IS学園の異端児   作:生存者

49 / 92
第49話

 

その日、IS学園の中は暗い雰囲気で充満していた。最強の不在、勝負に挑んだが、途中から妨害もあり重症を負ったおその弟。そして、頼みの綱だった生徒の中で白兵戦最強の上条当麻の死亡。そんな状態での夜はどうなるか、想像がつく。いつもの活気はなくなり、静まり返った学生寮。しかし、それよりも困った事が起きていた。

 

 

 

 

 

就寝時間より少し早い時間。侵入者があったと報告が入り現場に来た。報告どうり窓が開き、誰かが入っている形跡は残っていた。

 

「侵入口に来た。すでにいない、センサーで確認してくれ」

 

『いや、お前の後ろにいる!』

ばっと振り返る。携帯していた銃を抜き取り構えるが人はいない、あるとすれば何処にでもありそうなクマの人形だった。

 

「ッただの人形か。可愛らしいだが、さっきは無かったはず」

落ちていたものを拾うが何も入っているような感覚もなく、罠が設置されているわけでも無かった。

 

「こっちには誰もいない。人形が落ちていたくらいだ」

 

『故障か・・・胴体検知器には写っていたはずなのに。とりあえず巡回に戻ってくれ。あとで人形も見せてくれよ』

 

『了解、巡回に戻るわ』

窓を閉めまた歩き始める。その足取りは少しだけ軽やかになっていた。

 

 

 

「胴体検知器、うちの学園なんて物置いてるんだよ。束さんのハッキングが間に合ってよかった」

天井の蓋が開き、降りてくる男。上条当麻、つい数時間前に死んだと思われた男だ

 

「とりあえず、今日は軽く偵察という事で。学校の設備が分かった時点でもうセキュルティーはやられたか」

 

まずは周りの状況を見られるように屋上に向かう。当然施錠されている上に管理室で全部見られていることを考えると方法1つ。壁をよじ登るしかない。途中監視カメラが何箇所かあり、それに写らないように移動した。

「巡回は校舎は3人、実習棟は5人やっぱり少ないな何処かに固まってるのか?がたいのいい男も何十人も居たはず。外はてきとうに回ってるな、遊んでる人もいるし・・・同性好きな人も多々いると」

 

「一回、寮の方に行ってみるか。やたら人が多いからな」

全速力で走り、屋上を木の上を地面に降りてからは木の陰に隠れながら近づいていく。道中何度か見られそうになるが拾った小石を反対側に投げ、音で注意を逸らしていた。

 

 

「問題なく着いたのはいいとして、どうやって入るか囲うように人がいるし登った間にバレるかも」

とりあえず、1年の寮にまでは到着したが入り口は人の出入りが多い。せめて1人なら、どうにか出来るはず。しかし窓から入るわけには・・・一箇所だけ空いてるし。3階か、頑張ればバレないか。

 

「よっ・・・」

何とかバレる事もなく飛び上がる。助走をつけた時も見られていなかったのは奇跡だった。しかし、足元が滑る

 

「げ、こんな時に・・」

壁に捕まっている時、体制を保つために隙間にかけていた足が外れ落ちかける。静かに入るつもりだったが外にいる連中にバレるくらいなら中の遮蔽物が多い場所で静かに意識を刈り取る方が早い。その速さを保ったまま部屋の中に突入する。入る途中、窓際にいた男を蹴り飛ばしたが。

 

「危な、あと少しで落ちたからだったな・・・って呑気に行って暇はないか」

中にいた男3人を異常なほど速い反射神経と瞬発力で動くことすらできないまま倒す。中にはそれだけしかいなかった事もありあえて、余計に部屋の中のものには触れずに部屋の外に出る。

 

「巡回はありか。ここのブレーカーって何処にあるんだ?それが分かれば、ある程度は楽に進める」

侵入した部屋は階段近くの場所にあった物なので助かった。すぐに階段を一階に行くと案の定、電子制御盤がある部屋に着いた。

 

「大きな方しか占領してないからこっちは手薄か。何故ここには昔ながらの方法しかないんだ。まあ、その方が楽には楽」

ブチリと問答無用でブレーカーを落とす。一瞬で電気の供給が止まり寮内は真っ暗になった。

 

「たぶん、来るのも時間の問題逃げるには・・・」

 

 

 

 

 

 

「おい、侵入者は何処だ。すぐに経路を調べて見つけ出せ!」

 

「報告です。ブレーカーの一部が壊され正常に機能するものがいくつかに減っています」

 

「すぐに復旧しろ。くそッ一体何処から」

慌ただしく動き回る屈強な男達、寮には20人ほどが集まり復旧探索が行われていた。

 

「すぐに下に人がいると思うと怖いな。ここを作った人には感謝するけど」

忙しくさせた本人は、1階と2階の間の床の部分に収まっていた。中はPCの配線、シャワーの水を流すホースが多く集まっていたおかげでなんとか人1人が入れるスペースになっている。

 

「問題はここからだな。何処かに出れる場所でもあればいいんだが、俺にそんな偶然ないか、最悪元の場所に戻るでもあるし」

とそんな中、急にポケット入っていた携帯電話が鳴る。地味に音が大きいので慌てて出るが下と上同時に気づかれてしまう。

 

『あの誰ですか?』

 

『私だ、キャーリサだし』

頼むからこんな時に電話するなと言いたくなってしまったが、切ってもすぐに帰って来ると考えると続けたほうがいいと判断する。ついでに時差も考慮してくれと

 

『・・そのご用件は』

 

『今日、IS学園に向かったこっちのお偉いさんからまだ連絡がないし。そっちにいるかし?』

 

『あ〜今日は・・訳あってここにいないんで、分かりませんけど。調べてみます』

頼んだし、言い切られる。こっちの要件は終わったけど、問題は山積みだな。

 

「ずっとここにいるわけにも行けないし。出れるところは」

適当に上に軽く押し上げて行く。中はほふく前進みたいな移動の仕方になっていまうが。何とか動く、これであとは少しでも上がってくれれば・・・あ、少し上がったな。中は部屋か、って誰か入ってきた!

 

「おい、就寝時間は過ぎてる。いつまで起きてるんだ」

 

「こんな時に眠れません!」

「ふーなら、一日中楽しんでみるか?」

言い切った途端に手を引っ張り無理やり連れて行こうとする。

もう痛みはどうでもいいから助かるか板を外し飛び出る。頭を一気に上げたせいで机かなにかにぶつけて気付かれる。声を出される前に頭を鷲掴みにして持ち上げる、あとはガラ空きになった腹に膝蹴りで沈める。防弾チョッキを着ているせいで威力は減ったものの大の大人を気絶させるには十分なものだ。

 

「え、上条君?」

よく見ると、その女性は同じクラスの鷹月さん。度々、勉強を教わっているような仲だったので面識もある。しかし、ここで自分を出すとのちのち面倒ごとになりそうだと考え、

 

 

「・・・ただの疫病神です。あ、ベットに横になればすぐに寝むれますよ」

窓を開け上と登って行く。見えなくなって窓から外を見に行った頃には何もなかった。誰もいなかったかのように。その後、言われたとうりベットに横になると先程、必死に寝ようとしていた時と違い落ち着いて、気がつけば意識が遠のいて行く。

 

その間に、屋上から他の学年の寮へと移り軽く調べて思ったが

「2年と3年の方も同じだったな。でも専用機を持ってる人に限ってさっきから一度も見てないような」

1人も専用機を持ってる人見ていない。つまり、代表候補と秋十と一夏は一度も見ていない。

 

「もしかして、まだ見つかってない来賓とかも関係あるのか・・・まてよ、確か校舎の地下に牢屋があるなんて噂があったな。行って見る価値はあるか」

今いる3年の寮は警備が手薄になっていたので。屋上から階段を使って降りる。そして、見つからないように遠回りしていき校舎へと向かう。

 

『束さん、校舎の地下に行く階段の位置ってわかりますか?』

 

『ん〜とねぇ、方法が2つあって。アリーナと校舎の一階にある電子ロックが掛かってる場所があるね』

 

『なら、アリーナの方の入り方は?』

 

『えっと、倉庫から入れる排気口をずっと校舎側に進んでいけばそこに行ける』

 

『ありがとうございます』

 

 

 

アリーナの倉庫に着くと、キョロキョロと排気口の蓋を探す。部屋を一通り見るが何処にもなくふと、顔を上げるとちょうど天井に近い高さに

「あそこか、あれは誰も近づくことも出来ないな。よっと」

何処まで古臭いものを使うんだ!と思う。念のために持って着た十徳ナイフに着いている、プラスドライバーでネジを外し進んで行く。

 

 

 

 

「確かに着いたな。こんな場所もあるのか」

排気口をずっと進んでいき、途中で降りて探索を始める。

 

「校舎より設備が充実してるな。こっちは病院か?」

無菌室を連想させるような分厚いガラスになっている部屋に清潔に整えられた手術室まである。でも、明らかにさっきまで使った跡があるな。床に血が落ちてる。

 

「そうか、あいつは重体だし手当てをするのは普通か。いくら、あいつらでもそこは気を配るか。出来れば無事を確認したいな」

 

 

 

「外以上にカメラが多い。ん、人の声が聞こえるな」

 

「あ、ここか。牢屋って言われてるのは」

ここは上と同じくハイテクだな。誰もいないのを確認すると牢屋の窓に触れてみる。

 

「強化ガラス・・もしかすると防弾ガラスか。地下にあるせいで暗くなって時間も分からなくなりそうだな。不安も出てくる、捕まりたくない場所だ」

さらに奥へと進んで行くと、ある種目当てだったものが見つかる。他の場所よりは室内の設備がマシになっている大部屋の牢屋。しかも、男女まで分け、警備について居た人まで区別して収監されていた。

 

「お、ここに居たか。ここは広いな、面倒だから全員ここに突っ込んだのか。来賓は10人くらいか、こっちは確認できた。あとは秋十達か」

 

 

「こっちもいない、全然見つからないな。ん、こっちには・・・」

突然引き返し入り口付近まで戻り、ドアのすぐ目の前にあった床をよく見てみるとさりげなく、持ち手が付けられていた。

 

「これが入り口。一見分からないな・・・行ってみるか」

こじ開けて中を見ようと入って行く、シャッターのようになっている為、多少騒音が出てしまうのが最小限に抑えて開けるつもりがかなり大きな音が出てしまったのにはビクビクしていた。

 

「なんだこの変な匂い、昔何処かで同じようなものを嗅いだことがあるような」

入って50mほど進んで頃にはその匂いに鼻をつまんでいた。何というか生理的辛い、それでもとりあえず奥に進む。

 

「声がするな、まあ想像がつく」

どうして、体が動きそうになる。見つからないように静かに行きたい、だが無性に自分を情けなく思っている。そして、その限界はあっさりと来た。偶々ドアが僅かに開いていた場所から助けて、と聞こえて来た。

 

 

「おいおい、誰に助けを求めるんだ?助けて?ここにくるわけないだろ」

女性を無造作に扱い、更に自分の物のように貪り尽くそうとする。

「おい、すぐに離れろ」

 

「あ?誰だてめえ!こんな所に今は楽しんでんだ。ガキは外で待ってろ・・・・かはっ・・」

突然現れた少年に交差的な目を向けるが、 突如として倒れる。何も当たったような感覚はないしかし鈍器で打たれたような痛みは残っていた。倒れるまで瞬間その少年を探したがもう姿はなかった。

 

 

 

地下の牢屋は騒然としていた。ドアが蹴り破られ、1人また1人と倒れていく。誰も気づくことはない、行為に集中しているのかそれとも、声をかけられるまで気づかれないからか。どちらにしても結果としては誰も起き上がる事はなかった。

 

 

 

「ねぇ、ラウラ。起きてる?」

 

「・・・」

 

「起きてないか」

 

「どうしたんですの?」

 

「ちょっとね、もしかしてセシリアも眠れない?」

 

「はい、こんな事態になるなんて思いませんでしたの」

あの高飛車なセシリアがここまで落ち込んでる時点でかなり切羽詰まった状況だろう。こんな時くらいだかと、何か話そうと声が掛けようとすると

 

 

「や、やめろ。もういいだろ、これで案内は終わったんだ」

 

「そうだな。けど、やめろと言ってもお前はやめなかった。俺がさっきの行いを許すとは一言も言ってない」

 

「へ・・・あ、ああぁぁぁ!! 」

持っていた剣は一度も動いていない、なのに一瞬でとてつもない衝撃が体中を襲う。あまりの痛みにその男は数秒で倒れ込んだ。

倒れた男を無視はして進んでいく、専用機を持っていた人間が収監された部屋を見て通り過ぎる。

 

 

「ここか、場所は後で送っておこう。とりあえず全員無事みたいだな、秋十も元気そうだ。・・・今日のところは帰ろう、一回気になる場所があるしそこはついでに寄って」

 

 

 

足音が通り過ぎたのを見てセシリアとシャルロットは少し震えていた。

「ね、ねぇセシリア。あれって上条君に似てない?」

 

「私は何も知りません!」

 

「ちょ、セシリア!」

死んだはずの人間が普通に話していれば驚くだろう。現に画面の中央で全身から血を撒き散らして肉片を1つも残さず爆死した。全員がその事実を知っている、しかし数時間後に合えば大概の人は幽霊だと錯覚するだろう。2人は急いで寝ようと必死になっていた。

 

 

 

 

 

「なんだ、この惨状は」

次の日、地下に来た人間は口を揃えて言った。先鋭部隊を入れたはずが全員揃って牢屋に放り込まれていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は特に戦闘は無しでいきます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。