IS学園の異端児   作:生存者

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第47話

「・・・じゃあ、はじめ♪」

その音を合図に一斉にゴーレムが散らばる。無駄に性能が上がってるのか連携まで組んだの迷惑でしょうがない。

武装はブレードが五体にライフル2体、あとはクロウ・・腕から更に爪を伸ばしたやつが3体。どれもまともに受ければ致命傷、挙句には即死だ。

 

「後ろが撃って逃げたところに来るか。けど、その手には乗らねえ!」

確実に致命傷になる、心臓部分を狙ったところにレーザーが飛来する。片方は横に逸らし、もう片方はバットで打つかのようにブレードで振りかぶり跳ね返す。いきなりの事にゴーレムが驚いたように動きが不自然に遅くなりそのまま被弾する。

 

 

「なあ、一夏。お前だったら綿密に組まれて隙が全くない連携の攻撃が来たらどうする?」

 

「どうするってどうにか崩すしかないだろ」

 

「そうだな、一夏一回少し離れてそのライフル撃ってくれ」

 

「はっ、ライフルってISだよな。間違って当たったらどうするんだよ」

 

「心配するな、今からやるのはお前でも頑張れば身につけられる」

一夏は20m近く距離を開けライフルを構える。8ヶ月近く掛かったが生身でISの装備を使えるようされ難なく持ち構えると、合図とともに引き金を引く。真っ直ぐに飛んで行った、しかしそのレーザーが真横に飛んで行く。なかったのは身長より長い大剣を振っている姿だった。

 

「まっこんな感じで、原理は簡単だ。受け止めて好きな方向に振って飛ばす。ただし、それを一瞬やらなきゃ行けないから注意が必要だな」

 

「んな、簡単そう言うな!」

 

「あ、本当にただ跳ね返す事も出来るから。時間があればな」

 

 

 

 

「本当に役に立つなんて思わなかった」

更に地面に強く踏み込み接近する、ブレードを振り上げ一気に落とすがわざと一度外し縦から横に刀身を変え、遠心力をより掛けて切る。その間にも2機のゴーレムが迫る。

 

「ちっ、フォローが速い。しかも、前より硬いぞ」

武器をブレードからライフルに取り替えいきなり発砲する。二機ともに被弾はするがほとんど装甲に傷はない。しかし、もとから壊すのは無理だと判断している。何故なら銃の反動を利用してその場から離れていたからだ。

 

「もう、後ろか。ちょうどいい」

すでに背後に回り込話でいた、だが、ライフルからブレードに瞬時に変え速度を一切落とさずに突き刺す。それでもまだ壊れたブリキのおもちゃのように動くので宙で無理に体勢を変えブレードの持ち手に回し蹴りを入れ深く刺す。それでコアに届き2度と動かなくなった。

 

 

ただの生徒は教室に、職員はそのまま職員室に閉じ込められ見張りにが教師の数だけ監視。生徒の方には1つの教室に4人が割り当てられ、暇だろうからと授業だけはされている。

現在はアリーナの戦闘を見て釘付けになっている人が多くいた。

 

「すごい・・・無傷で2体も」

 

「でも問題はここから。さっきのような手は使えないし、やる辛くなってくる」

 

 

 

 

「あら、すごいじゃない。どうやってる?」

 

「うっせぇ!テメェは黙ってろ」

同時に2機のゴーレムが迫る、ここから避けるのは無理だろう。なら、ここで斬る。

ブレードを腰のあたりに差し込むようにし目を閉じる。その間にもゴーレムは距離を詰め、一夏の間合いに入ってきた。

 

「ッ!」

一瞬で振り抜く、目にまとまらない速さで抜刀し2つとも胴体から真っ二つに切り裂かれた。毎日、時間を使っては千冬と稽古をつけてもらい、使えこなせるまでに来た居合斬り。

だが、大きく振るのがここであだになる。その後ろから隠れていたもう一体のゴーレムのクローが腹部を斬る。

 

「ぐっ」

 

「あらあら、中々かっこいいシーンが見られたのに。残念」

ライフルを構えて、容赦無く引き金を引く。くる場所を瞬時に予測して先に動くが、その光線は急に曲がり迫ってくる。慌てて、ブレードを引き戻し刀身で逸らす。

 

「ッ!偏光制御か」

 

「逃げるわね、でも逃げてたら全部倒せないわよ」

 

「妨害なんて聞いてねえけどな」

 

「一度も手を出さないなんて言ってないわよ?」

これだからこの手の相手は嫌いだ。ルールに含まれないギリギリのラインでの妨害。側から見れば反則だが、この状況ではそれがまかり通ってしまう。何故なら、人質が数百人も取りいつでも生死を決める権利が向こうにはある。

 

「ゴーレムと違って先読みまでしての狙撃かよ。ただでさえこっちの対応でもきついのに。ッ!ゴフッ」

正面からのクローをバックステップで避け、右から来たレーザーも屈むことで難を逃れたがその前かあたゴーレムの蹴り入り後ろに吐血しながら飛ばされる。必死に空気の通り道を確保する為、咳で強引に戻して起き上がろうとする。しかし、相手は機械だ。待ってくれはしない。振り上げたクローをすぐに一夏に落としていく。

 

「容赦無いな」

体を反転させ、片方の手にライフルを持ち脚を撃つ。すると、段差には引っかかったように両足が浮く。いきなりの事でスラスターで元の状態に戻せないかった。そこへ一夏のブレードがゴーレム胸に刺さる。それだけの事をすると、押しつぶされる前にその場から退く。

そのまま、ゴーレムは倒れこむが、中心に刺ったブレードに全体重がかかり自らの重さでコアに切れ目を入れた。

 

「あと5体」

半分まで来たところで手先が痺れてくる。あの鋼鉄の装甲に突き刺すした時の痛みがここであだとなった。他にも身体の筋が痛み始める。

 

「頑張るわね、そんなボロボロになっても諦めないなんて」

 

「は、俺に諦めなんて言葉はない。余裕ぶってろ、すぐに切り落としやる」

 

「威勢のいい子、可愛いわね」

 

あいつの底が知れない、なんだあの余裕は。それよりも目の前の敵が最優先だ。

さっきの会話の間に近づいて来たゴーレムがブレード振り下ろしてくる。なんだ、単調すぎるさっきは深く入って来たのに

 

「!!」

真横からクロー迫る、残っていたゴーレムにクローを付けたものは3機だが、さっきは片付けたはず。対応しようにも力で機械に勝つのは無理だ。すぐに逸らす事に徹し離れようとするが、それよりも早くクローが脇腹に深く入ってくる。

 

「こいつ、さっきよりも性能が良くなってやがる。戦闘で学習でもしてんのか」

だが着地の瞬間あまりの激痛に僅かに体が硬直してしまう。危ない、あと数センチ深く入ったら大量出血になってぞ。しかし、そんな暇も与えない。また別のゴーレムが近づいてくる。一度に2機、2つの攻撃を一片には防ぐのは不可能。片方の避けもう片方は防ぐ事でどうにか出来たが、次の攻撃には対応出来なかった。

 

「こいつ、武道まで」

防ぎ終え、大きく後ろに倒れた一夏に近づき殴りつける。地面に叩きつけられバウンドし、なんとか立ち上がるが後ろに回っていたゴーレムの蹴りが入る、骨が何本も折れる音が体中を駆け抜ける。激痛が何度も襲うがブレードは一切手から離さない。

 

「ダメだ、息が乱れて一撃一撃が甘くなる。これじゃあ、一機壊すのに何回も切らないと無理そうだな」

少しずつ息を整える、陣形を保ったままのゴーレムが接近した来たのを確認すると自分もそれに走りって近づく。

 

「その腕、もらっていく」

すれ違いざまに水平に振るわれたブレードを身を屈めて避けながらその腕に縦にブレードを振り下ろして切り落とす。正直、一回で成功するとは思わなかった一夏に一瞬、安堵が生まれる。だが、相手は機械だ。腕を切られたところで痛みも喪失感を感じない。プログラムどうりに行動を起こすだけのものだ。

 

「やばい」

腕から出た鋭いクローが生え一夏に向かって来る。完全に足はしゃがみこみそこから飛んだところで先にクローが届くのが目に見える。避けるのは無理だろう、これを受ければ完全に致命傷だ起き上がる力も根こそぎ奪われだろう。無慈悲な死が目の前に迫って来る。

 

 

「いつまで、反則ばっかりのルールで戦ってるんだ。ブラットさん」

大きな爆発音とともに目の前のゴーレムが一瞬で吹き飛んで行く。音からしてロケットランチャーだろう。しかし、軍隊で使っているようなものではゴーレムを飛ばす威力のものは少ないだろう。

 

「おう、一夏久しぶり」

ピットの入り口に対IS用のロケットランチャーを片手で担ぎ、笑顔を浮かべる上条。服は一部破れ汚れはしていたが。

 

「やっぱりあそこから出ていたのね。手足もしっきり固定したはずなのに」

「固定だあ?手足に太い業務用の釘を手足に打ち込んで、十字架に架けて火あぶりまでしやがって。何処が固定だ」

 

火あぶり?人間にすることじゃないだろ。そんなやつが同じ人間なのか?

 

「とりあえずそこのポンコツはゴミに出してやる。その後はお前を倒す」

更にもう片方の手に銃をも取り出しグランドに降りる。着地の際にあまりの重量で地面が沈み込む。

 

 

警戒されている専用機持ちはIS学園内で教師しか場所を知らない牢屋に入れられていた。ここも設備が充実しているので部屋に1つはモニターが付けられアリーナの映像が流されていた。

「上条君、良かった生きてた」

 

「信用してなかったみたいだね」

 

「そ、そんな事ない」

 

「釘を打ったとか正気の沙汰じゃねえな。どんだけ警戒してんだよ」

 

「それより問題は簡単に言ってる上条じゃないのか?」

 

そんな中、1人だけ驚愕した表情で映像を見ている人物がいた。

「・・・」

 

「あれ、ラウラどうしたの黙り込んで」

 

「気づかないのか?兄上が持ってる銃の事だ。普通の人間なら持てるような代物じゃない。普通のロケットでも約10キロあの大きさから予想すると30〜40キロはくだらない。問題はもう片方のM134だ。あれは片手で使えるような代物ではない。銃弾も含めれば約100キロは行く重火器だ」

 

「100キロ!それを片手で・・・」

 

「打った時点で反動が吹き飛ぶ。固定して使うのが本来の使用方法だ」

喜んだ声が多く出ているが、軍隊あがりのラウラからすれば上条の行動が馬鹿げているとしたいいようの無いものだった。

 

 

 

「一夏そのまましゃがんでろ!」

ゴーレムが動き始める前にミニガンを構える。銃身を動かしてからで無いとその威力が発揮できないのが痛い武器ではあるが、それさえどうにかできれば文句なしで最強の銃になりうる。

2秒、発砲するまでにかかった時間だが、ショートでも起きたのかゴーレムは一体として迫って来なかった。銃弾の雨がたった1秒で完成する。その銃身は一切ぶれる事なく目標のゴーレムに全て撃ち込まれ10秒足らずで蜂の巣ができあぎり装甲が千切れる。

 

「上条避けろ!」

真横まで回り込むゴーレムが一機近づいくる。

 

「分かりやすい動きだな」

鋭いクローが振りかざされるが横に当たらないギリギリの距離だけ避けと足を引っ掛けバランスを崩させ、ミニガンを頭上まで軽々と持ち上げ頭部に叩きつけられ装甲を大きく曲げる。

 

「銃ってのは撃つだけじゃ無い。鈍器としても使えるのを覚えておけ」

そう言ってる合間に迫って来たゴーレムがもう一体、足元でまだ起き上がれないゴーレムを蹴り飛ばし、強引に迫ってくる一機に飛んで避けさせる。

 

「はい、お疲れ様」

肩に担いだままのロケットランチャーで飛んだゴーレムに発射する。反動で若干後退するが直撃を受けたゴーレムは胴体に大穴を開けて倒れこむ。がその直前に 飛んで来たゴーレムのクローが胸に深く刺さっていた。

 

「人は刺されくらいで死ぬことはない」

武器を両方捨て胸に刺さったクローを抜き取る。

 

「どうなってる。あれは深く刺さったはず」

 

「おいおい、驚くことじゃない。その程度なら・・・この鉄板でも防げる」

服の内側に仕込んでいた厚さ3cmはある鉄板を地面に捨てる。

 

「防弾替わりに仕込んでいたと、でもそれで守りは無くなったも同然」

持っていた武器は捨て、守りも捨てた。それでも、油断はしなかった。先程までの余裕が消える、過去に簡単にあしらわれ無残にも傷1つ合わせられずに敗北した相手だ。

 

「ん〜お前が何をしたいのかは何となく分かる。けどその前に・・・」

地面に倒れたままのゴーレムの頭部に手を掛けて片手で持ち上げる。メキメキと指が深く沈見込んで行くのが分かり、ついに頭部が壊れる。

 

「こいつを壊す。生身の人間がISに勝てない、なんて常識が出回ってるが、それはただ諦めてるそれだけの話だ。努力すればゴーレムくらい片付けられる。と言ってもあと2つか」

 

「あら、空中にいる私も倒すの?面白い事言うわね、それにもう一機が誰を標的にすると思っているの?」

必殺の光線がいくつも迫るが、横に前にあるいはジャンプして避ける。

 

「そうだな・・」

地面に捨てたロケットランチャーを取り

 

「今、片付ける」

倒れている一夏に向かったゴーレムに狙いを定め、撃ち落とした。距離は60m以上も離れているにも関わらず。ISのようにシールドバリアや絶対防御もない為、空中で各部位が外れ地面に落ちる頃にはバラバラになった。

 

「さてと、これで1対1だ。どうする?俺はやる気だ」

 

「やる気があるのは結構よ。欠陥だらけの体でならね」

ブラットは軽く指を鳴らす、その瞬間にロケットを持っていた左腕が吹き飛び片腕がなくなる。それを見ていた一夏や映像を返して見た全員が目を見開く。

 

「どう?やる気出た?」

皆が憎んでいるのを分かっているのかニヤニヤと笑みを浮かる。夏休みに後をつけて飲ませたナノマシンを遠隔操作で爆発させ吹き飛ばす。気に入らなければ命を自由に操れる状態だが、目の前の男は驚きも動揺もしない。ただ、冷静に

 

「ああ、十分出た」

ゴーレムが持っていたであろうブレードが足元に転がっていた。それをブラットに向かって思い切り蹴り上げる。一瞬の出来事にギョッとし大きく仰け反る。いくら、絶対防御で守られているとはいえ、いきなり飛んでこれれば驚く。

高さは軽く30m、少し深く踏み込んで爆発のような音とともに空高く飛び上がる。 一瞬で近づくと背後に周りスラスターを切る。2度と上に逃げられないように真っ先に潰す。

 

「今すぐに殺してみろよ。その前にお前を天国にでも送ってやるけどな」

上から脇腹、鳩尾、両方肩に残った右腕一本で絶対防御も貫く威力で叩き込み最後には地面に落ちる直前に顔に拳をめり込ませてクレーターを作り上げる。ブラットはすでに起き上がろと足掻くので必死だが、もう一方は何事も無かったように歩み寄ってくる。

 

「ふぅ、さてもう時間がないな。さて、あんたのシールドエネルギーも相当減ってるだろうしこれで終わりだ」

片手で強引に上に来ていた制服を破き捨てる。中に見えたのは体中をプラスチック爆弾(C4爆弾)で身を包んでいた。

 

「ね、ねぇ・・・ああなた正気なの?」

唇が震え声が出ない。死を当たり前のように受け入れているのもそうだが、それよりも次に起こす行動に恐怖を覚える。

 

「ああ、正気だよ。どうせ俺はお前のリモコンで殺す。だったら巻き添えでやるしか無いだろう?ついでに、無理やりトラウマを作る方法がないか試してみたいから」

起爆スイッチを残った右手に持つ。

 

「あ、一夏。またどっかで会おうな、俺は元気に帰って来てやるから」

逃げようと動かす手は足で押さえつける。そして、起爆スイッチを手に持ったまま手を振り笑顔を保ったままスイッチに手を掛けて

 

「やめろぉ!!!!」

必死に叫ぶ一夏の声を虚しく、大爆発を起こす。アリーナの中央あたりで起こしたはずだが端までヒビが入り、その爆風の影響で壁まで吹き飛ばされて激突した、直前にISを着用しそれ以上の怪我はしなかった。観客席との間にあるバリアにさえヒビがクモの巣のように入り、中央では2mの範囲を真っ赤な血で染められ、その中で直撃を受けたブラットはISに強制解除され意識を失っていた。一夏も戦闘での疲労が溜まり動けない状態でいたが。

 

ただ1つ分かったこと、それは目の前で上条が死んだことだった。

そして、部隊の人間が回収、救出しに来た際クレーターの中には石ころサイズの純金の塊が4つ落ちていたそうだ。

 

 

 

 

「これで用事は済んだ。あいつも待ってるし迎えに行こう」

 

 

 

 




純金が4つ・・・新約を見ている人なら何となく分かりますよね。

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