魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
「う~ん・・・・この展開でこの気迫・・・中々だね~」
「ちょっとヤバイんじゃね?」
「ぶ~」
「ふっ、関係ないね・・・・どっちにしろ今更黙って捕まれるか」
「じゃあ・・・・決まりだ!!」
不屈の戦乙女に心を動かされ、全ての戦士たちが心を熱く燃やして再び瀬田たちに向ってくる。
だが、気迫で覆されるほどの相手ではないことを瀬田もハルカも見抜いていた。
結局は変わらずいつも通りに戦うだけ。それでこの場は乗り切れると確信していた。
だがその時だった!
「うおりゃああああああああああああ!!!!」
戦いの轟音をかき消すほどの大声が上空から聞こえてきた。
「「「「!?」」」」
「「「「「「「「「「「「「「「「―――――ッ!?」」」」」」」」」」」」」」」」
余りの大声に、シモンたちだけでなく、全ての戦士たちの動きが止まり、全員一斉に上空を見上げる。
すると・・・・
「おい・・・・あれは・・・いや・・・・まさか・・・あの方は!?」
「ま、・・・・間違いない!?」
数人のメガロメセンブリアの戦士たちがどよめき出して、突如上空から雄叫びを上げながら降りてくる一人の男に注目した。
「その戦いィ~~、俺も混ぜろォ!!」
軍服のズボンに上半身裸で、単身戦場のど真ん中に一人の男が降り立ち、ポカンとするシモンたちに向って指を指して、笑いながら告げる。
「誰だい・・・・あのうるさいのは?」
「たしか・・・・僕の記憶が正しければ、式典の時にいた人だよ・・・・」
そして同時にメガロメセンブリアの戦士だけでなく、アリアドネー、ヘラスの者たちも現れた男に驚愕していた。
「あれは、リ・・・・リカード元老院議院!?」
「あの伝説の英雄! 白兵戦の鬼とも言われた、あの方が!?」
「あれが・・・・首都の国家最強艦隊スヴァンフヴィードの艦長まで勤めた・・・・私たちアリアドネーにもその伝説は伝わっている・・・・」
「我等帝国側がかつて恐れたあの男が・・・・」
誰もが現れた男、リカードの名を知っていた。それほどまでにこの男はこの世界でも知れ渡った存在なのである。
そして現れたのはリカードだけではない。
「まったく、暑苦しくてうるさいのは相変わらずね。もう少し普通に登場できないのかしら?」
全員がリカードに注目する中、箒に乗って静かに降り立ち、笑う女。その人物に今度は真っ先にアリアドネーの戦乙女たちが叫んだ。
「「「「「セラス総長(グランドマスター)!?」」」」」
「随分と、手こずっているようね」
「も、・・・・申し訳ございません」
微笑みかけるセラスに向けて、団長を初め、全員が慌てて膝をついて悔しそうに頭を下げる。
しかしセラスは首を横に振って温かい眼差しで団長の肩に手を置いた。
「後は任せなさい。無理して貴方たちが倒れたら、誰が平和を守るというの?」
「グ・・・・総長(グランドマスター)」
セラスの言葉に涙を浮かべて顔を歪める戦士たち。そして彼女たちを労いながら、セラスは瀬田、ハルカ、サラ、そしてシモンを見る。
そして軽く溜息をついてセラスはターゲットでもある瀬田へ顔を向ける。
「・・・・・手配書に載っていない者もいるわね・・・まあ、それは置いておいて・・・・あなたが旧世界で名を馳せた冒険王、瀬田記康ね。随分と問題を大事にしたわね」
「・・・・・ははは、申し訳ない・・・迷惑を掛けたつもりは無いんだけど、貴方たちが強いものでこちらもそれなりに抵抗してしまい・・・」
瀬田は笑顔で答えるが、その笑みは少々ひきつっていた。それだけでなく、背中にも汗を掻いていた。
全ては突如現れたリカードとセラスの存在がそうさせた。
(この二人・・・・これまでの連中とは桁違いだね・・・)
瀬田は相手の実力をこれまでとは別格だと見抜き、いつものような柔らかい笑みが消えていた。そしてそれはハルカもサラも同じだった。
「これは・・・・メンドクサイレベルが上昇したね・・・」
「あの筋肉ダルマほどじゃねーけど・・・・・こいつら強い・・・・」
タバコの火を消してハルカが真剣な表情でぼやき、サラもメカタマの中から、リカードとセラスの力を見抜いていた。
そして・・・・
「そうそうビビるでない。これではまるで妾たちが悪者に見えるではないか」
もう一人の女がこの場に現れた。
そしてその存在にこれまでで一番の驚愕の声が周りから沸きあがる。
「「「「「「「「「テオドラ皇女!?!?!?」」」」」」」」」
「とうとう・・・・殿下まで・・・・」
「スゲー・・・・・作戦は聞いていたが、まさか本当に皇女まで来るとは・・・・」
祭りで賑わうオスティアで、現在最も賑わう場所に三人の超VIP的存在が現れた。
その人物の顔も名も知らないものはシモンたちを除いて誰も居ない。そしてこの三人が式典や会議の場以外でそろい踏みになっている光景に誰もが目を輝かせて見ていた。
「な、なんだって? 皇女? 何やら本当に大事件になってきたね~」
「頭痛いだろパパ・・・・」
「ぶ~」
「まてまてまてまて! 皇女って・・・・そんな大人物までなぜここに?」
「真打登場・・・・か・・・」
シモンたちは現れた三人に表情を変えた。明らかにこの場を囲む百名近くの戦士たちよりも目の前の三人からは強烈な力を感じたからである。
「来た・・・・俺らは・・・・伝説を見れるぞ・・・」
「感動です・・・この目で・・・直にあの方々の力を見られるとは・・・・」
誰もがリカード、セラス、テオドラのそろい踏みに感動で打ち震えていた。それだけでもシモンたちには三人の凄さが伝わってきた気がした。
「テメエらか・・・・噂の四人組は。職業柄あまり褒められねえが、欲望に忠実に乗り込んで、実に素敵な馬鹿野郎共だぜ。」
「うむ、中々良い目をしとるの~、三大勢力を相手にこれだけの大立ち回りをやるとは、返って関心したぞ」
「でも、少しやりすぎた様ね」
三国の戦士たちがシモンたちを包囲し、正面にはリカード、セラス、テオドラの三名が並んで歩み寄ってくる。
「何でこの世界に興味を持った? 何を知るためにお前さんはこの世界に来たんだ? 魔法の世界に旧世界一の科学力を誇る国の人間が簡単に受け入れられるはずがねえだろ? まさか戦争でもしに来たのか?」
「とんでもない。僕はただ・・・・世界の真実を知りたいだけだ。たしかにこの世界の調査はモルモル王国からの依頼ではあるが、ここに居るのも戦うのも全部含めて僕の意思だよ」
リカードの問いかけに瀬田は何も包み隠さず正直に答えた。その態度にリカードは好感を持ったのか、笑みを浮かべる。
「ふん、テメエの意思・・・か・・・・。そうゆうのは嫌いじゃねえ。・・・・だが立場上・・・」
しかし途端に雰囲気を変化させた。
突き刺さるような強力なプレッシャーを、瀬田に、そしてサラたちへぶつける。
「立場上、そうも言ってられねえんだよ」
より一層威圧感が増したリカードに、瀬田は拳に汗を握った。それはシモンたちも同じである。
(・・・・この男・・・・・)
包囲されている以上逃走も不可能。
そうなるとやることなど正面突破だけなのだが、中々四人は行動に移せなかった。それだけ無闇にやって勝てる相手ではないことを見抜いていたからだ。
「さ~て、それじゃあ・・・・俺は主役の冒険王殿と一騎打ちさせてもらおうか」
「むむ~、おいしいとこ取りじゃな」
「それでは・・・私は戦乙女旅団の団長を苛めてくれた隣のゴーグルの男を相手するわ」
「なな、勝手に決めおって~。・・・まあ良かろう。それでは妾は残りの二人を相手にしようぞ」
話しを進めていくリカードとセラスに頬を膨らませてムッとした表情を取るが、部下や他国の戦士たちが居る手前、見苦しくわがまま言うのも憚られ、しぶしぶテオドラは納得した。
「ちっ、なめやがって~~。今に見てろよな~」
「ふん、だが・・・・口だけじゃなさそうだ。油断するなよ、サラ、ブータ」
「おうよ!」
「シモン君・・・・すまないね、巻き込んでしまって・・・・・・と今更君に言うのは・・・・・」
「ああ、今更野暮だぜ、瀬田さん。俺がここに居るのも、覚悟を決めているのも、瀬田さんと同じで自分の意思だ」
「そうか・・・・そう言ってもらえると救われる・・・・君が居てくれて良かった」
ようやく瀬田は肩の力を抜いていつものように微笑んだ。それを見て、シモンもいつものように力強く笑った。
結局やるべきことは分かっている。ならば後はやるだけである。
「それじゃあ、瀬田さん。・・・遺跡と同じように」
「うん! 正面突破だ! それじゃあ・・・・」
「「「「「行くぞ(ぶむ)!! 」」」」
同時に声を出してシモン、瀬田、ハルカ、そしてメカタマに乗ったサラとブータが正面に居る強敵三人に立ち向かっていく。
「勇ましいな~、まっ、もう少し個人的に話しを聞きてえが、後は事情聴取で聞くとするか」
「じゃな。それでは尋常に・・・」
「成敗と行きますか」
それを見て、三人も動き出す。
「「「受けて立つ!!」」」
リカードは瀬田に。
テオドラはハルカ、サラ、ブータに。
そしてセラスはシモンを相手に選ぶ。
今この場に、本来ありえないはずの戦いが繰り広げられることになる。