魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第191話 風呂だ!

オスティアの地には夢と希望とロマンの眠る聖域を目指した勇猛果敢な漢たちが、立ちはだかる境界線の壁を前に佇んでいた。

 

「山ちゃん・・・俺たちはどこに来た?」

「勿論、温泉だよ」

 

聳え立つ巨大で厚い壁を前にして、豪徳寺は腕組をしながら尋ねる。

 

「そーだ・・・すると、たっちゃん・・・温泉だったらどういうイベントだ?」

「ウフフ・・・な展開があるイベントだ・・・・・」

「そーだ・・・すると、ポチッち・・・・ウフフはどういう展開で無ければならない?」

「・・・・・混浴・・・・・」

「そーだ・・・・だが、エンキ・・・・ここには何が居る?」

「・・・・ヒューマン、獣人、亜人、ロボ・・・・ノ、オスデス」

 

タオルを腰に巻き、聳え立つ強固な壁の前で佇む男たち。しかし彼等はそこから一歩も動けないで居た。

男たちの夢の世界への道を阻む現実の壁に、豪徳寺たちは己の無力さを嘆いていた。

 

 

「そーだ・・・・何で・・・何で虎とか熊とかトカゲとかとのオスと一緒なんだアア!?」

 

 

つまりは、期待と興奮で膨らませていた想いが、あまりにもドラマの無い展開によって粉々に打ち壊されたのだった。

 

 

「しかも・・・温泉って言えば普通は女子と男子が別れていても、覗いてくださいと言わんばかりの柵があるはず・・・なのに・・・なんで壁なんだァ!」

 

 

そして混浴どころか覗く隙もまったくない密閉された空間で、オスの獣人たちと一緒にお風呂に入るというあまりにも残酷な展開だったのだ。

純粋な? 夢を壊されて打ちひしがれる青年達の姿を見て、瀬田とシモンは湯に浸かりながら面白そうに笑っていた。

 

「ははは、残念だったね~。まあ、仕方ないさ。僕が聞いた話によると、オスティアの風呂は聖域とまで呼ばれているところらしい。貴族やお偉いさんも入る風呂場で簡単に、ウフフな展開は無いようだね~」

「まっ、普通に風呂に入ればいいじゃないか。これはこれで楽しいぞ? それに、覗いたってこっちがそうなんだから、女風呂も獣人とかでいっぱいだろ?」

 

これが青春に生きる学生と人生経験豊富な大人との決定的な差なのか? 実に二人は余裕のある態度である。

しかし、豪徳寺たちはあきらめない。

大人も学生も関係ない。男であることの意味を、彼等はシモンと瀬田に問いただした。

 

 

「甘え!! 甘えぜリーダー! 瀬田の兄さん! 記憶と共にロマンを無くしたか! ヨーコさんが居なくとも・・・いや、そこに待っているのが本当に楽園だと分からなくても、風呂場は命を賭けてロマンへ向った漢たちの魂が流れる場所だぜ!!」

 

 

バックに火山が噴火したかのように熱く達也が語りだした。すると続いて豪徳寺も、渋い雰囲気を出しながら、己の想いを正当化する。

 

 

「ふっ・・・・硬派な男は覗きなど低俗な真似はしない・・・しかし、イベントをスルーして、漢の成すべきことをしないほど、俺は腰抜けではないぞ!!」

 

 

何故か、彼等はこの日一番の熱さを見せていた。

シモンも瀬田も、豪徳寺たちの行為に「やれやれ」と苦笑しながら未だに湯の中から動かないで居ると、壁の向こうから聞きなれた声が聞こえてきた。

 

 

「うわ~~、広~~い!!」

 

 

壁に阻まれて少し聞き取りづらい。

しかし、風呂場ゆえに声が響くのか。またはどこかで壁の向こうと空気の穴が繋がっているのか分からないが、とにかく女の声が聞こえてきた。

 

「薫ちん・・・・この声は・・・」

「・・・おお・・・・亜子ちゃんだぜ・・・」

 

壁の向こうから聞こえてきたのは亜子の声だった。

どうやら自分たちと一緒に来た彼女たちも、巨大テーマパークのプールのように広いこの風呂場を、生まれたままの姿で驚いているのだろうと、頭の中で思い浮かべた。

 

「ぐっ・・・・何を話してる?」

「しっ、・・・・くっそ・・・向こうはどうなってやがる・・・」

 

気づけば豪徳寺たちは壁に耳を当てて向こうの声を聞き取ろうと必死になっていた。

傍から見たら怪しい集団なのだが、広い風呂場であり、湯気が立ち込めているため、誰も彼等の行動を咎めはしなかった。

すると・・・

 

「本当に広いですね~~。これだけでも来て良かったですね~」

「ふふ、ハカセさんもネギ先生の生徒なだけあって、中々肝が据わってますね」

 

仲間のハカセとシャークティの声も聞こえてきた。

すると・・・・

 

「うわ~~~、シャークティだっけ?」

「はい? なんです、サラさん?」

「なんつうか・・・お前・・・別に胸がデカイとかそういうんじゃないけど・・・・なんだろ・・・なんつうか上品さがあるっつうか・・・肌がキレイっつうか・・・」

「えっ?」

「あっ、ウチも思う! シャークティ先生ってシスターだし・・・なんやろ・・・水浴びをする女神ってゆうか・・・神々しさがあるってゆうか・・・」

 

サラと亜子がマジマジとシャークティのハダカを見て、そこに大人としての完成された姿を見た気がした。

 

「ちょっ・・・あまり見ないでください。恥ずかしいです」

 

シャークティが少し頬を赤らめて手隠しで体を隠す。

すると・・・・

 

「別に良いじゃないか。女同士で恥ずかしがることないだろ? スケベな男共が見ているわけじゃあるまいし」

「ハ、ハルカさん・・・しかし・・・」

「うわ・・・シャークティ先生もやけどハルカさんも・・・・」

「うん・・・すごいスポーティというか・・・全然脂肪がないけど、色気は感じるというか・・・」

 

タオル一枚身に纏わず堂々と現れたハルカ。

アスリートのように引き締まった体かと思いきや、決して硬すぎず、体の柔らかさも感じる適度な肉体に亜子と夏美は目を奪われていた。

 

「う~ん・・・やっぱハルカもやるな~」

「皆さんも難しいお年頃ですからね~。その点アキラさんは運動やっているだけあって、素晴らしいですね~」

「えっ? あっ・・・やっ・・・その・・・ハカセもあまり見ないで・・・」

「あ~~、アキラの裏切り者~~!!」

「うう~~、なんかずるいよね~」

 

風呂に入ったらお約束なのか、定番のような会話が聞こえてきた。

互いの肌を見合っての一喜一憂。

しかしまったくその光景が見えなくても、壁の向こうでその光景を頭の中で思い浮かべる者、または心眼で壁の向こうを見ようとする男たちがいることを彼女たちは知らない。

そして、そんな状況の中、現実に打ちひしがれて自信を無くしていく夏美は、とどめの一言を言う。

 

「しかし・・・・何で魔法世界の人達って美人でスタイルがメチャクチャ良いんだろう・・・しかも、それで猫耳とか獣の尻尾とか反則だよね・・・・」

 

夏美は辺りを見渡して思わず呟いた。

それは独り言のように小さかったため、本来なら聞こえるはずがない。

しかし、全神経をむき出しにした彼等には、場の雰囲気というか、ノリというか、とにかく聞こえてしまった。

 

 

「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」

 

 

そして・・・漢達は立ち上がった・・・・

 

 

「「「「行くぜ、ダチ公!!」」」」

 

 

これだけのことを聞いて、何を躊躇う必要がある? というノリで彼等は立ち上がった。

 

「リーダー! リーダーのドリルで、聖域に風穴を開けるんだ!」

「人生、山あり、谷あり、ロマンありだ!! デッカイ山にキワドイ谷・・・冒険してみようじゃねえか!!」

「果たしてヨーコさんを超える神は居るのか・・・・」

「もし居たとしたら・・・それは乳神・・・・か・・・」

「ヨーコサンハドチラカト言ウト・・・・ヘソ神ダト・・・」

「はっはっは、いいね~、男の子はそうでなくっちゃね~!」

「おいおい、瀬田さんまで。ハルカさんやサラに怒られても知らないぞ?」

 

男たちは心を一つにして、世界を真っ二つにする巨大な壁、赤い土の大陸に(レッドライン)の向こうにある、ひとつなぎの大秘宝を目指して走り出した。

しかし・・・・

 

 

「ちょっ、・・・・ちょっとあなたたち、ダメですよォ!!」

 

「「「「「「「ん?」」」」」」」

 

 

空気を読めない無粋な声が男たちの足を止めた。

 

 

「エッチなのはダメですよ!」

 

 

それは子供の声だった。

まるで風呂場の文化を知らない子供の発言に、男たちは立ち止まりふり返る。

しかし・・・

 

 

「「「「「「「あっ・・・・・」」」」」」」

 

 

そこに居たのは・・・男たちに常識を投げ掛けた子供は、自分たちのよく知る顔だった。

 

 

「おっ・・・お前は!?」

 

 

豪徳寺が一番最初に気づいた。それに続いて達也や慶一たちも自分たちを止めた者に気づいた。

 

「えっ!? シモンさん・・・・それに・・・えっ? あなたたちは・・・・」

「おう! 久しぶりじゃねえか、子供先生!!」

「く~っ、学園祭以来じゃねえか!」

「やあ! また会えてうれしいよ!」

「それに確か・・・小太郎・・・」

「あっ? ちょ・・・何で兄ちゃんたちがここに居るんや!?」

 

そう、豪徳寺たちの行く手を止めたのはネギだった。

怪しい集団を見かねて、思わず口を出したネギだったが、振り向いた男たちを見て度肝を抜かれてしまった。

ネギにとっても、それだけ予想外の出来事だったのだ。

そして豪徳寺たちも女風呂のことを一瞬で忘れ、うれしそうにネギに、そして後ろから顔を出した小太郎とカモの元へと駆け寄った。

 

「ちょっ・・・どういうことでい、シモンの旦那!? 無事だったのは安心したが、何でグレン団が集結してるんでい!?」

「ああ。ついでにシャークティ、そしてハカセも今隣に居る。こいつらに危ないところを助けられてな」

「シャ、シャークティ先生まで!? ・・・って・・・ハカセさんも!?」

「ああ! 全員頼もしい奴等だ。それにしても・・・お前も無事だったんだな。良かったよ」

「えっ!? ああ!? もうどうなっとるのかさっぱりや・・・・、ちょ、詳しく教えてや!」

 

夢への道は阻まれたが、スッカリそのことを忘れてネギ、小太郎、カモ・・・・そして・・・・

 

 

「おう、テメエら!! んなとこで固まってどうしたよ?」

 

「ラカン!」

 

「お~~、シモンじゃねえか。どーやら、生きてるようだな。・・・ん? なんか・・・・増えてねえか?」

 

 

全裸で堂々とギガドリルを股間にぶら下げたラカンまで登場した。

 

 

「「「「「「「「デ・・・・・デカッ!!?」」」」」」」」」

 

 

あまりの規格外のラカンのドリルに男たちは眼を疑い男としての尊厳を失ったかのようにうな垂れてしまった。

 

「あん?」

「いや・・・・気にすることじゃないよ・・・」

「おう、冒険王! テメエも無事だったか。聞いたぜ~、リカードの野郎を退けたってな。大したタマじゃねえか!」

「う~む、君に褒められても何もかもが霞んでしまうね~」

「まあ、ネギもラカン・・・・は当たり前だけど無事で何よりだな」

 

なんやかんやで、風呂場で大集合した男たち。

ネギ、小太郎、ラカン、瀬田、シモン、そしてグレン団・・・・

この光景に同じ空間に居るほかの客たちは・・・・・

 

 

 

「「「「「「・・・・・・・あの湯・・・・半端ねえ!!!」」」」」」

 

 

 

風呂場でありながら、あまりにも近づきがたい面子とオーラを放つ空間に、他の客たちは一切近づこうとはしなかった。

 

 

「ん? なんだァ? 今日はすいてやがるな」

 

 

超有名人ラカンを始め、超一級のお尋ね者が集いながらも、誰も周囲には近づかなかったために、彼等は堂々と再会の挨拶を交わして湯の中で談笑を始めたのだった。

 




すみません。投稿うまくされてなかったです。

ただ、せっかくなのでたまには違う時間帯にも投稿して少しでも読者を増やそうかな~っと、いうわけで、今度からはしばらくまた投稿時間変えてみます。


夜:20時ぐらい
朝:7時ぐらい


ってわけで、よろしくお願いします! お気に入り登録お願いします~!!!!

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