IS学園の異端児   作:生存者

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第61話

「日本支部との連絡が途絶えた」

 

「日本支部だと?あそこは高い金まで払ってアメリカから盗んだものだぞ」

 

「この通り、わざわざ写真まで送られてきた」

差し出された写真にはその潜水艦となっていたはずの組員、幹部の人間が縛り上げられた状態で写っていている。

 

「いつの物だ?」

 

「今から2時間前。まだ情報が流出していない可能性高いが拠点の早期変更が必要だここから「何処に変えるんだ?」誰だ・・・なぜお前がいる」

電子ロックと指紋認証で閉じられた部屋に簡単に押し入られた事に驚く。

 

「わざわざあんたらが居場所を教えてくれるから来てやったんだ」

 

「そんな馬鹿な!ありえない」

 

「ネタバラシをするとその写真には天才の技術が使われててな。カメラになってるんだよ。インクの材料にマイクロマシンが含まれてて映像として見れるんだよ。それをジロジロ見るから」

 

「だとしてと見ていただけだ!それだけでどうやって!」

 

「さて、お前らのつけた俺への通り名は何だっけ?」

 

「疫病神、もしや死神か!」

誰だよそんなあだ名をつけたの。殺し屋にそんな名前のやつはいるけどよ。

 

「ともあれ、俺が来たようは知ってるよな?逃げのびたお前らを今度こそ、鉄格子の奥に入れてやるよ」

その言葉を最後に意識を失う。再び起き上がっ時には本当に牢屋の中で座っていたが。

 

 

 

 

束さんが暇つぶしで作ったテレポーターもどきで世界中に散らばっていた支部を叩き潰した一同はまた学園に戻って来た。

「ん〜これであとは一つ。みんなお疲れ様〜」

 

「その一つってもしかしてIS委員会ですよね」

 

「お、鋭いね。その通りだよ、いや流石の束さんでも爆破したくなったけどちーちゃんに止められちゃってね」

え、いつでも爆破できたってと?そういう事なんですか?!

 

 

「それなら、餌で釣るのが一番いいじゃないですか?」

それを聞いた、数人は理解出来たのか苦笑いを浮かべる。

 

「例えば、まだ大概の国が完成されられない第3世代型並のISのコアで」

 

「ISのコアなんてそうそう・・・まさか」

 

「そうだ、ここに襲撃して来た連中のISコアだ。それに俺は第3世代型と断言してないし、あくまで並としか言ってない」

性能も第二世代型よりも遥かに上回っているが第三世代型には及ばない性能の機体がゴロゴロ落ちていることを全員が思い出す。

 

「まあ、それはいいとしてひとまず今日は休め。と言ってもこの有様では休むことも無理か」

 

それに聞いて軽く左手を振る、それだけで瓦礫だらけになっていたはずの校舎、アリーナ、寮、それに道まで傷一つ無くなり元のどうりになる。その光景にウィリアムを除く全員が呆然と立ち尽くしていた。

 

「上条、後で貴様に聞きたいことがある。夜に海岸まで来い」

 

「ここじゃなくてか?」

 

「貴様、本気で言ってるのか?」

 

「冗談だ、夜でいいならいくぞ」

ひとまず今日は全員が休む事になり、生徒も地下の部屋から解放され寮に戻り始めていた。時刻は午後6時近くになりほとんど日が落ちていたが戻り始めたが生徒によって賑やかになりなっていた。観客として来たVIPの方々には別の部屋が用意されて、明日には帰国する事になった。

 

 

「あれ、あんなに爆発音が聞こえてたのに学校に傷一つない!」

 

「それより、第2回モンドグロッソを優勝したアリーシャまでいるわ」

 

「向こうだとイーリスさんもいたわよ」

 

「え、本当!」

今回の騒動でやたら有名な人が救援に来たいたこともあり、ある種の戦争が終わって恐怖から逃れられた事よりも、歓喜や驚きと言った感じの人が多い。

 

 

不安から解放され楽しむ生徒達を校舎の窓から見つめる2人の姿がある。

「元気な生徒が多いわね。私もここの生徒になって見たいわね」

 

「アリーシャ、おふざけはここまでして聞きたい事がある。何故IS学園が占拠されていることを知っていた。あの時点して知っているのは束と専用機持ちのほんの一部、それと外部の協力2人だけのはずだ」

 

「その一部の専用機持ちから情報をもらったある国のお偉い様から聞いてね」

 

「それは誰だ」

 

「お偉い様の方?」

 

「違う、専用機持ちの方だ」

 

「それは私も知らないわ。ただ、専用機持ちの知り合いとしか説明されなかったから」

 

「そうか、ならそのお偉い様は誰なんだ?」

 

「イギリスの軍事に特化しか王女様よ。専用機は国に返したはずだけど1時間もしないうちに届いたし、手回しが早かったわね」

 

「色々と聞きたいが、それだけで来るとは思えん」

 

「まあね、本当の目的は貴方との決着をつける事だから」

 

「決着か・・・いいだろう。これが済んだら、あの時は邪魔が入って終わらなかった試合を」

密かに決められた因縁の対決、それも今回仕事が片付いてからのことだが、もう終わっているかなように話を続けている。

 

 

 

 

 

 

「一夏、あんた怪我は大丈夫なの!?」

 

「鈴、見舞いは助かる。できれば声出さないで静かに頼む」

 

「結局あいつには誰も勝てなかったのか」

 

「鈴さん!まだ入っていけないと言われていたのを覚えているんですの?」

 

「知らないわよ!大体何も無いんだからどうぞ入ってくだいって言ってるようなもんでしょ!」

 

「一夏、ラウラ見なかった?」

 

「ラウラ?今さっき起きたばかりで・・・」

シャルロットの問いかけに見てないと答えかけるがまず確認するために布団を剥いで見ると見事にしがみついて寝ているラウラがいた。どうりで体が重いわけ・・・

 

「マドカ、なんで」

 

「んあ、おはようお兄ちゃん」

 

「兄上、おはようございます」

 

「おはようじゃなくてな、何でここに?」

 

「夫を守るの嫁の務めと言われたのでこうやって外敵から守っていました」

 

「私は久しぶりに一緒に寝たかったから」

2人ともにこやかに笑っているが周りからの視線が痛い。

 

「ほう、随分と騒がしいと思ったらまだお前らか。この部屋は立入禁止と言っておいたはずだが?まさか、それを破って訳では無いな?」

更に鬼のように仁王立ちしてこちらを見る人によって全員が震え上がる。

 

「教官、私は夫を守っていただけです!」

 

「それなら、部屋の前を見張るだけでも十分なはずだが?」

 

「それは・・・いえ、それだけでは窓や壁をつきやっぶって入って来る侵入者までは防げません」

 

「少しはまともな答えになったが・・・全員、床に正座だ!」

響き渡る声に一夏を除く全員が正座をする。逆らったらどうなるか分かっているのもあるが、いつも以上に笑顔が優れているのも一つの恐怖だ。

 

「私も今日は疲れているからな手短に済ませよう」

要するにいつも時間をかけて怒るところを短く濃度の濃い説教にしてやるという事だった。

 

 

 

 

「これで制服は元どうりか。でも少し色が・・・いや家に残ってる同じ色のを縫っておこう」

1番怪我もして疲れているはずの功労者は部屋で裁縫作業に追われている。私服でくればよかったのだが、中学時代の制服の方が動きやすいと言うものあり必然的にこれになった。

 

「まさか、聖人にこんなところで会うなんて世の中わからない事だらけだ」

呼び出しまで受けたけど、何を言われるのか。まさか、あの続きか。いやいや、こんな時にやったら勝ち目がないし。そこまで血の気が多い訳でもないし。

 

「ん、そろそろか。行ってこよう」

 

 

 

 

 

「来たか」

いくら、島とはいえ中心近くから直線距離でも2km近くあるのでそこそこ時間がかかった着いた。あたりはすでに暗く街灯で姿を見つけていた。数時間前までの殺気を含んだ雰囲気はなくなったが、その視線だけは変わっていない。

 

「で、話って何だ?」

 

「単刀直入に聞く、貴様は何者だ」

 

「何者って普通の人より動ける高校生」

 

「いや、聞き方が悪かった。魔術師でもないお前が何故私と同格の魔術を使える」

 

「原罪があんたと同じくらい薄くて、特殊な魔術を出せるくらいだ」

原罪、人間を縛り付けるものであり。人間である限り必ず付きまとうものだ。ただし、魔術派の中の一握りの人間は極限まで希薄にする事で神や天使クラスの魔術も行使できる。

 

「原罪か。待て、お前は一度も使った事がないと言ったな」

 

「まあ、使ったことはないな」

 

「なら、どうやって発動させる。まさか、今まで見た事のある魔術の再現が出来る、なんて事ではなかろう」

 

「ッ!・・・」

 

「当たりか。魔術師にとっては厄介な敵だな。今回は妹を助けられたから手は出さん。だが覚えておけ、仕事で貴様の始末が来た場合、その時は覚悟しておけ」

それだけ言い残して海面を走り去っていく。流石は聖人、5秒もしないうちに見えなくなった。

ウィリアムの妹さんは潜水艦のまだ見ていなかった奥に部屋で監禁されていた。同じ家族なのか疑いたくなるほど性格はかけ離れ、金髪で細身、しかも俺を見ただけでおどおどしていた。それからどこに行ったのかは分からないが、今から迎えに行ったのだろう。

 

「あれ、どこかで見た事があるような・・・気のせいだよな。明日には面倒ごとを終わらせたいな」

 

 

その頃、地下の解析室ではものすごい速度で残骸の解析を行っていた。

「ん〜やっぱり雑な作りだね。とてもじゃないけど第3世代のISとは言い切れるものじゃないな〜でも、あぶり出すのには十分かな。えっと数は1、2・・・11個か。よしお終いと。じゃあ、振り分けはちーちゃんに任せていっくんのベットに行くぞ〜」

 

 

 

 

「あら、レイン。部屋には戻らないの?」

 

「戻れる訳ないでしょ。正体まで明かされてるのよ」

一方、3年の寮の屋上に気分転換に訪れたダリルをスコールとオータムが出迎えた。

 

「誰も知らないわ。ここの生徒なら前科なんて関系なくあなたを受け入れてくれる。特にあそこに寝そべってる人はね」

指をさしたのは、川の近くで寝そべっている男子学生。それもよく知っている人物だ。

 

「あいつ、疲れって言葉を知らないだろ」

 

「ISの先鋭部隊と残りの一個大隊を1時間も掛けずに殲滅させた人に疲れはないでしょう」

 

「ちょっと待て、それは噂のはず」

 

「残念ながら本当よ。当時中学生2年生の子供に潰された。上の人間も危険視したけど、全員が顔面に青あざがたくさん残るほどボコボコに殴られて発見された」

 

「敵に回してあれほど怖い人間はいない。見た目、才能、家柄も普通、平凡か。一言で言えば、危険と判断される要因が全く無いからだ」

危険人物の判定は色々なものがある。性格、見た目もあるが行動や他にも家柄でもある程度は考慮されて決めるものだが、両親共いたって普通、本人も家事が得意なくらいであとは喧嘩が学生ではまあ強いくらいにしか思われないのだ。

 

「パンドラの箱でも開けてしまったようね」

 

「そこまで言うか」

 

「あながち間違いでは無いでしょう?ダリルも休んで来なさい」

 

 

 

 

 

 

「くしゅん!誰か噂してるのか。シャワーは浴びて来たからお見舞いでも行くか」

すっかり暗くなり、外は誰も通らず静まり返っている。その代わり寮は騒がしくなっていた。

 

「一夏、怪我の具合はどうだ?」

 

「軽い打撲程度だ。明日にはここから出れる」

手足に包帯が巻かれているが、この様子だと酷く傷が残っている事では無さそうだった。

 

「なあ、お前って何者だ?・・・学生以外で答えてくれよ」

 

「魔術が少し扱える人間だ」

 

「そんな大した人間じゃない、身構えるな。もしかしたら今の俺だけで助けられない人にも手が届かんじゃないか、なんて思ったんだ」

 

「秋十は俺の制御用のレプリカで一時的に使ってた。けど、あくまで軽くしか使えないし自由も効きづらい。それを使って何をしようとしていたか、俺を超えたいだそうだ」

 

「それだけの為に周りの人間に迷惑までかけて、結局は自分が狙われて殺される羽目になってるんだ。レプリカは破壊したけど、まだ魔術に執着心が残ってる。人の心までは捻じ曲げたくない、一夏から説得してくれないか?」

 

「俺が?難題を押し付けてくるな」

 

「俺が人の為にしか使わないと言っても信用されないだろうし。余計に執着心が芽生えそうだからな。長い間一緒にいた家族から言ってやれば多少なり変わるかもしれない。俺も一時期、力を求めたような時期もあった。けど、結局は時間の無駄、地道な努力以外に見つける方法は無いって分かったよ」

 

「分かった、やるだけやってみる」

 

「分かった、じゃあ頼む。あと早く治せよ怪我を」

一夏の見送りを受けた後、まだ行っていない玲奈や簪の方に行ったが思ったより時間が掛かった。今日1日で学園の専用機持ちと実力派の教師のほとんどが怪我で休養になっている為ある意味無防備の状態になっていた。大半は1日安静で復帰なのは良かったが一部は重症で倒れてまだ意識が戻らないままだ。それを1人ずつ見に行って時間をかけていたからだ。

 

 

「あぁ、流石に疲れたが溜まった。聖人とタイマンなんてやるもんじゃ無いな」

右手以外は一般人の人間が当たり前のように対抗している時点でおかしいが、何度も見ているので速度だけなら慣れっこだ。しかし、多少は体にガタが来ている為、今になって節々が痛む。今日は早めに寝よう。

 

 

「明日で10月か。あ、それよりも課題だ。こんな時に無断欠席のツケが回ってくるなんて、俺じゃなくて拉致したやつに渡してくれよ」

 

 

 

 

 

 




次回はIS委員会に乗り込む予定です。

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