もちろん、ハリーと同期なので原作メンバーも登場します。
特急で出会った不思議な少年
ホグワーツ行き特急11時発
魔法学校へと向かう紅色の蒸気機関車
その中で一人の少女が重い荷物を持ち、席を探していた。
ブロンドの髪を横に束ねて結び、小さな体で一生懸命車両を歩く
しかし座席はほぼ埋まってしまっており、2車両歩いても座れそうな場所は見つからなかった。
(こんなことなら、もっと早くに家を出ておけばよかった…)
少女は朝、姉と談笑していたことを静かに後悔する…
もうこの車両も終わりに差し掛かり、あきらめて次の車両に差し掛かろうとしたとき
連結部前の一部屋を見てみると
四人分の座席に1人の少年だけが窓際に座っている姿が見えた。少年は一人で静かに本を読んでおり、他の席のように友達同士で雑談をしているなどといった初対面の人が入りにくい空気は全くなかった。
この部屋に入らせてもらえないだろうか…
読書をしているこの少年の邪魔になるかもしれない…
しかし、ここまで重い荷物を持って歩いてきたのでかなり疲れているのではやく腰を下ろして落ち着きたい。それに、このまま歩いても席が見つからないかもしれない…
結局少女は部屋の扉を開けて中へ入った。
「あの、ここに座ってもいいですか?他の席はどこも一杯で…」
伺いを立てる少女の声に少年は顔を上げ、少女の方を向いた。
その顔に少女はぎょっとした。今までは顔の右側を向けていたので気付かなかったが
左目はなくなっており、その瞼は常に閉じている
そして、その左目を中心に、額部分まで痛々しい火傷の跡が黄色がかった白い肌を蝕んでいる。
右側の顔立ちは整っているがそれだけに、見ただけで心を痛めてしまう火傷の跡が際立っていた。
おそらくこれがこの座席に誰も座ろうとしなかった理由だろう。
ひどい火傷の跡を顔に残したままの少年は10代の子どもから見れば、かなり異質な存在なのだから…
「ええ、どうぞ。」
少年は手で座るように促す
もう少女は逃げられない。席を譲ってもらうように頼んだのはこちらだ。そして、それを、断ることなど相手に対しては無礼極まりない。
ありがとうとだけ言い、荷物をおいた。
ふと、少年の読んでいた本を見る。
本の表紙は動いていない。というか、絵がない。
"電子工学"という、よく分からない言葉が書かれている。
どうやら、マグルの本のようだ。この少年はマグルの文化に興味があるのだろうか?
それに、少女は家庭環境の影響で本が好きだった。読むのも好きだし、ちょっとだけ自分で書いてみたことだってある。しかし、いくら本好きでも両親ともに魔法族だったのでマグルの本は読んだことがない。
目の前の本にはかなり興味がある。
少女は声をかけようとする。
その時、少女の声に重なるように車内販売のおばさんに声をかけられた。
ちょうどお昼ごろでお腹が空いていたのか少年もまた本を置き顔を上げる…
「カボチャジュースを一つ」
頼んだのはドリンクだけ、おばさんも食べ盛りである十代の少年を心配して「本当にそれだけでいいの?」と聞き返すがそれで十分だと少年はジュースだけを受け取る。
少女は食べ物は大鍋ケーキ、蛙チョコレートそしてジュースを注文した。
そして、おばさんが通り過ぎたあと
「良かったら、一緒に食べない?…」
と、ジュースを片手に再び本に目を落とした少年に声をかけた。
顔をあげた少年と目が合う…
僅かに少女は悪寒を感じた。
もちろん左目の火傷の痕を見たのも理由だろう。
しかし、それだけではない
少年の目から敵意を向けられたからだ。
ほんの一瞬…だが、確かな敵意を……
「いや、いらないよ。僕は元々小食なんだ。気を使わせちゃってごめんね」
すぐに、笑顔に戻り愛想よく、丁寧に断る少年の姿を見て少女は安堵する。
さっきの嫌な予感はきっと気のせいだろう…
そう、自分に言い聞かせた。
「そっか、分かった。」
といい、ケーキを頬張りながら目の前の少年との会話を続ける。
「その本、すごく一生懸命読んでるよね?なんの本なの?」
「電子工学、機会を制御するための技術について。簡単に言えば機械の中身についての本だね…」
「機械かぁ…」
やはりマグルの文化についての本だ。
「マグルの文化が好きなの?」
「マグル?…あぁ、そうか、君らのところではマグルと言うんだったね」
マグル、魔法を持たない人々の俗称。魔法界ではよく使われている言葉だ。
とくに、純血主義者の間では蔑称としても用いられるのだが、マグルという言葉に馴染のないところを見るとこの少年はマグルの生まれなのかもしれない
「そうだね、僕の両親は両方共マグルだからね。でも、マグルの文化が好きって言うよりは機械が好きなだけかな。僕の母が世界で名を馳せた科学者でね、幼い頃から機械に触れることが多かったから…」
少年の返事はなんだか当たり障りのないもの。
大鍋ケーキをひと口食べてから少女は話を続ける。
最初こそ火傷のあとのせいで敬遠したものの、話してみればなんてことはない普通の少年だ。この会話が新天地に行く少女の心を落ち着かせてくれた。
「ねぇ、えっと…名前は…」
「ジョシュアだよ。ジョシュア・メージャー」
「ジョシュア…あ、私はエマ・レイモンド。よろしくね。家はお父さんもお母さんもザ・クィブラーの編集部で働いているんだ」
少年、ジョシュアの家のことを聞いたからか、エマは自分の家庭について話し始める。
「ザ・クィブラー…確か、魔法界では結構有名な雑誌なんだっけ?」
「世間では電波系だって言われてるんだけどね」
ははは、とエマは笑う
それでも、リータ・スキーターとかいうあの記者のおかげで信憑性においては日刊預言者新聞に勝っている。そんな雑誌で働いている両親はエマにとって誇りだった…
「そっか…お父さんもお母さんも魔法界で働いているんだね…」
そんなエマの心情は、他の子供には分からないため、帰ってくるのはジョシュアのように素っ気ないものばかりだが…
そんな中コンパートメントから話し声が聞こえてきた。
特に理由はないが二人共その話に耳を傾けると聞こえてきたのは同じような年頃の少年の声だ
「何が英雄様だ!家柄の違いもわからないなんて!…純血の魔法使いだし、仲良くなれると思ったのに、ウィーズリーなんかと仲良くしちゃってさ!お前もそう思うだろう?」
聞こえてきたのはそんな会話だ。
どうやら、外にいたのは純血主義者で名家のおぼっちゃまのようだ。
「純血主義か…」
エマの母は言っていた。
魔法使いには純血主義という考えがある。
魔法族の両親から生まれた魔法使いしか認めないという風潮だ。
そのせいで魔法界では近親相姦が繰り返され、人工の減少を招いている。
その上、マグル生まれの魔法使いの差別まで引き起こしていると…
ふと、エマは目の前の少年を見た。
今、目の前にいるジョシュアもまた、マグル生まれの魔法使い。純血主義者からは穢れた血と呼ばれ差別される対象だ。
そんな彼はどう思っているのだろう。もしかしたら純血の魔法使い自体を嫌っているかもしれない。
勝手に入ってきて話しかけてくる純血の魔女である自分のことを、彼はどう思っているのだろうか…
「…純血とかマグル生まれとかって、あなたは気にしてるのかな?純血のことを嫌ってたりする?…」
恐る恐る聞いてみるエマ
自分は彼にどう思われているのか…
もし嫌いだと言われたらどうしよう…
こんなことなら、両親の話なんてするんじゃなかった…
しかし、心配とはよそにジョシュアの返事は…
「別に、気にしないよ…」
というものだ
ホッと胸をなでおろすエマ、しかし次の瞬間、最初に感じたものと同じ悪寒がエマを襲った
「どっちも同じ…魔法使いなんだから……」
なんてことはない、返事だ。言葉だけ見るなら差別思想のない好印象な言葉だろう
だが…
エマは、その声の冷たい響きを感じ取っていた…
理由はわからないが、この少年の言葉からは言いようのない不安が感じられた…
汽車が停止する。
ボグワーツ到着のアナウンスがなる。
「ついたみたいだね」
ジョシュアは先程までの柔らかい声で言うと荷物を持って立ち上がった…
次の投稿は未定ですが感想お待ちしています。
NGシーン
「ねぇ、えっと…名前は…」
「ジョシュア・ジョースター…ジョジョと呼んでくれ」
それは!受け継がれる魂ッ!!
バァーーン!!