IS学園の異端児   作:生存者

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第7話

「はぁ久しぶりにあそこで寝たせいか少し痛いな」

 

「大丈夫か、朝から悲鳴が聞こえてきたけど」

 

「大丈夫に見えるなら相当目がいってるぞ一夏。このあとすぐに二回の試合をする事になってるからな、そのあとにでもまたやるか」

 

「少し鈍ってるかもしれないけど大丈夫かな」

 

「また、しっかりシゴいてやる。ついでにこの写真もな」

そう言って渡したのは昨日一夏とフォルテさんが添い寝をしていた写真だった。

 

「え、これいつの間に取ったんだよ」

 

「昨日、部屋に入ったらこんな状態だったからな。面白そうだから撮っておいたよ」

 

「・・・一様受け取っておく、これが何処かにまわったら千冬姉に何をさらるか分からないからな」×一様→〇一応

 

「ああ、確かにこれがバレたら殴られそうな気がするな」

2人は呑気に話していたか後ろから急に寒気がし振り返ると、腕を組み仁王立ちした千冬先生が立っていた。

 

「ほう、この時期にもう部屋に女子生徒を連れ込むとは随分盛んだな一夏」

 

「いや、千冬姉。あれは先輩達が勝手に入ってきたんだよ。なあ上条」

 

「ああ、鍵穴に鍵を挿しっぱなしだったけどな」

 

「あれは上条が挿しっぱなししたのが悪いだろ」

 

「いやいや、だったら一夏だって一緒に寝ることはないだろう」

 

「どっちも同罪だ馬鹿者!」

ありがたく鉄拳をもらったが何故か二回もやられた。普通にやっただけなのに結構痛い、一体何処からそんな力が出てくるんだ?

 

「それと上条、お前はこれから試合が入ってる早く行け」

時計を見ると時間ギリギリになっており走って上条はアリーナまで移動した。校則では廊下を走るなと書かれていたので上条は僅かに宙に浮き移動した。

 

「なあ一夏、一緒に試合観戦でもしないか?」

 

「いいよ、ついでに部屋の掃除でも行こうか?」

 

「・・すまん、頼む。あと、秋十を見なかったか。クラス代表を任せるつもりだがとりあえず本人の意思は聞いておく必要があるからな」

 

「秋十がまとめられるか心配だな」

 

「それはあいつがどうにかする問題だ。あ、上条に伝え忘れたことがあったな。まあ、後でいい」

千冬が思っていた事が気になった一夏は聞いてみるが一向に口を開かなかった。

 

 

「はぁ来たぞ。まだ始めないのか」

 

「ええ、そうね。始めましょうか、あら何か変わった事に気付かないかしら」

 

「ん、なんだ専用機持ってたのか。しかもシールドエネルギーが5桁いってるな」

 

「どう、あんたに勝つのには十分でしょ」

自信満々に発言している玲奈、それを表すかのようにシールドエネルギーが50000と表示されていた。

 

「そうだな、けど・・俺を倒すならせめてシールドエネルギーを無限にしろ」

はっ?と玲奈は言おうとしたが遅かった。試合開始のブザーが鳴り集中しなければならなかったからだ。上条が出しているハンデは2つ、パワーアシストを半分に切る、使う武器はメイスと制限していたが甘かった。その程度では上条の運動性能の5%も制限出来ていないからだ。

 

「射程距離」

持っていた5mものメイスを玲奈の専用機に向け横に振るった。その距離は30mは離れているが横に大きく吹き飛んだ。上条は地面を踏み込み一気に飛び上がった。

 

「はっ!何なのよあんた」

 

「普通の人間だ・・・切断威力」

ズバッン!!と今度は真上から振り下ろされたメイスが真っ直ぐに玲奈に襲いかかり、逃げる暇もなく背中から叩きつけられ地面に落ちた。装甲にはメイスの痕がくっきりと残り、シールドエネルギーはたった二発の攻撃で約2割も取られたがまだかなりの差が残り外から見る人間からは上条が不利に見えたが一部の人間は上条が勝つことを思っていた。

 

「天使化」

上条は呟き更に高く上がった。手に持っていたメイスにはさらに強く握りしめ、高く掲げた。会場内にいた人は上条が使う単一仕様能力が気になり管制塔にいた教師はデータを取りたいのか必死に録画をしていた。

 

「聖母の慈悲は厳罰を和らげる」

次の瞬間まだ明るかった空が急に暗くなり、上条の真後ろに月が上がった、そして握られたメイスが少し青く光り、一気に降下しながら振り下ろされた。それはインパクトと同時に轟音が響き渡り、客席とアリーナ内を隔てるシールドバリアが一瞬で散り客席に暴風が吹きあれた。地面は大きく変形し上条が落ちた場所を中心に凹み、その下には玲奈がいたがさっきの一撃で心がへし折れたのかその場から上条が離れると逃げるように離れていったがシールドエネルギーの残量は偶然か1だけ残り、上条は終わらせるためにゆっくりと近づいていった。

 

「こ、来ないで!」

 

「行かないと終わらないのに近づくなって、随分とふざけたことを言うな。もうこれだけなら脱いだ方が早いな」

上条は足の部分だけを残し、他の展開した場所を待機状態にした。それから上条は右手でISの腹の部分を持ち上げ手に力を込めていた。その内、ミシミシと音が聞こえ気がつけば上条の手の形に凹み始め、ISの装甲が変形し始めた。

 

「おっともうこんな時間か、じゃあな玲奈お疲れ」

軽く左手で持っていたメイスで叩き、シールドエネルギーをゼロにした。下にゆっくりと降ろし上条はすぐにピットに移動し、ケイシーさんが待っている別のアリーナへと移動していたが今までやっていたアリーナにフォルテも見に来ていた。

 

「・・先輩頑張って下さい」

 

「タッグマッチのペアなんだからもう少し何か送ってあげたら?」

 

「そうは言っても簡単にこれだけ破壊出来る人間相手に戦う人にはこれくらいしか。あれいつの間にか空の色まで戻ってる。ますます分からん」

 

 

「はぁあのバカ、これを誰が直すと思っているんだ」

 

「久しぶりに料理作りに行ってもいい?千冬姉」

 

「頼む、作ってくれ。これから残業が続きそうだ」

この後の仕事に頭を抱えながら歩いていく千冬を見送った一夏はもう1つの試合も見に行くため立とうとすると何故かセシリアが来ていた。

 

「あれセシリアも見に来てたのか?」

 

「は、はい。もっと実力をつけないとまだあの様に負けるかもしれないので。あ、あの一夏さんこの後試合一緒に見てもよろしいですか」

 

「ああ、いいぜ」

 

「いっち〜私も一緒に見ていい?」

 

「いいけどそんなに俺と見たいのか?」

 

「もちろんです一夏さん!」

 

「お、おう。分かった」

一夏達も移動し、アリーナに入るとほとんど席はうまり、所々どちらが勝つか賭けをしている人もいた。

 

「おーい一夏こっちだ」

下の方から声が聞こえ、目で追うとフォルテ先輩が手を振りこっちに来る様に手招きしていた。それに応じる様に下まで降りていき、座っていた。

 

「どうしたんですかフォルテさん」

 

「なあに、特等席があるからお前に残しておいたんだよ。それにしてもさっきの試合は驚かされたな、一撃でこの広いアリーナがクレーターになったのは初めてだよ。楯無でもここまでは無理だな」

 

「楯無さんって生徒会長のですか?」

 

「そうだ。まあ、単一仕様能力みたいのを使ってクレーターを30mくらいを作るのが限界だな」

 

「そうなんですか、って何で胸を押し付けてくるんですか。セシリアもなんで押し付けてらくるの?!」

 

「き、気にしないで下さい」

 

「何だ気づいたのか、もう少し楽しもうと思ったんだがな」

 

「俺は玩具じゃないんですよ」

そうな事を言いっている内に一夏とケイシーがアリーナに現れ、試合が始まろうとしていた。

 

「お前はどっちが勝つと思う?私は上条が勝つと思うが」

 

「俺も上条が勝つと思いますね。手合わせを何百回もやりましたけど、勝てる気がしませんでしたよ」

 

「やった事があるのか。どうせならこの後見てみたいところだけどな」

 

「ちなみに本気でやる時は武器は一切使いませんね、武器を使って間は遊んでますから」

それを聞いた、フォルテとセシリアは驚いてたが、本気でやってくる上条を一度しか見た事がないので、まだまだ強くなろうと一夏は心の中で思っているとブザーが鳴り試合が始まった。

 

「ショットガンに剣ですか、随分凝ってますね」

 

「お前こそ、デカイ剣を構えやがって。無理になったら変えてもいいぞ」

 

「ありがとうございます。じゃあ俺から」

上条が持っていたのは3.5mもある大剣だ、大小9カ所にそれぞれ別々の切り方があるアスカロン、それを振りながら近づき丁度インパクト時に当たるように調節して行ったが僅かに後ろに下がられ避けられた。ケイシーに向かいながら近づき、横に一閃したがそれを上条は真上に飛び避け、上から剣を振るが受け止められた。

 

「う、くそ重い。だけどこの程度で負けられないんだよ」

 

「そうですか、じゃあもう少し強めに行きます」

さらに力が入りギリギリ少しずつ下に下がり始めると、ケイシーの腰の辺りから急に光が生じた。

 

「え、まさかビットそこに仕込んでるのかよ」

 

「そうだよ、だてに3年の実力者やってないぞこっちは!」

腰の位置から発射されたビームは一直線に上条に飛んで来た。上条は両手はふさがり避ける余裕はなかったがそれでも少し口元は上がっていた。

 

「それじゃ当たりませんよ」

上条は大剣にある突起にケイシーの持っていた剣に引っ掛け手前に引きギリギリで避けていた。そこから剣を大きくさらに目に見えない速さで回し下から切り上げた。

 

「くっあそこから避けるか!だがそこじゃまだ射程圏内だ!」

振り向くと同時に背中に背負っていた大型のショットガンを取り出し2回撃ってきた。最初の一撃は避けられたが、2度目の弾幕は避けられず後ろに引いたがお返しとばかりに一気に接近したがそれを待っていたかのようにケイシーのショットガンが狙って来たが近づいてきた上条に撃ったがそれは上条を通り抜けて行った。

 

「ケイシーさん俺はこっちですよ」

ケイシーは持っていたショットガンをしまい剣を真後ろに振るったが上条は前に現れ、振るわれた剣で顔の高さで当たり横に大きく体勢崩した。さらに接近しシールドエネルギーを削りに行こうとするがまたビットにより、撃ち落とされそうになり、上条は今まで使わなかった右手で発射されたビームに手を合わせた。ガラスが割れたような音が響き、飛んできたビームが目の前から消えていた。

 

「な!何だ今のは」

上条は驚いた隙に両手でフルスイングの一撃を決め、ごっそりとシールドエネルギーを削り距離を取った。

 

「上条、何だその右手は」

 

「ちょっと特殊なだけですよ俺の右手は」

そう言って右手を軽く振っていた。上条からしてみれば記憶を失ってからここで戦う時までいつも世話になったり酷い目に会ったりしたがここまで一緒に来たいるので逆にその反応をされる方が上条は驚いた。

 

「まあ、気にしないで下さい。ビーム兵器にしか通用しませんから」

 

「なら、こんなのは捉えられるか?」

ケイシーはビットを展開しするとさっきと同様に発射した。上条も避けるがそのビームは上条が避けた先に曲がって来た。

 

「フレキシブル射撃か厄介だな」

フレキシブル(偏光制御射撃)ビット兵器が高稼働時に出来る特殊射撃。ビームを不自然に曲げて射撃する事が可能。

 

上条はその曲がったビームを寸のところで避け、お返しとばかりに弓を構えて撃ったがもちろん直線にしか飛ばないものなのであっさりと避けられるが空中で急に止まりその矢の先はケイシーの方向を向きさっきと同じ速度で飛び回りそれからは生きた鳥のように飛び回りながらケイシーを追い続けていた。

 

「なんだこの矢、まさか変なものでも仕組んだのかよ?!」

 

「ただの矢ですよ。どうですか自分なりのフレキシブル射撃は、結構たのしいですよ」

 

「こっちは全然楽しくない!て言うか打ちすぎだ」

 

「気をつけてください、一回当たったらすぐに全部当たりますよ。っとてい」

 

「ていじゃね!おっと、クソまともに近づけない」

 

「・・先輩、いつまで俺はその場に居ませんよ」

 

「なっ!」

無数に放たれた矢に追い回されるケイシーさんの前に上条は一種で移動し装甲を掴み地面に投げつけていた。すぐに起き上がり逃げようとするがそこへ逃げ場を奪うように次々の矢に降り注ぎどんどんシールドエネルギーが削られ最後には刺さった矢が全て一気に爆発しシールドエネルギーが0になった。上条はISを解除し地面に降りると爆心地のようにえぐれた場所に行くとISが解除された状態で倒れているケイシーさんがいた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「少し大丈夫じゃない、もう少し手加減しろ。あれ、動かねぇ」

 

「しょうがないですね、よっと少し我慢しててくださいよ」

 

「何がしょうがないだ!早く下ろせ」

 

「降ろしてもいいですけどずっとここにいたいですか?」

 

「・・やっぱり頼む」

上条の好意に素直に応じ、そのまま運ばれていた。

 

その時管制塔では今の上条の試合を見ていた、山田と千冬が話し合っていた。

「上条君、本当に人間か疑いたくなりますね。測定不能の数値は本物のようですけど」

 

「まあ、話を聞いた限りだと毎日鍛錬はやっているらしからな実力は本物だろう。だがあんな芸当を見せられるとどう考えればいいかこっちは困りものだ」

 

「そう言えば上条君の事で何か考えてたんじゃないんですか?」

 

「ああ、あそこまでの実力があるなら上級生の試合にも混ぜて構わないと思ってな。あれを見る限りなら、3年に混じってやっても問題無いだろうが特別枠で出すわけにも行かん」

 

「でも全体的な実力を上げるなら入れるのも悪く無いと思いますけど」

 

「・・少し相談してみよう。内の代表は秋十だ、これを気に才能だけで威張るのは止めてもらいたいんだが」

 

「それは…何というか無理そうですね、そう言えば一夏君はどうするですか?」

 

「それも考えてる、前に上条との試合が一回だけ残っていたのを見た事はあるがうちあいだけなら楯無よりも上回るぐらいにはなっているからな、2年方に入れようとも思ってる」

 

「忙しくなりましたね、今年は特に」

 

「確かにな。少し外す、もう一度機体の性能を測ってくる」

 

 

「ようやく着いたわね、一夏待ってなさいよ」

 

 

 




矢が無数に追い回してくる、現実であったら怖すぎますね。

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