魔法使いが来る!   作:ケモミミ愛好家

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いつも通りにグダグダですが…


疑問を解く!

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ」

 

「…………………………」

 

「無視すんなよ、ちょっと話したい事があってさ。

 来ちゃった♪」

 

 

「………来ちゃったって……何当たり前の様に来てんの?!

 しかもそんな友達や恋人に会うみたいな軽いノリで?!」

 

 

「気にすんな、聞きたい事が2、3あるだけだ」

 

「気にするなじゃな…」

 

 

俺は手を前に出してゆりっぺの言葉を遮る。

 

 

「あれはどういうつもりだ?」

 

「話が見えないわね?」

 

「とぼけんな。

 何であんな不良品を俺達に渡した」

 

「不良品…

 失礼ね、あれは正真正銘本物のベルトと指輪よ?」

 

「だからだ」

 

「言ってる意味が分からないわね」

 

「本物だからこそ不良品なんだよ」

 

「と言うと?」

 

 

俺の言葉に対し、イタズラな笑みをするゆりっぺ。

 

 

「最初は魔力の消費が半端じゃないだけだと思ってたんだが……

 アイツに、魔力の切れた攻也にビーストのデメリットが発生しなかった。

 最初は気付かなかったが、攻也のお陰で2つの可能成が上がった。

 1つはそっちが気を利かせて、そのデメリットを無くしてくれた。

 ただそんな事するなら、“キマイラの呪いの無効化”や“無制限に魔法を使用できる”ってチートの方が効率が良いだろ?

 だが、それをしなかった。

 もしくは“出来なかった”する。

 でもお前は紛いなりにも神様だろ?

 ならその可能性は低い、となると必然的にもう1つの可能性が有力になる」

 

「回りくどいわね?

 弟くんみたいに直球できたら?」

 

「ならお言葉に甘えて。

 つまりもう1つの可能性、問題はベルトだけじゃなく俺達にもある。

 俺達はただのゲートで、体内にファントムを宿していない。

 攻也のビーストドライバーにもキマイラは宿っていない。

 だからアイツにビーストのデメリットが発生しなかった。

 そして…」

 

 

俺はポケットからドラゴンスタイルのリングとサバトリングを取り出した。

 

 

「俺がドラゴンスタイルになれないのは、そもそもドラゴンを体内に宿していないから…

 じゃあどうする?簡単だ。

 サバトでファントムを産み出せばいい。

 そして、お前が言ってた俺達の最大の特長…

 “絶望しずらい”。

 魔法使いになるには、絶望を乗り越えてファントムを体内に抑え込む必要がある。

 なるほど、確かに絶望しずらい俺達には最適な装備だな」

 

 

俺の憶測に近い推理にゆりっぺはクスクスと笑いだす。

 

 

「御名答。

 他に質問は?」

 

「この仮説が事実なら、何故アイツは変身出来た?

 キマイラが居ないなら変身すら出来ないんじゃないのか?」

 

「それはこっちで変身出来るようにしておいたの。

 まぁそうしても、ゲートはもちろん、普通の魔法使いでも変身は出来ないのだけど。

 それでもあの子が変身出来たのは、貴方達が異質だから。

 そもそもゲートは、他の人間よりも魔力値が高いものを差すのは知ってるでしょ?」

 

 

ゆりっぺの問いかけに返事を返すと、続けて話し出した。

 

 

 「簡単に言うと貴方達は、ゲートを人間に定めた場合のゲートに当たる。

 貴方達は魔力値が高すぎるの、異常なまでにね。

 とくに貴方は、異常の中の異質、規格外の化け物」

 

「ひでぇ言いようだな」

 

「事実よ…貴方程じゃないけど、弟くんも相当なものよ?

 まぁ、あぁも簡単に変身されるとは思わなかったけど」

 

「実際どうなんだ?

 魔力の消費ってのは」

 

「そうね…現状、貴方はだいたい変身維持は30分といった所かしら、弟くんは20分って所ね。

 変身中に他の魔法を併用するなら、さらに短縮されるわ。

 弟くんも、1度の変身にマント1回が限度」

 

「俺はともかく、攻也はかなり厳しいな…

 そもそも、何でキマイラが居ないんだ?」

 

 

「エェっ?!

 いや、…あ、その…そう!

 呪いの事もあるから、抜いておいたの!

 いや~、でもデメリットの方も大きいわね!

 まぁあ?!それでも魔力不足で死ぬよりかはマシでしょうね!」

 

 

再び台を召喚するゆりっぺは、上に置かれたボタンに手を伸ばす。

 

 

「じゃあ、続き頑張ってね!」

 

 

ボタンが押され床が消える。

 

 

「ちょっと待てぇぇえい!!」

 

「うわぁあ?!」

 

 

ギリギリで俺は消えていない床にすがり付き、一番知りたかった事を尋ねる。

 

 

「最後の質問!あの世界にはーーーは居るのか?」

 

「フフッ♪…居る……と言ったら?」   

 

 

さっきまでの慌てた様子はなく、妖艶な笑み…その言葉をがピッタリな表情をするゆりっぺ。

ゆりっぺの言葉を、俺は鼻で笑い床から手を離した。

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソファ〇キンだこのヤロー!!」

 

 

ゆりっぺに怒鳴りながら中指を立て、俺はあの世界にコンテニューをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「…っ……戻ってきたか…」

 

 

目を開けばいつもの雪景色。

ふと体を起こすと、なぜか俺は祭壇の様な物の上に居た。

 

 

「体隠しとけっつったのに…あんバカは…」

 

 

愚弟のバカさ加減に愚痴っていると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~でとう~でを、つ~なぐ関節♪

 ひ~じ♪ひ~じ♪

 ひ~じが無ければ、う~では回らぬ♪

 ひ~じ♪ひ~じ♪

 あ~、ありがたや~ありがたや~♪」

 

 

妙な唄と妙な踊りをしているバカが、そこに居た。

 

(また変なキノコ食ったのか?)

 

 

「何やってんだ…お前…」

 

「ん?あぁ、おかえり兄ちゃん。

 何って、暇だったから邪教徒ごっこしてた」

 

 

(死体になってた俺を使って遊んでいたと…)

 

 

「…………ハァ……まぁいいや。

 攻也、話がある」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

「なるほど…つまりファルコンが使えなかったのは、ベルトの中は空き家だから。

 キマイラが居ないから、使えないと…

 で、1回の変身にマントは1枚しか使えない…って!

 厳し過ぎるだろ?!」

 

「そこでだ」

 

 

俺はポケットから1つの指輪を取り出した。

 

 

「これを使って人為的にサバトを起こして、絶望する。

 そんで絶望を乗り越える事で、はれて魔法使いの一員って訳だ」

 

「面倒だなぁ…

 つーか、何でゆりっぺは初めからキマイラ入りのベルトにしなかったんだ?

 いくら呪いの事があるっつっても、流石になぁ…」

 

「だよな……

 そもそも、呪いの無効化の為にキマイラを抜き取るなら、魔力源が無くなる事を見越して魔法の無制限使用か、劇場版みたく、呪いを持たないタイプのキマイラにするのがベターだろうし…」

 

「それか…ゆりっぺがベルトに封印しようとした時に逃げられた、とか?」

 

「流石にそれは…」

 

 

俺はふとキマイラの事を聞いた時のゆりっぺを思い出した。

 

 

(まさか…な?)

 

 

「取り合えず、使ってみるか…攻也手ぇ出せ」

 

「は?何で?

 男に、しかも自分の兄貴に指輪されるとか嫌なんだけど」

 

「俺だってやだよ。

 お前のベルトじゃこの指輪使えないだろ?」

 

「じゃあ自分でつけるよ」

 

 

渋々俺の手から指輪を受け取り、攻也は中指にはめた。

 

 

「やるぞ?」

 

《エラー》

 

「あれ?」

 

「変だな…

 攻也、リング貸せ」

 

 

攻也からリングを受け取った俺は、自分の中指にはめてバックルにかざした。

 

 

《エラー》

 

「おかしい…」

 

 

結構時間が経ったから、魔力はお互いに回復したと思ったんだがな…

 

 

「まぁ良い…攻也、荒療治でいくぞ」

 

 

俺と攻也は近くの石と倒木に腰掛け、向かい合った。

 

 

「想像してみろ…

 お前の向かいから、超お前好みの美少女が歩いて来た」

 

「うんうん」

 

「するといきなり突風が!」

 

「おぉ!!…とっぷうってなに?」

 

「…いきなり来る強い風な」

 

「なるほど」

 

「その風で向かいの娘のスカートが捲れ上がった!」

 

「おおぉぉ!!!」

 

「だがそのスカートはキュロットスカートで、中は見えませんでした」

 

「グアァァァァア!」

 

 

勢い良くひび割れていく攻也の体を見て、俺は苦笑いしか浮かべられなかった。

 

 

「すげぇ勢いでいったな…軽く引くわ……

 てか、俺等の長所って絶望しずらいだったよな…

 まぁ、後はこれを乗り切れば…」

 

「に、……兄ちゃん…」

 

「どうした?」

 

「…ごめん……もう…無、理……」

 

「アカァァァァァァァアン!」

 

 

俺はたまたま側に有った小さい岩で、攻也の頭を叩き割った。

するとひびの進行は、攻也の息と同時に止まり。

ひび痕は攻也の命の火と連動して消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「ただいま~…」

 

「お、目が覚めたか」

 

「あぁ。

 でもマジでゆりっぺのヤツ、限界来てたわ」

 

「だろうな…」

 

 

そろそろ真面目にいこうかなと思った瞬間、お互いの腹の虫が音をたてる。

 

 

「日も暮れてきたし、とりあえず腹ごしらえするか」

 

「ドーナツとマヨネーズだけだけどな」

 

「いいや。

 肉食うぞ」

 

 

俺は少し離れた場所を指差した。

そこにいる鹿は、こちらに気付いてないようだ。

 

 

「じいちゃんと狩りした時みたいに、スコープ付きのライフルじゃないが、ソードガンで弾道コントロール出来るから、多少外しても何とかなるさ」

 

「おぉ!頼むぜ兄ちゃん」

 

 

ゆっくりと近づき、ソードガンを構える。

 

息を止め、気配を消す。

 

昔の感覚を思い出しながら、引き金に指をかける。

ゆっくりと、静かに息を吸い、静かに吐き出し、獲物を見据える。

 

 

(殺気は出すな…一発勝負だ)

 

 

しばらくすると、鹿が視線を移しだした。

 

 

(今d…「マデヤゴラアァァァ!!」っ?!)

 

 

 

突然の怒号に俺と鹿は驚き、ビクついた。

驚いた拍子に引き金を引いてしまい、弾は鹿の真横をかすめ、背後の木に当たった。

怒号からの発砲音。

当然、鹿はそこから逃げていた。

 

 

「あぁ…俺の鹿肉(ステーキ)が…」

 

「攻也、それ一応死亡フラグな」

 

 

俺はため息と共に鹿を諦め、怒号の発声元を探した。

 

 

 

「おい兄ちゃん、あれ」

 

「ん?」

 

 

攻也が指差した先には、10人以上の山賊っぽいオッサンに追いかけ回されている、若い3人の男女だった。

その山賊が声の主だと理解すると、俺はソードガンを肩に担ぐように置き、首をならす。

攻也はサーベルを取りだし、サイコパスな殺人鬼の様にサーベルの刃を舐め、黒い笑みで山賊を見据える。

 

 

「攻也……狩りの続きだ。

 獲物は俺達の飯を台無しにした、あの山賊(バカ)共だ」

 

「ヘヘヘヘヘ……」

 

「行くぞぉぉぉぉ!!」

 

「ゴートゥーザ、ヘェールゥ!!」

 

 

俺達はどす黒い感情と本能の赴くまま、走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ドライブの方も進めたいのに、オーブのクロスも書きたくて仕方ないケモミミです。

最後に現れた?3人組とは誰か。

誤字脱字とうあればご報告を!

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