魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第230話 さあ、始めろ!

 

「なるほど。俺が居ない間にそんなことがあったなんてな」

「シモンさん・・・・今までどこに?」

「・・・・ちょっと伝説を創りにな・・・・」

「・・・・・・・サラさんは?」

「ああ、ちょっとメカタマがぶっ壊れてな。どうやら戦いに参加するのは無理みたいだったから、俺一人で来たよ」

「・・・・・・その怪我は?」

「気にすんな、いつもの無茶さ」

 

まったく答えになっていない、アバウトな回答。

相変わらずシモンらしい。

そして・・・

 

「・・・・・・なら・・・・・・記憶は?・・・・・」

 

語尾が若干弱かった。

シモンが来てくれたのだから、それでいい。

シモンの怪我も、サラが居ないことだって、今なら目を瞑る。

だが、それだけは気になった。

いや、気になるのはネギだけでない。当然小太郎も、観客席に居るアスナや木乃香や刹那たちも、皆同じである。

不安そうに見つめる皆の視線に、シモンは小さく笑い・・・

 

 

「俺を誰だと思っている」

 

 

全国ネットを通して、ぶちまけた。

 

 

「シモンさん!!」

 

 

青年の姿だろうと、構わず涙を浮かべるネギ。

 

 

「く~~、ようやく帰ってきたようやな、兄ちゃん!」

 

 

震えを抑えることの出来ない小太郎。

そして・・・・

 

「やっぱり!! じゃ、じゃあ・・・・あそこに居るのは・・・・」

「ほ、・・・・ほんまに・・・・」

「私たちの知っている・・・・」

 

そう、彼女たちの知っているシモンだ。

アスナや木乃香たちは笑顔と涙の入り混じった表情で、今すぐにでも闘技場に飛び降りて、シモンに飛びつきたいぐらいだった。

だが・・・それは阻まれる。

シモンの言った、「俺を誰だと思っている」は・・・・

 

 

「「「「「「「「「ウオオオオオォォォォォォーーーーーーーーーッッ!!!!」」」」」」」」

 

 

世界の心を一瞬で鷲摑みにする、大ファンサービスのようなものになってしまった。

 

「シモーン! ついでに口上もなんか言ってくれーー!」

「墓穴掘っても~、はい!」

「合体よ、合体! 私と合体してーーッ!」

「グレンラガンを召喚しろーーッ!」

「ブータってどこに売ってるのー? 私もペットに買いたいーーッ!」

 

もはや、この会場の熱気と興奮を止めることなど誰にも出来はしない。

 

「うっは~~、すごいや、シモンさんってば!」

「ああ~~んも~~、ずっきゅーんや。ウチの心にもうずっきゅーんや!」

「あれです! そうですあれです! シモンさんが人気者になったのは少し不満ですが、周りに熱気を伝染させてしまうこの感じ! もう、あれは間違いなくシモンさんです!」

 

鳴り止まぬ大歓声と、シモンコールにアスナたちは嬉しそうに周りを見渡して、ゾクゾクした。

 

「へっ、記憶がねえとか色々あったらしいが、あのド派手なパフォーマンスは、あの熱血バカ以外にありえねーな」

「へーー、千雨ちゃんもシモンさんのことを知ってたんだー! 正直私たちは、シモンさんのことそんなに知らなかったけど、やっぱありゃあ、カッコいいわ~、アキラもそう思うでしょ?」

「えっ? 裕奈、別に私は・・・でも・・・学園祭のときとか、シモンさんのああいう熱いところは、今日ようやく納得できた気がしたよ。ああいうバックグラウンドがあったなんて・・・」

「う~ん、木乃香や桜咲さんが好きになるのも分かる気がするわ~」

「・・・それはいいとして・・・茶々丸・・・何故震えているでござるか?」

「お気になさらず・・・ただの・・・・・武者震いです!」

「うっひょ~~、老若男女獣魔ロボット、あらゆる種族に影響を与える、シモンさんクオリティーは健在って事だね~!」

「うん、ハルナの言うとおり・・・・あれが・・・・ネギ先生がお父さんと同じように憧れた・・・・もう一人の目標の人!」

 

あれが、シモンだ!

私たちはもっと前からあの人の友達だったと、まるで心の中で自慢するかのように、鼻が高く、皆誇らしげだった。

 

「だーはっはっはっはっは! 相変わらず、ずるいぐらいオモシレーじゃねえかよ、アイツ!」

「うむ、まさかいい年して妾もここまで興奮するとは思わなんだ・・・・」

「ええそうね・・・だから・・・・そろそろ認めたら、偽エヴァ?」

「う、うるさい・・・だ、誰が・・・あんなダサい男・・・・私の本体が・・・ほ、ほ・・・惚れたり・・・などするものか・・・」

 

この一部始終をVIP席で見下ろしながら大爆笑しているリカードたちの傍らで、顔を真っ赤にしながらシモンをチラチラと窺う偽エヴァが居た。

 

「がっはっはっは、もう素直になっちまっていいんじゃねえか~? シモン復活シーンからヤバかっただろ?」

「そ、そんなことはない! 適当なことばかり言っていると、八つ裂きにするぞ!?」

「顔真っ赤にしても、全然怖くないわよ?」

「だだ、黙れ!? この私が易々と惚れたりなどするものか! 私を誰だと思っている! ・・・・・・・・」

 

「「「だはははははははははははははははは!!」」」

 

「し、しま・・・いや・・・今のは意識したわけではなく、・・・だ、誰だって言うではないか!」

「メロメロじゃの~、恋はいつでもギガドリルじゃな」

「・・・・ハリケーンじゃなかったかしら?」

 

偽エヴァの言葉に説得力が無いことなど一目瞭然だった。彼女に、今正に現実世界でシモンのことを想って身悶えたり、ちょっとアホな子になっている本体を見せたらどんな反応をするのか、少し興味もあるところだった。

 

「く、・・・おのれ貴様ら・・・・ん? あのアホはどこへ行った?」

「はっ? そういえばラカンがいねえ・・・・・って、うおッ!?」

「あのアホいつの間にあんなところに!?」

 

先ほどまで一緒にここに居たラカンが、いつの間にかこの場に居ないことに少し不思議に思い、リカードたちが辺りを見渡したところ・・・

 

 

『お、おおおおーーーーっと、これはどういうことだ!? なんと、英雄ラカンが、現れました!!』

 

 

なんとこの興奮冷め止まらぬ囚人観衆の中、ラカンはシモンたちの居る闘技場に突如飛び降りた。

 

「いよう、ボロボロじゃねえか。何があったんだ~?」

「・・・ラカン・・・・」

「だがまあ、とにかくド派手な登場かましやがって」

 

このサプライズには観客も大喜び。

すると現れたラカンはニヤニヤしながらシモンに近づいてきた。

 

 

「シモン。テメエの・・・いや、テメエらの伝説は、しかと目に焼き付けたぜ!!」

 

 

力強く言う言葉に、シモンは頷いた。

すると、ラカンは突然ネギと小太郎の肩に手を回し、シモンに告げる。

 

 

「だがな・・・ここに居る小僧は・・・・弟子びいきを差し引いてもだ、・・・能力・・・才能・・・修練・・・力・・・そして、テメエの大好きな気合・・・どれをとっても、世界最強クラスだ! コジローにいたっても同じだ! どうしてテメエがそんな状態かは知らねえが、テメエがズタボロの状態で相手をしなきゃならないのは・・・・そんな二人だ!」

 

 

今のシモンの何故か分からぬがボロボロの姿を見ながら告げる。まるで確認するかのように。

だが、そんな確認は無意味であることなどラカンは知っている。

案の定、シモンは「だからどうした?」と言わんばかりの表情である。

 

 

「ああ・・・知ってるぜ! だけど逃げねえよ! 退き下がることしないさ。お前も俺の過去を見たなら知ってるだろ?」

 

 

そう、ラカンの問いに対してシモンは・・・

 

 

「逃げねぇ 退かねぇ 振り向かねぇ それが俺たちグレン団の心意気だ!!」

 

 

満点の回答をした。

 

 

「だーーーはっはっはっはっはっはっはっはっ!! 当ったり前だ! 聞いてみただけだよ、大馬鹿野郎!!」

 

 

ラカンの口元が心底嬉しそうにつりあがった。

ラカンの笑い声と共に、観客からも「おお!」という声が漏れる。

そして、ラカンはネギと小太郎の肩から腕を放し、そしてその場から一歩下がって、彼らに促した。

 

 

「じゃあ・・・・テメエら・・・・・燃え尽きるまで戦いやがれ!! ここはお前たちのためだけに用意された舞台だ!!」

 

 

するとラカンは審判の女性を腰に担ぎ、闘技場から飛び出した。

 

『えっ、ちょっ、ラカンさん! 私、審判なんですけど!?』

「バーカ。あそこにいたら、巻きこまれんだろ?」

 

そして審判の女性を担いだラカンは観客席までジャンプして、そしてどこから取り出したのか、超巨大な大太鼓を準備した。

そして闘技場に居る三人に、そして会場中に、そして全世界の視聴者へ向けて、開始のゴングを鳴らす。

 

 

「いくぜ、決勝戦・・・・始めええええーーッ!!!!」

 

 

ラカンが素手で叩いた太鼓が破裂して、闘技場に大音量のゴングが響き渡った。

そして審判の女性も慌ててマイクを持ち直し、もうどうにでもなれという気持ちで、叫んだ。

 

 

 

『さあ、もはや話が勝手に進んでいます! しかし、皆様も既にその気になっている様子! ここで邪魔をするのは野暮ってものだ! もう、どうにでもなれ! お互い死ぬ気で戦いなさい! 決勝戦の開始です!!』

 

 

「「「「「ウオオオォォーーーーッッ!!!!」」」」」

 


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