魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

142 / 233
第142話 緊急参戦

 

「うっ・・・まあ・・・そうじゃろうが・・・しかしのう・・・・」

 

ようやくその事を思い出した学園長は困ったように視線を変えると、龍宮は口元を隠しながらクスクス笑い、シャークティは眉間を押さえながら苦笑していた。

二人に援軍は期待できないと理解した学園長は、最後の砦であるタカミチに視線を送ると、学園長の期待通り、タカミチはそれでも納得できないような顔だった。

 

 

「バカを言うのは止めたまえ!!」

 

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 

 

タカミチが怒鳴るようにして、その場を制し、豪徳寺たちは普段見ないタカミチに少し肩を震わせた。

 

 

「君たちは・・・・・何も分かっていない。自分たちの認識がどれほど甘いものなのかをね・・・。遊びでもない、訓練でもない、本当に死と隣り合わせの世界を・・・・君たちは・・・・何も分かっていない!」

 

 

タカミチの言っていることは、正しい。それが魔法使いとして、そして魔法先生としての言葉としては当たり前の言葉である。

しかし言うべき相手が悪かった。

その言葉をまるで待っていたかのように、超が居ない現時点では学園最高の頭脳を誇るハカセが眼鏡を光らせて、ニヤリと笑った。

 

 

「おっほん。・・・・・5人・・・」

 

「「ん?」」

 

「これ・・・何の人数だか分かります?」

 

 

ハカセの呟きに、タカミチと学園長が首を傾げた。

そして次の瞬間、ハカセの怒涛の相手の言葉の揚げ足取りが始まった。

 

 

「ネギ先生が仮契約したクラスの生徒の人数です」

 

「「あっ!?」」

 

 

タカミチと学園長は、口を半開きにして固まってしまった。

しかしハカセの攻撃はこれでは終わらない。

 

 

「それを含めて~・・・ウチのクラスで魔法の存在を知ってしまった一般人・・・そう、刹那さんたちや茶々丸などを除いた、高畑先生の仰る元一般人の人数は・・・・9人」

 

「うっ・・・・あっ・・・・いや、それは・・・・」

 

「そして今回の事故に巻き込まれた生徒の人数は報告によると15、6人だそうですね~」

 

「「うっ・・・・」」

 

「そして学園祭での不祥事・・・魔法アイテムの一般人への貸し出し・・・学園生徒たちを巻き込んだロボットとの脱げビーム合戦・・・それに対する隠蔽・・・これ、言うべき場所へリークしたらどうなるんでしょう?」

 

「は、葉加瀬くん・・・・」

 

「き、君はワシらを脅す気か!?」

 

 

そう、タカミチが言っていることは正しかったのだが、この学園では、最早そんな言葉は今更だったのである。

何も言い返せなくなったタカミチと学園長は背中に汗をダラダラと流してしまった。

そんな二人にハカセはニコッと笑みを送る。

 

 

「いえいえ、脅しているわけじゃなくて、お願いしているんですよ。今までと同じように、私たちの不祥事にも目を瞑ってくだされば~と」

 

「ななッ!?」

 

「それに~~、茶々丸が居ないんですから、私がちょっと本気出せば、科学の力でここの学園結界を壊すのは簡単なんですよ?」

 

「いいいいい!?」

 

 

学園最強の二人は、魔法も使えない只の少女の前には無力だった。これも科学の前に魔法が無力であるかを証明した出来事かもしれなかった。

しかしタカミチも、やはり首を縦に振れずに、声を張り上げるしかなかった。

 

 

「それでも・・・、君たちは何も分かっていない。遊びじゃないんだぞ? ましてや魔法世界など論外だ。こんな事態になると分かっていれば、ネギ君たちにも許可しなかったさ」

 

 

だが、その言葉も既に火の付いたグレン団の前に無意味である。

 

 

「聞き捨てならねえなあ、高畑先生よォ」

 

「な・・・・なんだって?」

 

 

行く行かないの許可を貰うためにここに来たのではない。彼らは既に行くと決めてから来たのである。

 

 

「その通りっすよ。俺たちは学園祭の時から・・・」

 

「ええ、どんな窮地も日常も・・・・」

 

「常に真剣に誇りと・・・」

 

「胸ノ中ノ魂ニ・・・」

 

「「「「バリバリ、命賭けてんだよォ!!!」」」」

 

 

響き渡るその言葉には覇気が篭っていた。

 

 

「甘く見て欲しくねえっすよ! たとえ危険だろうと、仲間が居るんなら魔法世界だろうと、地球の裏側だろうと、月だろうと、火星だろうと、銀河の果てだろうと駆け付けてやるってんだ!!」

 

 

思わずタカミチや学園長、そして龍宮ですら、胸を打たれるような感覚に襲われた。

いくら豪徳寺たちが、それなりの実力者の者たちとはいえ、彼らは一般人でしかなかった。

しかしそんな一般人の言葉も、誇りと気合で魔法使いと一般人の間に立つ境界線をも蹴り飛ばしたのだった。

それをよく知るものだからこそ、次の瞬間シャークティは、豪徳寺たち側に立った。

 

 

「・・・・教師としてはお勧めしませんが・・・・私は辞表を提出して今では只のグレン団の女・・・・、ならば答えは決まっています」

 

「シャ・・・・シャークティ先生・・・・」

 

「高畑先生の意見は最もです。しかし・・・魔法や危険や死についてを、知っている、知っていないの差で、彼らの覚悟を・・・私たちグレン団の覚悟を図らないほうがよろしいですよ?」

 

 

本来なら一番に反対するはずのシャークティが、豪徳寺たちの味方になった。それは彼女が魔法先生である前に、グレン団の仲間である証拠でもあった。

そしてシャークティはニッコリと微笑んで、豪徳寺たちを見る。

 

 

「高畑先生の仰ったことは事実です。しかし今更あなたたちに覚悟について問うのは無礼ですので、代わりに別のことをお聞きします」

 

「・・・・姐さん?」

 

「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

学園長室内がシンとなり、全員が注目する中、シャークティは声を張り上げる。

 

 

「もし、・・・・・もしグレン団としての言葉を言うなら?」

 

「「「「「「当然! 行くぜ、ダチ公っすよ!!」」」」」」

 

「俺たちの仲間は・・・・」

 

「「「「「絶対救ってやろうじゃねえか!!」」」」」

 

 

その答えを聞いて、ニヤリと笑うシャークティは、言葉を続ける。

 

 

「ふふふ、・・・では皆さん!! 気合は?」

 

「「「「「「満タン!!」」」」」」

 

「無理は?」

 

「「「「「「通す!!」」」」」」

 

「道理は?」

 

「「「「「「蹴っ飛ばす!!」」」」」」

 

「そう・・・我々は?」

 

「「「「「「新生大グレン団だァァ!!!!」」」」」」

 

 

その叫びに満足したシャークティはゾクゾクとした興奮を抑えきれぬまま、振り返り、学園長と高畑を見る。

 

「・・・だそうですよ? ネギ先生の生徒は良くて、彼ら・・・いえ、私たちはダメですか?」

「うう・・・・うう~~む・・・・」

 

すると学園長がかなり折れかかっていることに気づき、グレン団はダメ押しの一言を告げる。

 

 

「何度だって言いましょう! 私を・・・」

 

「その通り! 俺たちを・・・」

 

「「「「「「俺たちを誰だと思っていやがるッ!!!!」」」」」」」

 

 

その言葉に学園長だけでなく、タカミチもトドメをさされた。

 

「だああ~~もう分かったわい! まったく、シモン君は余計なものを残していったようじゃの~~」

「ハッハッハッハッハッハッ!・・・・ふう~~、やれやれ・・・たしかにそうですね。学園祭に続き、どうやら今回も我々の完敗ですね」

「うう~~む、あまり気は進まんがの~」

 

苦笑する二人を見て、豪徳寺たちはハカセとガッツポーズをして手を叩きあい、悦びを分かち合う。その光景がおかしくて、龍宮は普段見れないクラスメートのハシャギっぷりに思わず口を開いた。

 

「やれやれだな、ハカセ・・・お前も伝染したのかい?」

「当然ですよ。科学に売った私の心と魂は、超さん同様にグレン団に買い取られちゃいましたからね♪」

「ふっ、少し・・・うらやましいかもな」

 

龍宮の本心にハカセは屈託のない笑みを見せ、手を上げて全員を仕切った。

 

「では行きましょう!!」

「やれやれ、魔法世界が大変なことになりそうだな」

「しかし、それもまた楽しみかもしれないな」

「うっし! たまんねえぜ! ゾクゾクしてきたあ!」

「血ガ滾リマス」

「腕も鳴る!」

「よっしゃあ、テメエら! 俺たちの女神を助けに行くぜぇ!! 殴り込みだァーーーーッ!!」

「「「「「うおおおおおおおお!!!!」」」」」

 

 

タカミチ、龍宮と共に奴らが動き出し、魔法世界へ殴り込む。

 

シャークティ、豪徳寺薫、中村達也、山下慶一、大豪院ポチ、田中エンキ、葉加瀬聡美、計七名の新生大グレン団、緊急参戦!!

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。