魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
美空たちが走り出した数時間後のことだった。
彼女たちは既に首都に居ない。
ココネは美空に肩車をされ、二人は駆け出していた。だが、そこに彼女たちの援軍がやって来るのだ
メガロメセンブリアのゲートポート。ここはフェイトの一味が破壊した傷跡が、まだ新しく残っている。
もうじき完全に起動しなくなるゲートを前に、ネギたちをこの世界への案内役として連れてきたドネットは祈るようにネギたちの安否と、旧世界からの援軍を心待ちしていた。
「ネギ君・・・・みんな・・・・無事でいて。もうすぐ・・・きっと助けが来るわ」
その呟きが通じたのか、ゲートに魔方陣が浮かび上がり光が漏れ出した。
「来た! よかったわ、間に合ったのね!」
その瞬間ドネットはうれしそうに顔を上げ、急いで光の中から現れた援軍の下へ駆け寄った。
「良かった・・・・・ゲートが完全に閉じる前に・・・・「来たぜ、トンデモ世界!!」 ・・・・へっ?」
そして彼女は想像よりも遥かに多く、そして騒がしい一団と出会った。
「・・・・あ・・・・・・・あれ?」
想像とは、かなりかけ離れた集団が、意気揚々と乗り込んできた。
「はあ~、これが魔法世界ですか~。感激ですね~!」
「ふっ、僕としたことが、興奮してきてしまったね。こんな世界があるとはね」
「高ぶる・・・・」
「首都メガロメセンブリア、私ノデーターベースデハ比較的安全トイウ情報デシタガ更新ノ必要アリデスネ」
「しっかし、この世界のどっかに美空ちゃんとココネちゃんがいるのか~」
「無事でいればいいのですけど・・・・」
先に飛び出したのはとても異質な組み合わせだった。
学ランや空手着を身に纏った男や、あきらかに一般人に見えるメガネの少女や、あきらかにロボットに見える・・・・・・ロボット。そして彼らを引き連れるシスター。
まさに異色過ぎる集団の登場だった。
「こ・・・・・これは・・・・一体?」
自分の想定外の援軍の到着に、ドネットは思わず顔を引きつらせて呆然としてしまった。
しかしそんなドネットの心情を察して、ようやくまともそうな男が苦笑しながら声を掛けた。
「いや、スマナイね。こちらにもいろいろ事情があってね」
「あっ、これはどうも!」
話しかけたのはタカミチだった。
タカミチは魔法界でもネギの父親たちの仲間だったこともあり、とても有名人であり、ドネットも当然タカミチのことを知っていた。
「しかし・・・・・これは?」
「ははは、大丈夫。存在自体で既に頼もしい彼らだ。僕が言うんだから間違いないよ」
「は・・・・・はあ」
訳の分からない集団が現れたかと思ったが、取り合えず一人でも信頼の置ける強い援軍が着てくれたことはドネットにも喜ばしいことだった。
「ふう、流石にハシャいでいるな」
「何言っているんですか、龍宮さん! 騒がしくないグレン団をグレン団と呼べますか!?」
「・・・・・・スマン、ハカセ・・・・・・まったく想像できないな・・・・・・」
「おいおい、鯨が空を飛んでるぜ! 中々気合のある奴じゃねえか!」
「まるでニューヨークのマンハッタンみたいだね・・・・・・行った事無いけど」
「記念撮影するか?」
「デハ私ノ内蔵サレテイル、カメラヲ使イマショウ」
「お、いいじゃねーか。そんじゃあさっそく一枚いくか!」
しかしやはりこれを気にするなと言うのはドネットには難しい話だった。
ネギの仲間たちがこの世界に初めて着いた時は女子ばかりだったので、これ以上に騒がしかったのだが、今回は緊急事態ゆえに、対応に困ってしまった。
しかし次の瞬間、彼らの顔は一変することになる。
「・・・・・・・・・・・・コレハ・・・・・・コノ・・・・反応ハ・・・・・・」
記念撮影をしようとした瞬間、エンキが何かを感知したような反応を見せた。
「どうしたの、エンキ?」
ハカセがエンキの顔を覗き込むと、エンキはある一定の方向を見て口を開く。
「・・・・・・・美空サン、ココネサン、二人ノ反応ガ、首都カラ遠ザカッテイマス。シカモ凄いスピードデ・・・・」
「「「「「えっ!?」」」」」
「な、なんですって?」
「・・・・・奴らは首都にいるんじゃなかったのかい?」
「・・・・・エンキ君、どういうことだい?」
美空たちは首都にいると思っていただけに、突然の報告に全員がエンキに注目する。
「モノスゴイスピードデス。美空サンガ走ッテ移動中。・・・・・・・ソノ方角ニハ・・・・・・・コノ反応ハ・・・・」
そう言ってエンキのコンピュータが何かを索敵しだした。
二人の向かう方向。土地。情報。そして何か変わったものがないのか。
それを一瞬で調べ上げたエンキは、思いもよらない言葉を告げた。
「二人ノ向カウ方角・・・・・・・・・・・・・・トンデモナイ反応ヲキャッチシマシタ・・・・・」
「とんでもない反応?」
その言葉に龍宮も興味深そうに聞く。
するとエンキが次の瞬間発した言葉は、誰もが激しく動揺してしまった。
「・・・・・私ノ気合探知機ニ反応アリ・・・・コノ反応ハ・・・・・・・リーダーデス」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」」
「な、なんだって!? まさか、シモン君が!?」
「本当かい?・・・・・・・・・・もし本当なのだとしたら・・・・・・どうせ気合と言われるんだろうが・・・・・あえて知りたいな。どうやって来たんだ? あなたたちのリーダーは・・・・」
「美空ちゃんとココネちゃんだけじゃねえ・・・・・・リーダーが居やがるだと?」
「シ・・・・シモンさんが・・・・・この世界に?」
そしてタカミチたちだけではなく、シャークティの頭の中にも色々な疑問が頭の中を駆け巡る。
シスターである彼女が只一度だけ恋をした相手。そして自分たちの最高の仲間であり、欠かすことの出来ない家族。
(あの人が・・・・居る?・・・・・・この世界に?)
シモンがこの世界に居る。
するとシャークティの頬が自然と綻んだ。
「ふっ・・・・ふふふ」
「姐さん?」
シャークティは口元を押さえて突如笑い出した。
(まったくあなたは・・・・そうやって人を驚かすのが楽しいんですか? 許しがたい家族ですね)
心の中で許さないと言っていても顔の笑みは堪えることは無い。
美空とココネを心配する余り、ここに来るまで少し張り詰めていたシャークティの表情が一瞬で綻んだのだった。
「・・・ぷっ、くくくく、おかしくって・・・・・・・ツッコミたいことがいくらでもあるのですけど・・・・ふふふふふ」
そんなシャークティの様子を見て豪徳寺たちも笑みを浮かべながら頷いた。
「だな?」
「ええ、僕もそう思う」
「異論無し」
「じゃあ・・・・決まったな」
「ええ、完璧ですね~。そうですね~、もうそれ以外ないですよね~」
「ゾクゾクシマス」
全員が口にも出していない提案に頷いた。それはもう、全員が同じ考えを持っているからだという事が分かっていたからだ。
「ええ、理由も状況も説教も、後で確認しましょう。今は私たちの仲間と・・・・そして銀河級の、おバカさんを♪」
シャークティも異論を挟まない。彼女は、とてもうれしそうにエンキが指し示す方向をジッも見つめた。
そしてタカミチと龍宮へと向いた。
「高畑先生と龍宮さんは、予定通りネギ先生たちをお願いします。私たちは・・・・・・」
「「「「「「俺たちはァ・・・・・・・」」」」」」
進むべき方角へ向き、ゲートに背を向け突き進んだ。
「「「「「「ちょっくら、伝説創りに行ってくらァ!!!」」」」」」
こうして彼らは意気揚々と殴りこんだ。
そして目指す方角はオスティア方面。それが美空たちの向かっている、そしてその近くにシモンが居る場所である。
一切の不安も恐れも無くして、新生大グレン団は突き進む。
バラバラだった人と人との繋がりが、シモンを通じて魔法世界の一つの方角を目指して、皆が動き出していた。
彼らの目指す場所はオスティア。
徐々に運命が、オスティアに集結する。