「それでは遅れてしまったがクラス代表は織斑秋十にやってもらう」
「え、なんで俺なんですか。一夏や上条にやらせればいいじゃ無いですか」
「あの2人は実力が高過ぎて一年に入れた場合確実に勝てるだろうが、圧倒的に強すぎる相手では成長する事も出来ないだからお前を選んだ」
「なら、セシリアにすればよかったんじゃ」
「セシリアは昨日の時点で候補を降りてる、そうなると元から出る意思があるお前しか残らないからな」
千冬の視線の先には眠そうにあくびをしている上条と一夏がいた。元から不快に思っていた2人にぼろ負けしていた秋十は殺意を抱いていたが。自分が強いとばかり思うほどプライドが高い秋十には一夏に勝つ可能性はあっても上条に勝つ事は不可能だ。
「分かりました、推薦してくれた人達の為にもクラス代表を務めさせてもらいます」
「よろしい。では授業に入る秋十、号令の頼む」
結局、秋十がなり上条と一夏はその責任から逃れたが昼休みに職員室に呼び出されていた。
「すまないがお前たち2人には上級生のトーナメントに出て欲しいんだが」
「はい?!いや、まだ一年ですよ俺は。断ります」
「一年であれだけの実力があれば十分通じるがな。まあ、無理なら仕方ない、上条これはお前に返す、回収しといて悪いが全く情報が取り出せなかった。一体お前のISはどうなってるんだ?」
「自分でもよく分かりませんね」
「そうか、話はそれだけだ。戻っていいぞ」
2人は一緒に出たが面倒事が増えた上条は思わずため息を吐いてしまった。
「とりあえず面倒ごとからは逃げられたな」
「それは俺も同じだよ」
すると後ろから一夏に抱つこうとしてる人影が見えた。
「一夏!」
「え、リン?!」
一夏もその場で受け止めようとするが、勢いを止められなかったのか後ろに倒れてしまった。
「・・・一夏、俺は先に行ってるから楽しんでてくれ」
上条は逃げるようにそこから離れた。
「は、ちょっと待て」
「なによ、久しぶりに会って嬉しくないの一夏!」
「嬉しいよ、嬉しいけどここ職員室の前だからな。場所移さないか」
「え」
鈴と呼ばれる少女は周りを見ると、スクープだと言いながらカメラを構えてる写真部の人や野次馬のように人が群がっていた。一夏は鈴の手を引き食堂まで走っていくと待っていたのか上条が席を取っているがその隣には何かを熱心に語っている上級生とセシリアがいたが少しすると上級生は喜びながら離れていった。
「上条、今話してたの誰だ?」
「陸上部の副部長さん、前にグランドで走ってたのを見たらしいんだけど。一回練習に来てみないって言われてな、とりあえず一回くらいは行ってみる」
「お前足早いからな、前に計った時100m5秒くらいだっただろ」
「織斑先生も唖然としてましたからね」
「あんた、一体何者よ」
「普通の人間だ、それよりお前こそ誰だよ」
「2組に転校してきた、凰鈴音よ。中国から来た代表候補生」
「1組で一夏と同じルームメイトの上条当麻だ」
「上条当麻ってあの疫病神の名で呼ばれてた?」
「ああ、で一夏とはどんな関係なんだ?」
「そこ・・流すのね。一夏とは幼馴染よ中学時代のね、まあ家の用事で中国に戻る事になったけど」
「大変そうだな」
「あんたに比べればまだ楽よ、・・一夏と会えなくなるのは寂しかったけど。であんたは誰よ」
「私はイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットと申します。それより一夏さん、幼馴染がいるなんて聞いてませんわ」
「いや、言う事もないと思ってな」
「はぁ、・・それより秋十はどうなの?」
「まあ、相変わらずだな」
「前からあの性格だったのか」
「ええ、友人は何人もいたけど。どう考えても凡人としてしか見てなかったわ」
「まあ、あいつの生き方だ好きにやればいい。ただ誰も責任を負うことはないからな」
「あんた、冷たいわね」
「別に俺は間違った事は言ってない。人の生き方なんて自由だ、俺みたいにただ強くなりたいと思ってるやつだっているんだからな」
「十分強いと思うけど、なんでそこまで強くなりたいんだ?」
「ただ家族を守りたい思って必死になって強くなったんだよ。それに俺より強くやつはたくさんいる」
「ねぇ一夏こいつどのくらい強いの?」
「上級生に一回だけしか攻撃を受けないで倒すくらいだな。3年にいるアメリカの代表候補生にな」
「…こいつのプライベートがすごく気になるわ」
時間が迫り一夏は鈴と放課後に会う約束だけして解散した。その時、その場面を見ていた人がもう1人いた。
「上条当麻君ね、確か部活も入っていなかったわよね虚ちゃん?」
「はい、放課後は一夏さんと毎日のように鍛錬してます」
「ますますいいわね、私も練習相手が欲しかったから丁度わね」
適材適所と書かれた扇子を広げて、楽しそうに笑っていた。
放課後になって、上条は陸上部にかりだされ練習に出ていたがいつも自分でやっている量には程遠く一度も息がきれる事はなかったので、自分愛用の重りを付け余分に何周も走った。
「ふぅ疲れた」
「上条君疲れないのそんなに走って、まだ練習あるよ?」
「このくらいはいつも走ってるのでそこまで疲労は溜まりません」
「噂だと毎日走ってるらしいけど、飽きないの?」
「飽きませんね、自分の限界を超える為にも走ってますから」
「限界って」
休憩時間が終わり練習は6時半まで続いた。終わった後上条はさらに30分程走りロッカー室に入っていた。
「・・・幼馴染ね、一夏が羨ましいよ。はぁ前の事ばっかり考えてもしょうがない、あれが完全に使えれば前の場所に戻れるんだ。当分時間がかかりそうだけどな」
着替え終わり部屋まで歩いているとまた扉が開きっぱなしになり中に入るとまた、ケイシーさんやフォルテさんが中でくつろいでいた。
「先輩何やってるんですか。って今度は合鍵でも作ったんですか?」
「また開けっぱなしになってたからな、暇つぶしに来たんだよ」
「当たり前のように入らないで下さい、それに先輩はまだ怪我が残ってるんじゃないですか?」
「このくらいの怪我なら問題ない、それに後は一部の筋肉が硬直してるだけだ」
「なら、自分の部屋で休んだ方がいいと思いますよ」
「何故かこの部屋の方が落ち着くんだよ、フォルテが寝るのもわかるな。朝起きて上条のあれを踏みつけたのは後で聞いて笑い転げたよ」
「・・生まれて初めてあんな目覚めの悪い朝を迎えましたよ。しかも踏み抜かれたせいで余計に痛かったです」
「いや〜あの時は済まない、まさかバスルームで寝てるとは思わなくてな。それより、3年のトーナメントに出ないか聞かれてたな」
「なんで知ってるんですか」
「そりゃあお前達の後ろにいたからな、どうしても話は入ってくる。うちらの代でもそんなことは無かったからな、でも断らなくてもよかったんじゃないか?」
「いづらいので止めました。でいつまでここにいるんですか2人は」
「そうだな、眠くなったら戻るか」
「それはここで寝るって言ってるのと変わりませんよ」
「まあ、いいだろ。イテテまだ少し痛むな」
「はぁ、先輩少しうつ伏せになって下さい」
上条はうつ伏せになった、ケイシーの痛む場所を見抜き的確に痛みをほぐし始めた。ほとんどが腰に近い場所なの上条はすごくやる辛そうな顔をしながらも続けた。
「あ、ああ・・そこそこあ、気持ちいい。ああん!はあはあ・・ん、んん・・・」
「先輩、そうゆう声を出すのはやめて下さい、誤解を招きそうなので」
「本当はやってるんじゃないか?」
「やってないです!てか、どう考えてもこの状況楽しんでますよ」
「ふぅ気持ちよかった。マッサージも出来なんてどこかで習ったのか?」
「両親相手にやってたくらいですよ。フォルテさんもやってみますか?」
フォルテも上条のマッサージを受け終わった頃には疲れが抜けたのか伸びをしていた。
「いや〜確かにこれは気持ちいいな、疲れが溜まったらまた来るか」
「俺としては来てほしくないです」
「かみやん〜クラス代表就任のパーティがこれからあるけど行く?」
「そうだな、とりあえずこの2人には退出してもらいたいけどそれは無理そうだな」
「ほえ?何をやってたの?」
「少し、マッサージをしてたんだよ」
「え、そうなの、じゃあ私もやって〜」
のほほんさんも加わりやる事になったが一番こっていたのは肩の部分だった。
「のほほんさんも肩が結構こってるな、2人もそうですけど。あとは足ですかね」
「男には分からないだろうな。この重さは」
よく見ると3人とも胸が大きかったが変にそこを意識するとまたいじられるので目線を逸らした。
「ん、ふぇ〜。ん、んん」
「なんでそういう声を出すんだろう」
すると扉からまた数人が入って来た。なんでものほほんさんが帰ってくるのが遅いのが気になったとか。上条は後から来た人達の分もやり、いい加減疲れたのか椅子に座ったがまだ何も食べていない事に気付き、食堂で買っておいた食材で軽く野菜炒めを作り食べていた。
「ん、意外と美味しいな。少しいい食材が売ってるな」
「ん、誰だここで飯作ってるのは」
「いつからここはあなたの部屋になったんですか。って寝てたんですか?」
「・・ふぁあ、家事が出来るのはいい強みだな。また眠くなってきた」
「ここで寝ないでください!」
「じゃあ部屋まで連れてってくれ」
「はぁ分かりました、せめて部屋の番号は教えて下さいね。そしてのほほんさんも起きて!ここじゃないからね、あなたの部屋は」
体を揺らし起こそうとするが起きる気配がなく、起きてもすぐに寝てしまいどうしようも無かったので仕方なく部屋まで送って行った。結局、部屋で寝てしまった全員を送る事になりベットに横になりながら休んでいると一夏が帰ってきた。
「あれ、上条どうしたんだ?少しやつれてるけど」
「・・気にするな。少し疲れただけだよ。一夏こそどこに行ってたんだ?」
「少し鈴に振り回されてたんだ。あれ、クラス代表就任のパーティがあったけど行かなかったのか?」
「行ってないな。それより、あの2人の相手をするので時間を食ったし、途中から来たのほほんさんの相手をしてたらこんな時間になってた」
「また、来てたのか。閉めておいたはずなんだけど」
「普通に開いてたよ。はぁこれからのんびり過ごせると思ったけどな」
「上条も大変だな」
「今までの人生に比べれば楽なもんだ、この程度で大変なんて言ってたらきりがないからな。そう言えばトーナメントって、何時だっけ?」
「来週だったはず、上条は誰が残ると思う?」
「そうだな、玲奈か鈴だろう。燃費が一番かもな、玲奈に限っては5桁もあるからな。一夏のタイプの零落白夜を使うなら話は別だけどあれじゃ、4割でも削られば十分だ」
「5万って恐ろしい量だな、正直勝てる気がしない」
「倒れた瞬間から連続攻撃を叩き込めばいいんじゃないか?戦闘中はどんな汚い手を使おうと勝ったほうが勝ちになるからな。たとえ馬乗りなって殴り続けてもな」
「上条ならどっちも出来そうだな」
「・・・いやでもやる世界にいた事もあるからな。生き地獄に近かった」
「何か言ったか?」
「なんでもない、もう寝ようぜ」
思わず本音が溢れてしまったがすぐに寝始めた。いまだにオティヌスに植え付けられたトラウマが抜け取れない上条はうなされる事が偶にあるが、ほんの僅かな時間であり気づかれることはない。
原作どうりトラウマは健在です。