速見最期の連絡内容が気になるのよ」

「どんなの?」

 すると、司令はいった。

「シュトゥルムと一緒だったと」

「え、それって絶対正義(ジャスティス)のシュウ?」

 訊ねると、司令は「恐らく」と頷く。

 驚いた。

 絶対正義と処分人なんて属性でみると水と油みたいなものなのに。

「鳥乃、藤稔。悪いけどふたりの繋がりを調べてみてくれない?」

「分かりました」

 木更ちゃんはいったが、しかし結局私たちの任務当日まで何一つ情報を掴むことはできなかった。

 

 

 ――現在時刻、午前01:00

「Oh...それは本当なのデスか?」

 潜入前。私たちは美術館近くの路地裏で待ち合わせし、揃った所で駄目元で処分人の件を情報提供し、何か知ってないか聞くことにした。なお、アメリアさんはレオタード姿だ。

「昨日、どうしてか処分人が人の命そのものではなく被害者の物品狙いで動いてたのは把握してましたケド、まさかシュウと一緒だったナンテ」

 その言葉に、

「え?」

「物品狙い?」

 私たちは同時に反応した。ハングドがまだ入手してない情報だったからだ。

「フィールを有する特別な指輪デス。処分人は被害者を殺して指輪を強奪しマシタ」

「まず殺してから奪ったのはいかにも彼女らしいけど」

 言いながら私は首をかしげる。処分人は私たち同業者の中でも「殺し屋業」以外の戦歴がほとんどない人物なのに。

「処分人が絶対正義と行動し、物品目的でターゲットを殺害した。なんだかクレイジーなことが起こってる気がしマスね」

「そうね」

 シリアスな顔で頷きながら、私はこっそりアメリアさんのお尻をさわさわ。レオタード越しに触るお尻ってすごい。

「嫌な緊張で手が落ち着かないわ」

「ひゃっ」

 ビクッと可愛らしい反応のアメリアさん。直後、上から1枚のカードが私に投擲される。避けると、カードは地面に落ちた途端フィールでリアル化した火が舞う。《火の粉》だった。

「油断大敵デスよ肌馬サン」

 ビルの屋上から、ワイヤーを伝ってグレイスちゃんが降りてくる。

「グレイスさん」

 驚く木更ちゃん。しかし、彼女が突然やってきたからというだけではない。彼女は彼女で、蝶マスクに中世貴族を思わせる服、さらにイギリスの国旗が描かれたマントという絶対に目立つ格好だったからだ。イメージ的には怪盗っぽいけど現実的には機能性の欠片もない。

「ハローデス、キサラちゃん」

 1メートル程度の高さから、木更ちゃんにピースサインを送るグレイスちゃん。

「今日の私はサポーターデス。肌馬サンもキサラちゃんもバッチリサポートしちゃいマスね」

「グレイスさんが?」

「Oh...キサラちゃん不満デスか?」

「いえ、よろしくお願いします」

 お得意の柔和な笑顔で取りつくろう木更ちゃん。

「ハイ、任せてクダサイ」

 しかしグレイスちゃんは素直に嬉しげにワイヤーで屋上へと戻っていった。

(ああ)

 説明されずとも私は納得した。さっきのを素直に受け取るようでは色々と不安すぎる。

「あ! すっかり忘れてマシタ」

 と、そこへグレイスちゃんは再び降りて来て、今度は飛び降りるには明らかに高い位置から、

「肌馬サン、さっきみたいに姉サマにセクハラしたら、マタ私のフィール・カードをシュートしマース」

「残念。ならターゲットを変えるとしましょうか」

 私は彼女に歩み寄り、上を見上げ、

「ベージュね」

「ひぁっ」

 慌てて両手でスカートを押さえるグレイスちゃん。うん、両手で。

 ワイヤーから手を離したグレイスちゃんは、

「What? Oh! NO! NOOOOOOOO!!!!!!」

 悲鳴をあげながら、真下へと落下。

「……。…………ちょっ、グレイスちゃん」

 さすがの私も一瞬思考が停止してた。まさかここまで残念だなんて。

 私は銃が内蔵されてないほうの手首からワイヤーを射出。グレイスちゃんに巻きつかせ、地面に衝突する前にワイヤーを引き戻し、グレイスちゃんを抱き止める。

「大丈夫、グレイスちゃん?」

「し、死ぬかと思ったデス。肌馬サン、ソーリー」

 ほっとするグレイスちゃん。……の胸元を私は一回撫でまわし、

「A……いや、AA?」

「ひにゃっ」

 顔を真っ赤に慌てふためくグレイスちゃん。可愛い。まあ可愛いんだけど。

「うーん残念。色気が足りないわ」

 と、私はグレイスちゃんを解放。

「高校以上なら大体性の対象な私だけど、さすがにグレイスちゃんほど中身も体ほど幼児だとアウトって話よね」

「うう、助かったのに何だか複雑な気分デス」

 微妙~~な顔をするグレイスちゃん。だって、

「仕方ないじゃない、身長だって低いし幼児体型で、頭もおっぱいも見た目通り」

「何でわざわざ言うんデスか?」

「大丈夫よ、ロリコンには需要があるわ。おっぱい年齢11歳ちゃん」

「酷い認定されたデスーーー!!」

 絶叫するグレイスちゃん。うん、この子可愛い。すっごく可愛いんだけど、性的な興味なしの素で弄りたくなるわ。ただ、高校生以上って知ってるから抱こうと思えば抱けるだろうけど、知らなかったらアウトそう。

 残念だけど、グレイスちゃんは私にとってグレーゾーンだった。

「皆サン、おしゃべりはそこまでにして仕事に入りマショー」

「皆様。そろそろ仕事に入りませんか?」

 アメリアさんと木更ちゃんが、私のグレイス弄りの制止を兼ねていってきた。

「あ、そうだったわね」

 私はグレイスちゃんで遊ぶのをやめ、

「それじゃあ、出発しましょうか」

「ソーデス、じゃあ私も持ち場に戻りマス」

 グレイスちゃんは言うと、足にフィールをかけて壁キック。飛び跳ねるように数メートル上空のワイヤーを掴んでは再び屋上へ戻っていった。

「元気な子ね」

 私がいうと、

「それが、とりえみたいな子ですから」

「ソレがとりえみたいな子デスからネー」

 と、ふたりは返す。ただしアメリアさんは続けて、

「ケド、肌馬サン。ワタシの可愛い妹にセクハラするのはいただけマセン」

 指をさし、ビシッというアメリアさん。だから私はいった。

「じゃあ、アメリアさんセクハラさせて?」

「What?」

  再び顔真っ赤にするアメリアさんに、

「正直、妹さんよりお姉さんの体のほうがよほど興味があるのよね私」

「What? NO! アワワ」

「むっちりお尻に大盛りおっぱい、これはもうベッドの上で丸一日弄りたいって話よね?」

「だだだ駄目デス肌馬サン、わわわワタシはノーマルなのデスから」

「それを目覚めさせるのもレズの悦びに」

「Oh No! ア、そそソレよりははは早くお仕事に入りマショー」

 逃げるように閉館した美術館に向かうアメリアさん。本当に可愛い姉妹だ。性的な意味ありでもなしでも。

 私たちは今度こそ任務を開始した。

 

 

 まず最初の障害は、裏口前で待機している警備員ふたり。

「どうしマスか?」

 小声で訊ねるアメリアさんに、私は。

「ん、これ使うけど」

 と、フィールを込めた催眠ガスの煙玉を転がす。警備員たちはすぐ気付くも、アクションを起こす前にガスを吸いその場で倒れた。

「Wow!」

 と、驚くアメリアさんを尻目に、

「木更ちゃん」

「はい」

 続いて動くのは木更ちゃん。扉の前に立つとカードキーにクリフォートカードを指し込み数秒後、

「開きました」

「What?」

 目をまん丸にするアメリアさん。

「うん、そういうフィール・カードを持ってるのよ」

「Oh...チートです。本業顔負けのピッキングツールにワタシ自信失いマス」

「分かるわ。私だって一般人時代の彼女にマスターデュエルで二連敗してるし」

「彼女は何者デスか?」

「立派な変態(ハングド)よ」

 言いながら私たちは木更ちゃんと合流し、裏口の扉を隙間程度開ける。

 中は真っ暗の為、暗視ゴーグルをつけて人がいないのを確認。扉を開けかけた所、

「伏せてくだサイ」

 突然のアメリアさん。言われるまま咄嗟に伏せると、私の頭上を赤外線が抜けたのが分かった。

「ソーリーデス。まさか既に赤外線センサーなんて」

 ということは、前回はなかったのだろう。やはり、セキュリティが相当強くなってるらしい。

「木更ちゃん」

「はい。…………切りました」

 今度はデュエルディスクから電子機器に潜入し、赤外線センサーを直接切る所業。

「……」

 すでにアメリアさんは開いた口が塞がない模様だ。

「さすが木更ちゃんね」

「けど気をつけてください。この部屋のセンサーは突貫作業でつけたらしくて解除できましたけど」

「他の部屋は無理だったわけね」

「はい。すみません」

「問題ないわ」

 むしろ、そこまで万能だったらチートにも程があるくらいなんだから。

「なら、こっから先はアメリアさんお願いできる?」

「Yes! Off Course!」

 元気に応えるアメリアさん。そこへ木更ちゃんが、

「あの、大声出して大丈夫なのですか?」

「Oh...ソーリーデス」

 そんなこんなで、改めて私たちは館内へと侵入。

 扉の先は関係者用の通路になっており、奥に左右の扉がみえた所で再び赤外線が私たちを通せんぼする。

「確か右側は事務室だったわね、なら左?」

 するとアメリアさんは、

「いえ、ハングドたちは先に事務室に向かって下サイ。恐らくセンサーは事務室からストップできマス」

「了解」

 そういって私がアメリアさんを抱えようとすると、

「Why? 肌馬サン何する気デスカ?」

「何って、骨折してるんだからセンサー突破するの難しいでしょ?」

「デスから先に事務所に忍び込んでセンサーを切って欲しいのデスケド」

「あ」

 しまった、そうことなの? そういえば“ハングドたちは”ってことは自分は向かわないって言ってるじゃないか。

「って、それじゃあアメリアさんと一旦離れるってこと?」

「そうなりますネ」

「離れたらセクハラできないじゃない」

「そもそもさせマセン」

「じゃあさせて?」

「安心してください先輩」

 そこへ木更ちゃんが割り込んで、

「私がアメリア先輩の傍について護っていますから」

「それじゃあ木更ちゃんとも離れるって話じゃない! センサーの中を四つん這いで進むときとか後ろからパンモロ覗くチャンスなのに」

「あ、その発言ボイスレコーダーで記ろ……」

「行ってきます」

 よーし、私頑張っちゃうぞー。私はセンサーの包囲網を危なげなく潜り事務室へ。

 中に人はおらず罠もなかったので、そのままパソコンを開いて数分、センサーを切るとすぐふたりが合流してきて、

「センサーの解除を確認しました。ありがとうございます先輩」

「思ったよりずっと早くてビックリしたネー」

「ま、電子機器の操作は苦手じゃないからね」

 むしろ私自身が電子機器だし。

「後は目的のカードのフロアだけデス。急ぎマショー」

 と、アメリアさんがいうものの、当の本人が松葉杖なのでいうほど急げれる話でもなかったのだけど。私たちは事務室を出て、もう片方の道へと進む。途中、幾つか扉を横切り、最奥の突き当りまで来たところで。

「こちらデス」

 と、最後の扉を指してアメリアさんはいった。

「分かったわ」

 うなずき、私は隙間開けて中を確認する。

 そこは、縦に奥行きのある長方形型の部屋だった。その最奥の台の上に透明なケースがひとつと、内側に小箱ひとつと棒状のセンサーらしきものが一本立っている。しかし、それだけ。

 倉庫とよぶにはあまりに何もない殺風景な一室だった。下手に色々置くと電流で破損してしまうせいだろう。

 中に人も赤外線センサーも見当たらなかったので、私は改めて扉を開けた。

「部屋には入らないで下サイ」

 アメリアさんはいった。

「センサーを破壊しなければなりませんケド、破壊した瞬間に部屋は電流で包まれてしまいマス。デスから、私たちは部屋の外から狙撃しなくてはなりまセン」

「ハングドの射撃場よりずっと距離がありますね」

 と、木更ちゃん。うちの射撃場だと的までの距離は15m程だったけど。

「確か50mはずデスネ」

 アメリアさんがいった。ざっと3倍強か。

「さらに見ててクダサイ」

 と、アメリアさんは懐からカードを出し、

「魔法カード《ファイヤー・ボール》ネ」

 幾つかのリアル化した火球をケースに向けて飛ばす。すると、部屋全体が半透明の極彩色に光り、フィールがたちまちに分解され、ケースに届く頃にはただのソリッドビジョンと化していた。

「なるほど、フィールは使えないわけね」

「そうなりマス。デスから弾丸をフィールで細工することも空気抵抗を無視することでも出来まセン。正真正銘本人の実力でセンサーを撃ち抜かなくてはなりまセン。ワタシには無理デシタ」

 と、アメリアさんはいい、

「そこで肌馬サンのライフルネ! あんな遠くからワタシを撃ち抜いた腕があれば。ところでおふたりトモ今日は銃の所有ハ?」

「これだけだけど?」

 と、私は懐から拳銃を一本出し、続けて木更ちゃんも銃を一本。彼女はまだ射撃精度がなってないので、フィールを使うのを前提にした滅茶苦茶軽い玩具の銃ではあるけど。

「Oh...ライフルは?」

「ないわ」

「Oh my God!」

 頭を抱えるアメリアさん。

 私はとりあえず拳銃を構え、一発発砲してみた。

 銃弾は一応ケースに当たるも、貫通することなくめりこんだ状態で停止。しかもケースは即座に自己修復を始め、弾丸を砕きながら傷跡ひとつ残さず元通り。

 続けて更に数発発砲したものの、、やはり結果は同じだった。

「これは数発のワンホールショットが必要っぽいわね」

「ワンホールショット、ですか?」

 訊ねる木更ちゃん。私はいった。

「銃などの射撃で貫通痕を残し、それを的に連続射撃する技術よ。しかも今回は少なくとも2発じゃ足りないと分かったわ」

 先ほど撃った弾丸の中には、偶然1回だけワンホールショットが成功したものがあった。しかし結果、最初の弾こそケースの内側に転がったものの、2発目の弾丸がセンサーを貫くことはなかった。

「って、私は推測してるんだけど。アメリアさんそれで正しそう?」

 訊ねると、

「恐らくネ。恥ずかしい話ですケド、ワタシたちではケースがあそこまで特殊とまで判明してなかったのデス。銃を所有するルートを持ってませんカラ」

「ああ」

 依頼説明にケースが自動修復するなんてなかったのはそういうわけなのか。

 木更ちゃんが訊ねた。

「けど、どうするのですか先輩。見たところ、先輩でもこの距離からセンサーの位置に3発以上のワンホールショットは難しいのですよね?」

「そうね。この銃の精度も悪くはないんだけど、ライフルで狙うような距離だとさすがに分が悪いわ」

 どんな弾にも微妙な弾道のズレはある。今回も射撃場の15mならもっとワンホールショット成立した弾は多いだろう。しかし、50mもあるとそのズレが大きくなり今回のような結果にしかならない。もちろん、手持ちの弾丸を使い切るつもりでチャレンジという手はあるけど。

「アメリアさん、タイムリミットはどのくらい?」

「急いだほうがいいのは間違いありマセン。銃声も何発も出していればいずれ間違いなく気づかれマス。むしろもう気づかれてるかもしれマセン。もちろん、その時はグレイスから連絡がくるハズですケド」

「よね」

 つまり、チャレンジする時間の余裕はない、と。

 なんてアメリアさんと会話してる間に、私は“腕に内蔵してる銃”で3発のワンホールを決め、センサーを撃ち貫いた。

 直後、部屋全体からフィールを纏った高圧電流が流れ、最後にケースが光の粒子に変って消滅した。どうやら、あの特殊ケースもフィールによるものだったらしい。

「え」

「え」

 驚くふたり。

「い、一体何があったのデスカ? 肌馬サン、アナタの銃ではこの距離カラのワンホールは無理ナノでは?」

「ごめん、実はもう一本隠し持ってたのよ」

 私はいった。

「シティーハンターに出てくるワンオブサウザンドって聞き覚えはある?」

「エ、Yes...機械で量産される銃の中に偶然生まれるという、凄い精度を持った銃デスヨネ? 千丁製造して一丁できるかできないかというレベルの」

「そ。その銃を使ったのよ。大変貴重な銃だから、人前には絶対見せないようにしてるのよ」

 嘘はいってない。私の腕に内蔵してる銃には腕から直接発砲する為に様々な仕掛けが施してあって、その副産物で並の銃では敵わない精度を持っていたりするのだ。

「ま、そんなわけで最後の仕掛けもクリアしたわけだから、早く回収して撤収しましょ」

「そ、そーデスネ」

 あんまりさらっと片付いて、まだ思考が追いついてない。そんな顔を曝しながらアメリアさんはうなずいた。

 しかし。

「悪いけど、そうはいかないんだ」

 突然、天井から声。

「誰ですか?」

 訊ねる木更ちゃん。一方私は、

「その声は……」

「久しぶりだね、鳥乃。元気そうで何よりだよ」

 そういって、天井の通風孔からひとりの女性が降りてきた。下をスカートにした男物のダンススーツ姿で、髪を縛ってショートに見せており、一見中性的な男性にも見間違えそうな容貌をしている。年齢は17か18の高3、推測ではなく知っている。腰にはパヨネットのついたショットガンを2丁も携帯し、顔にはDゲイザーを装着していた。

 私はいった。

「アインス、久しぶりじゃない」

「この方が」

 呟く木更ちゃん。すると、

「おや、見られない顔ですが私のことはご存じのようですね」

 アインスは近づき、木更ちゃんの手を取ると、

「君みたいな天使に知って貰えて光栄の極まり。改めて私はアインス・ハイといいます。今後ともお見知りおきを」

 と、彼女の手の甲に口づけ一回。

「何やらかしてるのよ!」

 即座に私は内臓銃で発砲。アインスは咄嗟にバックステップしつつ、

「相変わらず過激だなぁ鳥乃は」

「自分のモノに手を出されたら怒るに決まってるって話でしょ」

 しかも、こいつバイだからしっかり()()()()()で見てるだろうし。

「おや、そうなのかいお嬢さん」

「いえ。私はかすが様のモノですから」

「いやそれも違う」

 私は突っ込むも、すでに木更ちゃんは「かすが様かすが様」と恍惚な顔でトリップ突入し始めたので、私は正気に戻すことにする。

 スカートの中に腕を入れ、下着の上からお尻をさわさわ。

「ひぁっ」

 びくっと驚き、飛び退く木更ちゃん。

「せ、先輩こんな場所でセクハラは」

「すぐトリップするからでしょ」

「あ」

 木更ちゃんは、ここでやっと気付いたようで、

「すみませんでした」

「相変わらず、ハングドは愉快は人たちだね」

 くすりと微笑むアインス。

「待ってくだサイ」

 そこにアメリアさんが割り込んで、

「アナタはどうやってここまで来たのデスか? 誰かが接近してくるなら、ワタシたちに情報が届くはずなのに!」

「ああ、彼女のことかい?」

 アインスは1枚のカードを出した。直後、彼女の前で電磁波が発生し空間が歪み、中から現れたのは意識のないグレイスちゃん。

 カードは《亜空間物質転送装置》だった。

「グレイス!」

 叫ぶアメリアさんに。

「大丈夫、眠ってるだけだよ。もちろん、鳥乃と違って手を出してもいない。ただ、デュエルで負けてフィールは空になってるけどね」

「待った。私、眠らせて手を出す趣味はあんまり無いんだけど。途中で起きる前提ならともかく」

 指摘する私に、

「あんまりという事は、絶対ではないんですね」

 と、木更ちゃん。

「失礼。君のことだから『それも一興』と思ってる認識だったよ」

 アインスは上着を脱いでグレイスちゃんのかけ布団にする。

「アインス、目的はなに?」

 私は訊ねた。

「その様子から邪魔しに来たっていうのは分かったけど、何しにここにきたわけ?」

 もしかして美術館側から護衛の依頼を、と思ったけど。

「もちろん、そのフィール・カードさ」

 どうやら違うらしい。アインスはポーズを決めて、

「ああ、なんという偶然、なんという悲劇。どうやら私たちは、たった1枚のカードを巡って争わなければならないらしい」

 なんて、まるで劇場の上で王子でも演じてるかのよう。相変わらず呆れるほどキザなキャラだ。

「ほんとふざけた偶然があったものね」

 アインスのことを木更に伝えた矢先に、本人とこんな形で対峙するはめになるのだから。

「で」

 私はいった。

「そのカードはどこにあるんだっけ」

「おや、そんなの。……あれ?」

 アインスはちらとケースのあった台に視線を向け、小箱が無くなってるのに気付く。

「残念デスネ」

 アメリアさんがいった。続けて気絶していたはずのグレイスちゃんが。

「例のフィール・カードはすでに私タチのモノデス」

 と、姉の隣で小箱を開けてみせた。中には目的の品である《No.7 ラッキー・ストライプ》が確かに。

「どうして、君は薬品で眠らせていたはず」

 驚くアインス。グレイスちゃんは「ノンノン」と指を振り、

「腐っても怪盗、ユニオン・ジャックをナメないで下サイ。肌馬サンが催眠ガスを使ったのを見て、モシーヤと思い対策をしておいたのデース」

「こっそりワタシが指示しておきマシタ」

 と、ドヤ顔を決めるユニオン・ジャック姉妹。

「で」

 その一瞬を見逃さず、私はデュエルディスクの強制デュエル機能を使用。アインスのDパッドが自動的に展開され、デュエルディスクとなって彼女の腕に装着された。

「あっ」

「これでアインスはユニオン・ジャックを追跡することができないって話。受けて貰うわよ王子(プリンス)

 と、言ってから続けて味方サイドには、

「木更ちゃん。アメリアさんとグレイスちゃんを連れて撤収をお願い。私もすぐに追いつくから」

「分かりました。行きましょう、ふたりとも」

 木更ちゃんとグレイスちゃんがアメリアさんの肩を担ぎ、《強制脱出装置》を使い一瞬でこの場から消える。

「してやられましたよ、鳥乃」

 わざとらしいリアクションを取り、アインスはいった。

「例えあなたを倒したとしても既に遅くユニオン・ジャックはカードを手に安全圏へ避難されてしまい、これでは私の任務は間違いなく失敗に終わってしまう。……と、思いましたか?」

「えっ」

「今回、私はひとりではないんですよ。あと2名仲間がおりまして」

 そういうと、アインスはデュエルディスクを通信機に、

絶対正義(ジャスティス)、ユニオン・ジャックたち3名がカードを手に脱出しました。()()と協力して捕らえてください」

「ちょっ、待っ、いま」

 さっき絶対正義(ジャスティス)って。

「まさかアインス。仲間のふたりっていうのは、シュウとフィーアとかいう話じゃ」

「ふふっ」

 口に出して肯定はしないが、その様子間違いない。

「さて、追い込まれたのはどちらだと思いますか、鳥乃?」

「くっ」

 そんなの、私に決まってる。早く合流して処分人から三人を護らなくちゃいけないっていうのに。

「では、デュエルといきましょう鳥乃」

 アインスはいった。

 

 

沙樹

LP4000

手札4

[][][]

[][][]

[]-[]

[][][]

[][][]

アインス

LP4000

手札4

 

 

「先攻は頂こうか。私のターン」

 アインスはいうと、まず手札から1枚をディスクに挿し込んで、

「まずは君と再会できたことを祝福といこう。1000ライフ払い、私は手札から《ドラゴノイド・ジェネレーター》を発動。このカードは1ターンに2度まで場にトークンを呼び出せる。この効果で私はフィールドに2体のドラゴノイドトークンを特殊召喚。そして2体をリリース」

 2体のドラゴンがアインスの場に現れるも、それらはすぐ光の粒子へと変わり、

「電脳を蹂躙せし破壊竜よ。いまこそ降りたて、この世界こそ貴方のステージだ! アドバンス召喚! Shall We Dance? 《クラッキング・ドラゴン》!」

 現れたのは1体の電脳竜。そして、早くも攻撃力3000の登場でもある。

「カードを1枚セット。私はこれでターン終了となりますが、ここで《ドラゴノイド・ジェネレーター》の効果。このターン私が呼び出したトークンの数だけ、鳥乃のフィールドに同じドラゴノイドトークンを呼び出します。受け取って頂けますか? 私からの祝儀を」

 嫌だ、といっても強制効果なので仕方がない。

「……。私は2体のドラゴノイドトークンを特殊召喚」

 私の場に二体のモンスターが出現した。すると、《クラッキング・ドラゴン》から衝撃波が放たれ、特殊召喚したドラゴノイドトークンの体にブレが生じる。

「ですが、なんという事でしょう。《クラッキング・ドラゴン》は相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された時に、そのモンスターのレベル×200ポイント攻撃力を下げ、同じ数値だけ相手にダメージを与えてしまう効果を持っているのです」

「あからさまにマッチポンプじゃない」

「否定はしません。それでは鳥乃、400ダメージ分のダンスを踊って頂きますよ」

 続けて衝撃波は2体のトークンから発せられ私を襲う。演出程度に微弱なフィールが込められたバーンダメージに、私はつい必要以上のフィールで身を護ってしまった。

 

沙樹 LP4000→3600

 

「改めて、私はこれでターン終了」

「私のターン、ドロー」

 さて、《クラッキング・ドラゴン》はスムーズに攻略しないと一気にライフがなくなりそうだ。私はカードを引き、いかに《クラッキング・ドラゴン》を無力化しつつ対処できるか考え、

「これが一番ね。座標確認、私のサーキット。ロックオン!」

 と、前方にリンクマーカーを出現させると、

「おや?」

 と、反応するアインス。

「召喚条件は通常モンスター1体。私はドラゴノイドトークン1体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! 起動せよ、リンク1《リンク・スパイダー》!」

 トークンがカタパルトから射出されるようにマーカーに搭載されると、出現したのは1体の蜘蛛のモンスター。

「これは驚いた。鳥乃がサイバースを、そしてリンク召喚を使うなんて」

「死んだ仲間の形見よ」

 すると、アインスは小さく驚き、

「もしかして、フィーアが殺害した速見のカードを」

「違うわ」

 私はいった。

「そうか」

 後ろめたい気持ちでもあるのだろうか、アインスはどこかほっとしていた様子を見せる。そこへ私は、

「増田よ」

「……。そうか」

 それを聞いて表情を沈ませるアインス。彼女は増田のことを知ってるのだ。

「デュエルを続けるわ。《リンク・スパイダー》は1ターンに1度、リンク先に手札からレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚できる。私は《幻獣機ソユーズピニ》を特殊召喚。そして再度座標確認、私のサーキット。ロックオン!」

 

沙樹 LP3600→3400

 

 私は場に寄生虫の巣食ったような宇宙船の幻獣機を出し、私はソユーズピニの攻撃力200ポイント分のダメージを受けつつ、前方に再びリンクマーカーを発生させる。

「召喚条件はモンスター2体。私はドラゴノイドトークン1体と《幻獣機ソユーズピニ》をリンクマーカーにセット! リンク召喚! 起動せよ、リンク2《セキュリティ・ドラゴン》!」

 こうして現れたのは1体の電脳竜。

「《セキュリティ・ドラゴン》のモンスター効果。このカードが相互リンク状態の場合、一度だけ相手モンスター1体を持ち主の手札に戻す。私は《クラッキング・ドラゴン》を選択」

「やりますね。ダンスを踊って頂くはずが、逆に《クラッキング・ドラゴン》が踊らされるとは」

「で、よ」

 私はいい、本日3度目のリンクマーカー。こうして《リンク・スパイダー》と《セキュリティ・ドラゴン》を素材に出したのは、

「リンク召喚! 起動せよ、リンク3《デコード・トーカー》!」

 増田のフェイバリットでもあったサイバースの戦士。

「《デコード・トーカー》のリンク先に《幻獣機テザーウルフ》を通常召喚、効果で幻獣機トークンを特殊召喚」

 さらにモンスターを展開し、

「《デコード・トーカー》は元々の攻撃力こそ2300だけど、自身のリンク先のモンスターの数×500ポイント攻撃力を上げる。バトル! 《デコード・トーカー》でアインスにダイレクトアタック」

 

《デコード・トーカー》 攻撃力2300→2800

 

 私の指示を受けると《デコード・トーカー》は飛び上がり、アインスに向けて巨大な剣を振り下ろす。しかし、突如出現した花びらによって攻撃は防がれてしまう。

「おっと危ない危ない、罠カード《フローラル・シールド》を発動。その攻撃を無効にして私はカードを1枚引くとしよう」

 そのまま花びらから花粉が舞うと、《デコード・トーカー》は力を失い、重力に引かれるように私の傍へととんぼ返り。

「けど、《幻獣機テザーウルフ》の攻撃は残ってる」

「そちらは受けようか」

 

アインス LP3000→1300

 

 テザーウルフから銃撃を受け、減少するアインスのライフ。

「うん、いい攻撃だ。だけど、せっかくのダイレクトアタックなのだから、もう少しフィールで演出を強化してもいいんじゃないかな。例えば、そのテザーで私を括り付けて銃撃するとかさ。私も脱出ショーを披露して愉しめるのだけど」

「メンタルを追い込む為にならするけど、悦ばせる為にやってどうするのって話よ、ターン終了」

 私はいった。

 

沙樹

LP3400

手札3

[][][]

[《幻獣機トークン》][《幻獣機テザーウルフ》][]

[]-[《デコード・トーカー(沙樹)》]

[][][]

[][][《ドラゴノイド・ジェネレーター》]

アインス

LP1300

手札3

 

「つれないなぁ。もう少しデュエルを愉しんだらいいじゃないか」

 アインスはいった。

「それとも、余裕がないのかい?」

「当たり前でしょ、早くしないとふたりが危ないんだから」

「いや」

 アインスはニヒルに笑い、

「負けるのを怖がってる。失敗を恐れている。失うのが怖い。そっちのほうさ」

「っ」

 思わず肩に力が入る。恐らく、いまの私はものすっごい余裕のない、怖い顔をしているのだろう。

「デュエルにもその傾向が表れている。目先の《クラッキング・ドラゴン》のバーンダメージを恐れ過ぎて、《ドラゴノイド・ジェネレーター》の存在を忘れていたね」

「あ」

「それでは、次のターン再び《クラッキング・ドラゴン》を出してしまうよ。攻撃力2800の《デコード・トーカー》では返り討ちだ」

「っ」

 睨みつけると、アインスは「ふふっ」と笑い、

「私のターン。ドロー」

 と、カードを引く。

「魔法カード《トレード・イン》を発動。《クラッキング・ドラゴン》を捨ててカードを2枚ドローする」

「え」

 どうして、まさにさっき言ったプレイングをすれば私を追い込めるのに。

「どうして驚くんだい? 普段の君だったら、手札に戻った《クラッキング・ドラゴン》の対策をしてないわけないじゃないか。踊らさせるのも嫌いじゃないけど、ただ術中に嵌ってるだけでは一緒に踊れないからね」

 アインスはいうけど、間違いなく“いまの私”は対策できてない事も気づいてたはず。なのに。

「相変わらず食えない人間ね」

「何をいうんだい、私は君が大好きな女性だ」

「そういう食えないじゃないわよ。それにあなたは、見た目も中身も美青年過ぎて対象外よ」

「おや失礼。だけど私は、鳥乃のことは毎日口説きたいと思っているよ」

「気持ち悪いこと言わないで頂戴」

 全く、このアインスという女はいつもこうだ。

「気持ち悪いとは心外だな。なら、いまの君にどんなアピールが有効なのか運命とやらに聞いてみるとしよう」

 そういいながら、アインスは手札を1枚ディスクに置き、

「まずは、その下準備だ。相手フィールド上にリンクモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。《ゲートウェイ・ドラゴン》!」

 空間に突如ゲートが現れ、開くと中から1体の竜が。さらに同じゲートから別の竜が出現し、

「《ゲートウェイ・ドラゴン》は1ターンに1度、手札のドラゴン族・闇属性モンスターを特殊召喚する。《スニッフィング・ドラゴン》を特殊召喚」

 と、一気に2体のモンスターを展開。

「《スニッフィング・ドラゴン》のモンスター効果。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、同名モンスターを手札に加える」

 アインスの手札に2体目の《スニッフィング・ドラゴン》が加わり、

「開け、私のステージよ」

 彼女の足下に、リンクマーカーが出現した。

「きたわね。アインスのくっそ濃いリンク召喚」

 突然流れ始める舞踏曲。それをバックに、アインスはリンクマーカーの上でひとりワルフを踊りだす。

「召喚条件はトークン以外のレベル4以下のドラゴン族モンスター2体。私は《ゲートウェイ・ドラゴン》と《スニッフィング・ドラゴン》をリンクマーカーにセット」

 リズムを刻んだままアインスは腰のライフル銃を二丁とも抜くと、2体のモンスターは光の粒子、いや弾丸となってライフル銃に装填される。

 アインスは踊りながらリンクマーカーにそれを撃ち込み、

「リンク召喚、Shall We Dance? 《ツイン・トライアングル・ドラゴン》!」

 リンクマーカーから出現したモンスターとポーズを決めるのだった。

「長い」

 BGMがフェードアウトする中、私はいった。

「御不満なら、次は私と一緒にステージに上がらないかい? Shall We Dance?」

「いやもういいわ」

 上がりたくもないし、これ以上突っ込みたくもない。

「そうか、残念だ。なら《ツイン・トライアングル・ドラゴン》の効果処理に入ろう。このカードのリンク召喚に成功した時、ライフを500払い、墓地のレベル5以上のモンスター1体をリンク先に特殊召喚する。私はこの効果で墓地の《クラッキング・ドラゴン》を特殊召喚」

 

アインス LP1300→800

 

「げっ」

 何だかんだで再び出現する《クラッキング・ドラゴン》に私は身構えるも、

「ご安心を。この効果で特殊召喚した《クラッキング・ドラゴン》は効果が無効となり、このターン攻撃も行えないからね」

 なら、まだいいのだけど。

「ですが、別の意味で安全ではないでしょうけど」

 そういうと、アインスは突然片手を天に伸ばした。

「準備は整った。改めて運命に訊ねてみるとしよう」

 すると、天井が突然渦を巻き、そこから竜巻を発生させてアインスを包む。

「私はここで、スキル《ストームアクセス》を使用」

「な、えっ」

 《ストームアクセス》って、確か増田のスキルと同じ。

「このスキルは私のライフが1000以下の場合に使用可能。ゲームに使用してないサイバース族・リンクモンスター1体をランダムにエクストラデッキに加える」

 暗視ゴーグルを使って竜巻の中を確認すると、アインスの天に伸ばした手が光り、竜巻の中から1枚のカードを引き抜く姿が見えた。

 そして、カードをつかみ取ると竜巻は四散し、

「良き力です」

 アインスはいった。

「答えがでました。いまの鳥乃には、過剰なくらいに激しいアピールが必要だとね」

 と、アインスはカードをディスクに置いて、

「《スニッフィング・ドラゴン》を通常召喚。そして再び幕を開けよ、私のステージ」

 再びリンクマーカーの上で踊りだす。

「召喚条件は効果モンスター2体以上。私は《ツイン・トライアングル・ドラゴン》《クラッキング・ドラゴン》《スニッフィング・ドラゴン》をリンクマーカーにセット。リンク召喚! Shall We Dance!! 《トポロジック・ボマー・ドラゴン》!」

 現れたのはLINK-4、攻撃力3000のサイバース。

 これが、さっき《ストームアクセス》で手に入れたカードなのだろう。

「カードをセットし、バトルといこう。《トポロジック・ボマー・ドラゴン》で《デコード・トーカー》を攻撃。終極のマリシャス・コード!」

 《デコード・トーカー》の攻撃力は2800の為、攻撃力3000のトポロジックには敵わない。それでもと《デコード・トーカー》はブレス攻撃を耐えようとするも、

「そして、トポロジックは相手モンスターを攻撃したダメージ計算後に、相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。エイミング・ブラスト!」

 続けてトポロジックは無数のかまいたちを放ち、立て続けの二連撃に耐えられず《デコード・トーカー》は破壊。かまいたちのほうは私にも直接襲い掛かり、私の肌に傷を作らず、器用に服だけを切り刻む。

「っ、脱がすのは好きでも、脱がされるのは趣味じゃないんだけどね」

 私は言いながら、すでにボロボロで邪魔にしかならない衣服を破り捨て、上半身を下着一枚にする。スカートは無事だった。

 

沙樹 LP3400→3200→900

 

「そんな鳥乃も私は好きですよ。どうです、仕事が終わったら一緒にBARでも」

「お互い未成年」

「真面目ですね、とぉりぃのぉ~」

「何その言い方」

「最近Infini-T Forceというアニメを嵌ってて、丁度この想いを誰かに伝えたい所だったんですよ、たぁけぇしぃ~」

 突然、説明しないと分からないような時事ネタされても困るって話なんだけど。

「とりあえず、私はこれでターンを終了。ピンポー……っ」

 言いかけ、顔を赤らめるアインス。ああ、自分のキャラとかけ離れたネタはできない性質なのね、意外。

 

沙樹

LP900

手札3

[][][]

[《幻獣機トークン》][《幻獣機テザーウルフ》][]

[《トポロジック・ボマー・ドラゴン(アインス)》]-[]

[][][]

[][《伏せカード》][《ドラゴノイド・ジェネレーター》]

アインス

LP800

手札1

 

「私のターン、ドロー」

 手札を肥やし、私は《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の性能を考える。いまの所、攻撃力3000で直火焼き効果持ちと判明している。けど、相手はLINK-4のモンスター。効果がそれだとは到底思えない。

 何をもってしても、まずトポロジックを破壊することを優先したほうがよさそうだ。

「私は手札から《幻獣機ブラックファルコン》召喚。そして2体でオーバー」

 レイ、といいかけた所で。

「ストップです、鳥乃」

 アインスはいった。

「焦るのもいいですけど、ブラックファルコンの召喚成功時に、私はセットカードを使用します」

「え?」

「速攻魔法発動。《クイック・リボルブ》!」

「え!?」

 そのカードって、たしか。

「《クイック・リボルブ》の効果で、私はデッキからヴァレットモンスター1体を特殊召喚。さあ、共に舞いましょう、《アネスヴァレット・ドラゴン》!」

 フィールドに出現したのは、頭部が弾丸を備えた一体の竜の姿。

「この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊されます」

 知っている。何故なら、さっきまでアインスは機械族の《クラッキング・ドラゴン》とドラゴン族・闇属性の汎用モンスターしか使ってなかったのですけど、実は彼女の主力モンスターはこのヴァレット・モンスターなのだから。

「けど、だったらこのタイミングで出したって意味なんてあまり」

「あるんですよ」

 アインスはいった。

「《トポロジック・ボマー・ドラゴン》のモンスター効果。フィールドのリンクモンスターのリンク先にこのカード以外のモンスターが特殊召喚された場合に発動。お互いのメインモンスターゾーンのカードを全て破壊します」

「なっ」

 他に効果を持ってることは警戒してた。だけど、そんな効果を持ってたなんて。

「けど、私のモンスターは幻獣機2体と幻獣機トークン1体。幻獣機はトークンがいる限り破壊されないわ」

 だから、破壊されるのは幻獣機トークンだけ。なのだけど、

「もちろん分かってますよ。ですけど鳥乃。今回のデュエルはスピードデュエル。このルールではエクストラデッキの枚数は最大5枚です。あなたは既にリンクモンスターを3体使い、先ほどランク7のエクシーズモンスターを出そうとした。しかし、幻獣機トークンのレベルの合計だけ自身のレベルを上げる幻獣機の共通効果を利用していた以上、いま鳥乃のモンスターはどれもレベル4」

「何が言いたいの?」

 いや、言いたいことは分かってる。つまりは、

「鳥乃。あなたは今回のデッキにランク4は入ってますか? 入っていたとして、私のトポロジックを対処できるでしょうか?」

 ということなのだ。

「……。テザーウルフを守備表示に。ターン終了」

 ちなみに、実は使おうとしてたドラゴサックも今回入れてなかったことには現時点で私は気付いていない。

「では、先ほどトポロジックの効果で幻獣機トークンと一緒に破壊されていた《アネスヴァレット・ドラゴン》の効果を発動しましょう。このカード、いやヴァレットモンスターは戦闘・効果で破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズにデッキから他のヴァレットモンスターを特殊召喚する共通効果を持っております」

「そうだったわね。って、あ、え?」

 ちょっと待って、さっき《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の全体破壊効果って1ターンに1度とか言ってたっけ?

「私はトポロジックのリンク先に《メタルヴァレット・ドラゴン》を特殊召喚。トポロジックの効果でメインモンスターを一掃。今度はテザーウルフもブラックファルコンも破壊されますよね?」

「そう、なるわね」

 破壊され、墓地に送られる幻獣機、そしてアインスのヴァレットモンスター。これで私の場は空。

「そして《メタルヴァレット・ドラゴン》のモンスター効果。デッキから《マグナヴァレット・ドラゴン》をトポロジックのリンク外に特殊召喚としましょうか」

 対し、アインスはトポロジックに加え絶えず補充され続けるヴァレットモンスターもいるという安定した布陣。

 

沙樹

LP900

手札3

[][][]

[][][]

[《トポロジック・ボマー・ドラゴン(アインス)》]-[]

[][][《マグナヴァレット・ドラゴン》]

[][][《ドラゴノイド・ジェネレーター》]

アインス

LP800

手札1

 

「私のターン、ドロー」

 そんな状態で、次はアインスのターンなのだからたまったものじゃない。

「如何ですか、私の“過剰なくらいに激しいアピール”は」

「正直、最悪よ」

「それは残念、ですが。最早私は止まりませんよ。カードを1枚セット。そして、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》で鳥乃に直接攻撃」

 だけど、何もできないわけじゃない。

 ここで私は手札を捨て、

「相手が直接攻撃を宣言した時、手札から《クリ瑞雲》を捨て効果発動。私の場に幻獣機トークンを呼び出し、トポロジックにはそのモンスターと戦闘を行って貰うわ」

「そして、この戦闘では幻獣機トークンを破壊できない」

 覚えていたらしい。

「その通りよ」

「だけど、破壊されないのはこの一回だけ。続けて私は《マグナヴァレット・ドラゴン》で《クリ瑞雲》を戦闘破壊」

 アインスが言った通り、今度の戦闘ではどうしようもなく、幻獣機トークンは破壊される。それでも、このターンは耐えきった。

「さすがだね鳥乃は。私はこれでターンを終了だ」

 さて。

 そして現状をみるにこのターンで何かしなければ、私はこのデュエルに負ける。

 しかし、手札のカードは《幻獣機オライオン》と《幻獣機ジョースピット》。これでは残念ながら、私のデッキの残りを思い返す限り、何を引いてもこの場でトポロジックを突破できなければ、アインスのライフを0にもできない。

 できれば使いたくなかったのだけど、“あれ”に頼るしかなさそうだった。

「私のターン。ドローフェイズ時に、私はスキルを発動」

 宣言すると同時に、私のドローする手が闇色の輝きを帯びる。

「暗き力はドローカードをも闇に染める!――ダークドロー!」

 一気に私のフィールが消耗するのを実感。それを代償に私が書き換えたドローカードは。

「相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードを手札から特殊召喚する。《幻機獣ランシャーク》!」

 フィールドに表れたのは、背ビレがミサイルランチャーと化した一匹の鮫。

「そして《幻獣機オライオン》を通常召喚。私はレベル5《幻機獣ランシャーク》にレベル2《幻獣機オライオン》をチューニング」

 オライオンの体がふたつの光の輪に変ると、ランシャークは内側を潜って5つの星に。輪と混ざり合って発光し、

「未だ穢れに染まらぬ無垢なる翼よ。その透明さで敵を討て!シンクロ召喚!飛翔せよ、レベル7!《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》!」

 現れたのは、未だ陽井氏に返せずにいる、半ば私のエースになりつつある一匹のドラゴン。

「これが、最近鳥乃が手にしたというクリアウィング。美しい」

 アインスがつぶやく。

「ですが、このモンスターの情報は取得済。このカードでは私のトポロジックを倒せませんよ?」

 その通りだ。しかし、

「まだよ。《幻獣機オライオン》が墓地に送られたことで、場に幻獣機トークンを特殊召喚。さらに墓地のオライオンを除外して《幻獣機ジョースピット》を召喚」

 手札を使い切り、展開された3体のモンスター。

「そして、座標確認、私のサーキット。ロックオン!」

「四度目のリンク召喚だって」

 アインスが驚く中、私の前方にリンクマーカーが出現する。

「アローヘッド確認。召喚条件はモンスター2体以上。そして、このモンスターを召喚する場合、《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》はLINK-2として扱う。私は《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》《幻獣機ジョースピット》そして幻獣機トークンをリンクマーカーにセット!」

「ということは、リンク4を」

 音速を超え、リンクマーカーに飛び込む3体のモンスター。こうして現れたのは、増田が残してくれた新たなクリアウィング。

「リンク召喚。起動せよLINK-4《クリアウィング・ラピッド・ドラゴン》!」

 見た目はほとんど《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》で攻撃力も2500。しかし、その体はより3Dで描いたような電子的な見た目と化し、種族もサイバースへと変わっている。

「《クリアウィング・ラピッド・ドラゴン》のモンスター効果! このカードのリンク召喚に成功した場合、クリアウィング以外の素材の数までリンク先にラピッド・ドラゴントークンを置く。私はクリアウィングの下のモンスターゾーンにトークンを生成」

 続けてフィールドに出現したのは、小型の《クリアウィング・ラピッド・ドラゴン》のようなモンスター。種族がサイバースである以外、性能は幻獣機トークンとほぼ同じ。

 

沙樹

LP900

手札0

[][][]

[][][《ラピッド・ドラゴントークン》]

[《トポロジック・ボマー・ドラゴン(アインス)》]-[《クリアウィング・ラピッド・ドラゴン(沙樹)》]

[][][《マグナヴァレット・ドラゴン》]

[《伏せカード》][][《ドラゴノイド・ジェネレーター》]

アインス

LP800

手札1

 

「このカードは一体。鳥乃の情報に、いままでこんなカードはなかったはず」

 驚くアインス。私はいった。

「喜びなさいアインス。このモンスターを召喚したの、今回が初めてって話なのよ」

「!? そうか」

 アインスは、新たなクリアウィングを見上げ、

「それは光栄だ。今日、鳥乃とデュエルできて良かったと心底思うよ」

 と、つぶやくも。

「ですが、デュエルの手を休めるわけにもいかない。クリアウィングのリンク先にモンスターが特殊召喚されたことで、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の効果が再び発動。メインモンスターゾーンのモンスターを全て破壊させて貰おうか」

「残念だけど」

 私はいった。

「その効果にチェーンして、《クリアウィング・ラピッド・ドラゴン》もモンスター効果を発動。リブート・プロト! 1ターンに1度、このカードのリンク先のモンスターの数まで、フィールド上のモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。クリアウィングのリンク先のモンスターは、ラピッド・ドラゴントークンと《マグナヴァレット・ドラゴン》の2体。これにより、私は《マグナヴァレット・ドラゴン》と《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の効果を無効化させるわ」

 クリアウィングの両の翼が輝くと、そこから光を撒きながら竜の巨体が舞い上がる。

 光を浴びたアインスのモンスターは、一瞬その体がデータ化し、プログラムが真っ白に書き換えられる。

「そして、この効果で無効化したモンスター1体につき、ターン終了時まで《クリアウィング・ラピッド・ドラゴン》の攻撃力は500アップ」

 

《クリアウィング・ラピッド・ドラゴン》 攻撃力2500→3500

 

 クリアウィングの攻撃力が3500にまで上昇する。これでトポロジックを戦闘破壊することは可能ではあるけど。

「バトル。《クリアウィング・ラピッド・ドラゴン》で《マグナヴァレット・ドラゴン》を攻撃。イニシャライズ・タイピング!」

 クリアウィングの体が半透明な球状に変ると、そこから《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》同様に飛翔からの急降下ダイブ攻撃でマグナヴァレットに突撃する。

 これが決まればアインスのライフはゼロになる。しかし、

「悪いけど鳥乃、ステージの結末は私の負けでは閉幕させれないんだ。例え禁じ手に出ても」

 そういって、アインスはセットカードを表向きにする。

「罠カード《ドゥーブルパッセ》を発動。実際の効果処理は少し違うけど、疑似的にこう表現しよう。マグナヴァレットとクリアウィングの戦闘を、お互いの相手への直接攻撃に変える」

 直後、《マグナヴァレット・ドラゴン》はクリアウィングの攻撃を避け、私に向けて頭部の弾丸を私に発射。そしてクリアウィングはそのままアインスへのダイブ攻撃へと変更され、

 

沙樹 LP900→0

アインス LP800→0

 

 お互いのライフはゼロに、引き分けに持ち込まれてしまった。

 ライフがゼロになったことで一度全損する私のフィール。しかしそれはアインスも同じ。

「さて」

 そんなアインスがいった。

「もうそろそろ処分人が君の連れと接触しているはずだ。絶対正義がついてはいるとはいえ、もしものことがある。死人が出る前に私たちも早く向かうとしようか」

「そっちから接触させておいて、よくもまあそんな事言えたものね」

「まあ、そうだね」

 アインスは同意し、

「私たちも任務の為にNo.7 ラッキー・ストライプを確保する必要はあった。絶対正義ひとりだと情で逃がしてしまうかもしれないからね。だけど、速見のときのように犠牲者を出す気もない。両方を満たす為には私だけがフィールを失うわけにはいかなかったんだ。勿論私のひとり勝ちなら万々歳。だけど、こういう手段もある」

 そういって、ライフル銃を私の喉下に向け。

「お互いフィールを全損し、銃弾一発で死ねるようになった私たちが、互いが互いを人質に皆と合流。その時、《No.7 ラッキー・ストライプ》を所持していたほうがこの衝突の勝者だ」

 と、再びライフル銃を仕舞うアインス。

「という賭けは嫌いかい?」

「私に分が悪すぎじゃない」

 と、私はいうも、

「けど、誰も犠牲を出さないためにはそれしか無さそうね、乗ったわ」

「助かるよ、鳥乃」

 アインスは私の手をとり、口づけしようとする。私は咄嗟に振り払い。

「だからアインスは趣味じゃないのよ。行きましょ」

 と、外へ向かって駆け出した。

 

 

 そして、私たちは美術館の外で犠牲者をひとり見つけてしまうことになる。

 




Infini-T Forceネタに特に意味はありません。酒を飲みながら執筆してたら想いを抑えられなくなった次第です。
また、ロウ・ニュートラル・カオスの属性分けは女神転生が元ネタですが、作者はゲームをやってないので、元ネタと意味が違う場合があると思います。ご了承ください。
実際、秩序・混沌ではなく善・どっちつかず・悪と説明してますし。

※ 今回の話は、シティーハンター原作5巻「その女に手を出すな!」「ワンオブサウザンド」および、原作7巻「空飛ぶオシリ」原作8巻「とんでる博士」を一部元ネタにしています。


●今回のオリカ


幻獣機ソユーズピニ
ペンデュラム・チューナー・通常モンスター
星3/風属性/機械族/攻200/守100
【Pスケール:青2/赤2】
このカード名のの(1)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードを発動したターンの自分メインフェイズに発動できる。
もう片方の自分のPゾーンにPカードが存在する場合、 「幻獣機トークン」(機械族・風・星3・攻/守0)1体を特殊召喚する。
(2):このカードのPスケールは自分フィールドの「幻獣機トークン」のレベルの合計分だけ上がる。
(3):自分フィールドにトークンが存在する限り、このカードは効果では破壊されない。
(4):自分フィールド上の「幻獣機トークン」1体をリリースして発動する。このカードを手札に戻す。
【モンスター効果】
(宇宙船ソユーズ+ズビニ鉤虫)

フローラル・シールド
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、自分のデッキからカードを1枚ドローする。
(遊戯王5D'sおよびタッグフォースシリーズ)

クリ瑞雲
ペンデュラム・効果モンスター
星1/風属性/悪魔族/攻 300/守 200
【Pスケール:青1/赤1】
(1):相手が直接攻撃を宣言した時、このカードを墓地に送って発動する。
自分フィールドに「幻獣機トークン」(機械族・風・星3・攻/守0)1体を特殊召喚し、相手モンスターの攻撃対象をそのカードに移し替えてダメージ計算を行う。
「幻獣機トークン」はその戦闘では破壊されない。
【モンスター効果】
このカードはルール上「幻獣機」カードおよび「クリボー」カードとしても扱う。
(1):相手が直接攻撃を宣言した時、手札・エクストラデッキからこのカードを墓地に送って発動する。
自分フィールドに「幻獣機トークン」(機械族・風・星3・攻/守0)1体を特殊召喚し、相手モンスターの攻撃対象をそのカードに移し替えてダメージ計算を行う。
「幻獣機トークン」はその戦闘では破壊されない。
(瑞雲+クリボー)

幻機獣ランシャーク
ペンデュラム・効果モンスター
星5/風属性/炎族/攻2100/守 800
【Pスケール:青2/赤2】
①:自分フィールド上にトークンが存在する場合、自分メインフェイズ時に発動する。
このカードを破壊し、以下の効果から1つを選択して発動する。
●手札から「幻獣機」モンスター1体を特殊召喚する。
●デッキから「幻獣機」モンスター1体を墓地に送る。
【モンスター効果】
このカードはルール上「幻獣機」カードとしても扱う。
(1):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上のトークンは戦闘及び効果では破壊されない。
(2):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。この方法で特殊召喚したこのカードの元々の攻撃力・守備力は500下がる。
(3):必要となる融合素材モンスター(このカードを含む)をリリースして発動できる。
そのリリースしたモンスターを融合素材とする機械族・炎族の融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。
(ランチャー+シャーク)

幻獣機ジョースピット
効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻1400/守 900
(1):自分の「幻獣機」モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで400アップし、自分フィールドに「幻獣機トークン」(機械族・風・星3・攻/守0)1体を特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードのレベルは自分フィールド上の「幻獣機トークン」のレベルの合計分だけ上がる。
(3):自分フィールド上にトークンが存在する限り、 このカードは戦闘及び効果では破壊されない。
(スピットファイア+ジョーズ@サメというよりあご)

クリアウィング・ラピッド・ドラゴン
リンク・効果モンスター
風属性/サイバース族/攻2500/LINK-4
【リンクマーカー:上/左/右/下】
モンスター2体以上
「クリアウィング」Sモンスターをリンク素材にリンク召喚する場合、そのモンスターはLINK-2として扱う。
(1):このカードのリンク召喚に成功した場合に発動できる。このカードのリンク先に、「クリアウィング」Sモンスター以外のリンク素材の数まで「ラピッド・ドラゴントークン」(サイバース族・風・星3・攻/守0)を表側守備表示で特殊召喚できる。
(2):1ターンに1度、このカードのリンク先のモンスターの数まで、フィールド上のモンスターを選択して発動する。選択したモンスターの効果をターン終了時まで無効化し、1体につきこのカードの攻撃力を500ポイントアップする。この効果は相手ターンでも使用できる。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。