魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第176話 魔法理論? ナニソレ美味しいの?

「こ、暦・・・」

「容赦ねえぇぇ! あれで寸止めかよシモンの旦那ァ!?」

「いや・・・それよりもあの大きな穴は何だ?」

 

呆然としながら尋ねるハルカの疑問に瀬田が答えた。

 

「多分・・・・この結界空間に穴を開けたみたいだね。強力なシモン君のエネルギーが、現実世界とこの空間の境界面を突破して、あの女の子を外へと吹っ飛ばしたんだろう」

「っということは・・・あの穴の向こうが外の世界・・・ということか?」

「い、いやパパ・・・・。たしか魔法理論的に脱出は不可能だったんじゃ・・・・」

「そ、そうですわ・・・・本気で言っているのですか?」

「だって、事実上そうなんだし仕方ないんじゃないかな? シモン君の力は理論も物理も法則も無視したってことだと思うよ?」

「うは~~~、流石シモンさんやわ~~~」

 

右拳を天に向って突き上げるシモンの姿と、シモンが開けて暦が吹き飛ばされた穴を見て、改めてシモンのメチャクチャぶりを理解した面々だった。

 

「でも、今のはいい例だったね~」

「だな。要するに強力な力を使えば、理論上無理でも、何だかんだで脱出できるって事だな」

「シモン君の技でヒビの入ったこの世界なら、それほど難しくは無い。だから・・・・後は任せたよ♪」

 

ラカンの肩をポンと叩く瀬田。そのやり取りに腰を抜かして震えている環は、「これ以上何をするのか?」という目で見ていた。

するとラカンがその場で大きく唸りだした。

 

 

「ふんぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!」

 

「ななな・・・・何を・・・・・ひ・・・ひっ・・・・」

 

「ぐうぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

ラカンの桁違いの溜め込んだ力が空間を歪ませ、シモンが開けた穴を中心に、空間全体に大きくヒビが広がる。

 

「う、うそ・・・・・・うそ・・・こんな・・・・く、空間に・・・亀裂が・・・・フェ・・・フェイト様・・・・」

 

もはや次の事態を予測できた木乃香たちは顔を引きつらせ、予測は出来るものの、認めたくは無い環が激しく恐怖で打ち震えながら、必死に自分の予測を否定しようとする。

しかし・・・・

 

 

「うりゃあああああああ!! 大次元破りいいィィ!!」

 

 

空が砕けた。

景色が消えた。

その代わりに一瞬で空も景色も、元のオスティアの風景へと変わった。

 

「すごいね~。お見事だよ。ようやく元の世界に帰ってこれたよ」

「流石ラカンだな」

「おうよ。意外と簡単だったな」

 

今、どれほどありえない出来事があったのかを理解しているのか疑わしい三人の男は、当たり前のように普通に会話を始めた。

その様子を木乃香たちは呆れて見ていた。

 

「なあエミリィちゃん・・・・魔法理論って誰が作ったんやろ・・・・・」

「さ・・・・さあ・・・・・私も何が常識で、何が非常識なのか分からなくなりましたわ・・・・」

「じゃあ・・・今日から、その理論とやらに付け足したほうがいいんじゃないか? 筋肉化け物とシモンとパパみたいな規格外の相手には理論が覆されることがある・・・・って・・・」

「つうか・・・・可哀想によ~。あの女の子たち、旦那やおっさんのせいでトラウマになっちまったんじゃねえか~」

「・・・・あっ・・・・丁度一本吸い終わった・・・・まあ、タバコ一本分は足止めできたんだから、上出来なんじゃないか?」

 

吸殻を捨てながらハルカはチラッと横目で戦っていた二人の少女を見る。

先に外へと吹っ飛ばされた暦は涙で歪んだ顔のまま倒れており、その隣ではへタンと腰を抜かして逃げることすら出来ないほどビビッてしまった環が小さくうずくまりながら震えていたのだった。

 

「にゃ・・・にゃんにゃんですか・・・・この人達・・・・」

「う、・・・あ・・・う・・・バ・・・バケモノ・・・・・」

 

まるで犯罪者に追い詰められて壁際で震えているか弱い少女たちの様だった。あまりの気の毒さに、どちらが悪党か分からなかった。

 

「さて・・・・ラカン・・・瀬田さん・・・・こいつらどうする?」

「「ヒイッ!?」」

 

シモンの言葉にビクリと肩を激しく揺らす二人の少女は、フルフルと顔を上げてシモンたちを見る。

すると瀬田は少し顎に手を置いて考える素振り、ラカンはイタズラを思いついた子供のような顔をした。

 

「女の子をイジメるのはよくないけど・・・・・ふふふ・・・彼女たちは敵なんだろ? 放って置いたらまたやって来る・・・・」

「だが、カワイ子ちゃんたちを、この程度でやっちまうのはな~~」

 

何か・・・・嫌な予感がしてきた。

三人の男が同時に悪巧みを思いついた。

その様子に涙目ながらも、暦と環は精一杯睨みつける。

 

「く、い・・・い・・命乞いはしません・・・・」

「こ、殺すなら殺しなさい。・・・・その覚悟は出来ている・・・・」

 

正にありきたりの敵の戦士の言葉だった。

しかしそこで三人の男は目を光らせた。

 

 

「「「そうか・・・・・よく言った!!」」」

 

「「・・・・・・へっ?」」

 

「「「「「・・・・おい?」」」」」

 

 

全員が首を傾げた。

 

 

「いい覚悟じゃねえか。最近の女はスジが通っている」

 

「僕も気が進まないけどそこまで言われたんならね~」

 

「カワイ子ちゃんたちは傷つけたくなかったが・・・・」

 

 

ニヤ~っと三人揃って笑いながら隅っこで震える暦と環に近寄り・・・・

 

 

「「「そうゆうことならそうするさ!!!」」」

 

「「・・・・・・・・・・・・えっ・・・・・」」

 

「覚悟を決めた女の想いに!!」

 

「例えこの手が汚れようとも・・・」

 

「応えなくちゃあ漢じゃねえ!!」

 

「「・・・・・・・・・へっ?」」

 

 

最後ぐらいは誇りある姿を見せようとした暦と環・・・

しかし・・・・それは直ぐに終わった。

目の前で拳を握り締め、何やら妙な動作を始めるラカン。

螺旋力を放出し、巨大なドリルを出すシモン。

眼鏡の奥の瞳を光らせる瀬田。

そして三人は暦と環の目の前でその力を解放しようとする。

 

 

「覇王!! 爆裂炎熱豪竜咆哮~~~~」

 

「ギィガァァァドリィィルゥーーーーーーッ」

 

「奥義・・・・・六王・・・・・」

 

 

神も魔王も逃げ出してしまうのではと思えるほどの力が溢れ出す。

さて・・・・ここで問題がある。

これほどの力を前にして、戦意を既に失った少女たちが反応できるか? 

いや・・・それ以前に・・・・

 

 

「ぎにゃああああああああああああああああああああ!?!?!?」

 

「あ・・・うああA▲○×A□B~~~!?!?!?」

 

 

正気を保つことすら無理だろう・・・・

二人はシモンたちが技を繰り出す前に、涙を流しながら口から泡を吹いて倒れてしまったのだった。

パタンと驚愕の表情のまま気絶した二人を見おろしながら、シモンたちは出した力を消す。

これぞ正に史上最強のハッタリだった。

 

「気を失ったか。・・・まっ、お仕置きはこのぐらいでいいかな?」

「まあ、一応敵みたいだし、少しぐらいはお灸を据えないとね~」

「かっかっか、トラウマにならなきゃいいがよ~。しっかし冗談とはいえ、まさか気絶までするとはよ~~」

「「「「・・・・・・・・・・鬼だ・・・・・・」」」」

 

一応三人ともハッタリだったらしいので、当然その力で暦と環に攻撃するつもりは無かった。

だが、演技とはいえこの三人の力で目の前で凄まれれば、誰だってこうなっただろう。

 

「か、カワイソすぎるえ・・・・・・・」

「あ、悪夢ですわ・・・あんなものを目の前で見せられれば・・・・」

「ま、まあ・・・・パパたちが本当に使ってたら、アイツら細胞も残らず消し飛んでただろうからな・・・・」

「つうか・・・・三人揃って俺っちたちの敵じゃなくって・・・・本当に良かったな・・・・・」

 

木乃香たちは気絶している二人に心の底から同情し、カモの呟きに誰もが心の底から頷いたのだった。

何はともあれ、暦、環の二人はリタイアと同時にしばらくドリルと筋肉とタバコの悪夢にうなされることになるのだった。

 

 

「さ~て、予定よりあのバカ共が時間を掛けちまったが・・・果たしてこの後はどうなるのやら・・・・・シモンの知り合いのところに間に合うのかね~」

 

 

新たなタバコに火をつけて、ハルカは冷静に騒ぎが起こっているであろう街の中心の方角を見ながら呟いた。

 


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