魔法はお前の魂だ(魔法先生ネギま✖天元突破グレンラガン) 作:アニッキーブラッザー
第1話 しかし、どこだここ
人が進化しようとする力。それを螺旋力と呼び、その力が備わった者たちを、螺旋族と呼んだ
最初は小さな村も人が増えれば土地を広げようと新たな地を開拓して、そこは街となり、そして国となる。
傲慢な人間はそれだけでは飽き足らず、文明を進めるために、多くの自然を破壊し犠牲にする。
人間は爆発的に増加し、その影響は世界全体に及ぼし宇宙にまで及ぼす。そして、宇宙はいずれ崩壊する。
それを阻止するために螺旋族を滅ぼそうとした宇宙の管理者がいた。
それを反螺旋族と呼んだ。
螺旋族と反螺旋族この二つの種族の戦いは銀河の果てで多くの犠牲を伴った。しかし勝利したのは螺旋族。
彼らはこの宇宙を必ず守ることを約束した。
この物語は管理者に支配された宇宙の運命に風穴をあけた男の新たな世界の物語。
毎日穴を掘ることが俺の仕事、掘った分だけ昨日と違うそれが俺は嬉しい。
でもそれだけじゃない、たまに宝物を掘り当てることもある。
そして掘りぬけた先には昨日とは違う新しい世界があるからだ。
ここは麻帆良学園名物スポット世界樹の前、ここに一人の青年が立っている。
体を外套で多い、手には先端がドリルになっている槍のように長い棒、顔にそれほど特徴的なものはないが、少年のような幼さが残っている。
そしてその姿はどっからどう見ても不審者だった。男は辺りを見回しようやく口を開いた。
「驚いたカミナシティ以外にも、地球にこんな大きな町があったなんて、しかし、どこだここ?」
自分はさっきまでまだ知らぬ地で穴を掘っていた。
その時、急にドリルが光ってここにいた。そして次の瞬間見たものは、巨大な木と見知らぬ建物の数々だった。
時刻は夜だが今日は満月。
月明かりと街頭のおかげで少なくともこの場所が自分の知らない場所であることは理解できた。そして疑問が生まれた。
「俺の体には土がいっぱいついてるのに何で掘った穴がないんだ?いや・・・なによりまず・・・腹が減った」
男はそのまま地面に倒れこんだ。
銀河の運命に風穴を開けた人間も空腹には耐えられない。
もともと食事という行為そのものを面倒くさいと思っていた自分はもう何日も食事をとっていない。
だんだんと意識が薄れていくなか、不意に女性の声が聞こえた。
「大丈夫ですか、何かあったのですか?」
かろうじて頭を上に向けるとそこには褐色の肌で胸に十字架をつけた黒い服の女性がいた。
そして彼女の後ろには同じ格好をした少女が二人。
「すごく・・・・腹が減った、お願・・・・いなん・か食べ・・・させて・・・・・・・がくっ」
「あなたこの学園の者ではありませんね、なぜここにいるのですか?申し訳ありませんが不審者は・・「ちょっ・・シスターシスター!」なんです美空、今話している途中です」
「いやこの人・・気を失ってるから」
シャークティが振り返ると男は確かに気を失っていた。少し間をおいてため息をついてふたたび口を開いた。
「仕方がありません。神に仕えるものとしてこのまま見捨てていくことはできません。美空、私とココネで彼を一旦教会に運びます。あなたは超包子で何か買ってきなさい。」
「はーい、じゃっダッシュで行ってきます」
その言葉とともに彼女は風のようにそこから立ち去った。
残され女性は引きずるように男を抱え、少女は男のものであろうドリルのようなものを抱えその場を立ち去った。
(さて、とりあえず学園長に報告すべきか・・・見るからに怪しいですし、このドリルのようなものは何かの道具でしょうか?まぁ彼からもこの道具からもまったく魔力も感じませんし・・とりあえず彼が起きるまで待ちましょう)
シャークティが今後のことを考えていたら隣にいた少女が男の背中を指差した。
「どうしましたココネ?」
「その背中のマークすごくかっこいい」
男の背中にはサングラスをつけた炎の形をした髑髏がいた。そのマークに触ろうとしたら、モゾモゾと、微かにマークが動いた。
そしてその部分が小さく盛り上がった、ココネはその部分に指を当ててみると男のマントの中から小さな小動物が落ちてきた。
「ぶひっ」
「なっ!?」
「アッ・・・」
シャークティは目を見開いて驚いた。
「なっなんですかこの動物は?」
「カワイイ」
男の服の中から落ちてきたのは茶色い毛に覆われた手のひらに載るほどの大きさしかないモグラのような動物。
「ぶひ~」
弱弱しくその動物が鳴いた。
(ぶひーって何で豚の鳴き声なんですか!?これ何の動物ですか? やっぱりこの男怪しいですね)
彼女たちは知らない。
この怪しい男と小さな未知の動物は、かつて銀河に風穴を開け、管理者から人類を解放したものたちだということを。
そして彼もまた、かつてないほど増加した人類の住むこの世界で、これから何と出会うかは知らない。
ここは麻帆良学園の敷地内にある教会。
ここで今3人のシスターの目の前で大皿にある飯を一気に腹に叩き込んでいく男と一匹の小動物がいる。
「ガツガツガツガツガツ!んぐっんぐっ・・・・・・・・ゴックン」
「ふー味は良くわからなかったけど、とにかくおなか一杯だ!ありがとう」
「ぶひーっ」
「よくて食べましたねあの量を、とりあえず元気になったようなので安心しました。私はシャークティこの学園にある教会のシスターです。こちらの二人は見習いの美空とココネです。」
とりあえず男も落ち着いたようなので簡単に自己紹介をした。
美空とココネも最低限の警戒心をして男に会釈をした。
「俺はシモン、そしてこの小さいのは俺の仲間のブータだよろしくな!」
ニカッと笑顔でさわやかに自己紹介するシモン、
シモンの名前を聞いてシャークティは本題に入ろうとした。
「そうですか、ではシモンさんあなたはどうしてあそこで倒れていたのですか?」
シャークティたちの反応がいまいちだったため、シモンは少し戸惑った。
「穴を掘ってたら気づいたらあそこに・・・いやそれより君たち俺のこと知らないの?」
「まったく知りませんが……まさか新しい先生ですか?いえいえ、それより穴を掘っていたらとはどういう意味ですか?」
そう彼はかつて地下に閉じ込められた人類を地上に解放し、月の衝突による地上崩壊を防ぎ、宇宙という箱庭で管理されていた人類を反螺旋族から解放した大グレン団のリーダー。
「英雄」そう呼ばれるのはあまり好きではないが、少なくとも自分を知らない人間がこの世にいるとは思わなかった。
(俺のことを知らない?そんなことがあるなんて・・・よしっ、ここは一発グレン団のリーダーらしくアレをやるか)
怪訝な顔をするシャークティ達の前で突然シモンは立ち上がり、指を天井に向かって指し、叫んだ。
「銀河に轟くグレン団、漢の魂その背に燃える、天を突く漢!穴掘りシモンは俺のことだ!!」
-ババーーーン、と、でっかい火山が噴火して、熱く滾った言葉に皆、目を輝かせるはず。自分もかつてはそうだった。
シモンは完全にキマッたと思った。しかし・・・
「「・・・・・・・・・」」
「オー」
おもくそハズしまくっていた。
ココネを除いて二人は呆れ顔で自分を見ていた。
「・・・・・・・と・・とりあえず学園長に会わせましょう」
「いやシスターシャークティ、まず病院だろ!いい歳して銀河だの穴掘りだの」
「いやいやいやいやちょっと待ってくれ(そんな、大グレン団を知らないのか?まさかここは地球じゃないのか?でもさっき外に月があったし・・)・・・一つ聞いてもいいか?」
「なんです?」
「ここは地球じゃないのか?」
いや、地球じゃなくても、たいていの星の者たちならば、自分のことを知っているはず。
そう思っていたのに、その質問が逆に、シャークティたちから不信感を買ってしまった。
「シ・・シスターシャークティ!やっぱり病院に連れて行きましょう」
「そ・・そうですねどうやら少し頭を打ってるのかもしれません(汗)。コホン、シモンさん大丈夫です何があったのかは知りませんが、私達があなたを救ってみせます」
「え?え?エーーーーーー?」
話がまったく噛み合わず、完全に頭がイッちゃってる人扱いされた、
シモンは何がなんだか理解できず、そんなシモンの混乱を理解しているブータも何がなんだか分からず、ココネに抱っこされていた。
「どうですか先生?」
「脳に異常は見られません、健康そのものです」
ここは学園近くの病院、自分は正常だと言い張るシモンをシャークティと美空は無理矢理病院に連れて行った。
「だから言ってるじゃないか!俺はどこもおかしくない、正真正銘銀河に誇る大グレ「コホン!」」
シモンの声を遮るように医者が続けた。
「ただ問題は彼の発言に嘘が無いことです」
医者の発言にシャークティ達は、どういう意味なのか理解できず、医者の言葉を待った。
「人が嘘を吐く時、どんな人間にも心音に乱れが出ます。それはどんなに訓練された人間にも変えることの出来ない人間の本能です。本当のことを知られたくない人間は嘘を吐くよりも黙秘をするしかありません」
医者の説明に皆黙ってうなずく。
「しかしコンピューターを使い彼の心音を図り、たくさん質問をしてみました。しかし彼の発言は地球の総人口が100万人だとか、月が以前地球に落ちそうになったとか、ドリルがどうのとか、めちゃくちゃな発言なのにまったく心音に変化がありませんでした。」
「何言ってるんだ!地球の総人口は100ま「約60億を超えてます。」・・・う・・・うそだ~」
「このように彼の発言はめちゃくちゃですけど彼自身はそれが事実だと思い込んでいる。そこで私の仮説です、シモン君体を見せてください」
もはや自分の事なのに、自分の意見がまったく置いてきぼりのシモンだが、医者の言葉に渋々従い上着を脱いだ。
突然の事に男にそれほど免疫のないシャークティと美空は慌てたが、シモンの服の下にある肉体を見て思わず見惚れてしまった。
そこには少年のあどけなさを残す男には似つかわしくない、見事に引き締まった体つきをしていた。
しかし次の瞬間はっとした。なぜならシモンの体には日常生活では考えられないほどの傷跡が残っていたからだ。
「そう、彼の傷跡を見る限り彼は日常とはかけ離れた生活を送っていたのでしょう」
「あっ・・・・これは、ガンメンと戦って・・」
「ここまで傷つくほどの生活に心がついていかず、脳が心を救うために一種の思い込みによって記憶を混乱させたのかもしれません。発言はしっかりしているのに一般常識がものすごく欠けている。おそらくつらい生活の中で見た何かの小説や映画の記憶などにのめり込み、自分がその物語の世界の住人だと思い込んでるのかもしれません。」
ちょっとまてと、シモンは思った。
自分よりもこの医者のほうがめちゃくちゃなことを言ってないか? と。
更にそれにつられて、シャークティ達も何故かわいそうな目で自分を見てくる。
「彼は元に戻りますか?」
医者の発言を真に受けたシャークティは、先ほどまで不審人物だと思い込みシモンを警戒していたことなど忘れ、心配そうに尋ねた。
「心を休める、それしか言えません。心を落ち着かせしっかりと物事を考える力が戻れば、本当の彼に会うことが出来るはずです」
医者の言葉にシャークティと美空は安堵の色を浮かべた。もはや完全に置いてきぼりを食らったシモンはもう医者の話を聞いていなかった。
「ただ問題は彼のこの後です、彼は身分を証明するようなものを何も「この背中のマークが俺の証」ゴホン!持っていません、ここは警察に届出を・・」
またもや医者に遮られシュンとなったシモン、「もういいや」、その落ち込む姿を一度見て、何かを決心したような瞳でシャークティは医者に向かって言葉を告げた。
「彼が誰なのか私は知りません。しかし傷ついた迷える子羊をここで見捨てることは出来ません。何より最初に彼を見つけたのは私なのですから。」
「ちょっと・・・シスターシャークティ・・まさか」
シャークティが何を言おうとしているのかある程度予想できた美空は、大してあわてず、あきらめの色をし、言葉の続きを待った。
「警察へはしばらく黙っておいてください。しばらく彼を我が教会であずかります。心を癒すのにこれ以上の場所はありません。」
「は・・・はぁーーーーーーー!?」
「やっぱりねー、まぁ普段は私は寮にいるからいいけどさ」
驚愕のシモン、あっさり認めた美空、そして目の前の医者は・・・
「わかりました、彼のことはしばらく私の心の中だけにしまっておきます。何かあったらいつでも連絡ください」
あっさり納得してしまった。もうそれでいいや、そうシモンは思うことにした。
結局自分は頭がやばい人扱いで、今後のことも全部決まってしまったのだから。
後書き
皆さま、いつもお世話になっております。
この度、一つ報告があります。
実は、私は『小説家になろう』でも活動しておりますが、この度、オリジナルの小説がアルファポリス社様にて書籍化されることになりました。
この「魔法はお前の魂だ(ネギま×グレンラガン)」から私の執筆活動が始まり、ある日、オリジナルでも作品を書きたいと思って自己満足でやっていたら、そのような事態になりました。
ただ、どうしてこの場でそれを報告するのかと言うと、アルファポリス社様との契約上、「小説家になろう」での掲載版をweb用に修正なりをしないといけないのですが、それを今年の9月以降から急きょ「小説家になろう」では全面禁止となり、移行を余儀なくされたからです。
そこで、私は移行先として二次創作小説でお世話になっており、本サイトを利用させて頂こうと思い、運営者様にも許可を戴き、8月中に引っ越す予定です。
ですので、8月中旬にヘンテコなオリジナル小説が続けて投稿されますが、ご勘弁ください。
興味を持っていただいた方は是非、一読いただけたらと思います。
『異世界転生-君との再会まで長いこと長いこと』というタイトルで、既に1巻と2巻が書籍化されました。「魔法はお前の魂だ」で培った経験や熱い想いを活かしたものを目指しております。
関係ない話して申し訳ありません。
では、今後ともよろしくお願いします。