IS学園の異端児   作:生存者

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第16話

「生徒会っていつものこんなに仕事が来るんですか?」

 

「ええ、偶に会長が仕事をさぼって溜め込む事をありますけど。大体このくらいです」

 

「しっかりして下さい楯無さん」

 

「え、酷くない!?私だって毎日書類の山に埋もれるのが好きでいる訳じゃないのよ」

 

「分かりましたから、手を動かしてください」

 

「一夏君助けて、上条君が虐めるよ〜」

 

「気持ちは分かりますけど、俺も早く上条と模擬戦をやりたいので終わらせたいんです」

2人の本音に楯無はあっさり押され、渋々作業を続けていた。

 

「ねぇ一夏君、あれって君の友達だよね?」

何気なく窓から外を眺め声をかけていた。一夏も気になったの窓から覗くと鈴ともう1人セシリアが口論になっていた。

 

「友達?ああ鈴かあいつら何やってるんだ?」

 

「ぱっと見、模擬戦やってるみたい…じゃなさそうだな」

 

「あの上条君そんなに呑気に見てられる状態じゃないと思うけど」

 

「相手はラウラか、あの目つき完全に殺す気満々じゃねえか。クソっ!」

 

「って上条君、此処3階だよ!え?一夏君まで!?」

上条と一夏は生徒会の窓を開けそのまま飛び降りアリーナの入口近くで着地し、観客席に向かった。正直ピットからグラウンドに行きたいが時間がかかるのでそちらにまわった。

 

「一夏、入ったら鈴をグラウンドの端まで運べ。俺はセシリアの方をやる」

上条はグラウンドの観客席との間にあるバリアを軽く力を込めて殴り人が通れる穴を開けた入った。すぐにそれぞれのISを展開しラウラの元に向かった。

 

「今度はお前らが相手か手間が省ける」

 

「お前の相手は後だ、とりあえずその2人を離せ」

 

「仕方ない、ほら受け取れ」

ラウラは無造作に2人を投げ、上条はセシリアを一夏は鈴を受け止めピットまで運ぶ。

 

「此処にいろ、すぐに先生達が来るからな」

それだけを言い残しラウラに向かう。

 

「ドイツ人てのは随分と物騒な人間だな」

 

「あんな屑共が死んだところで何も思わん」

怒りを通り越してもはや呆れてしまったが気がつけば、一夏が斬りかかっていたが当たる寸前で何かに止められていた。

 

「なんだあれは結界か?」

 

「馬鹿か、この停止結界の前ではそんな攻撃は無意味だ」

 

「AICか、厄介なものを持ってやがる」

一夏は更に左手ににもブレードを出し斬りかかるがそれも止められた。

 

「貴様に学習能力が無いようだな」

 

「それはお前もだ。ここにいる2人だけじゃないんだぞ」

一夏が言い終えるとともにラウラは後ろからの射撃で集中力が切れ一夏は少し離れた。

 

「やっぱり集中しないと使えないみたいだなその結界は」

上条はアスカロンを出し持ち手を僅かに回し真正面からやや遅めの速さで斬りかかった。

 

「学習能力が無いようだな。速くても真正面から来たところで意味はない」

そのとうりあっさりと止められたが上条は止めらたと同時にアスカロンの持ち手を引き抜いた。そこからは長さ1mほどの槍が現れ、大きく身を捻り結界の中心から離れた場所からラウラに斬りかかった。その槍は結界をすり抜け、肩に当たった。

 

「何?!停止結界を超えただと」

 

「随分と薄い守りだな、いつまでもそんな物に頼るな」

 

「ッ!」

ラウラは懐にあったプラズマソードで斬りかかったて来たがそれは上条が受け止める前に全く別に人間に止められていた。

 

「やれやれ、これだからガキの相手は疲れる」

そこには訓練機で使用される2mある剣を織斑先生が生身でラウラの攻撃を受け止めていた。

 

「模擬戦をやるのか構わんだがアリーナのバリアまで壊される事態になっては黙認しかねる。この続きは学年別トーナメントで付けてもらうそれでいいか?」

 

「はい、元からそのつもりです」

 

「俺も元からそのつもりでした」

 

「そうか、では学年別トーナメントまでの一切の模擬戦を禁止する。以上」

 

上条はセシリア達を保健室まで運ぶとまだ残っていた仕事があったので、生徒会に戻っていた。もちろん、ちゃんと階段を使い3階まで上がっていた。

「はぁ、また面倒な事になったな」

 

「あ!上条君大丈夫?足は怪我してない!?」

 

「あのくらいの高さなら問題ないです。それより仕事は終わったんですか?」

 

「うぐっやっぱり聞いてくるのね」

 

「その様子だと終わってないみたいですけど。また、虚さんに負担を掛けたんですか?」

 

「ち、違うよ!急にかんちゃんがいなくなって進まなくなっただけだよ」

 

「簪が途中で仕事を抜けるなんて何があったんだ?」

 

「あ、上条君ここにいたんだ」

 

「あれ簪、何処に行ってたんだ?」

 

「ちょっと学年別トーナメントで変更があったみたいでこのプリントを取りに行ってきただけ」

 

「え、どれどれ。今月開催する学年別トーナメントではより実践的な模擬戦闘を行う為、2人組での参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組む物とするか。もしかしてさっきのラウラのけんで変えたのか」

 

「そう、で本題だけど。私と組んでくれない?」

 

「いいけど、俺でいいのか?」

 

「上条君なら問題ない、間違って撃っても避けてくれそうだから」

 

「なんで当たる事前提なの?!」

 

「だって・・先読みして撃った場所に出て来そうだから」

 

「分かった、こっちも気をつける」

簪のプリントに自分の名を書くとすぐに残った仕事を終わらせ、出ようとしたが楯無にとめられていた。

 

「ねぇ、何も相談をしなくて良かったの?」

 

「相談って何をです?」

 

「いや、試合の分担とか決めた方がいいわよ。いくら、君が強くても戦術で負ける事をだってあるんだから」

 

「基本はお互いが一対一の相手をする、余裕があるな援護射撃。俺はそれで十分です」

 

「それってまともな戦術とは思えないんだけど」

 

「俺は変に連携を組む事が出来ないのでこれが一番ベストです。最悪それで簪が終わっても2人くらいなら特に問題はありません。それに、1人で倒してくれると信じてますから」

 

「色々と矛盾してるけど、かんちゃんが信用するくらいの人なんだし文句はないわ」

 

「俺ってそんな信用なかったんですか」

 

「ほら、だって2ヶ月でビック3の2人をあっさりと倒すような人だもの、急に信じるのは難しいから」

 

「そうですか、じゃあまた後で」

 

「今日もまた筋トレ?毎日あんなにやって嫌にならないの?」

 

「この程度で嫌になるなら俺はここに居ませんよ」

 

「?」

 

「いや、今のは気にしないでください」

上条は荷物を持ちさっさと部屋を出るとトレーニングルームに行き何時ものメニューをこなして部屋に戻っていた。寮とトレーニングルームは少し離れた位置にあり外を歩いていた。

 

「はぁ、なんか嫌な予感しかしないな、何もなく終わるか心配だ。ここに来てから2ヶ月近く経ったけど、ようやくこの状態に慣れたのに騒動だけは前と変わらず起こるな。前の世界みたいにとんでもない事が起こらなきゃいいけど。ん?あれはラウラか」

もう外は薄暗くなり街頭でほとんど周りは見えなくなり距離は30mもあり普通の人にはぼやけてしか見えないが、変に視力が上がった上条は口論をして2人が見えていたし話の内容も聞き取れていた。相手は織斑先生か。

 

「何故こんなところで教師など!」

 

「やれやれ、何度も言わせるな。私には私の役目がある」

 

「このような極東に地で何の役目があると言うのですか!お願いです、教官。我がドイツに再びご指導を。ここではあなたの能力は半分も活かされません」

 

「ほう」

 

「大体、この学園の生徒は教官が教えるに足人間など少数しかいません」

 

「何故だ・・・」

 

「意識が甘く、危機感に疎く、ISをファションか何かと勘違いしている。ISは兵器です。それを理解できないほどの低い者達に教官が時間を割かれるなど・・」

 

「そほこまでにしておけよ小娘。少し見ない内に随分と偉くなったな、15歳でもう選ばれた人間気取りでいるとは恐れ入る」

 

「わ、私は・・・」

 

「私はまだ忙しい、お前もさっさと部屋に戻れ」

 

「・・・はい」

何も声を発することなくすぐにその場から去って行った。するとこちらに気づいているのか目線があった。

 

「そこ男子、盗み聞きか」

 

「そんなに大きな声で話してれば、嫌でも聞こえますよ」

それだけいい上条もその場から去った。

 

「ラウラも事情を抱えてるんだな」

 

「あら、気になる?」

 

「いつからいたんですか楯無さん」

 

「君が頑張っているる時から」

 

「ちゃんとやったんですよね?まさか押し付けたんですか?」

 

「ちゃんとやったわよ!そんなに信用出来ない?」

 

「はい」

 

「うっ!即答だしきっぱり言われると結構くるわね」

 

「それなら、シャワー室に飛び込んで来るなんてことをしないで下さい。あの時はもう2人いたので仕方ないですけど、次は放り出しますよ」

 

「え、襲うの?」

楯無は少し笑みを浮かべて上条を見てきたが、それとはまた違う方法で言い返してきた。

 

「・・・やっぱり部屋変えてもらうかな。この学年だと、あっフォルテさんに頼んでこよう」

 

「じょ冗談だから、そこまで考えなくていいよ!」

慌てて弁解をしようとしたが上条は気にせず携帯を取り出した。

 

「すいませんフォルテさんですか?はい、少し用事が・・」

 

「ああもう!冗談だって言ってるのに!」

 

「分かりました。それに何処にも電話なんて掛けてませんよ」

 

「はぁ良かった。こんな事で部屋移動するのはしたくなかったわ。まあ上条じゃフォルテちゃんの電話番号なんて知らないでしょ?」

 

「知ってますよ。前に教えて貰いましたから」

 

「え、いつ?」

 

「何時って数日前ですよ。急に紙切れを渡されてそれに書かれてたんです。別に電話番号くらいでそんなに慌てる必要はないと思いますよ」

 

「いや、あの人がそんな事をするなんてそうそうないのよ。しかも男子には特に」

 

「男性恐怖症とかですか?」

 

「そこまではいかないけど、苦手意識はあるみたいなのよ」

 

「へえ〜意外ですね。普通に部屋に入って来るんで、大丈夫な人だと思ったんですけど。じゃケイシーさんもですか?」

 

「あの人は国があれだから、結構ガツガツくるわよ。何というかスキンシップが激しい・・のかな。そうだ上条君に聞きたい事があったんだけど1ついい?」

 

「いいですけど、変な質問はなしですよ」

 

「分かってるよ。じゃあ上条君の女性の好みはどんな人?」

 

「何ですかその質問は。はぁ少し待ってて下さい」

扉に静かに近づき、いきなり開けると何人もの女子生徒が一気になだれ込んできた。扉に体重をかけていたせいか、3人程は床に倒れている。

 

「何をやってるんですか、あなた達は」

 

「あれ、黛ちゃんどうしたの?」

 

「あ、たっちゃん。ちょっとネタ探しに来ちゃった」

 

「それなら盗み聞きなんてしないで普通に聞きにくればいいじゃないですか」

 

「それだと、本音が聞けないからね。ここまでしないと、いいものが取れないのよ。で君の好みってどんな人なの?」

 

「聞いてもつまらないですよ。年上の管理人みたいな人です」

 

「つまり、年上で落ち着いてる人が好みだと」

 

「まあ、そんな感じです。シャワー中にスク水で突入して来るような人は勘弁して欲しいですけどね」

 

「え、それは言わないでよ」

 

「ほほう、脈ありと」

満足したのか黛さんは何かをメモして去って行き、その他に集まっていた人もいなくなった。

 

「はぁこれでのんびり出来る」

 

「私は全然落ち着けないんだけど」

 

「なら、勘違いされるような事はしないで下さい。こっちも疲れるので」

 

「君みたいに、表情があんまり変わらない人をいじるのが楽しいからね」

 

「俺ってそんなに表情が変わらないんですか?」

 

「ええ、ほとんど変わらないわよ。まるで仮面でも被ってるみたいに」

 

「自分では表情を出してるつもりなんですけど」

 

「自分で思ってるほど出てないから言うのよ。もう少し楽しまないと無駄になるよ、この学園での生活が」

 

「それをあなたが言いますか?更識家の当主をその歳で負っているあなたが」

 

「やっぱり知ってたのね、でもこのくらいは慣れれば何とかなるのよ。お姉さんはこんなんじゃへこたれないんだからね」

 

「・・・ずっとその荷を背負い続けて、泣く事も助けを求めることも出来ずにただ耐えるのにですか?やせ我慢はしなくてもいいですよ、結局は自分が辛くなるだけです」

 

「どうしてそんな事が分かるのよ」

 

「行動からなんとなく分かったんです。幼い頃からもう武術も習い、自分の弱点でもある簪を突き放して生活を続ければ何か別の事でストレスを発散したくなりそうですから。それで人にいたずらをして気分転換をしてたんですよね」

 

「ほぼほぼ合ってるわ、でも完全に合ってない。まあ、今は君との生活が楽しいから十分満喫してるわ」

 

「かって満喫されて俺は困ってますけど」

 

「まあ、いいじゃない。ほら、寝ましょう」

 

「そうですね、あとなんで同じ布団に入ってくるですか!」

 

「え、何か問題でもある?大丈夫、一回くらいなら許してあげるから」

 

「心臓に悪いんで止めてくれると助かるんですが」

 

「ごめんもう無理・・」

楯無は上条にしがみつくなりすぐに寝てしまい、起きそうにないと思い諦めて寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 


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