IS学園の異端児   作:生存者

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第21話

浜辺でビーチバレーの連戦を終え、上条達は旅館へと戻り部屋で一休みしていた。

 

「あ、いてて。日焼けしすぎて腫れてきた」

 

「俺も、摩れるだけで痛い。そう言えばこの後は夕食は大広間か、着替えおかないと」

 

それから時間が経ち、大広間で新鮮な魚料理が振舞われ上条達はその味を堪能していた。因みに正座の出来ない外国の生徒もいるため、座布団席以外にテーブル席も用意され日本のおもてなしの意気込みを感じられる。上条もその味に満足しているがふと、隣に座っているラウラを見ると顔には出していないが足を見ると少し震えていた。

 

「ラウラ、足を組むのが無理なら崩してもいいだそ」

 

「だ、大丈夫です。この程度、教官の訓練に比べれ・・ッ〜〜〜!」

足を突かれたラウラはなんとも言えない痺れに襲われ、悶え出した。正座から来る独特な痺れに外国人である彼女には経験したことがなかったようだ。

 

「ほら、少しマッサージするから足を出してみろ。これは血流の流れが悪くなったから痺れてるだけだ、これで少しは楽になる」

 

「ありがとうございます兄さん」

 

「だから、なんで兄さんなんて呼ぶんだ。前は兄上なんて呼んでたけど」

 

「それは日本に詳しい副官から教えてもらったからです」

自信満々に答えるが、なかなかに間違えてる部分が多い。こんな純粋な子に何を吹き込んでるんだよ。

 

「これから席を変えるのも難しいし、仕方ない食べさせてやる」

 

「え、いいんですか!?」

上条の言葉にラウラは目を開き瞳を輝かせている。上条は勢いの強さに思わず引いてしまった。

 

「お、おう。それでどれが食べたいんだ?」

 

「では先に刺身をお願いします。あ、わさびは少量で」

 

「了解。はい、あ〜ん」

 

「あ、あ〜ん」

器用に利き手の逆でわさびを少量取り、刺身に乗せ醤油につけるとラウラの口元に持って行った。こう言った食べ方に慣れていないのか、ぎごちない動作で口を少しずつ開けて食べた。上条からすると、なんか妹を持ったみたいだな〜と思っていた。

 

「ああ!ラウラさんズルい!上条君に食べさせてもらってる!」

 

「あ、本当だ。私にもやって!」

 

「ダメよ、抜け駆けは禁止!」

 

「何を言うか!このくらい兄妹なら当然のことだ!」

いや、俺は兄じゃないからな。上条が思ってる間に私にもーとたくさんの人が押し寄せた、しかもよく見ると反対側にいた一夏も同じような事をやっていたのか人が集まり出していた。

 

「お前達は静かに食事をする事は出来んのか!」

その時、勢いよく一夏の後ろにある襖が開きそこには千冬が立っていた。一瞬で全体が静まり、内心助かったと思ったが千冬の視線は上条に向いた。

 

「上条、一夏あんまり騒動を起こすな鎮めるのが面倒だ」

 

「「はい、分かりました」」

それを聞くと襖を閉め、遠くまで行ったトのを確認するとその部屋にいた上条と一夏を除く全員がため息をこぼした。あの鋭い目つきと威圧感に生きた心地がしなかったのだろう。

 

「という訳だ。すまないが自分で食べてくれないか」

 

「はい、流石に教官に怒られたのでは食べるしかありません」

箸の扱いに苦戦しながらも必死に食べ続けていた。その後は特に何も起こらず食事を堪能した。その後上条は1人を散歩して空を眺めて風呂までの時間を潰していた。一夏は織斑先生に呼ばれどこかに行ってしまったのだ。

 

「やっぱり、綺麗だな。前はこんな余裕がなかっけど星をこうやって見上げたのは」

上条は1人で旅館を抜け出し、近くにある海沿いの崖まで来ていた。辺りはすっかり暗くなり、照らしているのは月の光だった。もちろん上条が本当にここに来たのは夜空を見上げて楽しむのではなく、幽霊よく出ると旅館の関係者から聞いたので本当に出るのか見に来ていたのだ。

 

「ん〜そろそろ風呂に入らないバレるかもな。明日もあるし、今日は帰ってみるか」

と思ったが何気なく振り向きながら横を見ると手が伸びているのが見えその時には体は宙を舞い引きずり込まれた。

 

それから数十分ほど経ち上条は旅館の温泉に入っていたが、腕には新たに擦り傷が出来ていた。

「ああ、痛いなんで二回も引きずり込まれるんだよ。まさか、本当に出るとは思わなかったけど白い手に手を引かれて落ちたら今度は、女性が出て腕を掴むなりいきなり落ちるし最悪だ」

普通なら、崖から落ちるだけで命を落としかねないが運よく岩場から離れた場所に連続して落ちたのだ。その後は、戻る為にフリークライミングで30m近くある崖を登るのだが何度も足場が崩れ登りきるのに10分近くもかかっていたのだ。

 

「久しぶりに入ったな1人でこんな広い浴場に入るのは。家族で行くのもまるっきり減ったし仕方ないか。・・・・はぁ、俺はいつまでここにいるつもりなんだ、帰りたいのは元の世界だろ。けど、まだ不完全だ。大雑把に作った世界じゃ俺の戻りたい世界にはならない・・こんな考えるのは後にするか、少しは休まないと」

その後、就寝時間の数分前まで温泉に浸かり体を休めていた。

 

 

臨海学校2日目、一年の専用機持ちはISの起動実験を行う為集められていた。代表候補生はそれぞれの国家、企業から送られてきた新装備のパッケージをインストールし、その実戦データを集めるためだ。

「これより、専用機持ちにはパッケージを換装後に稼働試験をを行ってもらう」

そう言う千冬の前ではISスーツに着替えた1年全員が整列していた。集まった場所は四方を岩に囲まれ、ちょっとしたビーチのようなところだ。

 

「あのち・・織斑先生」

 

「なんだ秋十」

 

「ここには専用機持ちだけが来るはずだけど」

 

「ああ、それは・・」

 

「やっほーーーー!ちーーちゃーん!!」

その場にいた全員がその声が聞こえてくる方向を見ていると、メカのうさ耳を付けエプロン姿の女性が崖を全速力で走り千冬の元に飛んでいたのだ。

 

「やあやあちーちゃん、ハグハグしよう。愛を確かめ合おうよ・・」

千冬は落ち着いて飛んでた女性の頭部を掴みとり、少し離れたこちらまでギリギリのと音が聞こえるほどの握力で握っていたが、やられている本人はまだ笑顔で受けていた。しばらくして千冬はため息を吐きながら手を離した。

 

「うるさいぞ束」

 

「相変わらず容赦のないのアイアンクローだね〜もう少しで頭が割れるところだったよ」

 

「そのまま割れてしまえ」

あれだけの力でやられていたにもかかわらず笑顔で会話を続けている2人にその場にいた女子生徒は全員呆然としていた。

 

「はぁ、自己紹介くらいしろ」

 

「ええ、しょうがないな。私がISの生みの親にして天才科学者の篠ノ之束だよ。いつも妹の箒ちゃんがお世話になってま〜す。よろしく!」

その言葉に束を知る、千冬、秋十、一夏も驚愕し妹の箒も驚いていた。興味を持った人間以外は道端に落ちてる石ころ程度にしか思わない束が何も文句を言わずに挨拶をしたからだ。

 

「あー、あっくん久しぶり〜」

 

「お久しぶりです束さん。また綺麗になりましたね」

 

「ありがとう〜またお世辞が上手くなったね〜」

気のせいか秋十に話している時、彼女が向けていた目は実験動物に対するような目になっていた。やはり、久しぶりにあったとはいえISを力の象徴としか見ていない事に気付いたのだろう。世の中は女尊男卑の風潮になっているが秋十の中では男尊女卑のようになっているのだ。ISを使えるだけでここまで自分の事を慢心してるやつを見ると笑えてくるな。

 

「やあ、箒ちゃん」

 

「どうも・・」

 

「いや〜久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかな。大きくなったよね、主に胸が・・」

何処からか出した木刀が束の顔にめり込んでいた、一体何処からか出したんだよ。しかも本人はあれを受けてもまだ笑顔で答えている。

 

「殴りますよ」

 

「殴って言うなんて酷〜い。ねぇ酷いよね、いっくん」

 

「は、はぁ」

 

「あ、当麻君もいる久しぶり〜」

 

「お久しぶりです。相変わらず元気ですね」

 

「いや〜君に比べれば私は元気じゃないよ〜」

 

「おい、どうしてお前が束さんに会えるんだ」

 

「いや、この人なら何処でもあえるけど。あ、間違えた、何処に行っても会うんだったな」

普通会わないし、見ることすらないやつになんで会えるんだよ。と何人か心の中で思ったが、本題に入らない束に千冬は口を開いた。

 

「束、お前は自己紹介の為に来たのか?」

 

「ああ、忘れるところだった。さて、大空をご覧あれ〜」

手を空に掲げると一瞬何かが光りすさまじい速度で地面に落下してきた。落下してきたのは菱形状のコンテナのようなものが落ちてきた。手元にあるスイッチを入れると中にあったのは赤一色のISだった。

 

「じゃじゃーん、これが箒ちゃんの為に製作した紅椿だよ〜。この束さんが作った、全性能が第四世代の最新鋭のISなのだー」

 

「「「「「「「第四世代?!」」」」」」」

 

「各国でまだ第三世代の試験機が稼動し始めたばかりですのに」

 

「常識はずれのことをやってのける・・・流石は束さんだね」

織斑家の3人は束が規格外の天才だと分かっていたが更にその上を進んでいた事に専用機持ちも含めその場にいた1人以外は全員が驚き、そして天才ぶりを理解した。そんな中、1人、暗く歪んだ笑顔を浮かべる箒がいた。これで秋十の邪魔者である2人を排除出来ると。だが、その希望は打ち砕かれた。

 

「・・・やり過ぎだ束」

 

「はっはっはっ!束は作りたいものには一切手は抜かないし完璧じゃなきゃダメだって。でも大丈夫だよ、今は枷をつけて第三世代まで性能は落としてあるから」

 

「!!何故、そのような事を」

 

「だって、箒ちゃんはまだISをちゃんと乗りこなせてないし、他の専用機持ちに比べて実力が足りないから経験を積んでももらいたいんだよ〜」

確かにと側にいた千冬も思った、いくら性能がよくても乗り手の実力、技術がしっかりしなければただのおもちゃになりかねないと思ったのだ。

 

「なんで、そんな余分な事を」

 

「これでも妹の成長を見たいんだよね〜。これでも甘くしたんだからね」

 

「何が甘くしたんですか、貴方の生み出した力で私達の生活を滅茶苦茶にした貴方が!」

 

「おっと痛いところを突かれた。その事については責任を感じてるよ。だから、そのお詫びの印と誕生日プレゼントの意味を込めて紅椿を用意したんだよ」

これでもまだ不満があるのか今度は暴力に走ろうとしたがそこに千冬が間に立った。

 

「そこまでだ篠ノ之、これからまた経験を積めばいいことだ。使いこなせなければ専用機の意味はない、そこまでにして早く稼動試験に入れ」

渋々とだが、納得しその場は治まった。その後、全員が稼動データを取る為、それぞれパッケージを機体にインストールさせていると慌てた様子で走ってくる山田先生が来るなんか危なっかしいな。

 

 

「大変です織斑先生!」

 

「なんだ」

 

「こ、これを!」

 

「これは、・・・全員、作業を中止!一般生徒は自室で待機。だが、専用機持ち箒を含めた10人はついてこい」

重苦しい雰囲気になり、連れて行かれたのは昨夜騒いだ大広間だった。張り詰めた空気が漂い全員が緊張感に包まれていた。揃ったのを確認しすると千冬は今回の事態の説明を始めた。

 

「今から2時間前、稼動試験中だったアメリカとイスラエルが共同開発している第三世代軍用IS。銀の福音 通称、福音が制御下を離れて暴走して試験場を爆破、その後米軍の監視空域を離脱した連絡があった」

 

「ここまで言えば分かるだろうが、暴走状態のまま東京上空へ行けば甚大な被害が出る可能性がある。そこで学園上層部とIS委員会からの通達により我々がこの事態に対処する事になった。教員は訓練機を使い海域、空域の封鎖をしてもらう。よって本作戦は専用機持ちに担当してもらう」

冗談じゃないと思った。この10人の中でまともに実践経験のあるのはラウラ1人、それに専用機を持っているだけで最強だと勘違いしてるやつが2人も入ってる。危ないとしか言いようがない。

 

「質問があります。ここにはいるのは全員、学生で実践経験をしているのはラウラだけですよ。そんな俺達に暴走状態の軍用ISを止めさせるんですか」

 

「なんだ、上条自信がないのかい?だったら部屋に戻りなよ、ここにはやる気のあるやつだけ残るから」

 

「・・・俺は、お前に質問してない。織斑先生どうなんでか?」

 

「すまないがそれは出来ない。今、自衛隊のIS部隊にも要請しているが1時間以内には到着する事は無理だ。ゆえに少しでも実践経験のある我々が迎撃、最悪の場合は自衛隊が到着するまでの時間稼ぎをしてもらう」

 

「分かりました。なら俺1人で行きます」

その一言に全員が驚き、秋や箒に至っては手を上げそうになっていた。

 

「1人での身勝手な行動は許さん。それと私の教え子から死人を出すつもりはない、頭を冷やせ」

 

「・・・了解しました」

 

「よし、これより作戦会議を始める。意見のあるものは挙手をするように」

 

「織斑先生、目標機体の性格な性能データの開示をお願いします」

 

「よかろう、ただしこれは両国の最重要軍事機密だ。決して口外するな、情報が漏洩した場合は査問委員会による裁判と最低でも2年の監視がつけられる事になる」

普通の学生には聞いた事のない監視という単語にその場にいた全員が息を呑んだ。ディスプレイには機体の詳細な情報が表示され、その圧倒的な性能に愕然とした。

 

「全距離対応攻撃も可能って、しかもスラスターと広域射撃武器も融合されてるじゃない。攻撃も機動も桁違いだわ」

 

「おまけに最高速度はマッハ2・・・このメンバーじゃ誰も追いつけないよ」

 

「他にも近接武装があるのも考慮しないといけないな」

 

「これじゃあ偵察は無理・・だよね?」

 

「性能が正しければ最高で時速2450kmまで出せる。偵察をする前に気づかれる可能性もある、アプローチは一回が限界だろう」

一回が限界という事はその一回で確実に落とさなければならない。あの玲奈でさえ、慎重な意見が出ている。首都壊滅を阻止する為、少しでも確実に出来る手段が取られる。さらに不測事態が起こる可能性もあり作戦会議は難航した。

 

「なら、僕が福音を落とすよ」

 

そんな中、策など全く考慮せず秋十が挙手をした。しかもこの中ではかなりの問題児が。

 

「たった一度のアプローチが限界なら、その一回で一撃必殺の攻撃を持つ機体で挑むのが妥当です。零落白夜なら福音に当たりさえすれば確実に落とせます」

確かに一撃で落とせるならそれに越す手段はないが、それに不服があるのかラウラが口を開けた。

 

「私はその案には賛成できない。この中では性能で言えば確かに最高速度は白式が上回っているし、零落白夜が当たれば確実に落とせる。だがあれを使えばすぐにシールドエネルギーが削れて長時間の使用は出来ない。これは人の命がかかっている、そんな勝算の低いものはここで選ぶことは出来ない」

 

「だからこそ、必ず当てればいいのさ。君達の武装よりは確実に削り落とせるだろう」

 

「一度も当てた事もない、諸刃の剣をこんなところで使うのか秋十。俺もその案には賛成できないし、デメリットの方が多い」

 

「ならそういう君達は何かあるのかい?まさか、ただ僕の作戦を否定してるわけじゃないよね」

その一言に全員が俯いた、秋十の策にはデメリットが多く失敗した場合の損害が大きくなるが学生が軍用のを止められる作戦を学生がやるとすると、秋十の作戦が一番最適でもあった。

 

「あーもう!いっくんも当麻君も自分の機体なら十分対抗出来るんだから2人で行けばいいのに」

何故か聞き覚えのある声が聞こえ部屋の端から発せられ、天井を見ると屋根裏の板が一枚外され束さんが顔を出していた。

 

「あ、いっくん。もう枷は外しちゃっていいよ。もう隠す必要もないからね、なんと言っても私が最初に作った第四世代のISなんだから」

 

「おい、束。どういう事だ」

 

「ああ、ごめんねちーちゃん、誕生日プレゼントなんて何を渡せばいいか迷っちゃったから、最新のIS渡しちゃったんだよ」

思わず手で顔を隠す千冬、まあ仕方ないだろうプレゼント感覚でISを渡すような友人が目の前にいるのだ。そして、他のメンバーはもはや呆れかえっている。

 

「・・・分かった。それは仕方ないとする、それで、その性能はどのくらいだ」

 

「えっとね、記憶が正しければ速度以外なら十分対抗出来るの性能かな〜。でも1人でも倒せるくらいの実力もあるんだし問題ないと束さんは思うな〜」

 

「なら、一夏と秋十の2人で行かせるのはどうですか?2人とも零落白夜が使えますし。もし、秋十のシールドエネルギーが先に枯渇し始めても一夏の機体なら相手からシールドエネルギーを吸い取って使えますから、長期戦も可能性です」

 

「ですが、もし途中で妨害が入ったとしたら・・」

 

「それなら、俺が送る。俺の機体の最高速度は自分が耐えさえすればマッハ8まで出せるからすぐに応援として運べる」

 

「「「「「「「「は!?マッハ8!!」」」」」」」

 

「そこまで驚くのか?それと声が大きい」

 

「Gで体が押し潰されるよ。着く前に体がボロボロになるって」

 

「大丈夫だろ。シールドエネルギーである程度はカバー出来る、さして問題はない。それにすぐに終わればそれだけみんなの負担は減るんだ」

早く終わらせればその分、負担が減るのはそうだし精神的な負担も減る。だが、それにも不満感じている者がいた。

 

「なら、姉さん私の機体の枷を外して下さい。そうすれば秋十がつくまでのシールドエネルギーの負担も減り、その分を戦闘に回す事が出来ます。それにこれではまともに相手をする事が出来るません」

 

「そんな事しなくても当麻君に運んで貰えばいいじゃんーって箒ちゃん戦うつもりだったの?」

 

「当たり前です!私はピクニックに行くんじゃないんですよ!」

 

「でも安全に使える状態じゃないのに使うのも危ないんだよね〜」

 

「なら、私も行きますわ。本国から高機動パッケージが送られてきていますし、超高感度ハイパーセンサーも付いています」

 

「オルコット、どのくらいで装備のインストールは終わる」

 

「最低でも30分ほど掛かります」

 

「30分か・・・もう少し短縮することは出来るか?」

 

「さすがにこれ以上は難しいです」

 

「んじゃあ、セッシーだっけ?束さんがインストールしてあげるよ。ん〜10分位で終わるかな」

 

「え!本当ですの?」

いきなりあだ名で言われた事よりも、セシリアはその作業スピードに驚いた。そして、それに反応するように親指を立て笑顔を見せた。

 

「もっちろん!あと、シャルルンだっけ?ラファール用の高稼動パッケージがあれば付けてあげるよ。まあ、教師が使ってるくらいだし探せばあるよ〜」

 

「は、はい分かりました」

慌てて大広間を出て行くシャルロット。まあ、これは朗報でもあるか2つの作業をしてもかかる時間は同じで並行して進められるのだ。残りの時間は少ないしその分を策を立てるのに使えるのはかなり大きい。

 

「さてと、束さんも頑張りますか」

全員がそれぞれの作業に入るがその中で1人だけこの騒ぎとは別の寒気に襲われていた。並大抵事故はいつも経験し、日常の事だと思い考えないようにしているが、この時はいつも以上に静かにこの騒動が治ることを願っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は福音戦です。そのあとはもう一体の邪魔を出してみます。

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