「ではこれよりIS学園体育祭を開催します。解説は私、更識楯無と」
「放送部の黛薫子で進行していきます!初めての企画と言うのでぜひ盛り上がって行きましょう!」
毎日くたくたになって帰ってくる姿から想像もできないほど元気な挨拶。そして、クラスメイトを含めた女生徒のほとんどが物凄い声援が上がる。それはもう耳を塞がないと鼓膜が破れそうになるくらいに
「なあ、耳栓持って来た方が良かった?」
「それより気まずくないのか」
「「・・・気まずい」」
普段使っている観客席を待機場所で使っているのも全員が運動を出来る服装にのにも特に問題はないと思ってる。しかし、その服装が気のせいか際どいのでないかと
「ほとんどの競技は出れないから見てるだけか」
「視線も突き刺さるし速く逃げたい」
「・・・ちっ」
本当ならば見ているだけで時間を過ごしたいところだが、中は強制で 的に審判とスタートの手伝いもやっているお陰で休む時間は少なかった。
「続いてはお待ちかねの障害物競争です。多少危険が伴うので誓約書にサインしてから参加をお願いします」
「参加が多いですね。やはり、景品目当てと言う事もあるのでしょか、肉食系の女性が沢山集まっております」
「おい、一夏一緒に走って来い」
「は?!やめろ、あそこに入ったら何されるか分からねぇよ」
「先輩にでもお世話してもらえ」
「お前が行って来い」
どちらにしろ全員行くのだ。スタートの合図で1人、それから途中で着替える場所があるのでその衣装のくじ箱を持つのが2人で座って休む時間はなかった。
「さて、気になる優勝賞品は内容は何でしょうか?」
「はい、1位にはあの3人のうち1人とツーショット写真を撮れる権利!そして2位から10位までの子にはは黛ちゃんが集めた写真から15枚のワンセットの写真集を送ります!」
思わず飲んでいた水を吐き出してしまった。話は聞いていたが盛り上がっている人の数があまりも多かった。
「やっぱり、あんた達も来たのね」
「鈴さんだって欲しいのでは?」
「私はツーショットくらい頼めば撮れるわよ。それより見たことの無い写真よ」
「ずるーい、私も撮りたいのに」
「幼馴染の特権よ」
クラスの女子か殺到するが、幼馴染である鈴ならばそれくらいは簡単に頼んで出来てしまう。
「それなら私も出来たぞ」
とツーショット写真が待ち受けになった携帯を見せるラウラにまた騒がしくなった。
「本来であれば障害物の内容を言いたいところですが、内容を知っている人も入ってため。伏せておきます。では全員頑張ってください」
「さあ!スタートの時間が迫り、鼻息が荒い人もちらほらと見受けられますね。そして、それを悟ったとかスタート係の一夏選手、かなり間を空けて待機しております」
「おーい、もっと近づけよ」
「誰が行くか!」
「では後少しで始まるので改めてルールを説明します。障害物のは5種類、その内2つ目と4つ目の障害物の後に衣装くじの箱を持った秋十君と上条君がそれぞれ立っているので必ず引いて、着替えてから次の障害物に向かってください」
「つまり、衣装によっても勝敗が変わってくるわけですね」
「ええ、他にはISで障害物を破壊する事も禁止。それ以前に使用もダメなので部分展開も禁止しています。違反した場合は織斑先生からのお仕置きがあるのでご注意下さい」
集団の中で数人が慌てた様子で動いているのが見え、釘を刺して良かったと少し安堵した。
「制限時間は1時間です。では時間も来たので一夏君。スタートの合図を」
放送室からの指示も入りスターターを真上に向け片方の耳を手で塞ぐ。
「位置について、よーい・・・」
パアッンと乾いた音が響き、衣装替えをした集団が走り出した。走り出しすぐに見えたのは平均台、参加人数も考えて数を増やしてあるのはいいとしても長い。一般的な長さは5mほどのものだが、それを何本も繋げて数十mまで伸ばしてあった。しかも、タチが悪いことにその下は池。ただの水なら可愛いが生徒会長のいたずらでローションに変えられいた。
「ここは代表候補を筆頭とした選手が次々と向けていきますね。しかし運動部の人も負けててはいません!部活で鍛えた成果がしっかり出ています!」
平均台の上を恐る恐る進む人の中、走ってゴールする人も現れ始めている。正直、試合で成果を出すべきでは?とは思っても口には出さない。言えばろくな目に合わないと直感と今までの経験がさとっていた。
「次の障害物は10mの壁です」
「ある程度は傾斜を付けて登りやすくしているそうですが」
「その対策として、ロープの設置とくぼみも付けてクライミングでも進めるようにしてあります・・・一部の人間には全く関係がありませんね」
「妹にしたい人ランキング2位のラウラさん。軍隊の服お陰なのか軽々と登り、すでに乗り越えております」
おい、いつの間にそんなランキングが出来てたんだ!聞いたことないぞ。つーか、専用機持ってる人達速い。
「お兄ちゃん、先に行きます」
「おお、怪我しないようにな」
未だにこの名前は違和感が残る。どうにかならないのか。と考えている暇もなく次々と人が通って行く。
その後も網潜りや水面に置かれたマットの上を走り抜けるといったものが続き、楽しんでいる人も出て来てはいるが大概の人は本気になっている。
「やはり壁に苦戦する人が続出。これはリードを一気に広げるチャンスですね。とそうこうしている間に先頭集団が最後の障害物に到着しました」
「最後は綱渡り、あと申し遅れましたが落ちると失格になるのでご注意下さい」
と言っている間に先頭で着いたケイシーも着いてから足が止まった。
「あれまあ、これはやってくれたな」
先の見えないのロープが一本と、真下はわざとなのか煙を出して高さを隠している。ここに来るまで階段で上がって来たので大体5m程度だとは思っていてもここに立つと感覚も変わる。
「やっと追いつきましたわ」
とナース服で次に着いたセシリアは息つく暇もなく挑戦。半分程進んだところでバランスを崩して落下。
「この程度、私には簡単だ」
今度はメイド服で現れたラウラ、訓練で手馴れているのか先程言ったセシリアの倍の速さで進んでいく。足元のロープはほとんど揺れず、体が一切体勢が崩れていなかった。
その数秒後遅れてシャルロットがこの季節に水着で到着し同じく進んで行く。だか前を通り過ぎる前に僅かに顔が笑っているようなと思っていた矢先、そのラウラがに追いついたが何か耳打ちしたとたん、顔を真っ赤にしたラウラがいきなり振り向いてバランスを崩した。しかし、その後落ちる途中でロープに足が引っかかり大きく揺れてシャルロットも落ちていった。
また犠牲が出たなと内心思いながら見守っていたが自分の番に回って来たので。安全にゆっくりと進んで行く。
「一本道なのが幸いだな、急ぐ必要もなくなる」
後ろからの妨害もなくゆっくりと進んでいき無事に1位でゴールしていた。
「え、何よこれ。失格ってもう何人か落ちてるわけ?」
「鈴ちゃん。ちょっと待って、速い」
「ティナ、遅いわよ」
ケイシーが真ん中まで着いた頃、遅れてやって来たのは鈴と同室で友人のティナ・ハルミントンだったが、体力が追いつかないのかだいぶ息がきれていた。
「とりあえず、これさえクリア出来れば」
一位なるつもりがもとからない分、2人とも慎重に進んで行った。
途中下からの悲鳴が聞こえてティナは足を滑らせかけたが無事に渡りきり、先にゴールしていた猫耳を付けたスーツ姿のケイシーに出迎えられた。
ちなみに2人の衣装は幼稚園児とスク水だった。
「1位は3年のダリル・ケイシーさん。2 そして、1年から2人のもゴールした人が出ています。残る商品の枠は8人。誰がゴールするのか!」
「後続の集団もどんどん前に出て、よりヒートアップしています。次にゴールの可能性があるのは2年のフォルテちゃん、と行っている間にゴールしておりました」
「景品を受け取れるのはあと7人、さあ一体誰が取るのか!まだまだ続きます!」
それから女生徒達の戦いが制限時間ギリギリまで続き、盛り上がった競技だが景品がなくなった時点で終了となり、肩を落として落ち込む生徒が多く出た。
「では、11位までにゴールした人は昼休憩の時間に運営の方へお願します」
「今から15分後には次の競技に移りたいので衣装の返却とシャワーを浴びて各クラスの集合場所に戻って下さい」
とぞろぞろとアリーナのグランドから流れて出て行くのを見送った後、使用した衣装の片付けや、障害物の解体が急ピッチに進められていた。大きなものは体育祭の後で片付けることにし、テントや汚れた設備の簡易的な掃除が行われ。15分後、時間ぴったりで生徒が全員が席に着いた。
「では午前中最後の競技、クラス対抗選抜リレーを始めます。しかし普通のリレーだとつまらないので、各学年で上位2組が決勝に出るというトーナメント方式になりました。もちろん、優勝したチームには景品があるのでそれは後ほど」
「では1年から始めるので、準備して下さい」
男子がいるとみんな乗ってくれるわね、って男子全員出てる!?それは反則よ!
「なあ、本当に出てもいいのか?」
「決まった事に文句言っても変わらないだろ」
「女子に負けるのが嫌なら棄権でもしろ」
最近になって妙に対抗心を向ける秋十をはいはいと軽く流して、今はこのリレーで頑張る事だけを考えていたが、1年でも運動の方面で抜き出ている1組が負ける敗因はほとんどなかった。文字どうり
「圧勝!実力者が偏っている事もあるのか最後には半周以上のリードでゴール!」
「まだまだ余裕がある表情、これは優勝が確定か!」
あ、私も走るんだった。虚ちゃんに変わって貰わないと。ただでさえ、織斑先生の特訓を受けてる子が多いのに男子3人って勝ち目がないわよね。フォルテちゃんと同じクラスで出るとしても負けるかも
白熱したリレー対決もすぐに予選が終わり、ついに決勝が始まる。専用機持ちのほとんど参加する事になったが、長年部活などで体力や足の速い人が出ている為、上級生相手に苦戦はしたものの1組が優勝し景品である、1ヶ月デザート無料券が渡される事になった。