IS学園の異端児   作:生存者

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第43話

長い休みも終わり2学期が始まった。生徒会長のスピーチも終わり始業式が終わる。

 

「これから2学期が始まる。文化祭にキャノンボール・ファスト、1年には修学旅行もあるが羽目を外し過ぎないよう。それから実技ではこれから実践的な動きも教えていく、しっかりとついて来るように」

 

「でも、体調には気をつけてくださいね。勉強も頑張ってください」

 

「以上だ。では授業を始める、といいたい所だが今日は転校生を紹介する。入って来い」

え、この時期で転校生?一体誰だろう。他のみんなも驚いているが、それよりも織斑先生の顔が本の少し笑ってるように見える。一夏も分かるのかこっちに目を向けてきた。

 

入り口が開く、入って来たのは何処か見覚えのある顔立ちで雰囲気も似ていた。

 

「ちっちゃい織斑先生?」

 

「え・・・マドカ?」

そりゃ一夏もびっくりするよな俺も驚いてる。最近一夏があってないのは聞いてたけど、まさかここに来るとは。

 

「織斑マドカです。今日からよろしくお願いします」

うん、丁寧な自己紹介だな。初めて会った頃とは別人みたいだな、織斑なんて言葉を出した時なは殺す!とかいいなかまらナイフで切り掛かってきたのが懐かしい。

 

「織斑・・え、てことは織斑君の妹!」

 

「確かに容姿も似てる」

 

「え、でも織斑君に妹さんがいたなんて聞いた事ないよ」

一斉に一夏の方に視線が向く、しかし、秋十の方には誰1人目を向けない。まあ、夏休み中のあれで少しは落ち着いた様子にはなっているが。

 

「静かに、質問は後にしろ。マドカ、お前の席はラウラの隣だ」

 

「はい」

思ったより静かだ、2人とも同じくらい一夏に懐いてるから喧嘩でも起こると思ったけど。

 

「そうだ、二週間文化祭の出し物についての話し合いをしてもらう。準備期間は短い、クラス長を中心に決めろ。では授業をはじめる」

中学の時は始業式に授業なんて無かったけど、ここは違うか。まあ、寮がすぐにそこにあるんだし簡単に終わる方がおかしいか。

 

「では上条、ここの問題を解け」

やば、いきなりかよ。集中しないと

 

 

 

1時間目が終わり、ゆっくりしていると廊下には新しい転校生が気になるのかたくさんの人が見に来ていた。ついでに言うと一夏にも質問が多数飛び交い、初めてこの教室に来たことを思い出す。

 

「騒がしい、もうすぐ授業が始まる。さっさと教室に戻れ!」

さっさと全員が席に着き廊下に溜まっていた人だかりは瞬時になくなり、バタバタと走って行く音も聞こえる。やっぱり織斑先生の威厳はすごいな。

 

 

「ではHRは以上だ。来週は出張でいなくなるがくれぐれも騒ぎを起こさないように」

ようやく終わったと、伸びをする。堅苦しいことばかりの授業が続きまとも、勉強した内容が頭に入ってこなかった。

 

「疲れた。明日も頑張るか、文化祭までは新しい武装は来ないし、しばらくは軽く運動する程度ですませるか」

 

 

 

日にちも過ぎ、文化祭の出し物の話し合いになったが予想通り滞ってしまう。

 

「それではこの中から決めたい所・・・ですが、全部却下!」

黒板に書かれていたのは。ポッキーゲーム、執事喫茶と明らかに一部の人だけが動く内容ばっかりだった。

 

「・・当然だな」

 

「えぇ、楽しいのに」

 

「大体、こんなやって誰が喜ぶんだ!」

 

「「「「「はい!」」」」」

クラス中が一斉に反応する。しかし、

 

「誰がもっと別の案を出してくれませんか?」

これに決まるのは嫌なので別の意見を出してもらう。そんな中、ラウラが手を挙げた

 

「じゃあ、ラウラ」

 

「はい、喫茶店などはどうでしょか。服装は私達がメイド服で、兄上達は執事服というのは」

 

「そしたら、あとは料理が出来る人が何人か集まれば」

 

「まずは上条君には厨房に入ってもらって」

 

「え、俺がやるの」

 

「「「「「「もちろん!」」」」」」

 

「じゃあ、意見もまとまったので喫茶店で申請して来ます」

 

「せめて、一夏も手伝ってくれ」

 

「すまんクラス長の仕事があるから」

 

「裏切り者」

反論も虚しく勢いに潰され、調理もやる事になった。理由は上条の料理の腕が恐ろしく高い事だ。並みプロなら対等なレベルで作る事が出来る。本人が全く気づかないが、今まであった人のものを基準にしているので必然的に高くなってしまう。

 

 

 

 

「喫茶店ねーお姉さんも行こうかしら」

 

「やめて下さい、これ以上仕事を増やすのは」

 

「いいじゃない、どうせほとんど人が行くんだし。接待だってやる事になるわよ?」

 

「うわ〜マジでやるんですか?どっちからならまだ楽なのに」

 

「まあまあ、そこは男子だからね。頑張りなさい、お姉さんも応援してるから」

調べ物があるが上条はパソコンをいじり始める。

 

「メニューはこんなもんか。明日あたり一夏に報告して、あとオリジナルで2、3品考えて追加すれば無理なくできるか」

 

「あ、上条君。文化祭の招待券はもう送ったの?」

 

「招待券・・・あ、まだだな。でも誰にするか、確か1枚ですよね?」

 

「そうよ。家族か友人でも大丈夫だけど、なるべく早めに渡しておいてね」

 

 

流石に部屋で電話をするのは気が引けるので屋上に上がる。

「ん〜誰に渡すか。母さんは旅行、父さんはどうせこっちな来るし。あの土御門達は・・・やめよう、何か嫌な事が起こりそう。吹寄に聞いてみるか」

 

『何、こんな夜遅くに』

 

『すまん、ちょっと聞きたい事があってな。2週間後に文化祭があるんだけど来ないか?』

 

『え、まさかIS学園の?』

 

『それ以外何があるんだよ。中学の時は世話になったからな、そのお礼みたいな』

黙り込む、そのから20秒たった頃。予定を確認してみると言って切られた。まあ、行けないのに受け取るのも悪いと思っているのかな。

 

「これでいいか、あとは送るだけなんだが・・・一枚だって言うのが難しいな。2枚くらいあればもう少し楽になりそうなんだけどな。まあ、変な奴が来ないようにそうしてるだろうし文句は言わないようにしよう」

部屋にもどるなり、上条のベットに寝転がる楯無さんを見て止まってしまう。まあ、際どい服装で目のやりどころに困る。

 

「で、渡す相手は決まった?」

 

「まあ、何とか決まりました。出来ればあと何枚か欲しいな、なんて思いましたが」

 

「あ〜私もそんな事があったわね。でも、今じゃ渡す人なんて身内の人くらいよ」

 

「そうなんですか。え、じゃあ誰に渡したんですか?」

 

「まだ渡してないわよ。ここにあるけど、欲しい?」

ヒラヒラと見せつけるように手に持つ。何故かすごい、取りたくなる。

 

「・・・ん〜〜欲しいです」

 

「いいわよ。けど、タダじゃあげないわよ」

あ、この笑い方は何か嫌予感が。

 

「その上条君が派遣部員になってるんだけど。それでも我慢できなくて、部活に入ってくれ。そんな書類が山のように来てね。それで」

 

「何処かの部活に入ってくれないか?それはずっとですか?」

 

「そうね」

あの楯無さんでも抑えられないのを考えると相当来てるんだろうな、と思った。まあ、いい機会だとは思うが女子部活しかないここでどこに入るかは考え物だけど。

 

「まあ・・部活に入るくらいなら構いませんよ。ただし、1つ条件があります」

 

「条件?まあ、いいけど」

 

「そうですね・・・」

その後に告げた言葉に楯無は目を見開いた。

 

 

 

次の日、昼休みになり時間が出来たので一夏にメニューの確認をしに行く。いくらこっちで決めていいと言われてもな。一夏の席まで行きと一通り書いた紙を見せる。

「とりあえずメニューはこんな感じでいいか?」

 

「こんなもんでいいんじゃないか。これ以上は作業が遅れるか、味を落としかねないからな」

 

「あとは一通り作ってみるか、でも紅茶とかの淹れ方が分からないからな。書いてから気づいた事なんだが」

 

「それは、他に淹れ方が上手い人に聞くしかないだろ。俺だって料理は作れるけど、そっちまではな」

まあ、なんやかんやで放課後になり、家庭科室の鍵を借りて一度試食会を開いた。作るのは上条と織斑兄弟、あとは料理の腕に自信がある人が来ていた。作業台の上には材料が置かれ、まずは全員がどのくらい出来るかやってみることに。材料は上条が食堂のおばちゃん達から譲ってもらったもの持って来ている。

最初はパンケーキから作るか、果物も少し持って来たから盛り付けも出来るな。

ここに何故、秋十がいるのか。クラス全員でそれぞれ役割を決めてやるのだが、やる事がこれしかなく来ていたのだ。

 

 

「はぁ、美味しいけど。何か女として負けた気がする」

 

「なんか、自信がなくなる」

全員で作った料理を一度試食する事になったのだが、特定の人の腕が良かったせいで何人かの人が落ち込んでいる。元から料理上手なシャルロットや一夏、秋十は普通だが、その他の人は明らかに凹んでいる

 

「なあ、一夏。みんな少し暗いかないか」

 

「お前のせいだよ」

 

「俺の?何かしたかな」

そんな事を言いながら全員を食べて行く。

あ、うまい。秋十も料理できるじゃん。

 

「ねぇ、一夏。僕の美味しかった?」

 

「ああ、美味しかったよ」

 

「いちゃつくな〜みんな見てるぞ」

そこそこ密着して話す一夏とシャルを見て上条は思わず呟いた。2人とも慌てて離れるがどうも浮ついてしまうのでどうにか出来ないのかと考える。

まあ、それを考えながらも別にパフェ、時間はかかるがケーキまで作り別の問題について考え始めた。

 

「問題はコーヒーとかハーブティの淹れ方だな。どうしよう」

ちなみに茶の立て方は知っているのでそっちは問題ない。中にはコーヒーメーカで代用するとか出ているが、コーヒーはそんなに凝らなくてもいいと全員で決めて、機械に頼る事になった。

 

2、3品作り、全員出す側でも問題ないとなったので今日は終わる事にした。もちろん、作ったものは全部食べ切ったが。終わってから部屋に戻ると少し不機嫌そうな顔をする楯無さんに睨まれる。

 

 

「あの、何かしましたか?」

 

「今日、試食会をやったらしわね」

 

「え、ええ。一度作ってみないと必要な材料とか、誰がどのくらい出来るとかを確認したかったので」

 

「なんで誘ってくれないのよ。今日は珍しく仕事が早く終わったのに」

 

「いや、なんと言うか。楽しみはとっておいた方がいいんじゃないかと。どうせ来るんですよね?それでもここで食べたいんですか?」

 

「・・・・食べたい」

 

「はぁ、分かりました。食堂で待っててください。作って来ます」

 

「え、入れるの?」

 

「度々入っているうちに、自由に使ってくれていいよと言われまして。それからは、自由に使ってますね」

流石に夕食をデザートだけにするのは避けたいので、軽く食べてから作り始めた。まあ、他にも来ている人がいたのでかなり見られていた。

 

「楯無。隣空いてるか?」

おぼんを持って近づいて来るフォルテ。何か運動でもしたのか汗が少し出ている。

 

「隣は先客がいるから無理だけど反対ならいいわよ」

助かったーと告げると座り、持って来たパスタを食べ始める。

 

「そう言えば!上条が部活に入るなんて噂があるけど本当なのか?前から入らないとか言ってたような」

 

「本当よ。まあ、お願いしたのはこっちなのよね」

 

「お願いって、部活に入るのをか。でも、どうして受け入れたんだ?」

 

「ちょっとした取引でね。ただ条件が出たのよ。上条でも辛いと思う条件がね」

 

「へぇ〜でその条件ってなんだ?」

 

「・・それがね、部活で何かしら実績を残したら辞めるって」

 

「難しいな・・・」

 

「どうしたんですか、なんか暗いですよ」

いつの間にか両手にフルーツが盛られた入れ物を2つ持っている上条が出て来る。こいつが先客だったのかと今知る事になったが。

 

「あ、上条か。ちょっとな・・・その手にあるのはなんだ?」

 

「これですか?デザートです。食べますか?」

口よりも先に手が動き、自分の前まで持って食べ始めている。

 

「なんで2つ分?自分でも食べるつもりだったの?」

 

「厨房の中からフォルテさんが見えたのでついでに。盛り付けならそんなに、時間はかからなかったのですぐに終わりましたよ」

配慮がすごいな。そこらの男じゃ見た所でそこまで頭が働かないぞ。

そんな事に思っているうちに上条が立ち去ろうとしている。

 

「あれ、お前は食べないのか?」

 

「俺はもう食べました。先輩はゆっくり食べてください」

一仕事終えたのか1人で帰っていく。しかし、顔は満足そうになっていた。

 

「それにしても、なんで汗をかいてるの?」

 

「文化祭の当日、模擬戦をやる事になってその練習」

 

 

それから1時間程経った頃。屋上で1人携帯を見ている影があった。

「よし、返信は来てるな。問題なしと、あとは送るだけ。途中で何も無い事を願うか」

 

「トールの溶断ブレード・・・模倣も出来るようにするか。機械だけじゃ多分限度がある、効率も悪そうだしそう長くは使えない。リーチはあいつより短く、威力も落ちてるはず。そこも考えるか」

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は文化祭です。特に乱入者(悪人)はいません。

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