IS学園の異端児   作:生存者

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第52話

 

慌ただしく動き回っている隊員達。アメリカ軍の部隊がこちらに攻めてくると情報が入り全員が準備に追われていた。

「A分隊はそれぞれ、班を分けて迎撃に迎え。あと、各部隊の半分は沖からの上陸を阻止。ISを使えるものは戦闘の準備、残りは教室で生徒達の面倒でもみておけ。遊びはほどほどにしてな、あと”鉄屑”も稼働させて待機させろ」

 

『了解。以上だ、各自素早く準備を済ませろ。3分後には配置に付け』

 

「さて、アメリカの馬鹿どもだろうがこっちには切り札が沢山あるのにどうやって倒すのかな?」

 

 

 

「おー、始まったか。流石にここからだとよく見渡せるな」

声の主は上条当麻だ。裏でバックアップをしろと言われたがそんな事が出来るほど器用ではない。なので、後方支援に立ち回る事にした。

 

「俺も配置に着くか」

肩から降ろして構えたのはバレットM82、威力と高く遠距離狙撃に適し風の影響も受けにくい、軍隊が使用するライフルだ。もちろん、中身はいじって人に当たったら気絶、機械ならお陀仏になるようにした。昨日床に置いた全て銃に細工をして、威力、速度を上昇させ、風などによる弾道のブレがするように暗示をかけたのだ。

 

 

 

 

「ラウラ、配置についたよ」

アメリカ製のPSGー1を首にぶら下げ1年の寮に待機するシャルロットとL115A3を下を通って行く人に向けたまま監視を続ける簪。

 

 

「分かった、ここからでは見えない場所の確保を頼む」

WA2000を柵に立てかけた状態で交信を続け、その横でセシリアはG36の派生型のSL8を構え観察を続ける。

 

 

 

「こっちも配置に着いたよ。合図で撃てばいい?」

HK417自動機銃、普段であれば反動が少し強めで狙撃には使いづらいが、銃弾から針に変わり、さらにグリップや消音器を装着し最大で300m先までくっきり見えるACOGのスコープも取り付けてあるので十分な狙撃銃になっていた。持っているのは経験豊富なマドカ、1人になったのはすぐに事態の対応について行けるからでもあった。

 

『そうだ、しかし相手の人数が把握できないのは困った』

 

 

 

 

 

「ちっ、こんな時に強襲かよ。脳筋馬鹿の人間でも来たのか。もしかすると、イーリス・コーリングの来ている可能性も」

 

「いや、そんな事をしなくても共倒れにさせる方法がある。いくら、アメリカでもトップクラスの実力があっても親友を殺すのは難しいだろう」

ヒュンと音が聞こえる。そして、2人の隊員は糸が切れたようにその場に倒れた。

 

「かなり強力だな。本当に生きてるのか?」

 

「問題ないわ、痙攣もしてるし気絶してるだけ」

物陰から現れる、ダリルとフォルテ、お互いに消音器にグリップ、レーザーサイトとドットサイトが施されたG36Cを構えながら現れる。

 

「にしても、数が多い。今日中に終わるのか?」

 

「私達の頑張り方次第でしょう」

 

 

 

 

 

「おい、何でここにいる?」

廊下の巡回をしている隊員の前を地下に放り込まれたはずの人間が出歩いているからだ。しかも、当たり前のようにフルオートショットガンのAA-12を持っている。

 

「ここは私達の学校なのよ?自由に歩くのは当然に決まってるでしょ」

と引き金を引こうするが、鈍い衝撃で床に倒れる。それを見届けた鈴は一言

 

「ってあんたそれ真剣じゃない!」

 

「これは模擬刀だ!その見分けもつかないのか!」

 

「分からないわよそんな差は!大体これまでのあんたの行動を見れば危ない奴としか思えないのよ!」

篠ノ之と鈴は口喧嘩に発展しそうになるが自分達には、やる事があるのでその感情を押し殺して移動する。

 

 

 

 

 

「さてと、こんなものかしらね」

地面に倒れる武装した男を10人を見て呟く。腰のホルスターに5-7を携えて。

 

「くそ、なんでお前が・・・地下に閉じ込めたはず」

 

「それがね、ヤンチャな後輩に助けられたのよ。残念ながら」

その一言を最後に意識がブラックアウトする。

 

 

 

「人が多いな、どうにか出来ないのか?」

 

 

「面倒だから撃って終わりにしよう」

確かに面倒だ。と2人はそれぞれ、特殊部隊仕様にカスタムされたMP5とUMPを構えて校舎の廊下を移動しながら出て来た人間を撃ち抜いていく。

 

 

 

 

その頃、軍艦を離れIS学園へと向かうヘリとボート。合わせて10機が向かう。連絡から20分で視界の中に島を捉えられる距離までに詰めていた。

「よし、上陸までは10分以上ある、地上からの攻撃に注意しろ!」

 

「イーリス中尉、陸上からIS2機と空対地ミサイルを持った兵士何十人も出ました」

 

「空と海からの両方を潰しかな来たか。まあいいこのまま進め、だが回避行動は取れ、流れ弾に気をつけてな」

もちろん、乗っているのは輸送機だ。両サイドに機銃が搭載はされているものの機動性でもあらゆる面で性能がISより低いが遥かに高い。一気に迫ってくるISにヘリを一撃で撃墜出来るほどの力もあるが何処か余裕のある表情にパイロットも不安になる。しかし、距離が残り200m程になった時、銃撃を受けISは二機ともバランスを崩して落ちて行く。

 

「あらあら、前だけに敵がいるわけじゃないのよ」

 

「全くだ、俺達に背を向けるのはやめた方が良かったぜ」

 

 

 

「ちっ、お前らは。裏切り者か」

 

「あら、別に裏切ったことは無いわよ?私達が抜けたのはあの組織が潰れてから、何処に裏切り行為があると言うの」

 

「善人気取りか、いいご身分だな」

 

「善人じゃねえよ、ただの一般人だ」

 

「はっ、脳筋馬鹿が。引退した今のお前達で勝てるのか?」

 

「どうかしら、こっちの戦闘は少しくらいはブランクがあるけど。サポートがあれば貴方達くらいは簡単に落とせるわ」

島から5kmも離れてか?まさか、ここでヘリとボートの機銃に頼るならただの馬鹿だ。

 

「残念ながら、貴方たちには相手にならない人だから。ま、私は貴方くらいに負けるほど弱くなったつもりはない。元、私の部下で少しは強かったお馬鹿さん」

 

 

「おらおら、もっと来ないのか。そんなん逃げ腰で足止めを出来ないぞ」

 

「く、元隊長クラスは引退しても厄介だな」

 

「厄介で済むと思ってるのか」

元から血の気が多く喧嘩っ早いオータムには最高の日だ。実力も健在で元とは言え強くなった同僚たちと互角以上の戦闘が出来ることに喜びを感じていた。

 

 

 

 

 

 

一方、島ではヘリを撃ち落とすつもりの部隊に気づいたラウラからの無線が入り。

 

『今だ、撃て』

ラウラウの合図で一斉にスナイパー達に行き渡った。専用機組でもトップクラスの射撃精度を持っている5人だ。たかだか1000m級の狙撃など当たり前のようにこなす。各自、見えない部分の敵は見える人間に任せ、海岸沿いの道で兵士を次々に倒して行く。風の影響を全く感受けることなく狙った標的に向かって飛んでいき、下にいる兵士は混乱し始めていた。

 

 

 

 

「よし、地上もあらかた片付いた。すぐに降りる準備をしておけ。学生のくせに中々いい腕じゃないか」

 

「ん?イーリス中尉。水面から何か上がって来ます」

 

「水面からだと。ッ!すぐに横に避けろ奇襲だ!」

パイロットは慌てて機体を横にして進路を変更させる。その直後、元いた場所から突き上げるようにレーザーが放たれる。

 

「ゴーレムか、やはり千冬の読みは当たっているな。全速力で進め!こちらにまだ向かっていない」

それを予期していたかのように海面からゴーレムが一機上昇してくる。

 

「あの装甲はISでも中々崩せるものじゃないな。私でも貫通されるのは時間がかかる。他のIS部隊の援護を頼んでくれ」

 

「それが、すでに全機戦闘になりこちらに来れないそうです」

詰んだか。あとは私が出るしかと思いかけた時。目の前のゴーレムがガンッと装甲を貫通する音が聞こえ、そのまま海面に落ちて行く。そこには銃弾の通りすぎた跡が残り、先を見るとIS学園からのびていた。

 

「・・・こんな突風の中で当てるのか。これが終わった後、上に推薦してみよう」

とそんなことを考えている内にヘリ3機到着し降下を始める。まだ海上を進むボートは遅れるらしく。先に行く事にした。ISの部隊も地上に降りて一緒に移動を共にする。

 

 

 

「ん、上から銃声?気のせいよね。まあ、そんなに来るのはやめた方がいいのに。全員一度戻りなさい。ではそろそろ時間ね、”山田さん”起動をお願い」

 

「かしこまりました」

ディスプレイを虚ろな目で眺めながら声に答える。その周りでは何人も同じ状態になっている。しかも、全員が元日本代表候補選手になれる実力も持って人が。

 

 

 

 

 

『ねぇ、ラウラ。なんか静かすぎない?』

一通り片付け、一息ついている間にシャルロットと会話をしているがいつもの楽しいものではなく、島全体が静か過ぎるので気になっていたのだ。

 

『それは分かっている。警戒は続けろ、危ないと思ったらその場を離れてくれ』

 

『分かった』

 

『私は下に降りる。校内の警戒に行くよ』

 

『了解、なるべく不意の攻撃には注意してくれ』

 

「何か嫌な予感がしますわね」

 

「・・・霧島玲奈、中の反応はどうなんだ?」

 

『あのね、フルネームで呼ばないでくれる?中に特に反応がないのは言っておくから。ん?ちょっと待って、あんたの下で何か動いてるわよ』

 

「下?」

一度身を乗り出して確認をするが何も見えない。少し離れた場所をアメリカ軍の連隊が近づいて来る。確かにセシリアの嫌な予感は自分にも同じように感じている。

 

 

「どうする、移動するのも悪い選択ではない。しかし・・・」

 

 

 

「先にこっちから向かえ、私は直接向こうに行く。3人はついて行け、こっちには2人残って一緒に来い」

 

「了解です」

アリーナ側に行く道と校舎に分かれ進んで行く。静かな道が続き中には途中で気持ちが緩み始めた隊員も出てしまったが、そこは殴るなり締めるなりして強引に気持ちを切り替えさせた。

 

 

「あらあら、そこは危ないわね〜」

見れば男なら誰もが堕ちるような笑顔を浮かべる。だが、

 

「はい、死んでね」

内容にはかなり棘があった。

 

 

ちょうどラウラの寮から一機のゴーレムが壁を突き破って現れる。しかも、通りかかった隊員達も巻き込むように

「なっ!」

衝撃で1人が吹き飛ばされる。

 

「撃て撃て!」

弾倉を変え撃ち続ける隊員だが、硬い装甲を何重にも重ねたものには鉄の塊だろうと豆鉄砲程度の威力でしかない。

 

 

「離れろ!」

ISに乗った女性隊員が斬りかかるがあっさりと受け止められる、もう2人も一斉に飛びかかるがビクともしない。

 

「こいつ、装甲がとんでもなく硬い。っ!」

腕を一振りして3人を払いのける。

 

 

「なんだ、あれは。ッ!セシリア、下の階に移動する。まだ隠れた敵がここに残ってる!」

 

「本当ですの?!」

 

「この足音を聞けばわかる。少しずつこちらに向かってきている。入り口を死守するか援護するかだ」

 

『援護なら任せろ』

無線から流れて来る声。その時、下のゴーレムがベコン!と装甲が凹む音が聞こえる。さらに続いて何度も同じ音が響き渡り10数える頃には中が剥き出しになり動かなくなった。兵士も驚いているがその光景を見ていたラウラも驚きを感じていた。

 

「一体何処から・・あそこか?」

IS学園のある島のシンボルでもある、奇妙な形をした塔の上。よく目を凝らすと黒い人影のようなものが見える。

 

『兄上、ありがとうございます。援護を引き続きお願いします』

 

 

 

「あらあら、やっぱり上にいたのね。なら、ついでにまだ隠れている人にも出てもらいましょうか。生徒はあくまでも人質役、邪魔なら殺せばいいですから」

 

 

 

「ん、なんか出て来るのか?」

塔の上から全体を見渡せる、上条は海面に妙な泡立ちが覗いているレンズ越しに見る。島が揺れるほどの音が響き、何事かと思った

 

「あー、ラウラ聞こえるか」

 

『はい、兄上聞こえます』

 

『全員、専用機を使った方がいいかもしれない。この島を囲むようにゴーレムが出てきた』

その言葉どうり、海面から島を守り囲むようにゴーレムが50機現れる。先程現れたものよりかは装甲がいくらか薄くなっているが、同じISでも破壊するのは至難も技だろう。校舎内にいた一夏達も外に出て戦闘態勢になっている。

 

 

「さあ、パーティーの始まりよ♪」

楽しげな声とは裏腹に、それが平和な学園が戦場となった瞬間だった。

 

 

 

 

 

「参ったわね。引退したとはいえ面倒な仕事を任されたものよ。いくら暇だと言っても人をこき使ってくれるわ、あの王女様は」

 

 




次回はもう少しまともに文を書けるようにしたいです。では、

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