魔法使いが来る!   作:ケモミミ愛好家

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どうも…
ドライブの最新話をアップしようとしたら、間違えて削除した哀れなケモミミです。

タグを追加しますが、今回はかなり下ネタが含まれます。
書き方を主観の???sideから三人称視点に変えてみました、読みにくければご報告を。


物語に出合う!

 

とある雪山。

 

そこには武装した十数人の山賊と、それに追われる3人の若者が、命懸けのマラソンをしていた。

 

 

 

「マデヤゴラアァァァ!」

 

「待てって言われて待つヤツがいるかー!」

 

「どうするのよイエヤス!

 アンタが変なちょっかい出すから!」

 

「俺のせいかよ?!

 そんなの無理に決まってんだろ!

 サヨがどうにかしろよ!

 そのそこそこに立派なの胸とか使えば何とかなんだろ?!」

 

「こんな時にセクハラ?!

 信じらんない!

 しかもあんなのに色仕掛けなんかしたら、即行で犯されるわよ!!

 あんな連中が初めてとか絶体にイヤー!!」

 

「2人共!無駄口叩いてないで走れー!」

 

「「もう走って(んよ)るわよ!!」」

 

 

口喧嘩をしながら走る3人の前に、倒木に腰かけた男と、木にもたれ掛かる様に立つ男が現れた。

 

 

「おい!アンタ等逃げろ!!

 山賊が沢山来てる、殺されるぞ!!」

 

「危険~…まぁ、そうかもな…」

 

「「「っ?!」」

 

 

先頭を走る茶髪の少年が必死に叫び警告するが、2人の男の発する殺気に3人は驚いた。

 

 

「行くぞ攻也!!

 山賊狩りじゃぁぁぁあ!!!」

 

「ゴオォォォォオトゥゥゥウザ…

 ヘェェェェエルゥッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その男達は狂っていた。

 

 

 

 

 

 

黒い髪の男は身に纏うコートを靡かせながら、手にした銀色の剣で山賊達を凪ぎ払い、投げ飛ばし、蹴り上げ、変則的な動きで容赦の無い連撃を叩き込む。

茶髪の青年は相手の攻撃をかわしながら、マウントをとっての顔面殴打、足だけで木を駆け登ってはデタラメな動きと細剣による攻撃で、山賊達を圧倒していた。

 

 

「お前等のせいで鹿を仕留め損ねたじゃねぇか!!」

 

「俺等のメシを台無しにしやがって!!ゆるざん!!」

 

「た、助け…「オォラァッ!」グファッ!」

 

「ちょっ待っ…「ダァラッシャア!」ヘグッ!」

 

「へっ!貰っ…「速さが足りない!」コパッ!」

 

「隙あ…「ところがギッチョン!」アベシッ!」

 

 

ちぎっては殴り、ちぎっては蹴り、ちぎっては投げる。

 

それはまるで、地獄の光景であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェ等の血は何色だぁぁぁ!」

 

「その程度か三下ぁぁぁあ!!」

 

「た、助けてくれぇぇぇぇ!」

 

「イヤだぁぁぁ!母ぁちゃぁぁぁん!」

 

「「さあ泣き叫べ!判決の時間だ!」」

 

 

[[[イギャァァァァ!!]]]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対的なまでの暴力。

自分達を殺そうとしていた相手であるにも関わらず、山賊達に同情や哀れみなどが込み上げて来るその光景にただ、少年達は立ち尽くす。

 

 

 

 

 

少年は忘れないだろう…

 

いや、忘れられないだろう。

 

 

 

この光景を、この惨状を…

 

 

 

そして…

 

 

 

自分達の絶体絶命な状況を打破し、命を救ってくれた人物の姿を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」」

 

 

 

 

 

 

 

倒した山賊の頭を踏みにじり、DIOバウアーをしながら奇声を発している、2人の狂人(命の恩人)を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にすいませんっしたー!!」

 

[[[っしたー!!!]]]

 

「うん、許さん」

 

《バインド…プリーズ》

 

[[[ギャー!!]]]

 

「「「うわぁ…」」」

 

 

山賊狩りから数十分。

 

黒のコートを纏う男、ソウタの前にはズタボロの山賊達が土下座をしていた。

山賊達の謝罪は虚しくも相手に届かず、鬼畜な魔法使いは山賊を縛り上げた。

 

 

「えと…さっきはありがと。

 俺はタツミ、こっちがイエヤスで、こっちがサヨ」

 

 

鬼畜な魔法使い、ソウタに近づき礼と自己紹介をするタツミ。

それを見たソウタは、やっぱかと小声で呟いた。

仮面ライダー(魔法使い)の力に関しては、帝具の一種とすること。

そして、自身達が転生者であることが誰にもバレないようにと、コウヤとすでに話し合っている。

後は自然体で振る舞えばいい、ソウタはコウヤにアイコンタクトをとった。

するとコウヤも気付いたのか、頷き返した。

 

 

「チャパツにハチマキとオッパイだな、覚えた」

 

「何を覚えた?!」

 

「気にすんな、コイツなりの挨拶だ。

 たしか…タッチミーにイエモトと処女だったな」

 

「「「アンタもか!!」」」

 

「はははっ…わりー、わりー。

 でも緊張はとけたろ?

 ついでに警戒心もといてくれると助かるんだが」

 

「「………」」

 

 

笑顔で語りかけるソウタの言葉に、サヨとイエヤスは眉をひそめ、タツミが唖然とした表情で冷や汗を流す。

 

 

「な、何でそう思うんだよ?

 助けて貰ったんだから、礼ぐらいしないと」

 

「だってそこの嬢ちゃんは、腰に隠してある短剣かナイフを何時でも抜けるように、腕の位置を変えただろ?

 メインは弓みたいだが、この近距離じゃ弓なんて射れないからな。

 仮に距離の問題が解決しても、弓を構え矢をかけるまでの時間が命取りになる、的確な判断だな。

 ハチマキはずっとこのバカを注視してるしながら、いつでも攻撃や防御が出来るように足や腕を動かしている。

 そしてお前さんは、会話をしながらも俺の動きを見ている。

 視線が俺の手や足、側にあるソードガン獲物に向いていたぜ?

 何より、何時でも距離を空けられるよう足に力が入っている。

 何せ下は雪だ、その程度足の沈み具合を見れば分かる。

 そりゃ警戒するわな?

 見ず知らずの他人が、自分達を無償で助ける訳があるのか、もしかしたらコイツ等はさっきとは違う山賊じゃないのか…とか、まぁ色々考えればな」

 

「「「……………」」」

 

 

ソウタの言葉に全員が固まる。

自分達の行動と考えを完全に読まれ、再び唖然とするタツミ達。

そして、ヤっちまったとにこやかな笑顔で内心焦るソウタ。

そんな中、コウヤは笑いながらタツミの肩に手を置いて話し出した。

 

 

「気持ち悪いだろ?

 兄ちゃんの特技なんだよ、勘弁な?

 後俺はコウヤでいいわ。

 年も近そうだし、仲良くしようぜ」

 

 

良くやった、心の中でソウタはコウヤを誉め、安堵した。

 

 

「あっそうだ!

 タツミって事は、お前らこれから帝都に行くんだろ?

 俺達も連れt…ーズカーンッ!痛いぃっだぁい目がぁぁぁ?!」

 

 

誉めた自分がバカだった。

そう言わんばかりにソウタは頭を抑え、ソードガンでコウヤの目を撃ち出した。

 

(見ず知らずの他人が自分達の目的知ってたら、余計に警戒されるだろが)

 

心の中ぼやきながらソウタはソードガンをしまい、タツミ達の方に向き直った。

 

 

「いや、すまん。

 実は俺達帝都に向かっていたんだが、辺境の地から来たもので迷っていたんだよ。

 アンタ等もその装備からして山越えだろ?

 もし帝都に向かっているなら、帝都までの同行か、道のりを教えて貰えれば助かるんだが…」

 

「いや、それはいいんだが…」

 

 

そう言ってタツミは心配そうに横に目をやる。

 

 

「ぬぉあああぁぁぁぁぁ!!

 目が…目がぁぁぁぁぁぁああ!!」

 

「アンタの連れ大丈夫か?」

 

 

左目を両手で抑えながら、雪の上を左右行ったり来たりと転がるコウヤを見ながら、イエヤスはソウタに尋ねた。

 

 

「大丈夫大丈夫、魔力コントロールで弾をコルクに換えてあるから」

 

「まりょ…く?」

 

 

さぞどうでもいいかの様に右手を左右に振り、答えるソウタ。

一方タツミ達は聞きなれない単語に首を傾げた。

 

 

「……ッ~……

 大丈夫なわけねぇだろが?!

 亜音速で飛んでくるコルクが眼球に直撃したんだぞ?!

 俺じゃなきゃ失明してんぞ!!」

 

(((いや、何で平気なんだよ…)))

 

 

左目を抑えながら起き上がり、涙目で訴いかけるコウヤ。

タツミ達の内心とは裏腹に、ソウタはソードガンをしまいながら言葉を返した。

 

 

「大丈夫だって、最悪失明したら俺が直すから」

 

「治すの字が違うだろ絶体?!」

 

「どうでもいいだろ。

 そんな事より、お前はあのオッ山賊から使えそうな装備品、あと食い物と金銭全部取ってこい。

 終わったら、そのまま逆さ吊りにして火に掛けるか、身ぐるみ剥いで真っ裸にして木に縛りつけるから」

 

 

バインドの魔法で縛り上げている山賊達を指差しながら、ソウタはやる気無さげな疲れた声で告げる。

 

 

「~~……ちぇっ、わぁったよ…」

 

(((山賊よりひでぇ?!)))

 

 

頭をかきむしりながら、しぶしぶ了承するコウヤ。

そんな2人の行動に3人は驚いた。

 

 

「別にそこまでしなくても…」

 

「何言ってやがる。

 拘束が解けたら、また襲いに来るかもしれないだろが。

 それに、剥ぎ取りは狩りやRPGの鉄則だ」

 

「アール…ピー…?」

 

「で、どうだ?

 俺達の同行、頼んでもいいか?」

 

「あ、あぁ…

 アンタ等かなり腕がたつみたいだし、むしろこっちから頼みたいくらいだ」

 

「OK、交渉成立だな。

 遅れて悪い、俺はソウタだ。

 さっき自分で名乗ったが、あれが弟のコウヤ」

 

「あぁ、よろしく頼む」

 

「こっちこそ、あと…「兄ちゃん?!コイツら干し肉持ってるぞ!!」っ?!

 何だとぉぉ?!神かぁぁぁぁ!!」

 

 

コウヤの声に食いつくソウタは、タツミとの握手を解き、勢い良く山賊の方に走り出した。

破天荒かつ奇想天外な彼等の行動に、タツミは呆気に取られていた。

 

 

「ちょっとタツミ?

 ホントにあの人達と一緒に帝都に向かうの?」

 

「まぁ、その方がいいだろ?

 実際ソウタさんもだけど、コウヤもかなりのもんだしさ」

 

「確かに…そうだけど…」

 

「どうしたサヨ、嫌なのか?」

 

「嫌とかじゃなく…」

 

「何だよサヨ?

 もしかして…どっちかに惚れたとか?」

 

「はぁ?何言ってんの?

 あんまりふざけてると、キ〇玉引っこ抜くわよ」

 

「「怖ぇよ?!」」

 

 

ゴミを見るような冷ややかな目でイエヤスとタツミを睨むサヨ、すると山賊達が拘束されている方から情けないオッサンの声がタツミ達の耳に入った。

 

 

「た、…頼む!

 命だけは…命だけは助けてくれ!」

 

「あ?誰もお前らを殺すとは言ってないだろが。

 火に掛けるか、真っ裸で木に縛りつけるだけだ。

 ……まぁ、その後は放置して俺達は山を下りるが」

 

「それって見殺しじゃね?」

 

「見捨てるだけだ」

 

[[[どっちにしろ死ぬよ!!]]]

 

 

無情にして非情、ソウタの容赦ない鉄槌に山賊達の中には泣き出しそうな者まで現れた。

 

 

「じゃあ、どうされたいんだよ?

 拘束解いて下さいは無しな。

 解いたらお前ら、俺達を殺してそこの女の服引ん剥いて、コイツの手や足や胸、サラサラの髪使っての〇〇〇とか、口にナニぶち込んでイ☆☆☆☆やらさせて四方八方からテメェ等のチ◇◇で責めまくってレ××するつもりだろが。

 そんでもって全身開発、チ△△無しじゃ生きていけないのって体にしてテメェ等の肉**にするんだろが、羨まけしからん」

 

「ちょっと!?」

 

 

ソウタの放送禁止用語もとい淫語のオンパレードに、サヨは顔を赤くして胸を隠すようにして後ろに下がった。

 

 

「い、いや…そんな事はしねぇ。

 それに俺達…女には興味ねぇから…」

 

「「「「…ウェ?」」」」

 

 

山賊の1人が放った一言が、男4人の思考を停止させる。

 

 

「俺達は、女房や恋人、婚約者とか家族に捨てられたごろつきのあつまりなんでさぁ」

 

「みんな何かしろ、女に見限られた事で心に傷を負ってんだ。

 つまり何が言いたいかってぇと…」

 

[[[女なんて、クソくらえってんだ!!]]]

 

 

怒気と覇気のこもった魂の叫び、山賊達の性癖を知ったソウタは、冷や汗を流しながらタツミ達を指差す。

 

 

「……つまりコイツらを襲ったのは…」

 

「そこの茶髪の兄ちゃん、結構可愛い顔してるだろ?

 それでな……溜まってたもんが爆発しちまったわけさ」

 

「俺は黒髪の方かな?

 てか、兄ちゃん達もいい感じじゃねぇか。

 そこそこにイケメンで強いなんて…キライじゃねぇぜ?」

 

 

キランと聞こえて来そうなキメ顔をする山賊。

ソウタは少し目を細め、無言でポケットから1つの指輪を取り出し山賊達から距離をとる。

それを見たコウヤの表情は焦りに染まり、ソウタの元に駆け出した。

 

 

「兄ちゃん待って!早まるな!」

 

《エクスプロージョン…プリーズ》

 

「消え去れぇぇぇぇぇぇ!!」

 

[[[ぎゃぁぁぁぁぁああ!!]]]

 

 

爆音と爆炎が山賊達をつつみ、吹き飛ばす。

その光景に驚くタツミ達3人とは別に、コウヤはヤっちまったよと力の抜けた声で呟き、肩を落とした。

 

 

「ハァ…ハァ…ッツ、嫌なもん思い出させやがって」

 

「ど…どうしたんだ?ソウタさんは…」

 

 

ソウタの奇行に戸惑うタツミは、事態の真相を知るであろうコウヤに尋ねた。

 

「あ~…いや、兄ちゃん昔のバイト先で、ガチムチのオネェに襲われそうになった事があってだな…」

 

「マジかよ…」

 

 

ソウタの過去のトラウマを知ったタツミ達、するとドサリと鈍い音が響き、音のした方に全員が目を向けた。

そこで目にしたのは、雪の上にうつ伏せになって倒れているソウタだった。

 

 

「オイ?!ソウタさん!ソウタさん!!」

 

「心配するな~…ただの魔力切れだ…」

 

 

驚きの余りに叫ぶタツミ、サヨとイエヤスは心配そうにソウタを見るが、ソウタは少し気だるさを含んだ声色で肘をついて腕を左右にぶらぶらと振る。

 

 

「エクスプロージョンで魔力切れって、どこの頭のおかしい紅魔だよ」

 

「うるせぇな…

 あ"ぁ~…だりぃ~……

 …雪冷てぇ~……?…」

 

 

コウヤの言葉に面倒くさそうに返すソウタ。

埋もれた顔を横にした瞬間何かを感じたのか、表情を変え芋虫の様な動きでコウヤに近づき、その足にガッチリとしがみついた。

その様子に首を傾げるコウヤだが、次第に事態を把握したのか冷めた目をする。

 

 

「ねぇ?

 何か聞こえない?」

 

 

2人とは別に、いち早く異変に気付いたのはサヨだった。

 

 

「確かに…何だ?」

 

「ゴゴゴ……って、何の音だ?」

 

 

事態の深刻さを理解出来ずにいるタツミとイエヤス。

サヨは察したのか、事の原因であるソウタにジト目をむけた。

 

 

「オイ愚兄」

 

「何だ愚弟」

 

「離せよ、逃げられないだろが」

 

「なら俺を担いでけ、動けないんだよ」

 

 

サヨの視線に気付かず、コントのような事をするソウタとコウヤ。

次第に近づき大きくなる音にイエヤスとタツミは焦りを見せはじめた。

 

 

「何だよこの音?!」

 

 

不安からか叫ぶタツミ、それを見たコウヤは頭をかきむしりながらタツミ達をみる。

 

 

「あぁ~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪崩だ」

 

 

 

 

 

コウヤの言った言葉を理解していないのか、理解したくないのか、タツミとイエヤスは呆けた顔で首を傾げ、サヨはひきつった笑みを浮かべ、涙目でやっぱりと呟く。

ほらとコウヤが指差す先に目を向けると、白い煙を上げながら雪が流れている様子が3人の目に入った。

 

 

「「「イヤァァァァァァァ?!」」」

 

 

迫り来る雪の波、それから逃げるようにタツミ達は全力で山を走り下りる。

後を追おうと走り出すコウヤ、だが足にしがみつくソウタがそれを良しとしなかった。

 

 

「HA☆NA☆SE!

 逃げらんないだろが!!」

 

「離すか!動けないつったろ!

 お前兄を見捨てるのか?!家族だろが!!」

 

「雪崩起こした張本人が何言ってんだ?!」

 

「こうなれば只では死なん!!

 貴様も道ずれにしてやるぅぅぅ!!」

 

 

急いでこの場を離れねば。

コウヤが走りだそうとするとソウタはそれを阻止、互いにその場から動けずにいた。

 

 

「がぁ~、離せ~…っ!

 あ!ミニ丈和服の雪女!」

 

「何だとぉ?!どこだ?!」

 

 

コウヤの言葉に過剰反応し、動かない体にムチを打ちながらコウヤの指差す方角に目を向けるソウタ。

するとコウヤはしめたと言わんばかりの表情で拳を握り、

 

 

「そこだぁぁぁあ!!」

 

「グハッ?!」

 

 

ソウタの顎にアッパーカットを打ち込み、殴り飛ばした。

 

 

「あ~ばよ♪とっつぁ~ん♪」

 

「オノォォォォレェェェェェ!」

 

 

笑いながら走り去るコウヤ。

ソウタはただ、悔しそうに叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイィィィィ?!

 ソウタさん置いてきちまったぞ?!」

 

 

一部始終を見ていたのか、タツミは合流してきたコウヤに勢いのあるツッコミを入れた。

 

 

「ハッ!心配すんなヤマギ!「タツミだっつの!!」

 兄ちゃんはな、タフでエロくてドスケベで、運の悪い残念系の二枚目半。

 悪知恵やブラフで人を騙すのが得意な詐欺師野郎!

 そして何より人畜有害!

 Sが引くほど鬼畜で、Mが裸足で逃げ出す様な変態だ!

 あの程度じゃ死なねぇから大丈夫だよ!

 ……多分…」

 

「タフ以外の大丈夫要素どこだ?!

 って多分つった?!多分って言ったよな?!」

 

 

少し視線をそらし小声で呟いたコウヤだが、タツミにはしっかりと聞こえていた。

 

 

「イィヤッホォゥ!!」

 

 

全員が死力で駆け下りていると背後から奇妙の叫び声が響き渡り、タツミ達はその発生源を探した。

 

 

「オイ?!アレ!!」

 

「何か来たぁぁぁ?!」

 

 

雪煙を上げながら近付く影。

煙が薄れ、影がハッキリと姿を見せる。

 

 

「ソウタさん!!……って…」

 

「「「何ソレェェェェェ?!」」」

 

 

現れたのは、ふんどし1枚の巨漢をスノボよろしくの如く乗りこなすソウタだった。

山賊を器用に乗りこなしながらタツミ達の側によると、タツミ達の速度に合わせ並走した。

 

 

「いや~、レ〇ドブルってすげぇな。

 翼を授けるだけあるわ、1缶で魔力全回だ」

 

「何でレッ〇ブルがあんだよ?!」

 

 

驚くコウヤの肩に手を回し顔を近付けたソウタは、タツミ達に聞こえないように話し出した。

 

 

「ゆりっぺに頼んで、コネクトで欲しいものが何でも取り出せるに変えて来た。

 お前のも同じ使用に出来たんだが、やらない方が面白いと思ったからお前はそのままのマヨネーズ地獄だ、感謝しな」

 

「マジで?!流石だぜ変態!!啄むぞ」

 

 

走りながらコウヤは、ソウタの胸ぐらを掴んだ。

 

 

「ハッ!それほどでもねぇよロリコン!

 離せ擦り潰すぞ」

 

 

負けじとソウタも胸ぐらを掴み返す。

片方は走りながら、もう片方はふんどし1枚の筋肉モリモリマッチョマンのおっさんの上に乗って滑る男2人が、互いの胸ぐらを掴み頭突きした状態で山を下るシュールな光景が、そこにはあった。

 

 

「あんなぁ。

 ぺド判定食らうのは精神医学上13才以下を性愛対象に見た時、または13才以下とセッ〇〇した場合だ。

 ロリコンはテメェだろがエロペドリスト」

 

「俺は守備範囲が広いだけのフェミニストだ。

 第一そんな幼女や女児には手ぇ出さねぇよ、テメェと一緒にすんなマヨネーズ」

 

「んだとオッパイ性人が、マヨネーズバカにすんなよコラ」

 

「心配すんな。

 バカにしたのはマヨネーズではなくお前だ、脚フェチ」

 

「脚フェチの何が悪いだよ!

 テメェだってオッパイばっかだろ!」

 

「脚よりは健全だろが!

 男ってのは1周回って最後にはオッパイに還るんだよ!

 だいたい脚なんて男にだってあるだろが!

 そこに執着する意味が分からねぇよ!」

 

「テメッ!今全国の脚フェチ全員敵にしたからな!」

 

「だったら何だ!やるか!」

 

「上等だ、かかってこいや!」

 

「「童貞!!」」

 

 

互いに罵り合う2人は、最後の一言をきに下を向いてため息をつき、どんよりとした葬式の様な重い雰囲気を醸し出した。

 

 

「ふざけてる場合じゃないでしょぉがぁぁぁぁ!」

 

 

そんな2人の行動に痺れを切らしたサヨは、ツッコミを入れた。

 

 

 

「あ、そうだった。

 みんな乗れ!」

 

「乗れるか!!

 ていうか、その人さっきの山賊でしょ?!

 何があったらそうなるのよ?!」

 

「ん?

 コイツにこの危機を乗り越えたら、俺以外の誰かと一発ヤらせてやるって契約した」

 

「コイツ俺等を売りやがった?!」

 

 

さも当たり前の様に答えたソウタに、イエヤスは驚きを隠せずに叫んだ。

 

 

「流石だぜゲス野郎(兄ちゃん)!殺して良いか?」

 

「え?やだよ」

 

「素で返した?!

 ってか、そんなのサヨが一番ヤバイだろ?!」

 

 

キョトンとした表情で返すソウタに、今度はタツミがツッコミを入れる。

するとガハハハと笑いながら、山賊はタツミに話しかけた。

 

 

「心配すんな坊っちゃん。

 俺等女には興味ないって言っただろ?

 だから嬢ちゃんは安全だ、手は出さないさ」

 

「だそうだ、良かったなサヨ」

 

「それ女として複雑なんですけどぉ?!」

 

「つーかそれ!違う意味でもヤバイじゃねぇか?!」

 

 

ソウタのめちゃくちゃな行動に嘆き、ツッコミを入れるサヨとイエヤス。

コウヤは笑いながら、タツミの肩を叩いた。

 

 

「言ったろ?うちの兄ちゃん人畜有害だって」

 

「人畜有害とかそんなレベルじゃねぇ!」

 

「よく考えろ山口!!「タツミだ!!」

 今この状況を乗り越えなければ、全員死ぬぞ!

 テメェ等の尻と皆の命、どっちが大事だ!!」

 

「人の事を売っといて、何正論っぽい事吐いてんだアンタは?!」

 

「タツミ君、最初は怖いかも知れないが…

 大丈夫だ、ちゃんと優し…フッゴァ?!」

 

変態(ボード)が喋んな!」

 

 

そう言ってソウタは山賊の頭を足で踏み、雪に埋めた。

 

 

「早くしろ!時間が無いぞ!」

 

「そんなオッサンに全員乗るわけ無いだろ!」

 

「確かに…

 サヨ、お前恋人とかいるのか?」

 

 

ソウタの突然の質問にサヨは、顔を真っ赤にした。

 

 

「なっ?!

 何で今そんなこと聞くのよ?!」

 

「いいから!

 いるのか?!いないのか?!」

 

「…~~~……いないわよ!悪かったわね?!」

 

 

ソウタの迫力に圧されたサヨは、悔しそうに目に涙を浮かべ叫んだ。

 

 

「あっそ!

 じゃあちょっと失礼!」

 

《エクステンド…プリーズ》

 

「えっ?!

 ちょっ…きゃあっ?!」

 

 

エクステンドで腕を伸ばしたソウタは、サヨの体に腕を巻き付け引き寄せた後、サヨをお姫様抱っこで抱き抱える。

 

 

「これなら1人分何とかなっただろ」

 

「えぇい、こうなりゃ自棄だ!」

 

「覚えてろよテメェ!」

 

 

タツミ、イエヤスと順に山賊の上に飛び乗る。

 

 

「ようし、後は俺…「ただしコウヤ、お前はダメだ」

 ……てめっ!さては置いてったの根に持ってんな?!」

 

「フハハハハァ!

 自力で逃げるんだなぁ!」

 

「さ…せ…るかぁぁ!」

 

「ヒャンッ?!」

 

 

勢い良く飛び付いたコウヤは、山賊のふんどしを掴んだ。

 

 

「なんじゃとてぇぇぇ?!」

 

「スピードが、落ちてる?!」

 

 

コウヤの行動に驚き、妙な叫び声を上げるソウタ。

そして山賊の速度が変化した事に、サヨも驚きの声を上げる。

 

 

「ヘッ!人間ボードの使い方なら、俺も知ってんだよ!」

 

「Oh…」

 

 

勢い良くふんどしを引っ張ると、山賊の声と共にスピードが落ちる。

 

 

ふんどし(ブレーキ)離せこのバカ!」

 

「離すか!

 俺も乗せやがれぇぇぇ」

 

「ブレーキが(こわ)れるだろが!」

 

「ちょっ2人共!!後ろ!後ろ!!

 雪がぁぁぁぁぁぁああ!!」

 

 

サヨの絶叫と共に迫る雪。

するとコウヤは何かに気付いたのか、あっと呟いた。

 

 

「兄ちゃん」

 

「何だ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…飛べば良かったんじゃね?」

 

 

右手にはめたファルコンのリング。

コウヤがそれをソウタに見せると、ソウタは先程までの焦りを忘れたかのような穏やか笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

「テレポートって手もあったな…」

 

 

 

時すでに遅し、雪の波は5人の真後ろに迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ギィアァァァァ!!」」

 

「「ウワアァァァァァ(OMO;)!!」」

 

「イヤァァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソウタ達の向かいの山の山頂。

そこにある人影は、ジッとソウタ達を見つめる。

白いローブを纏ったその人物は、雪崩にのまれるソウタ達を見届けた後、腰に巻かれたバックルに指輪をかざした。

 

 

《テレポート…ナウ》

 

 

展開された魔方陣をくぐり姿を消した人物は、まるで魔法使いの様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法使い

 

    残り ?人

 

 




ー次回予告擬きー(AB!風)

「…夜這い?」
「何じゃありゃぁぁぁぁ?!」
「駆け落ちかね?」
「惚れてまうやろぉぉがぁぁぁ!」
「これで俺の勝ちだな」
「何してんのよ変態!」
「詐欺じゃねぇか?!」
「お前アホだろ」
「いやだぁぁぁ!」
「次はねぇからな?」
「これが…帝都…」
















「ピーマンは…ピーマンだけは…
 ウワァァァァァァ…婆ぁぁぁちゃぁぁぁん!」


ーーーー





自分で書いててなんだが、こんな奴等を仮面ライダーにするとか大丈夫かと本気で心配し出した今日この頃。

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