IS学園の異端児   作:生存者

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第70話

 

 

結果から言うと、試合は織斑千冬の勝利に終わった。

アリーシャのテンペスタの単一使用能力は機体の性能を数分に渡って三段階底上げする。パワーや速度も例外なく上がり普通の選手ではまず反応出来ない速度もでる。しかし、仮にも世界最速の機体と試合をしたことのある経験があったお陰で、攻撃を全て防ぎ零落白夜でねじ伏せた。

 

 

無事に体育祭も終わりを迎え、各競技の優勝クラスの表彰。それから総合優勝した色組への賞状の贈呈も行われ閉会式は終わった。しかし、まだやる事は残っていた。用具の片付け、それとちょっとした事後処理までも・・・

 

 

用意も生徒で行ったので片付けもと言う事で始めたが競技の道具がほとんどで、さっと終わり一息ついいると

 

「終わった〜」

 

「終わってない、ほら行くよ」

 

「ってええ!なんで?!」

 

「私はまだ景品を受け取ってないの」

 

と連れていかれた。強引に引き剥がせることも出来たが、ここに入ってからその方法をやるとろくな事がないので大人しくしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、おりむ〜この後時間ある?」

 

「あるけど、何からやるのか?」

 

「体育祭の祝勝会やるから食堂に来て欲しいな〜」

 

「行くよ。秋十も呼んでくる。上条は?」

 

「かみやんはわたしが呼んでくるから大丈夫なのだ〜」

 

バタバタと走って行くのほほんさんを見送った一夏だが、何処にいるのか分からない秋十を探し始めた。

 

 

 

「・・・何故か、疲れた」

 

障害物競走一位の景品でもあるツーショットを手に入れたダリルに連れていかれ、何枚か撮ることになった。しかし、かなり際どく、顔を唇が触れるギリギリまで近づけて撮影するまど、とりあえず勝ち取った人の意見を優先して撮影だった為、精神的にかなり疲労が残った。

 

と、1人部屋で休んでいると、ノックする音が聞こえた。扉を開けると着ぐるみのような部屋着でのほほんさんが来ていた。

 

 

「かみや〜ん。この後暇?」

 

「暇だな。今日の体育祭のか、今行く」

 

 

「いや〜かみやんのお陰でデザート無料券も貰えて今日は楽しかった〜」

 

「それゃどうも、デザートなんて最近食べないしいらないと思ったけど良かった」

 

 

 

 

「では、第1回IS学園体育祭の総合優勝を祝してかんぱーい」

 

『かんぱーい』

 

「楽しむのはいいけど、騒がしくしないようにな。他にも人がいるから」

 

『はーい』

いやいや、俺は教師でもないし同じ生徒ですよ?

 

「兄さん、あーん」

 

「兄上、私のも食べて下さい」

 

あそこのブラコンは、まあ暖かく見守るか。

 

 

「かみやーん、楽しんでる?」

 

「楽しんでるよ。で、そんなにデザート食べて明日大丈夫か?」

 

「これくらいならまだ大丈夫〜」

 

余裕って、1番食べてる上に冷たいアイスとかばっかりで腹壊さないのか。普段からお菓子を買い込んでる姿は見てたけど

そう言えば、前もこんな感じでお祝いやってて新聞部のひとが来てたような

 

「はいはーい、新聞部の黛です」

 

言ったそばから来たー!もう逃げよう

 

「初めての体育祭総合優勝に導いた3人に取材に来ましたー」

 

とグループの端に移動しようとすると

 

「では、最初に1番活躍したと皆さんが言っていた上条君から」

 

え、さっきまで反対側にいたはずですよね。いつから目の前に。

 

「ふっふっ、たっちゃんから逃亡の阻止の仕方は聞いてるから逃さないからね」

 

「はあ、分かりました」

 

あの人は・・・

 

「嘘はつかないでね」

 

「当たり前のように記事を捏造するあなたには言われたくないですね」

 

「それはほら、みんなが興味を引く記事にしたいからね」

 

その努力は分かりましたから、人に迷惑はかけないで下さいよ。

 

 

 

「はい、ありがとう。いい記事になりそうかな」

 

「・・・今度、捏造したら布仏さんに言います」

 

「お願い!それだけはやめて!」

 

と軽い脅しをかけて一安心している間に携帯電話が鳴り、少し離れて確認していた。

 

「ん、土御門か。・・・へ〜明日文化祭なのか。あいつら元気にしてるかな〜・・・外出届出してこないと」

 

面倒だなと思いつつも、許可証を事務所に出してまた戻った。夜に来ないでよと職員には言われてしまったこっちはある意味生死を分ける事でもあるのでなんとか承認してもらった。

 

「どうにか2日分取れたな。流石にこれでブルーレイデッキが飛んでくることはないか」

 

 

 

 

「あ、ちょうど戻って来た」

 

「ん、ちょうど?」

 

「うん、みんなで話してる間にその・・異性と付き合った事があるかって」

 

「へぇ〜でもここじゃあきっかけも何もないな」

 

「それは言わないで」

軽い気持ちで地雷を踏んでしまい、睨まれ慌てて謝る。まあ、遠距離恋愛なんて事もしてる人だって居るだろうからもう黙っておこう。

話を聞く限りクラスでも数人は付き合った事があるとか話が出てきた、まあここにいても乙女心は変わらないのか。

 

「ねぇ、上条君は付き合ったことはあるの?」

 

あのなあ、俺が入った当初の嫌がられていた事を分かって言ってるのか。まあ、見栄を張ることでもないし正直に言うか。

 

「一度もないな。大体、俺に告白するなんて物好きはそうそういないから」

 

「以外、一度くらいはありそうなのに」

 

「そんな幸せな時期は上条さんにはありませんよ」

 

平和に過ごせる事が幸せでもあるからな。

 

「じゃ、じゃあラブレターは?今も貰ってるなんて噂もあるし!」

 

どんな噂だ、来るのは果たし状ばっかりだ!しかも、男の!けどな、前は2回くらいあったな、あいつらには悪い事をした・・・

 

「・・・・」

 

「やっぱりないかな・・・」

 

「いや、2回だけある」

 

「え?」

 

いやいや、そんな以外そうな顔しないで。こっちも反応に困る。

 

「え、でもそうなると2人とも」

 

「2人とも断った」

 

だから、なんでみんな機嫌が悪くなるの。正直に言い過ぎたことにも問題がありますけども。

 

「詰め寄って来る前にせめて理由は聞いてくれ。俺は数年前から・・・いや 、小学校に入る前からずっと疫病神って言われて続けていたんだ。そんな中で俺とそう言う仲になったらどうなると思う?」

 

あの時は辛かったな。初めてだよあんなの。・・・だから無言で寄ってこないで、怖い

 

「相手の事も考えて断った、そんな事だ」

 

すでに居心地が悪いのだがこれ以上いると余計に悪くなりそうなので食堂を出て行った。

 

 

「はぁ、あんまり思い出したくない事だったな。あの頃は大分荒れてたし、危ない目に合わせたくなかった・・・そんな感じがだったよな」

 

「あらあら、モテる男は辛いわね」

 

「そんなモテる訳が・・・いつからいました?」

 

「最初から」

 

ふふふと笑って居る顔がどうしても何か企んでいるとしか思えないが、それ以上考えのをやめておいた。

 

「いや〜マッサージお願い出来るかしら?」

 

「はいはい、分かりました」

 

 

 

 

 

「すまない、山田先生。こんな時に頼んでしまって」

 

「いえ、織斑先生に掛けてしまったことに比べれば。あ、来ました。これが上条当麻君の小、中学校のデータですね」

 

「ありがとう・・・至って普通だな。多少、欠席があるのもも平凡だ。クラスでも人柄はよく男女ともに付き合いはある、これが高校になって怪物になるとは考えられないな」

 

「特に習い事はやってないようです。体験など行事には積極的に参加しているみたいですね」

 

この情報を見る限り、何処にでもいるごくありふれた学生としてしか見えず、ちょっとしたもやが頭に残っていた。

 

「はぁ、すまないが更識のデータを見せてもらうか」

 

と誰かに電話を掛けた。

 

 

 

『はい、織斑先生ですか』

 

「ああ、気になる事があってな。更識家で持っている上条当麻の情報を見せてくれないか?」

 

『・・・少し時間を貰ってもいいですか?』

 

「構わん、急な相談だからな」

 

と、一度通話を切りどのくらい時間がかかるかを予想している間に、電話が鳴った。

 

『構いませんが読み終わったら、シュレッターにかけて下さい。軽々と見せられるようなものでないので』

 

「分かった。感謝する」

 

 

 

「やはり、この情報量は凄まじいな。ん、これは・・・」

 

一通り目を通している間に目に止まった1枚の紙を手に取る。内容は、中学生1年の秋に教師に暴行を振るい謹慎になったというものだった。

 

「なんだ・・・」

 

次に取った紙には、当時記者をしていた男性を監禁をした上で会社を退職するまでに追い込んだとつづられいた。

 

「これは・・・本当に上条君がやったことなんでしょか」

 

「・・・過去の事だ。それを考えれば、大人しく生活している。問題はどうして、こんな事をしたかだ」

 

しかし、と続けて残った書類の束から2、3枚を取ってみるが、決して笑って言えるものではなかった。

 

「車によるひき逃げ、居眠り運転で数度の怪我。教師も日常的に暴力を振るっていたか」

 

他にも、資料に載っていたサイトを覗いてみると

 

「これは・・」

 

「まあ、荒れるには十分な理由だな。・・・ん、少し戻ってくれ」

 

疫病神と揶揄する言葉がずらっと並ぶ中、1つだけに目をつけた。

 

「こんなやつがこの街にいるくらいなら、織斑家の出来損ないの方がマシだ。か・・・名前が分からないからと随分と言ってくれるな」

 

「このサイトはまだ残っているようですね。更新を最近まで行なわれています、削除依頼も来ていません」

 

「・・・これが私の知らなかった面か」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、悩みの種である本人はクラスメイトの部屋で映画観賞を楽しんでいた。

 

「「「きゃー!!」」」

 

「静かに見ないのか?」

 

「ほぇ〜驚いた」

 

「のほほんさん、さっきまで寝てたよね。しっかり見ましたよ?」

 

内容はホラー系統のため、定期的に悲鳴が出ていた。部屋も雰囲気を出すために暗くしている為にビクビクしているのがほとんどだ。

 

「ふぅ、面白かった。あれ?大丈夫か、物凄い震えてるけど」

 

「うぅ、少し調子づいてホラー映画なんて借りない方が良かった」

 

典型的な心霊ホラーとサイコホラーの両方が苦手な人しかしないいのか。前ならこのくらい友達2人と笑って見てだけどな。

 

しかし、性別も違えば趣味も違うので腰を抜かして動けなくない人もいたので1人ずつ部屋まで送り届けると1人でベットに横になった。

 

 

「よく考えたらのほほんさん、ほとんどお菓子ばっかり食べたな。少しくらいは抑えた方がいいじゃないか?」

 

「これは卒業まで静かに過ごす事は出来そうにないか。っとそろそろ寝ておくか」

「前ならこんなにのんびり出来なかったし、ゆっくり休もう。あ、そろそろテストもあるのか・・・はぁ、不幸だ」

 

 

 

 

 

その様子を、はるか遠くの街から確認していた女は退屈そうな表情で眺めていた。

 

「え〜まだ生きての。本当に迷惑ね。あ、疫病神なんだからこのくらいは当然か」

 

「おい、あれだけ大掛かりな洗脳をして仕留められなかったのか?」

 

ヘラヘラと笑いながら男は軽い挑発を見せ

 

「誰に向かってその口聞いてんだ?」

 

案の定、それに乗った女は機嫌も悪くなり、口調も変わった。

 

「へいへい、すみません。聖人リーナさん」

 

「はぁ、リーナでいいわよ」

 

「・・・キレやすいのか分からねぇな」

 

「仕方ねえ、あの2人は付き合ってるんだから。せめて、ここでイチャつくのはやめて欲しいけどな」

 

言うのもなんだか、背中合わせの状態で先程の会話をしたいのだ。はたから見ればただの痴話喧嘩でしかない。

 

「なあ、面白い案があるんだが。やって見ないか?」

 

「どんな案だ?」

 

耳元で小声で何かを話すと男はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「仕事だ。内容は俺たちの害になるある家族の情報収集。そして、場合によっては始末する。以上だ。模造品の英雄に現実を見せてやろう」

 

 

 

 

 

 




なあ、幻想殺し。お前の人生で、失いないたくない物をいつまで守る?

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