IS学園の異端児   作:生存者

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第51話

 

 

IS学園内の監視をできる部屋がある。そこでは現在もリアルタイムで校舎内、寮の通路、外の通学路も映され、それを2人のハッカーによって操作されていた。

 

「昨日の幽霊騒動には参ったな」

 

「ああ、聞いてみれば死神が出たなんて言い出すやつも出始め集中出来やしない。他にも上条当麻が出たなんて馬鹿げた話も出たからな」

 

「へぇ、そうなのか。事後処理も大変だろうな」

 

「本当だよ。いちいちそんな事で報告なんてするって言いたいよ。なぁ」

 

「じゃさぁ。もしかして、その幽霊って俺だったりするのかな?」

余裕の笑みが消え表情が凍りつく、元々前方をガラスで覆われ外と中で光の差が出来後ろの様子も見れるようになっているせいでその2人は見てしまった。死んだはずの人が笑顔で肩に手をかけている状態を

 

 

 

「上条、さっき悲鳴が聞こえて来たけど何があった?」

 

「少し脅かしてきた。巡回の人がすぐに報告とかするから、先に使えなくしてな」

 

 

 

 

以前と同じルートのアリーナの排気口から入り全員で地下の牢屋まで来ていた。初めて来た一夏は口が開いたままになってる。それもそうだろ、教員でも知ってる人が限られているような場所だからな

 

「このフロアが来賓でこの一個下が専用機持ちの人が集まってますね」

 

「そうか、ならここの階にいる来賓の名前を全員聞き出してくれ。こちらは下の馬鹿どものお説教をしてくる。あとまだ残った人間が来る可能性もある、一夏念のためお前も来てくれ」

 

「わかった、じゃあな上条」

 

「おう。気をつけていけよ」

一夏と千冬さんを下に行くシャッターをこじ開け下に向かわせた後、奥にある牢屋をこじ開け中に入る。いきなり、入ったせいで鋭い目で見られたが下手な英語で何とか事情を説明すると

 

「無理はしなくていいよ」

と日本語で言われる始末。まあ、ありがたいと思って通訳をおねがいして1人1人名前をメモしていく。ここに本物の名簿でもあれば楽になったのに。

 

 

 

 

 

「はぁ、今日も何もないわね」

 

「やる事が無いのがここまで辛いことになるとは思いませんでしたの」

 

「いつもの馬鹿騒ぎは何処に行った。ま、流石にこれだけの事があれば無理もないか」

 

「セシリア、私ついに千冬さんの幻聴が聞こえるようになったわ」

不意に聞き慣れた声が聞こえ、幻聴だと思った鈴、セシリアも同じことを思ったのか

 

「私もですの。そろそろ、潮時に・・・」

 

「?どうしたのよセシリア。急に・・・え、千冬さん・・」

 

「この程度でくたばるようなら、もう少ししごいた方が良かったな」

牢屋の壁に寄っかかったまま目線を上げると、腕を組み見下ろしている鬼教師が立っていた。

 

「「ええぇぇ!織斑先生?!!」」

思わぬ、来客に声を揃えて驚く2人。しかし、

 

「騒ぐな」

鋭い視線で制され黙り込む。

 

「ん、どうしたのセシリアこんな時間にって。え、織斑先生!?」

 

「何、教官がいるのか!」

続いて、シャルロットにラウラも起き上がり千冬は少しだけ安堵の笑みを浮かべる。

 

「少し離れろ、この檻を斬る」

腰にさしていた真剣を抜き取り、檻の出入り口に出来ている溝に一度合わせると違和感を感じ、手で軽く押すと簡単に開いた。

 

「・・・わざわざ出す必要はなかったか」

かちゃり、扉をロックする為に通された鉄の棒が穴から落ちる。それを見て千冬は何故軽く開いたのか理解した。この檻を引っ掛ける部分が既に切られていつでも開けられる状態になっていた事に。

 

「すぐに出れる。全員出て来い、まだ寝ているものは起こしてくれ」

それを聞き、3人は軽く押すと簡単に扉が開き他にも牢屋に入れられた全員を起こして出てもらった。

 

「秋十、足は大丈夫か?」

 

「このくらいは平気だ」

 

「別にそんなやつ気にする必要はないよ、お兄ちゃん」

黙ってろ!と目をマドカに向ける。しかし、その程度ではひるむどころかスルーして話す。

 

「それにしても、どうやってここまで?レーダーも働いてるはずだよ?」

 

「泳いで来た」

 

「え?ごめんもう一回教えて」

 

「言い方が悪かった。水の中をISで飛ばして来た」

いくら低空飛行で飛ぼうとレーダーに感知される。だからと言ってずっとモノレールのレールの上を走って移動するのは無理がある。なのでこの方法になったが、千冬姉だけは専用機を持っていなかったので一夏が背負い、海面から僅かに体を出して移動した。もちろん、冬に近い時期だったので何処からか買ってきたウェットスーツを着ていた。

 

 

 

 

「さて、こんな夜中に起こしたのは悪いが一刻を争う事態なのはお前達も承知の上だろう。そろそろ、他の国がこの状態を嗅ぎつけれ邪魔をされる可能性もある。そこで、お前達にも手を貸してもらいたいが、戦力相手の方があると言っておこう」

なんせ、正体不明だった亡国企業の過激派の連中が固まって出来た組織だと付け足し。容赦無く人質も手にかける、殺す、いたぶる。普通の一般の人ではしないような事を経験しているからこその仕業だが、こっちからしてみればいい迷惑だ。

 

「非常にいい辛いが、自分で危ないと思った時には・・殺せ」

全員が息を呑んだ。教師のしかも誰もが理想とした人からそんな言葉出てくるとは思わかったからだろう。

 

「お前達には酷な事だが、甘い考えが通じる相手ではない事を伝えておく。上条当麻のように相手の出方を悠長に待ってくれるやつはいない」

 

 

「無理なら、出なくてもいい。私は教師だ、強制してやらせるつもりはない、荒事が嫌いならここで待っていろ」

一度、見渡すが誰もが降りるつもりはないと目で訴えていた。

 

「そうか、なら丁度いい。上条、そこに居るんだろ?」

ん?全員がキョロキョロと周りを見渡し居ると

 

「呼びましたか?」

と天井から呑気に顔を出してくる。もちろん、生きていることを知らない人は

 

『きゃぁぁ!!!!』

と悲鳴をあげる。出たばかりの上条もとっさに耳を塞ぎ耐えているが体を支える手を使ってしまったせいでそのまま床に落ちていった。

 

「どうだ、来客は全員無事か?」

 

「一応全員の名前はこれに書いておきました。本当に全員があの場に居るとは限らないので」

名前がずらりと書かれたメモを千冬に渡す。ついで、硬い金庫から取ってきた全員分の待機状態のISも渡していた。

 

「ねぇ、上条君、体は大丈夫なの?手足はちゃんと動く?」

 

「あのですね、ここに居る時点で元気なのは分かるかと」

 

「でもなあ、目の前であんな事を見せられちまってるからには本当か確かめたくなるもんだぜ?」

 

「とりあえず、そこの床にでも寝てくれ」

何やら嫌な予感を感じ取った上条は一歩後ろに下がる。人としてではなく男としての危機を感じて。

 

「更識、遊んで居る暇はない。それは後でしてくれ」

いや、後でも嫌ですからね。

 

「とりあえず、お前達の仕事は生徒の安全を守る事だ。知人の支援のおかげで避難誘導と防衛は別の人間がやる。だが、何度も言う事になるが相手は実力も経験も上のやつが多いミス1つで命取りになるの事は十分にあり得る。それは覚悟しておけ」

 

 

「と、忘れるところだった。正直、ISだけでは戦闘員から生徒は守りきれん。おい」

それを聞くと上条は頷いて上に案内する。

 

「え、これって・・・銃だよね」

 

「ああ、ちょっとかき集めてきたやつと束さんから貰ったやつ。合わせて約・・・100種類?くらいだ。誰でも好きなやつを持っていってくれ」

口が開いたままになる。広場を埋め尽くすほどの銃の数々、スナイパーライフル、ショッガン、アサルト、ハンドガン、ナイフ、ミサイル、ナイフまで、ありとあらゆる武器が揃っている。

 

「これ、何処から集めてきたの?」

 

「ん?そこら辺に落ちてから拾った」

落ちてるわけないでしょ!と一斉に声を出す。まあ、それが普通の感覚なんだろうなと思いながら。見回す。

 

「あ、これらは全部”殺傷能力”は無いから。中身は全部、麻酔針とか束さんが作った電流をまとった針だ。もちろん、実弾もある」

 

「これだけ用意するか。まあ、それはいいとして、明日すぐにと言うのは無理があるだろうから少しここで運動でもしてろ。鈍った状態で動いて怪我をした、なんて報告は間違っても受けたく無いのでな」

その目には許さないとも語っている。いつの間にか敬礼のポーズを取り、ラウラに限って言えば目が輝いていた。

 

「まずは一年からだ、組手くらいが丁度いいだろう。2、3年はその2人にしごいてもらえ」

 

「そこのはやめて欲しいわね。じゃあ、レイン、相手になりなさい」

 

「ッなんで、あんたが」

引きつった顔をするダリルに構わず始めるスコール。

 

 

「まさか、貴方に助けられるなんてね」

 

「貸しくらいは作っておかないと、お前の家に狙われたら危ないに決まってる。それと久しぶりの運動なんだ楽しませてくれよ」

この後、戦闘が楽しみにもなっているオータムと助けられた意外な相手に少し驚いた表情の楯無。

 

それから数十分程、時間は流れ・・:

「やはり、教官には敵わないか」

 

「あんたのその前向きな考えが羨ましいわ」

 

「うぅ、手も足も出ませんわ」

あっさりと床に倒された1年の専用機組はみんな揃って同じ事を思っていた。ISなしでも手練れの格闘家くらいはいなせる千冬には手も足も出なかったが。

 

「全く、ISばかり頼っているからそうなる。少しくらいは一夏を見習え、これが終わってからは毎週組手の稽古でもつけてやる」

要するに倒させれてもがけと言ってるのだが、約2日動かなかったつけがまわりほとんど動けずいる。

 

「ふむ、そろそろ寝ていい頃だと思うが」

 

「ご飯できましたよ〜」

 

「・・・あいつは一体何を考えているんだ」

頭を抱える千冬を気にせず、地下に設けられた看守室のような部屋から出てきた上条の手には発泡スチロールでできた器を持っている。

 

「時間がなくてこんな物しかないですけど、無いよりはマシなので作ってみました」

作った言っても、来る前に業務スーパーに寄ってレトルトカレーと電子レンジで温められるご飯と容器にプラスチック製のスプーンをたくさん買っておいたものを手順通りに温めて持ってきたのだ。はたから見れば迷惑がだまともな食事をしていなかった十数名にはありがたかった。ちなみに一夏と秋十、マドカも手伝い運んでいた。

その間にスコールとオータムを集め千冬は明日の襲撃時間を考えて始め食べる終わるのを待っていた。その他にも来賓の護衛で捕まったいたSPなども加わりながら。

 

 

「全員落ち着いたか、それでは明日の作戦開始時間の確認をしておく。始めるのは昼頃だ、それまでに各自に配置場所を確認しておく。上条お前は出るな、どんな経緯で死んだと思われたのかは気にせんが無駄な騒ぎを起こさない為だ、裏でバックアップに回れ。それからラウラ、オルコット、更識妹、マドカ、お前達には高所からの狙撃をやってもらう。シャロルット、鈴、篠ノ之、更識姉、ダリル、フォルテ、秋十、一夏の7名には危険が伴うが前線で戦ってもらう」

 

「あと、私とオータム、千冬さんは陽動かしら?」

 

「ああ、他の護衛にはこの場所死守と霧島玲奈、お前には束から奪った映像を見て各自に通達を出してもらう。いいか、目的はここの奪還だ。敵の殲滅ではない、そこは間違えるな」

その言葉を聞き全員が緊張した面持ちで聞き取る。大半の人間にとっては初めての戦場となる。いやでも、通らなければならない道だ。しかしそれさえ通れば元の日常に戻ることが出来る。それが彼らにとって唯一の救いだ。

 

 

 




次回から戦闘に入ります。苦手ですが頑張っていきます。

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