魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第173話 力を合わせて戦おう♪

そして時は戻り、舞台は少しずれる。

フェイトとネギが激しい戦闘を繰り広げている頃・・・・

一人の男がのんびり空を仰いでいた。

いかに爆音響き渡る戦いが繰り広げられようと、オスティアは広い。

更に島中が祭りで賑わっている以上、その音はそれほど遠くまで響き渡らない。

 

 

「ふう・・・暇だぜ・・・・・シモンの野郎はどっか行ったし、ボーズは朝から嬢ちゃんたちとどっか行っちまったし、何かねーかなー」

 

 

だからこそ、島の外れで暢気に欠伸をするラカンの耳まで届かなかった。

 

 

「だが、こーゆう日に限って楽しいこと・・・・じゃ無くて、メンドクセー事が向こうからやってくるもんなんだがよ~」

 

 

ネギ達とフェイトが戦闘繰り広げる中、この男はのんびりとして空を眺めていた。

最近ずっとネギの傍に居て隠居して静かに暮らしていたはずの自分の周りが急ににぎやかになったため、突如以前のように暇になると、時間を持て余してしまった。

だが、いつまでものんびりしていることも、させられることはない。そう、長年の勘がラカンに告げていた。

そしてその考えは正しかった。

 

 

「おっさーん、大変だー!!」

 

 

遠くからカモの助けを求めるような声が聞こえてきた。

 

 

「ほらな。あの表情・・・・どうやらメンドそーなもん抱えてやってきたみたいだぜ」

 

 

やれやれとため息をつきながら、ラカンはカモに手を上げて応えた。

 

 

「おう、どーしたんだよ、カモミール?」

 

 

すると激しく息を荒げながらカモが口を開いた。

 

「おっさん、急いできてくれ!! 兄貴たちが大変なんだよ!」

「ああ~ん? ったく、せっかく人がのんびり出来ると思ったんだが、そーゆうことならシモンの奴に・・・・・・・・・って・・・・ん?」

 

その時だった。

ラカンは急に上空から異様な気配を感じた。

 

「なんだ!? ・・・・・何か・・・・近づいて来るな・・・」

「へっ?」

 

目を凝らして空を見上げるラカンにつられて、カモも空を見上げる。

すると上空に浮かぶ黒い点が徐々に巨大になり、接近してくるではないか。

 

「ありゃあ・・・・」

「ん~~~? 何か・・・・落ちてくる・・・・鳥? いや・・・」

 

徐々に黒い点が大きくなり、段々とその形が見えてきた。

巨大な翼を生やした謎の物体。

鳥? ドラゴン? いや・・・どちらでもなかった。

その正体は空飛ぶ鉄の塊・・・・

 

 

「ひ・・・・飛行機? ってうおおおおおおおお!? 落ちてくんじゃねーかッ!?」

 

 

カモがようやくその物体の正体に気づき、目玉が飛び出すほど驚いた。なんと何の前触れもなく飛行機が空から落ちてくるのである。

 

 

「なんだなんだ~? 随分と急に騒がしくなったじゃねーか」

 

 

だが、ラカンは驚くことも怯えることも、それどころか避けようともせず、少し楽しそうに落下してくる飛行機を正面から迎え撃った。

 

 

「うおりゃあああ! ラカン必殺・一人UFOキャッチャー!!」

 

 

そして、またもや規格外なことをやってのけた。

まるでクレーンゲーム? の様なノリでラカンは真っ逆さまに落ちてくる飛行機を片手で掴み取った。

 

「ああがががっががががが!?」

 

流石の規格外すぎる力に、カモは目玉に続いて顎が驚きすぎて外れてしまった。

しかしこれほどのことをやってのけたラカンは何事もなかったかのように掴んだ飛行機をそのまま地面に下ろして手を離した。

 

「ず~いぶんと乱暴な運転じゃね~か~。一体どんな奴だ?」

 

すると飛行機の扉が乱暴に開いた。

カモがラカン背後に隠れながら様子を見ると、中から痛んだ体を抑えながらゾロゾロと人が降りてきた。

 

「いや~~~、危なかった~~。皆は大丈夫かい?」

「ったく~、まさか途中で騎士団に見つかるとは・・・気を抜きすぎたな」

「なな、何を今更言っているのです、ハルカさん!? だ、大体正面からお尋ね者の貴方たちが入れるわけないではないですか!?」

「まさかイキナリ攻撃してくるとは思ってなかったよ。でも、何とか逃れたみたいだな~。木乃香は大丈夫か?」

「う、うん・・・体ちょっとぶつけたけど、平気や。せやけど瀬田さんの運転、スリルありすぎや~」

 

なんと落下してきた飛行機から、瀬田、ハルカ、エミリィ、シモン、木乃香が苦笑しながら降りてきた。

 

「おっ! ず~いぶんと、おもしろいことしてんじゃね~か~」

 

降りてきたメンツにニヤリと笑みを浮かべるラカン。

 

「ラカン!? お前が助けてくれたのか!?」

「ま~な、もう少しでお前等ペシャンコだったがよ~」

「おおおい!? 皆大丈夫かァァ!?」

「おっ、嬢ちゃんの方も来たようだな」

 

空からメカタマが降りてきた。どうやらサラもようやく追いついたようだ。

 

「何があったんだよ?」

「正面から帰ろうと思ったら、色々な国の警備隊とかが現れて、襲ってきたんだよ。それで逃げ回って・・・・」

「はっ、こ~なったってわけかい。相変わらず楽しそうだな」

 

ケラケラと笑いながらシモンの話を聞くラカン。

 

「シモン君・・・・それで、そちらの人は?」

「あっ、そうか・・・瀬田さんは知らなかったか」

「ウワッ!? 筋肉お化け!? またこいつかァ!?」

「サラちゃん、ラカンさんが苦手なん?」

 

今まで黙っていた瀬田がラカンのことをシモンに尋ねる。すると瀬田を見て、ラカンも少し顔つきが変わった。

 

「そうか・・・・ってことは・・・お前が噂の冒険王かい?」

 

まるで値踏みするかのように瀬田をジロジロ見るラカン。しかし瀬田は大して警戒心を見せずにニッコリと笑った。

 

「いやいや、まだまだ只の考古学者さ♪」

「くっくっく、その笑顔は演技か? どちらにしろ底の見えない奴ではあるみて~だな」

 

穏やかな笑みの裏からは計り知れない瀬田の力に、ラカンは何となくシモン同様に久しぶりに会えた強者に心が少し躍った。

 

「けっこ~できるんだろ? どうだい? 一回喧嘩してみね~か?」

「いや~、僕が喧嘩をするのは謎というものにだよ。生きた伝説のような存在には恐れ多い」

「ふん、よく言うぜ。自分自身が伝説になりそうな武勇伝を持ってそうなくせによ~」

 

ラカンの軽い誘いも難なく交わす瀬田。二人は軽口なのだが、木乃香やエミリィ、そしてサラは内心ドキドキだった。

 

「な、なあ・・・・あんなんゆ~とるけど・・・・もし二人が戦ったら・・・」

「ええ・・・・オスティアが崩壊するかもしれませんわね・・・」

「大げさすぎないから怖え~よな・・・・・」

 

二人の実力を全てとまでは言えなくとも、とにかく計り知れない力だと認識しているため、冗談でも二人が戦うところを想像しただけでも木乃香たちはゾッとしていた。

 

 

「って、こんなことしてる場合じゃねーーーーーッ!!」

 

「「「「「?」」」」」

 

 

和んだ空気が漂いそうになった時、存在を忘れられていたカモが大声を上げた。

 

「あっ、そーいやー、そうだったか?」

「どうしたんだ? 何かあったのか? ってそうか・・・ネギたちのことだな?」

「おうよ! だが、これなら安心だ! シモンの旦那、急いで来てくれ! 兄貴たちがヤベーんだ!」

 

カモの様子からただ事ではないことは直ぐに分かった。木乃香も突然不安そうな表情になった。

だが、全てを説明する前に、この場に新たな者たちが介入してきたのだった。

 

 

「あなたがジャック・ラカン・・・、そちらの黒髪の女性は近衛木乃香ですね・・・」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

全員が一斉に振り向いた。

 

「な、何者でい!?」

 

そこには二人の少女がいた。

見るからに堅気には見えない、風貌である。

 

 

「暦です」

 

 

黒髪のショートへヤーの、猫耳亜人の少女。

 

 

「環・・・」

 

 

色黒の肌に額に紋章を入れた少女がそこにいた。

 

「まったく・・・次から次へと一体何なんですの?」

「て、敵さんなんかな~?」

 

少し不安そうに現れた二人の少女の様子を伺うエミリィと木乃香。

カモもラカンの後ろに隠れながら覗き見ている。

そして暦と名乗った少女が口を開いた。

 

 

「あなた方にお話があります。大人しく従ってください」

 

 

その言葉からエミリィは瞬時に目の前の少女たちの正体を予測した。

 

 

(・・・・昨日の方々が広場で喧嘩・・・・そして彼等と繋がりのあるラカンさんと木乃香さんに話・・・なるほど・・・・彼女たちは・・・・)

 

 

エミリィには事の全貌が分かっているわけではないが、頭の良い彼女は少ない情報で自分なりの考えを導き出していた。

そしてそれはサラやハルカも同じだった。

 

「なるほどな~、足止めってわけかよ」

「ふん、だとしたらついていない子達だな・・・・」

 

ハルカは少し「やれやれ」といった感じで小さく溜息をついた。

そこに少しバカにしたような態度を感じ、カチンとしながらも暦は小さく頷いた。

 

「なんと解釈していただいても構いませんが、ここから先には行かせられません。大人しく従っていただければ何も危害は加えません」

 

淡々と定番のようなセリフを告げる暦。

この人数を前にしてもこの余裕の態度は、きっと何かしらの自信があるのだろう。

 

 

だが・・・・大人しく従う? ・・・・・・・誰が?

 

 

「なんだか、最近の女って皆、威勢が良いんだな~」

 

 

暢気に苦笑するシモン

 

 

「確かにシモン君の言うとおりだね~。でもな~、気が進まないね~。でも仕方ないか~」

 

 

頭をポリポリ掻きながら、気分が余り乗っていない瀬田。

 

 

「そうかい? 俺様はカワイ子ちゃんは、大歓迎だぜ!!」

 

 

一方で楽しそうに笑うラカン。

この時点でカモや木乃香たちは汗が流れた。

 

「な、なあ・・・カモ君・・・・」

「いや・・・言わねえでも分かってるぜ・・・・・」

「な、なんと哀れなのでしょう・・・」

「終わりだよな~、アイツ等・・・」

「だから言ったろ。ついていないやつ等だって」

 

敵を目の前にしても焦るどころか、むしろエミリィやサラ、ハルカですら相手を哀れんだ目で見ていた。

そして彼女たちのそんな気も知らずに、シモン、瀬田、ラカンの三人が軽く柔軟をしながら前へ出た。

 

「ふっ、バカにしているのですか? 余裕のようですが、ほえヅラかかしてやりますよ!!」

 

三人の男が、まったく聴く耳を持たずに、余裕の態度で歩み寄ってくることにカチンとなった暦は口調が強くなった。

しかし言われた三人の代わりに後ろで待機したカモたちが冷静にツッコミを入れた。

 

「いや・・・・俺っちの勘では・・・っていうか・・・1000パーセントの確率で泣きを見るのはむしろ・・・・・」

「な、なんやろ・・・・大魔王様を相手にする方がまだマシな気がするえ・・・」

「だろ~な、あのお嬢ちゃんたちにとっては不幸だな」

「同情しますわ・・・・」

「お、同じく・・・・」

 

相手の実力、能力、一切が不明。

しかし相手が誰だろうと、今の状況ならカモや木乃香は、たとえ相手が怪物だろうと同情できる。

 

 

「いいぜ、相手になってやる!」

 

「だけど余り時間は掛けられないよ~?」

 

「そ~か~? カワイ子ちゃん達にはむしろ時間を掛けるのが男だぜ♪」

 

「でも、ネギたちが危ないんだろ?」

 

「う~ん、僕もあまり時間を掛けたくないしね~。ボヤボヤしていたら騎士団や警備隊が来るし・・・・

 

「か~~~、滅多にねえ機会だからじっくりやりたかったが、仕方ねえ。そんじゃあ、嬢ちゃんたちには悪いが・・・・・」

 

 

ドリルを回す男。煙草を咥える男。巨大な大剣を掲げる男。

 

 

「「「三人で力を合わせるか」」」

 

 

・・・・・・・・・・・って・・・・

 

 

((((力合わせる必要なんかねえェェーーーーーッ!!!))))

 

 

カモたちの心のツッコミは届かず、とんでもない事になってしまった。

 

 

 

 

とりあえず・・・・

 

 

この状況を見て・・・・・

 

 

とにかく言えること・・・

 

 

 

 

・・・・暦・・・環・・・ドンマイ! 

 

 

 

 

そして今すぐ逃げろ! 

 

 

相手が悪すぎる!

 

 

それだけだった・・・・

 


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