魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第225話 這い上がってこい

彼らがどれだけ無法を叫ぼうと、人類の知恵が生み出した法律というルールからは逃れることはできない。

祭りの熱気に当てられて、子供に戻った者たちも、魔法が解けて再び大人に戻されたのだった。

 

 

「いや~~、本当に見事! 爽快ですね~。戦争でもないのに、こんなに多くの者たちを連行するのは初めてですよ」

 

 

手錠を嵌められて一列に連行されていく祭りの参加者を眺めながら、オスティア総督のクルトはこの光景を眺めていた。

 

「オラオラオラ! 全員武器を捨てろ! おとなしく列を作って乗れ!」

「陣形を乱さず、包囲網を絶対に破るな! 逃げようとするものは、手足をへし折ってでも取り押さえろ!」

「怪我人の治療は、重症者以外は後に回せ! こいつらを連行して身元を調べるのを先にしろ!」

「隊長! こいつら全員を連行して閉じ込めておくスペースがもう・・・」

「近くの街や村に留置所を一時設置する! 怪我人の治療と身元確認はそこで行い、終わった後は危険度の高い奴から順に、監獄に叩き込め! 治療はどうでもいい。身元の確認を徹底しろ」

 

計り知れない危険度を孕んでいた連中も、全てを出しつくした後では抵抗する気力も意思も見られず、彼らは次々と連行されていく。

地上に着陸させたケルベロスの周りを、艦体で囲み、彼らは武装した兵士の誘導に黙って従いながら、次々と政府の船へと乗せられていく。

 

「いいか! これだけ大きな艦だ。艦内に隠れている奴らも居るかもしれん、誰一人討ち漏らすな! 一人残らず確保しろ! 抵抗する者には怪我人だろうと容赦するな! このフザケタ馬鹿どもに、正義の杖を容赦なく振り下ろせ!!」

 

正に一網打尽の光景だった。

容赦なく公権を駆使して、先ほどまで命がけに戦っていた連中を連れて行かれる光景は、彼らと死ぬ気で戦い抜いたグレン団たちにはあまり面白い光景ではなかった。

 

「ふふ・・・気に食わない・・・そんな表情ですね」

 

そんなシモンたちのつまらなそうな心境を察したのか、クルトが問いかけてきた。

 

「確かに・・・・いや、気に食わないというより、納得いかない。何で俺たちだけ無罪なんだ?」

 

そう、シモンたちの手には手錠が掛けられていなかった。

 

「おやおや、不服ですか? これほど大規模なテロを未然に防いだあなたたちに感謝すれども、逮捕などもっての他ですよ?」

「・・・・ミルフやトサカたちはそうかもしれない。でも、俺や瀬田さんたちは、一応犯罪者だろ?」

 

命令違反でここまで来たミルフやエマやマンドラたちは元より、瀬田一家も、グレン団も、トサカたちも、一切の罪が問われずに、自由な状態のまま、ケルベロスの艦橋の上から、連行される者たちを見下ろしていた。

だが、それはあまりにも特別扱いすぎると、誰もが思っていた。

正直、シモンたちは美空とココネを救えれば、逮捕も覚悟していた。

だが、クルトの彼らに対しての扱いは、お咎めなしという意外な展開だった。

 

「勘違いしないで貰いたい。別に無実とは言っていない。しかし・・・・無罪にするというだけですよ。君たちは、ありがたいほど厄介なことをしてくれましたからね」

 

するとクルトはズレた眼鏡を直しながら、真相を語りだす。

 

「何?」

「ふっ、そこに寝ている怪物が、理由ですよ」

 

クルトが指差した場所に横たわるのは、無言で身じろぎ一つしようとせず、その場で空を眺めていたチコ☆タンだった。

 

「かつて世界が揉み消したはずの失態・・・・そして、この脅威・・・それを公表されるわけにはいきませんからね」

「えっ?」

「・・・・そうでしょう? アレクサンドル・ザイツェフ改め・・・・・・爆乱のチコ☆タン? 大人しく伝説になっていればいいものを・・・・」

 

横たわる魔人にゆっくりと歩み寄りながら、告げるクルトの言葉に、その意味を知るものたちは・・・・

 

「・・・えっ?」

「・・・・・・・・へっ・・・・・」

「・・・・・・・・・・はっ?」

 

僅かな間をおいて・・・・

 

 

「「「「「「ええええええええええええーーーーーッ!!??」」」」」」

 

 

度肝を抜かれてしまった。

 

「ば・・・ばばばば、爆乱チコ☆タンだと!? あの、童話の『チコ☆タンがやって来た!』のモデルになった!?」

「お、おいッ! 20年も前に死んだんじゃねえのかよ!? 俺ガキの頃にその童話読んで、人を怒らせないようにいつも発言気をつけるようになっちまったんだぞ!?」

「あの歩くグラウンド・ゼロとまで言われた魔人が!?」

「ちょ・・・・エマ団長、私聞いてないよッ!?」

「し、知らん! 私だって今初めて知ったんだ! 大体私もチコ☆タンは御伽噺でしか聞いたことないんだ! まだ赤ん坊だったし・・・・・」

「ワシは途中から気づいとったが・・・・」

「私も、もしかしたらとは思っていたさね」

「な、ママ、本当かよ!? 何で教えてくれなかったんだよ!?」

「ええ、私も・・・・」

「えっ、シスターシャークティ、知ってるんすか? ってココネーッ!? なんで震えまくってんの!?」

「アレ・・・・チコ☆タンダッタノ・・・・・・・・・」

 

あまりにも全員が驚きすぎていた。

ココネなんか今にも泣きそうである。

意味が分からずに首を傾げているのは、ココネとシャークティ以外のグレン団のメンバーに、シモンと瀬田一家に夕映だけだった。

 

 

「お、・・・おい・・・どういうことだ?」

 

「「「「「「勝った本人は知らないのかよッ!?」」」」」」

 

「ばっ、このクソッタレ野郎、テメエ知らずに戦ってたのかよ!?」

 

「とんでもない怪物ですのよ、シモンさん!? というかユエさんも知らなかったのですか!?」

 

「おい~、お前ら~、そんな変な名前の奴が本当に・・・・「バッ、ヤメロッ!!??」 ・・・・へっ?」

 

 

サラが「変な名前」と言いそうになった瞬間、チコ☆タンの存在を知る者たちが慌てて全員でサラの口を押さえた。

そしてそ~っとチコ☆タンに振り返ると、何の反応もなくボ~ッとしているのを見て、ホッとため息をついた。

 

「な、なんだよ~、みんなして・・・・」

「サ、サラさん。危ないこと言わないでください! 童話のチコ☆タンは名前をバカにされただけで、平気で街を消し飛ばすぐらい凶暴なんですよ!?」

「えっ・・・え~~~?」

「・・・う~ん・・・まあ、こいつが凄いのは戦って十分に分かったけど」

 

大げさすぎるような皆の反応に、どう対応していいのか分からず、チコ☆タンを知らぬ者達は皆戸惑っていた。

すると、当時を知るものとして、ミルフと奴隷長が口を開いた。

 

「爆乱のチコ☆タン。かつてシルチス亜大陸から始まり、世界を転々と渡り歩いた怪物じゃ。戦時の頃は、魔法弾の何千倍も厄介じゃった・・・だが・・・」

「うむ、たしかサウザンドマスターに敗れて、当時の王国地下超凶悪犯罪者専用の監獄に閉じ込められて死んだと聞いてたさね」

 

二人の言葉に、皆が静かになり総督を見つめる。

すると総督は少しため息を吐きながら、二人の言葉に付け足す。

 

「はい。公式記録では死亡しています。紅き翼に敗れて、オスティア地下の超凶悪犯罪者専用の監獄に閉じ込めていました・・・・オスティア崩壊の時までは・・・・・・・」

 

その言葉に当時オスティアに居たトサカが一番に反応した。

 

 

「ま、まさか脱獄したのか!? いや・・・でも・・・待てよおかしいじゃねえか・・・だって確かあの時・・・」

 

「トサカの言うとおりさね。たしか、あの施設の監獄は、魔力無効化の鉄格子と手錠で囚人は抑えられていた。どんなに屈強な肉体を誇ろうとも、魔力なしで脱走できるところじゃないさね。大体オスティア崩壊の際は、魔力消失現象で誰も魔法が使えなくなってしまった。どの道こいつが逃げられるはずは無い」

 

「えっ? ・・・でもこいつここに居るじゃないか・・・」

 

「「「「「「「?」」」」」」」

 

 

全員が分からずに首を傾げた。

処刑されたのか、オスティア崩壊に巻き込まれて死んだのかのどちらかだと思っていたのだが、チコ☆タンは未だに外の世界でこうして生きていた。

だが、いかにチコ☆タンの力が桁外れとはいえ、魔力を放出できない状態で、監獄から逃げ出すのはほとんど不可能だと誰もが思った。

すると・・・

 

 

「ふ~ん、な~るほどね~」

 

「「「「「「「「「「瀬田さん(冒険王)?」」」」」」」」」」

 

「少し話が読めてきたね~。そして、僕らが特別扱いになる本当の理由が・・・」

 

 

今まで黙っていた瀬田が、顎に手を置きながら、全てを見透かしたかのように口を挟んだ。

 

「中からは逃げられない・・・その話を信じるとしたら、彼が逃げられる方法はただ一つ。外から誰かに逃がしてもらうしかない」

「外から!?」

「まっ、まさか・・・仲間が!?」

「・・・いや・・・犯罪者の仲間が助けに来たとすれば、すぐに指名手配される。だが、それをせずに死んだことになっていたということは・・・・・」

「「「「「「と、いうことは?」」」」」」

「彼を逃がした者は・・・犯罪者では無い・・・・政府にとっては世間に公表したくない人物だった・・・・もしくは、君自身が公表したくない人だった?」

 

瀬田は自分の推理を確かめるかのような口ぶりでクルトに視線を送る。だが、クルトはあくまで表情を崩さず、冷静に否定する。

 

「ふふ、残念ながらチコ☆タンを逃がした人物は立派な犯罪者ですよ? それも極めて悪名高い」

 

だが、それが全てを解く鍵となった。

 

「・・・ふ~ん、・・・なるほど・・・。つまり、政府はチコ☆タンとやらが生きていたことは知らない・・・いや、知っているのは君を含めた一部の者・・・そしてその犯人はその一部の人たちにとっては、犯罪者とはいえ庇いたい人物だった・・・ということになるね」

「ッ!?」

 

政府ではない。

この事実を隠したいのはクルトただ一人だということである。

瀬田の指摘にようやくクルトの表情が強張り、苦虫をつぶしたような顔をした。

その瞬間、周りの連中がガヤガヤ騒ぎ出した。

 

「総督が・・・庇いたい人物・・・・だと?」

「うん、そして・・・・それは20年経っても変わらないほど、大切な人のようだね。職権乱用をするぐらい・・・・」

「・・・ッ」

 

クルトの表情が更に強張った。

その顔に、いつものように不気味な笑みは無く、変わりに舌打ちが聞こえてきた。

 

「口を慎みなさい、冒険王。そしてこの件に関しては、・・・Need not to know・・・こう言えば分かりますか?」

「ふっ、知る必要は無い・・・か・・・どうやらそうとう大物らしいね。でも、これ以上は追求はするな・・・他言もするな・・・その代わり、僕たちのことは目に瞑る・・・そういうことでいいんだね?」

「・・・・・・・・・・理由としてはもう一つ。戦勝国以外所持が不可能な、超弩級艦隊を、一組織が保有してテロを行おうとしたなどと世に知られれば、再び世界は恐怖に陥ります。大戦後に回収し切れなかった艦は、ケルベロス以外にもまだありますからね・・・・・・・・」

「なるほどね。僕たちの世界で言う核兵器が、政府の監視を逃れて、テロ組織が保有していたのと同じようなもの・・・それが国民に知られれば大混乱・・・・チコ☆タンの生存とケルベロスの存在・・・二つの口止めで、司法取引ということか」

「ええ。ご理解が早くて助かりますよ」

 

それ以上は瀬田も追及しなかった。

世界トップクラスの機密が関わっていることを感じ取ったからだ。

少し興味はあるが、自分や家族の罪が問われないというのなら是非もない。

多少の裏を感じるが、この件に関してはこれで手打ちにするべきだろうと、納得した。

だが、一人だけ・・・

 

 

「・・・庇うだと・・・・・・・・あの女を・・・・そうか・・・テメエ・・・どこかで見たツラかと思えば・・・・・」

 

 

不満の声を出すものが居た。

ずっと横たわって、黙っていたチコ☆タンが首だけをクルトに向けて睨み付けた。

 

「・・・あのカスどもの後ろでチョロチョロしていた小僧の・・・・片割れか?」

「・・・・小僧?」

「・・・女・・・・」

「・・・・・・あの女を・・・・庇う奴がまだ居たとはな・・・・男にも見捨てられたはずの・・・あのバカな女を・・・・」

 

その言葉の意味は一部の者にしか分からなかった。

 

(なるほど・・・そういうことじゃったのか・・・・昔、オスティア内の喧嘩で逮捕されたディーネが監獄に入れられたにも関わらず、大崩壊の後に生きていたときは驚いたが・・・なるほど・・・・そういうことじゃったのか・・・・・20年前から総督殿が少しでも罪を軽くしようと思われる方は・・・あの方しかおるまい・・・・・・姫様・・・・・)

 

だが、それ以上チコ☆タンが口を割る前に、クルトが遮った。

 

「それ以上は語るな。過去の罪に加えて、超国家級テロ未遂に超危険物所持・・・・もはや死刑か無期懲役は免れない・・・・・・今度こそ・・・あなたは終わりです」

「・・・・・はん・・・これであの女も・・・・無駄死にか・・・・」

「キ、・・・キサマ!?」

「・・・・まあいい・・・・もう・・・好きにしろ・・・・未練も・・・ねえ・・・・興味もねえ・・・・気分も失せた・・・・・終わらせろ・・・・・」

 

顔を顰めるクルトに対し、チコ☆タンは完全に脱力したかのように、弱弱しい言葉を吐き出していく。

まるで空っぽになった廃人のように、その瞳は既に何も映してはいなかった。

やがて駆け足の音が近づいてきた。兵士の何名かがこの場に現れ、クルトの前に立ち止まった。

 

「総督。ほとんどの者を捕らえました。流麗のディーネあたりが多少抵抗しましたが、なんとか抑え込みました」

「むっ、・・・ディーネ・・・・・」

「そうですか・・・彼女も・・・・ミルフ隊長。彼女の件はあなたに一任しますがよろしいですか?」

「了解しました」

 

その報告を受けてクルトは、チコ☆タンから背を向けて言い放つ。

 

「ふむ、それでは・・・・・次にこの男を、・・・テロ首謀者、アレクサンドル・ザイツェフをオスティアの監獄に直接連行します」

「えっ? ちょ、直接ですか? 聴取は・・・それに、怪我の治療は・・・・・」

「必要ありません。今すぐこの場から連れ出しなさい」

「りょ、了解しました」

 

背中から伝わってくる怒気を孕んだ言葉にビクつきながら、兵士たちは身動きしないチコ☆タンを無理やり起こし、数人がかりで運び出そうとする。

 

「お、おい・・・・」

「シモン君、ご苦労様。君には本当に礼を言いますよ。しかし、後は我々に任せてください」

「で、でも・・・・」

 

傷つき敗れ、しかしその強烈な衝撃をシモンに叩き込んだ男は、抜け殻の様にこの場を後にする。

もう、二度と会うことは無いかもしれない。

それだけのことをこの男はした。

だが、何故かは分からないが・・・・

この世に興味を無くしたこの男に・・・・

 

「まてよ、チコ☆タン!」

 

シモンは叫ばずにはいられなかった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

するとどうだ? 

引きずられるように運ばれていたチコ☆タンが、自分の足で立ち、その場に止まった。

後ろを振り返りはせず、腹にどでかい穴を開けながらも、その場に背中を向けたまま立ち、そして・・・

 

「・・・ザイツェフだ・・・・・」

「えっ?」

「・・・・・俺の名は・・・・・・・・ザイツェフだ・・・・・・」

 

チコ☆タンは応えた。

その言葉に誰もが少し驚いた顔になり、押し黙ってしまった。

そして、そんなチコ☆タンにシモンは言葉をぶつける。

 

 

「・・・どっちでもいい・・・とにかく、這い上がって来い!」

 

 

くたばるんじゃない、と叫んだ。

 

 

「俺がこの世に生きている限り・・・・世界に失望したなんて言わせない。簡単に言い切れるほど宇宙はそんなに狭くない・・・人もそこまで愚かじゃない!」

 

 

そのために、自分も戦っていたことを思い出したからこそ、シモンは叫んだ。

そのために命を賭けた友がいたことを・・・

命を賭けた、愛おしい人がいたことを・・・

そして、そんな自分たちに最後は道を譲ってくれた者たちがいたことを・・・

だから、シモンは世界に見切りをつけようとしたチコ☆タンに叫ばずにはいられなかった。

 

「・・・・・・・・・・愚かだ・・・・・人は・・・・」

 

チコ☆タンは振り返らない。

 

「愚かじゃない! ただ・・・完璧を求めるには・・・人間はまだ未熟なだけなんだ・・・・」

「・・・バカが・・・・その未熟さが・・・・怒りを生むんだろうが・・・・・」

 

そして、シモンも引かない。

 

「でも、その未熟な人間が、この世界を救ったんだろうが!! 道を壊すだけで、創ろうとしないお前が・・・・簡単に吐き捨てるんじゃねえ! 簡単に見切りをつけてるんじゃねえ!」

 

そして引かないシモンの言葉が、あまりにも的を射ていたからこそ・・・・

 

「ああ・・・・・・気に食わない・・・・そういう目は本当に気に食わない・・・・・・」

 

チコ☆タンはようやく振り返った。

 

「・・・・・・・そんな風に・・・・あの男も・・・・・・・・・」

 

最後の最後に、もう一度だけその瞳に、シモンを映し、小さく一言呟いて、彼は二度と振り返らなかった。

 

「何を立ち止まっている! さっさと・・・・・」

「俺にさわるんじゃねえーーーッ!!」

「なっ、・・・キサマ!?」

 

そしてチコ☆タンは己を掴み連行しようとする兵士たちを振り払った。

突然の抵抗に兵士たちが武器を構えるが、チコ☆タンは口元に笑みを浮かべながら、逃げようとはしなかった。

 

「安心しろ。逃げやしねえよ。手柄はテメエらのもんだ・・・・・俺は今・・・・気分が良いんだよ、カスども」

「なっ・・・・なに・・・・・」

「・・・はっ、宇宙かよ・・・でけえ口叩きやがって・・・・クソムカつく野郎だ・・・」

 

伝説の魔人、爆乱のチコ☆タンは未だ硝煙の残る戦場の中、二十年ぶりにその手に枷を嵌められて、最後は静かにその場を後にした。

 

 

「本当に・・・・・・ムカつく奴らだ・・・・・」

 

 

シモンの言葉がどの程度彼の心に届いたかは知らない。

難敵の背中をシモンは、その姿が見えなくなるまでずっと見届けていたのだった。

 


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