魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第147話 気合気合気合

ここは遠いグラニクスの地方にある、遺跡の中にあるオアシス。

今ここで一人の筋肉隆々の男が、熱く語っていた。

傍聴者は一人の少年と少女、それはネギと千雨だった。

 

 

「解説しよう!! 二十年前、ここ魔法世界は未曾有の危機に瀕していた! 些細な誤解と諍いから始まった争いが、世界を南北に二分する大戦へと発展してしまったのだ! そんな中、無辜の民を救うべく颯爽と現れた男たちがいた! 名を「紅き翼(アラルブラ)」!」

 

 

語っているのは、あの男。ネギの父親の盟友でもあり、ライバルでもあるあの男。

 

 

「伝説の傭兵剣士!! 自由を掴んだ最強の奴隷剣闘士!! それがこの俺、紅き翼(アラルブラ)、千の刃のジャック・ラカンだ!!」

 

 

どーん! と効果音が出るほどの堂々とした長い口上を終え、満足そうなラカン。

それに対して千雨は興味なさそうな表情を、逆にネギは目を輝かせて見ていた。

 

「なんだ~、嬢ちゃんは興味なさそうだな?」

「まあ・・・私とは関係ない世界の話ですので・・・・・。それよりアンタ私たちをゲートポートに迎えに来てくれるはずだったんだろ? 何で来てくれなかったんだよ」

「むっ!?」

 

一瞬ラカンの額に汗が流れた。

千雨の指摘に少し顔を逸らして一瞬だけ気まずそうな顔をしたラカンだが、すぐに豪快に誤魔化した。

 

 

「すっぽかした! メガロメセンブリアなんて遠いしダリーじゃねえか」

 

「「なァッ!?」」

 

(まあ、ドリルで腹に穴を空けられて、しばらく寝てたなんて言わねえ方がいいだろうからな)

 

 

ラカンは未だにドテッ腹に残る痛々しいほどの傷跡を摩っていた。

すでに完全に貫通した穴は塞いでいるため、痛みもないのだが、美しき強靭な腹筋からは傷跡を完全に消し去ることは出来なかった。

ネギも千雨もその傷跡を見て、ラカンを百戦錬磨の戦士として確信を強めていたのだが、まさかその傷が最近出来た、シモンのつけた傷だとは思っても居なかった。

 

「おい、先生やめとけよ。こんなおっさんには習わないほうがいいんじゃねえか?」

 

強さと百戦錬磨振りを感じ取ったものの、信用できる人物とは思えず、千雨はネギの耳元で小さく忠告するが、ネギは逆にラカンから今の自分が最も求めているようなものを感じ取ったのか、キラキラした目をしていた。

その目を見て千雨は嫌な予感を感じた。

 

「でも・・・・凄い気合を持っていそうな人です・・・・」

「へっ?」

「今以上の気合を得るには、この人に師事してもらうしかありません!!」

「待てーーーッ!? いったん気合から話を戻せ!!」

 

まったく具体性の欠片も無い言葉に慌てる千雨だが、対するラカンはニヤニヤしていた。

 

「ほう、気合か~~、いいじゃねえか。しっかし、そーゆう言葉遊びで成長が止まるのもよくある話だぜ?」 

「違います! 僕がほしいのは、・・・・本当の強さ・・・・たとえボロボロになってもあきらめない、全力で自分を信じて、自分を掘り抜ける・・・・いつだってそんな前向きな・・・「ドアホウ!」・・・ごほっ!?」

 

真っ直ぐな目で反論しようとするネギの頭に軽く拳骨するラカン。もっとも、軽くと言ってもラカンの拳骨ならネギの本気のパンチクラスなのだが・・・・

 

「本当の強さとか、性格とか、そんなもんお前みたいな真面目な奴が陥りやすい罠だぜ?大体性格や生き方が修行で変わってたまるかよ。そんなもん精神論の話じゃねえか」

「そ・・・そんな~~」

「全否定かよ・・・・」

 

拳骨でうずくまるネギに容赦なく言うラカンだが、千雨は少しだけホッとしていた。

 

 

(あ~よかった。どうやら修行に関しては真面目らしいな・・・・大体あの熱血バカみたいに気合とか、魂とかで簡単に強くなるかっての。その点に関しちゃ安心か・・・・・?)

 

 

学園に居た時から、気合だ、魂だ、と叫んでいたネギを見ていただけに、少し心配だった千雨だったが、ラカンが少しまともな意見を言っていたので安心していた。

別にシモンの気合を否定しようとは思っていないが、千雨の目から見ても、シモンの力はまた別の力だと思っており、何の具体性も無い『気合』という単語のみでネギを突き進ませていいものか、少し心配だった。

しかし・・・・・

 

 

「だから気合なんて、強さに関係ねえ、・・・・・・・っと言いたいが・・・・」

 

 

雲行きが変わった。

 

その瞬間千雨の心に嫌な予感が浮かび上がり、それが即効で的中した。

 

 

「気合は別だ!!」

 

「「・・・・・へっ?」」

 

「俺はそんな突き抜けた気合バカは嫌いじゃねえッ!!」

 

 

千雨の読みは甘かった。ラカンもこういう人種だった。

そしてラカンは上機嫌に高笑いしながら、拳骨したネギの頭をクシャクシャ撫でた。

 

 

「ガッハッハ、しっかし、タカミチに聞いてたのと少し違うじゃねえか! 行儀がいい素直な坊主と聞いたんだが、随分熱いこと言うじゃねえか! 親父に似てるぜ! なんか良い出会いでもしたのか?」

 

 

ラカンの問いかけにネギはうれしそうに胸を張りながら頷いた。

 

 

「はい! 僕が信じる僕を信じろと、その人は教えてくれました。お父さんと同じように大きい背中のその人に追いつくためにも、僕はどんな修行にも耐えて見せます!」

 

「よっし上等だ! やっぱ男はデカくいかねえとよ!!」

 

 

こうしてネギとラカンの修行はシモンたちの知らないところで始まっていた。

 

 

今、目の前には居ないが、自分の目標とする者たちのレベルに追いつくためにも、ネギはネギなりに気張っていた。

 

 

そしてその追いつこうとする男は今どうしているのか?

 

 

その男は今、瀬田一家と共に、徐々に存在が世界に知れ渡り始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは魔法世界にある、どこかの冒険者の街。

今ここでは、ある四人組の話題で盛り上がっていた。

 

「ねえ、グレイグ。また噂の四人組がやらかしたみたいよ」

「またか!? ちっ、こっちは一つの遺跡を攻略するのに、とんでもない労力を使ってるってのに、一体どんな凄腕の冒険者たちなんだ?」

 

グレイグという名の男は、同じパーティの女の言葉に舌打ちをした。

 

「ほんとほんと~、これじゃあテンション落ちちゃうよね~」

「割に合わない・・・・」

 

そしてグレイグと同じように他の仲間もヤレヤレといった感じで溜息をついた。

四人四色の男女の冒険者チーム、アイシャ、グレイグ、リン、クリスティンたちは入ってきた情報に驚きと、疑問を隠せなかった。

 

「あの、アイシャさん。四人組って何のことです?」

 

そんな四人組にオズオズと尋ねるのは、最近このチームに加入した少女。

ノドカことネギパーティの宮崎のどか。彼女もまた、アスナ達同様に、巻き込まれた事故にめげる事無く、真っ直ぐオスティアへ向けて、進路を取っていた。

 

「ああ、ノドカは知らないでしょうけど、最近冒険者仲間の間で有名なのよ。ここ数日で、超ハイスピードで遺跡を攻略して財宝を手に入れている四人組みがいるのよ」

「ハ、ハイスピードですか?」

「ああ、俺たちが一つの遺跡を攻略する頃には、既に二・三を攻略して、次に動いてるって話だ。何でも噂じゃあ一発で罠を見破ったり、強固な壁にアッサリと穴を空けて抜け道を行ったりするような男がいるらしいぜ」

「誰だか知らないけど、こっちは商売上がったりだよん♪」

「冒険者としてのレベルが違う・・・」

 

その言葉にのどかは少しショックを受けた。

 

図書館島や別荘での訓練もあってか、のどかは冒険者としてのレベルだけではなく、ダンジョン攻略や罠などを見破る能力が飛躍的に上昇していた。そんなのどかの加入もあってか、グレイグたちの遺跡攻略速度は大幅に上昇したと言っても過言ではない。

 

更にグレイグたちも素人目から見ても相当な冒険者としての実力を兼ね備えていると思っており、そんなグレイグたちよりも遥かに優れたものたちを、のどかはとても想像できなかった。

 

 

「上には上がいるんだな・・・・私もがんばらないと・・・。ネギ先生・・・私がんばります!」

 

 

愛する少年に誓いを立てたのどかだった。

 

 

そして噂の四人組とは誰か?

 

 

決まっている、奴らしか居なかった。

 


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