魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第168話 顔神

村の近くの森林の中にある小さな遺跡。遺跡は周りの木々に覆われ、少し見つけるのは困難であったが、大したモンスターも居るわけでもなく、遺跡を見つけるのは瀬田たちには簡単だった。

少し広い広場のような遺跡内には人が手を加えたであろう建造物や、昔の家のようなものがあり、かつてエミリィの言っていた、昔の民がここを生活環境に使っていたという言葉に納得できた。

 

「遺跡というか・・・跡地のようなところだね・・・僕は面白いと思うけど」

「たしかに・・・これじゃあ、ただの観光地だな。トレジャーハンターばかりのこの世界の者たちが興味出せないのも無理ないな」

 

エミリィの協力もあり、大した問題も無く遺跡に訪れた一同は、自由に森の中にある遺跡を散策していた。

たしかに瀬田の言うとおり、そこは宝の匂いがするような場所ではないが、過去の先住民たちの歴史や文化を感じ取り、遺跡の中心にある古井戸や、遺跡の周りを覆った所々が壊れて崩れかけている土で出来た壁など、過去を匂わせる痕跡に考古学者として満足したように眺めていた。

そして一頻り見終わった後、遺跡の奥に在る祠のようなものを見つけた。

洞窟のように中は薄暗く、人工的に大岩を削って作ったのではないかと見て取れた。

そして瀬田とハルカが中に入ると既に興味なさそうにしているエミリィ。

そして首を捻って何かを考えている木乃香。

あまりにも意外そうに見つめるサラ。

異常に興奮しているブータ。

目を丸くしているシモンが、噂の「顔神」を眺めていた。

 

「おっ、それが噂の顔神かい?」

「なるほど・・・ヘンテコで・・・随分虚ろな表情だな・・・・って・・・・ん? おい・・・・これ・・・」

「・・・うん・・・・」

 

祠に中には噂の「顔神」と言われる大きな顔の物体がそこにあった。

長年放置されていたためか、煤やサビが目立って、とても貴重なお宝のようには見えなかったが、珍しいものには見えた。

まるで眠っているかのような表情だが、ハルカの言うとおり精悍さに欠けた面構えである。

しかしそこで瀬田が妙なことに気づいた。それはハルカもサラも思っていたことだ。

それは「顔神」が金属の塊ということである。

 

 

「金属で・・・・これ・・・ひょっとして・・・・・・・・まさか・・・・メカ? いや・・・ロボット? それとも・・・いや・・・・何かの装置か? いずれにしろ、ただの御神体では無さそうだ」

 

 

そう、噂の「顔神」は金属で出来ていた。むしろ金属の塊だった。それが分かっただけで瀬田たちは驚いた顔になった。

 

「・・・ロボッ・・・ト? それは一体何ですの?」

「ああ~、飛行船はあるのに、魔法世界じゃ馴染みが無いのかい? ええ~っとそうだな・・・」

「私のメカタマみたいに魔力じゃなくて、科学の力で動くものだよ。 しっかし・・・パパの言うとおり私もそう見えるよ・・・でも・・・」

 

サラの簡単な説明にエミリィが少し食いついた。

 

「科学・・・メカ? それでサラさんのメカタマのような凄いものが出来るのですか?」

「まーな、魔法の使えない人間の力って奴だよ。例えば私は念話って奴は使えないけど、携帯電話があるから問題ないし、つってもこの世界じゃ使えね~けどな」

「しかしそれで魔法を使えないサラさんが、格闘大会の予選を通過するほどの力を得られるとは・・・・凄いのですね科学とは・・・・私も勉強してみようかしら」

「はは、だったらモルモル王国にくれば教えてやんよ!」

「では、シモンさんのその・・・グレンラガンだとかガンメン・・・でしたっけ? 嘘みたいな話でしたけど、それもロボットとやらですか?」

「えっ? 私はしらねーけど、木乃香は?」

「う~ん、ウチもよ~わからんけど、ガンメンって名前のメカやってシモンさんはゆうとったからな~」

 

魔法も使えず、瀬田やハルカのような力も無いサラがこの世界で魔法使いや賞金稼ぎたちを撃退することが出来る科学の力というものにエミリィは少し興味を持った。

昨晩も、シモンたちのグレンラガンの話を聞いただけに関心は少しあった。

 

「でもさ~、何で魔法世界の人が・・・地中からメカを掘り当てるんだい? しかもこんなメカ・・・地球でも見たこと無いよ・・・」

 

瀬田が未だかつて見たことも無い物体に興味をそそられていると、隣で目を丸くして固まっているシモンの肩にいるブータが激しく鳴いた。

 

「ぶうぶ! ぶうぶ! ぶうぶ!!」

「ブータ・・・お前何興奮してんだよ?」

「さっきからどうしたのです?」

「ブミュウッ! ブミュウッ! ブミュウッ!」

 

ただ興奮したように鳴くブータ。そして木乃香も先ほどから少し何かを唸って考えていた。

 

 

「でもウチ・・・・これ・・・・見たことあるかもしれん・・・」

 

「「「「はっ!?」」」」

 

「見たって・・・木乃香ちゃん、どこでだい!?」

 

 

この世界の地中から掘り起こされたものを、つい最近来たばかりの木乃香が何故知っているのかと皆が疑問に思うと、木乃香はシモンを見ながら答えた。

 

「ウチらの学園祭の時・・・・顔の部分だけやし・・・兜があったんやけど・・・たしかに似とる・・・・なあ、シモンさん?」

 

学園祭の時に見たメカ。

兜のある、そして記憶が無いはずのシモンですら呆然とし、ブータが激しく反応する「顔神」

それは一つしかなかった。

しかし次の瞬間瀬田たちの表情が変わった。

 

「シモン君!?」

「シモンさん!?」

 

急にシモンは頭を抑えて蹲っていた。

苦痛の表情を浮かべながら、何かを言おうともがいている。

慌てて木乃香は膝を付いてシモンの顔に手を当てる。

しかしシモンの苦しみは和らがない。

 

 

「ぐっ・・・あっぐ・・・つっ・・・」

 

「シモンさん!? 落ち着いて・・・大丈夫やから・・・な?」

 

 

木乃香はシモンを少しでも落ち着かせようと胸元に優しく抱き寄せ、まるでシモンをあやすように背中を擦った。

 

 

「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・」

 

「大丈夫・・・・大丈夫や・・・何も心配いらんからな♪」

 

 

優しく語り掛ける木乃香。すると落ち着いたのかシモンの苦痛の表情が僅かに和らぎ、息も整ってきた。

シモンがこうなるのはブータにとっては初めてではなかったが、瀬田たちは少し驚いたように戸惑っていた。

だが、目の前にある「顔神」にシモンが何かを感じ取ったのだと理解し、只黙ってシモンが落ち着くのを待った。

するとシモンは、息を落ち着かせながら自分の胸元にあるコアドリルを握り締めて、呟いた。

 

 

「・・・ラ・・・・ガ・・・・・ン・・・・」

 

 

その時だった。

シモンが力強く握り締めたコアドリルがシモンの螺旋力に反応して緑色に点滅した。

すると異常なことが起こった。

なんと「顔神」の閉じた瞳の隙間が、シモンのコアドリルと同調するように同じ光を発して点滅しているのである。

そしてシモンは痛む頭を抑えながら木乃香に支えられながら立ち上がり、光を放つ「顔神」に手を伸ばした。

すると突然「顔神」の頭部が大きく開いた。まるでシモンを待っていたかのように開いたのだ。

 

 

「「「「ッ!?」」」」

 

 

御神体とも言える過去の遺物。

謎とされていた物体が、突如シモンに反応して動いた。それだけで瀬田たちは言葉が出ずに呆然としてしまった。

しかし一同は一瞬で顔が歪む。

 

 

「「―――ッ!?」」

 

「ゲッ!?」

 

「ヒッ!?」

 

「キャアァァッ!?」

 

 

エミリィ、そして木乃香は思わず悲鳴を上げて、目を背けてしまった。

 

頭部が開いた「顔神」の中には白骨化した人間の遺体が座っていたのである。

 

初めて見たのか、白骨体に木乃香とエミリィがショックを受けている。

しかし今は気にしている場合ではない。

瀬田、ハルカ、そして顔を歪めたサラ、そしてシモンがヨロヨロと頭を抑えたまま、「顔神」の中を覗き込んだ。

 

「これは・・・・・・・相当昔の死体だね・・・・詳しく見ないと分からないが・・・・放置されていた年数は何十年とかそんなレベルじゃないよ・・・」

「驚いたね・・・・顔神様とやらの中に死体とはね。・・・しかしシモンは何でこれを開けることが出来たんだい?」

「し、知りませんでしたわ・・・まさか、・・・これが開く構造になっているなど・・・・」

 

瀬田とハルカが疑問を口にするが、シモンはまだ頭が混乱しているのか、頭を抑えながら、まだボーっとしている。

そしてその間に木乃香とエミリィも何とか落ち着いて、少し震えながら顔神の中を覗き込んだ。

 

「パパ・・・これ・・・コクピットみたいだぞ?」

「ああ・・・、どうやら本当らしいね・・・・よく冒険者や調査員が今まで気づかなかったものだね~。・・・いや・・・そもそもこれが開くことすら分からなかったのかな?」

 

サラが中に操縦桿らしきレバーやモニターのようなものまで発見した。このことからもこの物体がメカである説が有力になってきた。

しかし何故この世界の地中の中にこのようなものが埋まっていたのかと疑問に思っていると、瀬田が中に何かを見つけた。

目を凝らしてみると、そこには直接何かを掘られた模様のようなものがあった。

 

「これは・・・模様・・・いや・・・文字か・・・?」

「えっ? それじゃあこの死体の人物が書いたってのかい?」

「なんて書いてあるか分かりますか?」

 

瀬田の言葉を聞いて皆がモニターの隣にある金属部分に注目すると、たしかに薄っすらと何かを掘られた後があった。しかし瀬田は何度凝らしてみても、答えは分からなかった。

 

 

「だめだ・・・見たこと無い形だ・・・・ちょっと僕では解読は・・・・」

 

 

瀬田が首を横に振り、少し残念に思いサラたちが肩を落とそうとしたとき、シモンが反応した。

 

 

「銀河・・・・螺旋・・・軍・・・・・・か・・・せ・・・い・・・せ・・・ん・・・し・・・・反螺旋族・・・から逃れ・・・た・・・げん・・・宇宙の・・・ぼ・・・せいの・・・・地下に・・・螺旋の力・・・封じ・・・ここに・・・眠・・・る・・・」

 

「「「「ッッ!!??」」」」

 

「……銀河螺旋軍火星戦士、反螺旋族から逃れ、多元宇宙の母星の地下に螺旋の力を封じ、ここに眠る……」

 

 

全員がシモンに注目した。

 

「・・・銀河螺旋軍?」

「・・・・火星戦士~?」

「多元宇宙の母星? ・・・・なんだいそりゃ?」

「ってゆうか、シモン君、これ読めるのかい!?」

 

シモンが突如頭を抑えながら、中に刻まれた模様を読み上げた。するとシモンは頭を抑えながら呟いた。

 

 


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