魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
夜遅くになってもいつまでも明かりがと灯り、騒がしい声が一つの店から聞こえてきた。
「そんでな~、ウチの目標はシモンさんのお嫁さんになることなんやって誓ったんや~!」
「・・・・えっ!?」
「はあああッ!? それほんとかよっシモン!?」
「こ~ら! 木乃香ったら、シモンさん混乱するでしょ!?」
店内はまるで貸し切り状態だった。
10人近くの客が女性中心となり一人の男を囲み、まるで店内は宴会状態だった。
まだ子供のネギやアスナ達は全員酒を飲んでいないはずなのだが、異様にテンションが高く、シモンの過去話で大盛り上がりだった。
「むむ~~、でも・・・ウチは本気やからな~~」
「うっ、・・・そ、そうだったな・・・え~、えっと・・・・木乃香?」
「ん♪ せやウチは木乃香や♪ そんでな、ウチは本気やも~~ん」
「こ、こら・・・あんまり・・・」
「んん~~♪ スリスリ~~」
シモンの左腕にギューッと力を込めて抱きしめる木乃香。
以前までは手をつなぐことすら出来ずに苦悩していた彼女だが、再会の喜びと、この宴会のテンションで、もはや怖いもの無しでシモンに甘えていた。
「て、・・・シモン!? お前、何デレデレしてんだよッ!?」
向かいからテーブルに片足を載せて、シモンの胸倉をサラが掴んできた。
「ち、ちが・・・別に俺は・・・・」
「・・・・違いません」
慌てて否定しようとしたシモンだが、その前に隣から否定された。
それは刹那だった。
木乃香とは逆の位置でシモンの隣をしっかりキープした彼女は、少しすねた顔をしながら、恥ずかしさに負けず、テンションに身を任せて、シモンのもう片方の腕に自分の腕を絡めた。
「お、・・・おい・・・」
「お、お嬢様ばかりに鼻の下を伸ばしているからです・・・・・」
「う・・・・うん・・・ゴメン・・・」
刹那なりの抗議と対抗心からの精一杯のアプローチに戸惑うシモンだが、またもや怒鳴ってくるサラ。
そしてこの光景を笑いながら見ているネギやアスナ、そしてエミリィもコレットもベアトリクスも居る。
一ヶ月前までは、これほど皆で騒いで笑える日が来るとは思わなかった。
それだけ今日という日は全員にとってはすばらしい日だったかもしれない。
「も~、兄貴ってば罪作りだねーー!」
「・・・・・・・まさか・・・・・・うう、・・・・・こんなことが・・・・」
「委員長、どうしたの? さっきから若干静かじゃない? 参戦しなくていいの?」
「お嬢様?」
コレットたちがシモンを見て笑っている頃、エミリィは何故か落ち込んだ様子でブツブツと言っていた。
そしてエミリィは苦悩の表情を見せて立ち上がった。シモンやネギたちも自然と視線をエミリィに向けた。
「ああッ! まさか・・・まさか・・・あの美空さんがシモンさんの妹だったなんて!? なんということでしょう!?」
「「「「「ああ・・・それか・・・・」」」」
「私は・・・・私はどうすればいいのでしょう!? シモンさんが私の宿敵の兄とは知らずに、お付き合いする事に・・・・」
「「「付き合ってない(やろ)(でしょ)(だろ)!!」」」
木乃香たちのツッコミも耳には届いておらず、エミリィは頭を抱えて唸りながら、相当ショックを受けているようだった。
「そうだよね~~、まさか血は繋がっていないとはいえ、あの美空がね~~。それにココネもでしょ?」
「でもたしかに、言われてみれば美空さんの振る舞いは、兄貴さんと似ていたところがありましたね・・・」
「驚いたのはこっちよー! まさか美空ちゃんがあなたたちと会ってたなんて、本当に驚いたわよ!」
「そうですね~、僕も美空さんたちの魔法世界での日程は知りませんでしたけど、まさかアリアドネーに訪問してるとは・・・」
「う~む、世間は狭いでござるな~」
シモンの話をネギたちから聞いている時に、シモンの家族、ココネ、美空の名前が出てきた時には、エミリィたちは大仰天していた。
まさか一ヶ月前に出会った少女がシモンの妹などとはまったく予想できなかったため、この事実は衝撃的だった。
「でも、俺に妹が居たなんてな・・・・コレットに兄貴って呼ばれたときに、ピンと来たはずだ・・・・」
感慨深そうにシモンは美空とココネについて呟いた。
「ほんと~、兄貴は兄貴って呼び方で正解だったんだね~」
「ああッ!? ということは将来・・・あの美空さんが私の妹に・・・・うう~~っ、敗北したままでは威厳が・・・・やはり、再戦して決着を付けなければ・・・」
「も~、エミリィちゃん暴走しすぎや~!」
「そうです、美空さんの義姉になるのは我々です! 私の自作の小説でも、既にそういう設定が・・・・・」
「お前らも、暴走し過ぎだっての!!」
どこまでも大胆で、少し思考のずれた少女たちの争いは続いていた。
そんな光景を見ながら、アスナは苦笑しながら告げる。
「でもさ~、楓ちゃんも言ってたけど、ほんっと世間って狭いわね~~。つい数週間前まではこの世界に知り合いなんて居なかったのに、実は色んなところで縁? って奴が繋がってたわね~」
「はい、僕もそう思います。意外なところに繋がりがあるもんですね~~」
「ふむ、運命・・・という奴かもしれぬでござるな」
ネギたちは少し感慨深そうに告げた。すると・・・
「がっはっは! まあ、お前らの世界に比べれば人口も少ねえから、そんなに意外でもねえんじゃねえか?」
その時横から豪快に挟まれた言葉に一同が顔を向け、一斉に叫んだ。
「「「「「「ラカンさんが一番意外です!!!!」」」」」」」
全員がラカンに向って叫んだ。
「まさか・・・ラカンさんがシモンさんと知り合いだったなんて・・・」
「まあ、メチャクチャッぷりは同じだし、あれじゃない? 似たもの同士?」
「類は友を呼ぶ・・・ですよ」
「ああ~~、まさかナギ様のご友人のラカン様まで現れるとは・・・ああ!? 私はどうすれば・・・」
「お嬢様・・・・・・・・・」
一番驚いたのはラカンとシモンが既に顔見知りということだった。どういう出会いだったかは、サラの要望によりネギたちは知ることは出来なかったが、やはり意外中の意外だった。
しかしシモンとラカンの二人は大して気にしている様子はない。
「ったく・・・・・・・まあ、縁だとか運命だとか、そんな難しいことは分からないけど・・・」
「っだな~、まあ、あれだ!」
「「細かい事は気にするな!」」
「「「「「「細かくないです!?」」」」」」
店内はいつまでたっても大盛り上がりだった。
自分たち以外の客は既に居らず、店の人間が少し困った顔をしていたが、ラカンが問答無用で押し切ってオールをするはめになった。
ネギたちがシモンから聞いたシモンの昔話だけでなく、自分たちとの出会いや、どんなことがあったかなどを、惜しみなく話し、彼らの盛り上がりは朝まで続いたのだった。