魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第228話 来たぞ

『土の中に戻れ!!』

 

 

ロージェノムがとどめをさそうと、シモンの頭を掴み取った。

だが、先ほどのニアの言葉が、もう動かないと思っていたはずのシモンを再び動かした。

一瞬だけだった。

ほんの一瞬、右腕を伸ばしただけだ。

だが、その一瞬が、決して崩れなかった壁に大きな穴を開けた。

 

 

『コアドリルだと!?』

 

 

ロージェノムの顔が驚愕に歪む。

もはや反撃不可能と思っていたシモンの右手に握られていたコアドリルが、ロージェノムの胸に深々と突き刺さった。

そしてそれは・・・

 

 

『俺はシモンだ。大グレン団のリーダー、穴掘りシモンだ』

 

 

ロージェノムの胸で、淡い光を発して・・・

 

 

『お前が壁となって俺の前に立ち塞がるなら、いつだって風穴開けて突き破る』

 

 

シモンがねじ込んだ瞬間・・・・・

 

 

『それが俺のドリルだァァァ!!!』

 

 

この戦いに、ようやく終止符を打ったのだった。

そして開けた向こうには彼らの明日へと続く道が待っていたのだった。

 

「かっ・・・・・・・・」

「・・・勝ったの?」

 

歓声は上がらない。

会場全体に重い空気が流れ、誰もがまだ言葉をうまく発せずにいた。

だが、今度こそ間違いない。

 

『そうか・・・ワシより、お前の螺旋力が勝っていたか・・・・・・』

 

勝負あった。

シモンの突き刺したドリルにより、胸に大きな穴を開けられたロージェノムが、そう呟いた。

 

『その、重み・・・知ってから後悔するがいい』

 

地下から始まった胸の休まる間もないほど、続いた物語の最後の場面。

誰もが声を押し殺し、螺旋王の言葉に耳を傾けていた。

正直、誰もが大歓声を上げたい衝動に駆られていた。

だが、まだその時ではないと、その瞬間まで、観客は皆我慢した。

溜めて溜めて、その瞬間に放出するのだと心に決め、その時を待つ。

すると、画面のロージェノムが空を見上げた。

澄んだ夜空に輝く満月の光。

その満月を見上げながら、彼は呟いた。

 

 

『一つだけ教えてやろう。100万匹のサルがこの地に満ちたとき、月は地獄の死者となりて、螺旋の星を滅ぼす』

 

 

その言葉を最後に、彼は僅かに笑みを浮かべながら、遥か地上に向って自ら飛び降りた。

 

『お父様!!』

 

ニアが慌てて駆け寄るが間に合わない。

闇の中へと消えていった父に向って、ニアは意を決して言う。

 

 

『さようなら、お父様。私は明日へ向います』

 

 

その時、地響きが聞こえ、辺りが小刻みに震えだした。

螺旋王の命と共に、遥か昔から続いた王都が崩壊を始めた。

そう、世界が終わりを向え、新たな明日へと向おうとする。

天に届くほどの巨大な王都が崩れ去り、床も、壁も瓦礫の中へと消えていく。

その光景は、観客たちにはどこか見覚えがあった。

規模は違う。

場所も違う。

世界すら違う。

だが、崩れ行く世界の光景に、誰もが切ない表情で見つめていた。

そして、崩れ去る王国に飲み込まれ、辺りには粉塵が舞い上がり、シモンたちは瓦礫の中に消えていく。

 

「お、おい・・・あいつら大丈夫なのかよ!?」

「ちょっ、どうなってるのよ、何も見えないじゃない!」

 

戦いは終わった。

 

「シモンさん・・・・ニアさん・・・・・」

 

しかし、まだ結末が分からない。

このまま巻き込まれてはシモンたちとは言えど、命の保障は無い。

だが、立ち込める粉塵の中から、緑色の光が突き抜けた。

 

「あっ・・・・」

「あれは・・・・・」

 

暖かく、強く、そして何度も見させてもらった、魂の光。

 

「グレンラガンだ!!」

 

誰かが叫んだ。

その言葉と共に、これまで押し黙っていた全ての者たちが、想いを解放させて立ち上がった。

 

 

「「「「「「「グレンラガンだァァ!!」」」」」」」

 

 

グレンラガンが崩れる瓦礫の中から天に飛び出して、その姿を現した。

シモンもニアもブータもロシウも無事だ。

そして飛び出したグレンラガンの存在に気づいたのは、観客たちだけではない。

耳が破れるほどの大歓声が画面の中から聞こえてくる。

大グレン団たちだ。

 

 

『グレンラガンです・・・・帰ってきます!!!!』

 

「「「「「「「「「「うわああああああああああああああああーーーーーーッ!!!」

 

『『『『『『『『『『うわああああああああああああああああ!!!』』』』』』』』』』

 

 

今まで我慢していたもの全てを放出し、彼らは鳴り止まぬ拍手喝采を巻き起こした。

観客も、ネギたちも、大会関係者も、各国の主要も、そして画面の中にいる大グレン団、ヨーコが、リーロンがキタンがダヤッカが、彼らをはじめとした全ての者たちが総出で、シモンたちに歓声を上げて迎え入れる。

誰もがボロボロで、しかし笑顔で手を振っている。

こんな笑顔で全員がいられるなど、今まで無かった。

だが、これこそが勝利の笑顔だ。

勝利の瞬間だ。

長い長い辛く困難な道のりだった。

とても悲しい出来事に襲われた。

しかし、彼らはようやく掴み取った。

地下で燻っていた男が、天まで突きぬけ、世界を貫き、明日を勝ち取った。

完全なハッピーエンドに、歓声が鳴り止まない。

 

 

そしてその時・・・・

 

 

映像を流していたオーロラビジョンが光り輝いた。

 

空気が揺れ、そして暖かい、映像ではなく本物の光が、突如現れた。

 

その光の向こうから、ドリルを持った男が現れた。

 

そして、まるで空間を突き破るかのように、全世界が注目する中・・・・・

 

「シ・・・・・」

「・・・シ・・・・」

「あっ・・・・・」

「あいつは・・・・・」

「シモ・・・・・・」

 

今まで流れていた映像のシモンではない。

自分たちが知っている、シモンが・・・・・本物のシモンが、ドリル担いでオスティアの闘技場に現れた。

 

 

「「「「「「「「「「シモンッ(さん)!!!!」」」」」」」」」」

 

 

誰もが声をそろえて、現れた男に驚愕した。

突如現れた、ボロボロで、顔も腫れ、今まで映像で見ていたシモンのように疲れきった姿だ。

だが、男はそれでも変わらぬ笑みを口元に浮かべ、そして会場中を見渡して、ある男を捜した。

シモンがキョロキョロ見渡した先に、観客席で呆然としているネギを見つけた。

そしてシモンは、ニヤリと笑いながらドリルの先端を観客席にいるネギに向って指し示しめした。

 

 

「来たぞ、約束どおりにな!!」

 

 

突如現れたシモン。そしてそのシモンは昨日まで記憶喪失だった時とは少し様子が違う。

まるで、・・・・

 

「シ、シモンさん・・・」

「う、ううん・・・・それだけじゃないわよ・・・・」

「あの・・・・あの・・・堂々とした姿・・・瞳・・・・そして、この空気!」

「じゃ、じゃあ・・・・シモンさん・・・・ひょっとして・・・・・」

 

自分たちの良く知っているシモンだ。

ネギも、アスナも、刹那も木乃香も・・・・

 

「うむ、拙者らが良く知る・・・」

「あの馬鹿げた登場の仕方もやっぱ・・・・」

「うん、間違いないよ!」

「く~~~、よーやく本命登場ってか!」

「ええタイミングやないか」

 

楓も、千雨も、のどかも、ハルナも、小太郎も確信した。

あそこに居るのは自分たちの知っているシモンであることを。

 

「またせたなッ!!!」

 

そして、再び会場は・・・いや、世界は大歓声に包まれる。

当然だ。世界を巻き込み、その存在を一気に知らしめたシモンが、画面を突き破って本物が現れたのだ。

興奮しないでいられるはずがない。

大人も子供も役職も無視して、誰もがシモンに声援を送る。

そして・・・・

 

「あ、あの男!?」

「くっ、く~~、とうとう現れたわね!」

 

中継を見ていた暦や環たちが、会場に現れたシモンに顔を顰めた。

 

「なるほど、この男が・・・・あなたたちを・・・・そしてフェイト様の障害である男・・・・」

 

そして、本物のシモンを初めて目にした少女たちも、画面に注目する。

だが・・・・

 

 

「・・・・ふふ・・・・」

 

「「「「えっ?」」」」」

 

「・・・ふふふ・・・・・」

 

 

ありえない人物の笑う姿に、彼女たちは恐る恐る首をその人物に向けた。

するとそこには・・・・

 

(何があったかは知らないが・・・・あの目・・・・間違いなさそうだな・・・・。僕の知っている・・・・君のようだね・・・・)

 

記憶を取り戻し、ようやく自分の知っている姿となって現れた宿敵に喜ぶ男が居た。

 

 

「来たか、シモン!」

 

 

今こそシモンが、その存在を世界に示す!

 


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