魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第73話 最後の頼み

建物並みに巨大な大きさ。二つの顔、そして兜。

それは実に見慣れた姿だが本物ではない。ならば引き下がる理由などは無い。質量の差など関係ない。

本物を知る二人のグレン団はグレンラガンモドキに立ち向かう。

 

「いくわよ、シモン!!」

「おう!! 螺旋弾だァーーー!!」

 

シモンとヨーコは巨大な鉄の塊に向けそれぞれの螺旋の力を放つ。しかし途端に鉄の塊の目が光った。

 

『魔力による機体の強化完了・・・・・・・・』

「なにッ!?」

「効いてないわ!?」

 

二人の攻撃が直撃するかと思いきや、モドキはその巨体に魔力を流し、攻撃をかき消した。

 

『本来これだけの質量に魔力を流し強化するには膨大な魔力が必要ですが、世界樹の大発光の魔力により期間限定ですが容易に出来るようになりました・・・』

 

モドキのスピーカーから茶々丸の声が聞こえる。

だが、この二人に細かい説明など不要である。ようするに見えない壁が攻撃を阻んでいる。それだけで充分だった。

 

「よくわかんねえが、要するに・・・・・」

「そうね・・・・つまり・・・・」

「「そいつを突き破ってやればいいってわけだッ!!」」

 

いつもとやることは変わらない。臆せず立ち向かう二人だが、グレンラガンモドキも止まっているだけではない。

すると本来別のガンメンとして機能していたグレンの顔の口が開き、中から光が漏れる。

 

『接近中の二つの反応を捕捉、迎撃体制、魔法光弾発射準備及び魔力供給完了』

「ちっ、変な改造しまくりやがってッ! ヨーコ、俺の後ろに!!」

『魔法光弾射出』

 

グレンモドキの口から光の光線が放たれる。

それは先程まで田中さんが放っていた脱げビームのような紛い物でないことは一目瞭然だった。

瞬時に威力を察知してシモンは螺旋力を解放し、持っていたドリルを自身の身体よりも何倍も大きいドリルへと変化させた。

 

「ギガドリル・シールド!!」

「今のうちに!!」

 

巨大なギガドリルが傘のように開き魔力の光弾を四散させる。

シモンの後ろに隠れたヨーコは光線が鳴り止んだのを見るや否や飛び出し、再びライフルを放つ。

だが、昔カンメンの強固なボディにも風穴を開けてきた弾丸は、またもや直撃と同時にかき消され、傷一つ残せなかった。

 

「くっ、相当硬いわね・・・面倒くさいわ・・・」

「なんだ弱音か? 年取ったんじゃねえのか、ヨーコ!」

「・・・・まさか!」

 

攻撃が通じない。しかし二人の心は微塵も折れない。

弾かれようともグレン団らしく前へ前へと進んでいく。

だからこそ同じマークを背負っているからこそ、美空、ココネ、シャークティも折れるわけにはいかなかった。

たとえ相手が何人いようとも、弱音を吐かずに敵を蹴散らしていく。

 

 

 

 

 

 

 

一方、真夜中の死闘が繰り広げられている中、重い選択肢を超に提示されたネギたちは・・・・

 

「うっひょ~、スゲーじゃんここ! どんな魔法空間よ! 夕映~、のどか~、アンタこんな面白いことまで黙ってたの~?」

「ハ・・・ハルナ・・・怖いです・・・」

「すごいでござるな」

「な・・・なんつう魔法空間・・・・来るんじゃなかった・・・・・。帰らせていただきます・・・」

「でも千雨さん、ここに来ると一日経たないと出られませんよ?」

 

エヴァンジェリンの別荘。

暖かい気温と大きなプール、完全なるリゾート空間に、初めてきた楓、ハルナ、千雨はそれぞれの反応を見せた。

そして巨大なプールにいても経ってもいられずにハルナはいの一番で水着姿でプールに飛び込み、気づいたら皆で遊んでいた。

 

「う~ん・・・・ちょっと待って・・・、今頭の中を整理するから・・・」

 

この光景にアスナは頭の中を整理しようと唸っている。

タカミチにフラれてショックを受けていたアスナはこの別荘の中に4日間も塞ぎ込み、食っちゃ寝を繰り返していた。

そして突如現れたネギたち。そこまではまだ理解できた。しかしそのメンバーの中に今までいなかった楓やハルナ、クラス内でも浮いていた千雨までいることに一瞬訳が分からず呆けてしまった。

そしてネギを睨みつけ思いっきり胸倉を掴んだ。

 

「ちょっと、ちょっとネギー!! 一体どうなっているの? 何でパルに千雨ちゃんまでここにいるの?」

「実は、魔法の件がばれちゃいまして……」

「やばいじゃん!! あんたもう70%くらいオコジョ決定よー!! どうすんのよー!?」

「うわーん!! ごめんなさーい!!」

「あんたの問題でしょうがー!!」

 

二人が出会った頃は自分の記憶を消そうとしてまで隠そうとしていた魔法がいつの間にかほとんどの人間が知ってしまっている。もはや呆れてものが言えなかった。

しかし今まで姿の見えなかったアスナを見て木乃香たちも駆け寄ってきた。

 

「それでアスナは大丈夫なん?」

 

木乃香が全部言い終わる前にアスナはこの世の全てが終わったかのような黒いオーラを出して膝を抱えた。

しかし何とか引きつった顔で笑顔を見せた。

 

「ふっ・・・ふふふ・・・まあね・・・・もう大丈夫だから・・・・」

 

物凄い低いトーンで呟くアスナ。空元気は見え見えである。

すると耳ダンボでこの話題を聞き取ったほかの者も身を乗り出した。

 

「え~~、アスナフラれたの~?」

「うわ~ん、ホッといてよパル!」

「アスナさんもフラれて・・・・どうしよう、ゆえ・・・私たちの周りで告白成功した人いないよ~」

「のどか・・・しっかりするです・・・ですがたしかに勝率が悪いですね・・・・」

「ふっ・・・ふふ・・・・私も・・・・その内の一人ですか・・・・・」

「刹那が落ち込んでしまったアル!」

「ったく・・・どいつもコイツも簡単に告りやがって・・・・」

「おやおや、千雨殿は否定派でござるか?」

 

恋愛話にはこれ以上ないほど食いつきを見せる思春期真っ只中の少女たち。

しかしその成功率は今のところかなり低いことに数名落ち込みだした。

するとアスナが手を叩き、場を沈めた。

 

「はいはいはい! それで~? 木乃香の方はどうだったの~? ちょっとぐらい何かあったの?」

「えっ・・・・ウチ?」

 

同じ時間に想い人とデートしていた木乃香。その発言に全員が集中して聞いてみる。

木乃香は思い出す。腕を組んで歩いたこと、膝枕、

 

「う~ん、・・・・・・・・・えへへ~」

 

思わずニヤけてしまった。

その顔を見て全員がプールから飛び出し詰め寄ってきた。

 

「何々!? ひょっとして何かあったの!? 前進したの!? 私はフラれたってのに・・・・裏切り者~~!!」

「うっひょ~、マジか!? くっは~、木乃香からラブ臭がッ! お姉さんに話してみなさい!」

「やりましたね木乃香さん! これからもがんばってくださいね!!」

「はは、ありがとな~、夕映」

 

場所が学校で無いだけで、本当に普通の中学生の会話だった。

恋愛話で大盛り上がり。このままでは本当に一日それだけで終わってしまうような空気になってしまった。

ほとんどの者が当初の目的を忘れているようだった。

普段からそういう話は興味の無い千雨だけは冷静だった。

いい加減イライラしてきて地面をバンバン叩いて、怒鳴り散らした。

 

 

「テメエらいい加減にしやがれ! 今は超の奴とあの熱血兄さんの問題が先だろうがッ!!」

 

「「「「「・・・・・・・・・・・あっ・・・・・・・」」」」」

 

「あっ・・・て、テメエら本当に忘れてたのか!? さっきまであんな重苦しかったくせに!!」

 

 

「ウガァ」と唸りながらいつものクラスでの雰囲気とは違う千雨の素の性格を見て、新鮮な気持ちになりながらもようやくネギたちはハッとした。

 

「ちょっと何よ? 熱血兄さんってシモンさんのこと? 何があったのよ・・・・」

「はい、実は・・・・・」

 

一人状況が分からないアスナにネギは順を追って説明していく。

 

火星人、子孫、タイムマシン、歴史の改変、魔法をバラす、超とシモンの戦いの理由・・・・・全てを聞き終えたアスナはからかっているのかとネギを殴ろうとしたが、目は真剣である。

刹那たちも同じである。本当は冗談だと笑い飛ばしたかったが、タイムマシンの力は既に知っている上に、シモンが自分たちを仲間に入れなかった理由も全ての辻褄が合った。

 

「えっと・・・・マジ?」

「おそらくは・・・・シモンさんもそのことを知って自分の信念に従っているんだと思います・・・・」

 

あまりにも突飛過ぎる話題だが肯定しなければならないような空気が漂っていた。

すると千雨がパソコンを取りだしなにやら操作しだした。

 

「千雨殿?」

「なあ、その話を信じる信じないはとりあえず置いといて、さっき言ってたグレン団・・・ですか? 異世界云々の前にそれは本当に存在しているんですか?」

 

千雨がパソコンを操作しながら尋ねてきた。

どういう意味なのか分からないがとりあえずネギは肯定した。

 

 

「はい、シモンさん、ヨーコさん・・・この世界では後は美空さん達がそうです。・・・でもそれが何か?」

 

「私はシモンさんと武道会の時に会って、色々協力を頼まれたんですよ。ほら、さっきも言ったようにあの大会の映像を流して魔法を広めようとされていたって・・・・でもそれに対抗してシモンさんが魔法の代わりに「気合」だとかそういう言葉を広めたんですよ・・・」

 

「「「「「はあっ!?」」」」」

 

 

するとパソコンを操作していた千雨がネット上に流出した大会の映像を流しだした。

そこにはシモンと刹那の試合の映像が流れていた。

 

 

『す・・・・・好きですーーーーーーーーっ!!』

 

「「「「「ぶほおお!?」」」」」

 

「ななななな、何やってるんですかーーーー!?」

 

 

音声が流れたら正にピンポイントで告白部分が流れていた。

それを見て一気に噴出す一同。

刹那は慌ててパソコンを壊そうとするが、楓たちに取り押さえられてバタバタしている。

 

 

「いや・・・・まあ、この試合も含めてネットでは「気合」「愛」「絆」、とかそういう言葉が流れて「魔法」って単語は影を潜めるようになったんですよ。私たちのクラスの春日の試合もその内の一つです」

 

「知らなかった。あの大会の裏でこんなことがあったなんて・・・・しかも気合ね~・・・」

 

 

画面を見ながらアスナは感心したように呟いた。

すると千雨はさらにページを進めて違うページを流した。

それはシモンとネギの戦いである。

 

 

「あっ、僕だ・・・・」

 

「そうです、・・・実はこの試合前にシモンさんに最後の頼みを言われたんです・・・・そのグレン団って言葉を使って・・・・」

 

「最後の頼み? シモンさんは何を千雨殿に依頼したでござるか?」

 

 

千雨とシモンの意外な協定に驚きつつ千雨の言葉に集中した。すると千雨はシモンに頼まれたものの正体を見せた。

そしてアスナたちはその画面を見て・・・・・

 

 

「「「「「「えっ!? ・・・・・・ええええええええええええええええええ!?!?」」」」」」

 

 

 

ネギたちの絶叫が別荘内に響き渡った。

 


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