魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第209話 オッパイ大会と空の決戦

「でもよ~、・・・これどこの大陸の話だ?」

「ああ・・・あんな魔獣見たことねえし、あんなマジックアイテムが本当にあるのか?」

「う~ん・・・未だに紛争やっいてるシルチス亜大陸とか・・・あっ、ひょっとして旧世界じゃねえか? あんまあそこ辺りの情報は知らないし、映像のシモンを見る限り結構前の話だろ?」

「う~ん・・・・」

 

シモンたちの戦いが一旦落ち着いたのをキッカケに、観客も飲み込んだ息をようやく吐き出して、映し出される世界について話しあう。

聞いたこともない地下に住む民族。

見たこともないマジックアイテム。

これだけのことを成し遂げる人物たちなのに、シモンをこの大会で初めて聞いたことなど、疑問を上げれば限がなかった。

だが彼らが映し出された世界を魔法世界や現実世界のどちらかとして考えている以上、答えは出るはずもない。いくら彼らとはいえ、次元の異なるもう一つの地球の話と言っても分からないだろう。

 

「思い出した・・・・・」

「あん、何がだ?」

 

顎に手を当ててオーロラビジョンを眺めるテオドラが、映っているラガンを見て呟いた。

 

「たしか・・・・・セブンシープ家の領土内にある遺跡にあれと似たようなものがあったような・・・・」

「セブンシープ家・・・エミリィの家ね・・・・それって・・・・そう、たしか顔神遺跡かしら?」

「うむ・・・・・・あれ・・・・・・乗れたんじゃな~・・・・」

 

感心しながら画面に映るラガンを見てしみじみとテオドラは頷いた。

 

「遺跡か・・・俺はよく知らねえが・・・・ってことはこの映像は帝国やアリアドネー近辺っていうのか? んなわけねえだろ。やっぱシルチス亜大陸か、旧世界じゃねえか?」

 

リカードも深く考えて場所を特定しようと無駄な努力をしようとするが、正解に辿り着くわけもない。

 

(異世界・・・・つっても信じねえよな・・・・まっ、もうちっと様子見しとくか? しかしカミナか・・・・・中々のハートを持ってるじゃねえか)

 

リカードたちに余計なことをラカンは言わないようにして、自分は流れる映像に集中することにした。その時、彼は昔のシモンをあたふたさせるほどの人物でもあるカミナをケラケラと笑いながら注目したのだった。

そう、誰もが見入ってざわつきだすシモンたちの物語。

その光景を見て、シモンたちの凄さが知れ渡っている気がしてネギたちは少しうれしかった。

 

「ははっ、皆やっぱり驚いてるわね~。でもやっぱすごいね~、カミナさんもヨーコさんも、それに怯えてるシモンさんって新鮮ね♪」

「せやな~アスナの言う通りや。それに昔のシモンさん・・・かわええ~~♡」

「はい・・・あんな・・・無理だよ~と弱音を吐きながら・・・勇ましく精一杯の雄叫びを上げて・・・何とも可愛らしい・・・」

「刹那・・・うっとりしすぎでござるよ・・・・」

「しっかし・・・・あの熱血バカ一直線にこんな時代もあったんだな・・・・いや、この時代にはその役は別に居たようだな・・・・」

「うんうん、千雨ちゃんの言うとおりだね♪ あの時代にカミナさんが居て、シモンさんに受け継がれ、そして今はシモンさんからネギ君にって感じなんだろうね」

「不覚でした・・・・ビクビクと震えて・・・慌てふためくシモンさん・・・・ギャップがありすぎて・・・・も、・・・萌えました・・・・私を燃えさせずに萌えさせるとは・・・やはり侮れません、私のライバルは・・・」

「うう~む、やはり気合は重要アル」

 

アスナ達はどういう奇跡かカミナと会ったことがあるが、こうして映像で生きている頃の光景を見せられると本当に新鮮だった。

もっとも・・・注目している場所はそれぞれ違うが・・・・・

 

 

「・・・・・・ヨーコさん・・・・・・」

 

「「「「「「「「「「ッ!!!???」」」」」」」」」」

 

 

ネギが呟いたその一言に全員が目を見開いた。

なんと、大人バージョンの姿で完璧超人キャラでもある今のネギが、頬を赤らめながら一人の女性を見つめているのである。

 

「ヨーコさん・・・僕の知っているヨーコさんに比べてまだ幼さが残っていますけど・・・今と同じでカッコよくて・・・・とても可愛らしいです」

 

今のネギが言うと洒落にならんかった。

 

「「「「あっ・・・・・あがが・・・・が・・・・」」」」

 

映像に見入っていた彼女たちも、特にアスナ、のどか、くーふぇ、亜子、まき絵、茶々丸が過剰な反応をしていた。

 

「ねっ、・・・・どーいうこと?」

 

ネギの呟きと表情に疑問を感じた裕奈と夏美とアキラが、固まっている亜子達に聞こえないようにコソコソと木乃香に尋ねてくる。

 

 

「あっ、知らんかった? 実はネギ君ヨーコさんのこと好きなんよ」

 

「「「「「えっ!!?」」」」」

 

 

その時彼女たちは思い出した。

クラスに突然入ってきたり、学園祭で少し会話をしたぐらいで、彼女たちはそれほどヨーコと関わりが無かったのだが、一時期ネギがヨーコを好きなのではないかという噂が流れていた。

本人にクラスメートが糾弾すると、照れまくって慌てていたが、十中八九そうだった。

その時は、10歳の少年の淡い恋物語だと皆が微笑ましいように見て、文句を言っていたのは委員長とまき絵ぐらいだった。

しかし今はどうだ?

本当に洒落にならなかった。

 

「まあ、ネギ君の気持ちも分かるわ~。ヨーコさん昔から美じ・・・・・・」

 

しゃべっている途中で何かに気づいて木乃香も固まった。その親友の変化に刹那も察した。

 

「なあ・・・・せっちゃん・・・・」

「ええ・・・・・この時のヨーコさんって・・・・私たちと同じぐらいの年齢ですよね・・・・」

「シモンさん・・・・ヨーコさんに照れとるな~・・・・」

「はい・・・目のやり場に困っているというか・・・・・・」

「そういえば・・・・シモンさん・・・・こん時ヨーコさんを好きやったんやな~」

 

画面に映るシモンは傍に居るヨーコの裸に近い格好に顔を赤らめて逸らしているが、ヨーコを意識しているのが見え見えである。

そしてネギもまた、少し照れながら画面のヨーコをチラチラと見ている

この時少女たちは思った。

アスナ、のどか、亜子、まき絵、くーふぇ、茶々丸、木乃香、刹那。

自分たちが意識をしている男性二人が意識しているヨーコ。

 

(そうだったわ・・・・こいつったら・・・・ヨーコさんが・・・・)

(ふええ・・・・忘れてたよ~。どうしよう・・・ヨーコさん昔から強くてカッコよくて・・・おまけに美人だし・・・・)

(そっやったんか・・・ナギさん・・・・ううん、ネギ君はヨーコさんのこと・・・・でも当然やな。ウチみたいな脇役と違ってヨーコさんは誰がどう見ても主人公と一緒に戦うヒロインやもんな)

(うう~~ん・・・・なんかやだな~。亜子とかだったら応援しようとか思えたけど・・・・)

(ヨーコさんアルか・・・・結局一度も戦えなかったアル)

(ハカセに改造してもらって色々と私はバージョンアップしましたが・・・まだ足りないものが・・・)

(シモンさんが一番頼りにする女の人がヨーコさんや・・・)

(我々とヨーコさん・・・・何が違うのでしょう・・・・・)

 

自分たちとヨーコでは何が違うのか? それが彼女たちの真剣な想いだった。

だが、そのとき画面の中の映像に異変が起こった。

天高らかに飛んだラガンのエネルギーが切れて、突如地上へ落下したのだ。

大きな落下音と土煙を上げて落下してシモンとカミナとヨーコは大地に放り出された。

その時、シモンは偶然にヨーコの上に乗っかって、ヨーコのはち切れんばかりの胸に顔をうずめていたのだった。

 

「う・・・うわああ!? シ、・・・シモンさんなんてことを・・・・」

 

顔を真っ赤にして映像に映るシモンとヨーコを見るネギ。

 

―――!?

 

この瞬間少女たちは答えに至った。

自分たちのヨーコとの違いは何なのか?

以前からその傾向もあったし、もしやと思った。しかしそれが核心に至った。

自分たちに無くて、ヨーコにあるもの。今のネギと慌てている少年シモンの反応を見て・・・・

 

 

「「「「「「「「胸かァ!!!???」」」」」」」」」」

 

 

胸だった・・・・・

 

 

「・・・・・・・・・・・ふん、・・・・くだらん・・・・・・」

 

 

自分のまったくない胸を触りながら偽エヴァは何故か分からないが不機嫌そうにヨーコを見ていたのだった。

 

 

 

そんな少女たちのおっぱい大会惨敗・・・

 

 

・・・・ではなく、オスティアや世界中で徐々に広がるグレン団の伝説をまったく知らずに、オスティアから北へ進んだ空の上では、休むこと無く戦士たちの咆哮が響き渡っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ったく・・・・次から次へと来るさね・・・本当にバカが多いねまったく」

 

 

メイド服を少し汚しながらも、トサカとバルガス、ラオとランと共に次々と来る敵たちを返り討ちにして奴隷長も何とかこの場を凌いでいた。

 

「おい、奴等を逃がすなよ! この陣形は保つぞ!」

「くっそが・・・だが、こいつら強え・・・」

「ああ・・・・流石に名が通っているだけあるぜ」

 

いくら引退したとはいえ、元奴隷身分から拳闘で成り上がって自由を掴んだ奴隷長。

そして拳闘界では名の通ったバルガスたちが共に居る以上、そう簡単に並みの賞金稼ぎや拳闘士たちでは仕留めることは出来ない。

 

「グル・・・・やるじゃねえか・・・・バルガス・・・・」

「ふん・・・・お前はそうでもないな、ウルフ王子。だからナギ・スプリングフィールド杯の予選を落ちたんだ」

「テメエ!! ぶっ殺す! 王狼の牙(フェンリル・ファング)!!」

「受けてやるぜ!!」

 

狼の獣人は獣のスピードを駆使して、牙と爪を光らせてバルガスに迫るが、バルガスも拳闘家でありながら高位の魔法使いでもある。自身を魔力で強化すれば、相手が獣人といえど十分に渡り合えた。

 

「ちっ・・・バルガスの兄貴は捕まっちまったか・・・・・くそっ、こいつら雑魚に混じって強敵もいるぜ・・・・マジでバテるぞ?」

「おいおい、そんなこと言うなよなトサカ! それじゃあ味方になった俺たちの立つ瀬がねえだろ!」

「そーそー、ラオの言うとおり!」

「テメエらは勝手に来たんだろうが!?」

 

ここに来てから相当暴れているはずなのだが、一向に見える景色は変わらない。

シモンたちも自分たちの見えないところで相当敵を倒していると思えるのだが、未だに変化が戦場に感じられない。

 

「くっそ・・・・アイツ等やられてねえだろうな・・・・」

 

思わずそう思ってしまうほど、何千という兵力は脅威だった。自分たちだってそれなりに修羅場を通った腕利きとはいえ、天才でも超人でもない。

本来なら逃げるか、とっくにあきらめたいところだった。

しかし、そんなトサカを奴隷長は拳骨一撃で叱咤する。

 

「バカ言ってんじゃないよ! これであきらめたら、アンタは一生脇役だよ!」

「うっ・・・うるせえなァ、もう。俺はクズなんだからクズらしくしてりゃあ良かったんだよ!」

「あんたは、本当に素直じゃないさね!」

「おい! 喧嘩してる場合じゃねえだろ! どんどん次が来るぞ!」

 

トサカが殴られた頭を抑えながら、奴隷長と言い合いを始めたが、敵も待っているはずがない。

 

「おらァァ!!」

「死ねや、ロートル!!」

 

だが・・・・

 

 

「誰がロートルだい! 私はまだ三十代だよ!!」

 

「ひっ・・・・・」

 

「ベアズハンマー!!」

 

 

正にクマの張り手の一撃は向ってきた賞金稼ぎを一撃で吹き飛ばし、人ごみの中へ叩き込んだ。

 

「さすがママだぜ・・・・現役顔負けだな・・・奴等まとめて吹っ飛んだぜ・・・・」

 

引退したとはいえこの威力。

威勢の良かった連中も少し萎縮して来るのを躊躇っているようだ。

 

 

「どうしたヒヨッコ共? 来ないのかい?」

 

 

笑う奴隷長の威圧感は、正に歴戦の古豪そのものだった。

向ってきた連中も、今の一撃で何人かの者たちは冷静さを取り戻して、少し間合いを保ったまま、奴隷長に武器を向けたまま睨みつける。

強烈な一撃で相手に見せしめにする。それも兵法の一つかもしれない。ともかく、相手も止まり、少しインターバルを挟める・・・・

・・・と思ったのも束の間・・・・

 

 

「ひゃっはっはっは、いよう! 久しぶりじゃねえか、解放奴隷のクマ子ちゃん! しばらく見ないうちに随分可愛らしい服着てるじゃねえか!」

 

―――!?

 

 

高位の魔法使い? 歴戦の古豪? 拳闘界での強者?

その言葉がどれもが塵に思えるほどの禍々しい威圧感を身に纏った存在が現れた。

 

「あ・・・・あんたは・・・・・」

 

先ほどまで勇猛に戦っていた奴隷長とは思えぬほどの恐怖に満ちた表情。

歯もガチガチと震わせて、恐る恐る奴隷長は突如笑いながら現れた男を見て驚愕した。

 

「俺のこと、お帰りなさいませ、ご主人様と言ってみるかい?」

「ユ・・・・・・・・ユウサ・・・・・」

 

その男、存在そのものが地獄の匂いで、

 

「テメエ! 誰だか知らねえが、ママに手え出してんじゃ・・・・・」

「やめろトサカァ!? こいつは・・・・こいつは・・・」

 

身に纏う雰囲気だけでも自分たちとは明らかに違った。

トサカが何も知らずに短剣を抜いて切りかかる。その行動に慌てて奴隷長が止めようとするが、その必要は無かった。

トサカは足を踏み出した直後に男の威圧感に気おされて止まってしまったのだから。

 

「あっ・・・・・・あっ・・・・・」

 

トサカは気づけば震えと汗が止まらなかった。

するとユウサはニヤニヤしながらトサカに手のひらを向ける。その瞬間・・・・

 

 

「かっかっかっか、閻魔をすっ飛ばして判決下す! お前ら全員地獄行き♪」

 

 

その手に燃え盛るのは灼熱まで上昇した地獄の炎。

敵味方問わずに甲板を燃やして迫り来る炎は一瞬で自分たちを消炭に出来るほどの熱気を纏っている

 

 

「炎熱地獄!!」

 

 

不思議とアッサリした気がした。

自分は今から死ぬんだということしかトサカは考えられなかった。

奴隷長やラオが何かを叫んでいるが全てがスローモーションに見え、何も声が聞こえなかった。

死の直面に時間の感覚というものは狂うのだとシミジミ感じたその時・・・

 

 

「浦島流・・・・」

 

「メカタマ~~」

 

 

トサカの感覚を一瞬で取り戻すかのように颯爽と飛び込んでくる味方が現れた。

 

 

「山びこ返し!!」

 

「スパイラル放水撃!!」

 

 

メカタマ・・・いや、サラとブータにハルカが、トサカの窮地に現れた。

気の膜を作ったハルカがユウサの炎の熱気を遮断して、螺旋の渦を描いた放水車のようなメカタマの水攻撃が、勢いよく飛び出して炎を押しつぶした。

 


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