IS学園の異端児   作:生存者

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第15話

「え、上条君なんでここに?もうこんな時間だよ」

 

「そうだな、まあ飯くらい部屋で食べればいいからな。お前こそ何やってるんだ?」

 

「いや、一夏の機体と差がどのくらいあるのか気になってちょっと見てたんだよ。あは、あはは」

 

「そうか、早く出た方がいいぞ。もうそろそろ閉まるからなここ」

 

「あ、ありがとう」

上条はシャルルの挙動が妙に慌てているのが変に思えたが気のせいだと思い格納庫を後にして食堂に向かった。

 

「あれ、上条こっちの食堂に来たのか?」

 

「ああそうだよ、2年しか居ない食堂で1人で食べられるか?!食べた気にならんわ。・・はぁ疲れる、部屋の中じゃ楯無さんに遊ばれて休めないし」

 

「あんた部屋の中でどうなってのよ」

 

「楯無さんが寝るまでは何されるか分からなくてずっと起きてる」

 

「あんたも大変ね。ってそうだ上条、私と勝負しなさいよ」

 

「なんでだよ、まあいいけど始める前に1時間訓練してからでいいか?」

 

「それくらいなら別にいいわよ。生徒会長相手に無傷で勝てやつとなんてそうそうやれないだからね」

上条はもう諦めたように承諾し、すぐに夕食を食べ終えると自分の寮に戻った。少しでも気楽になれる場所で長く居たかったが余計に戻り辛くなるのでさっさと帰った。

 

「あ、上条君今日は遅かったわね」

 

「なんで俺のベットで寝てるんですか。まぁどっちに寝ても問題ないとは思いますけど」

 

「いや〜上条は固いね。もっと気軽に話してもいいのに、それともまだ信用してないのかな」

 

「別にそう言う訳じゃないですよ。ただあなたの行動が色々と危険なんで落ち着けないだけです。あとはシャワーを浴びてる時に突っ込んでくるのはやめて下さい、ただでさえ気の休まる場所が少ないんですからここは」

 

「 戦ってる時はあんなに怖い顔してるのに、普通の時は随分と差があるわね」

 

「今までの生活が少し荒かったんでどうしてもこうなるんですよ。まあ、小学生の時の趣味は廃墟巡りとか変わった人間でしたけどね」

 

「廃墟巡りって・・・まあ、それは個人の趣味だし特に何も言うつもりはないけど。一体どんな生活してたの?」

 

「そこら辺にいる人から毎日のように嫌がらせを受けてたくらいですよ。その分、1人でいる事が多くなりましたけどね」

 

「・・不快な気分させてごめん」

 

「いえ、気にしなくていいです。これは俺の問題で楯無さんには関係のないことですから。ふぁ〜眠い、さすがにあれは使わない方がいいな、もう寝よう」

睡魔が襲ってきたのかあくびをしながら布団に入っていた。上条のマイペースぶりに楯無は思わず笑いそうになったが上条の事が余計に気になっていた。

 

「本当に何者なのかしら、isの性能も適性も実力も不明。それでいて、性格や人柄は優しいなんてどんな人間よ」

 

 

次の日の放課後、上条は鈴と約束していた模擬戦をする為にアリーナに来ていたが、ついでにやりたいと一夏も入ってきた。

「そろそろいいかしら」

 

「ああ、いいぞ。って一夏もやるかよ」

 

「すまん、久しぶりに手合わせしたくてな」

 

「言ってくれれば一対一でもいいけど。それは後でもいいか」

模擬戦の始まりを告げるブザーが鳴った。ちなみに上条は右手にライフル、左手に両刃の剣が握られていた。先に鈴を沈めるため、接近してきた一夏をフェイントを加えた剣さばきでいなし、僅かに距離が離れた瞬間に至近距離からの射撃でダメージをいれ、背後から切りかかってきた青龍刀を背後で剣をかざして受け止めた。さらにその青龍刀をその場で逆さになり蹴り飛ばしバランスを崩させ、その体勢から何発もの銃弾を命中させ、ごっそりとシールドエネルギーを奪い離れていた。

 

「痛って、なんなのよあいつ。あの一撃を軽く受け止めるなんて」

 

「あの二刀流は厄介だな。俺もそうするか、距離を少しでも空けたらすぐに蜂の巣にされそうだしな」

 

「ってあんたそんなこと出来たの?」

 

「とりあえずはな、ただ反動制御と剣のパワーの両方を怠らないのが大変なんだよ」

 

「なら、私もこれを使うまでよ」

 

「龍砲か、厄介だな」

 

「あんたにだけは言われたくないわね。大体どうやって秋十を瞬殺したのよ」

 

「あんな遅い奴に手心を加えるほど、暇じゃなかったからなあの時は。あとよそ見するな」

上条は目を逸らした鈴の香りの真横に銃弾を撃ち込み、また試合の続きを始めた。

 

「これはお返しよ!」

鈴の龍砲が上条を狙ってきたがそれを軽々と切り裂き、距離を保ちながずっと鈴と一夏を交互に狙いながら徐々に減らしていったが周りから見ていた鈴はずっと目を開いていた。片手で狙いながらもう片方では鈴と一夏の射撃を守ると言う離れ技をやっているのだ。しかも見ているのはライフルのスコープだけで守る方の剣は一切見ずにどこに来るのか分かっているかのようにその剣先は銃弾を捉えていた。

 

「あんた本当に人間?!」

 

「失礼なかれでも同じ人間だぞ」

上条はライフルについている引き金2つに手を当て引いた。するとさっきとは比べ物にならないほどの速度の弾丸が発射され、避けきれなかった鈴はシールドエネルギーがゼロになり地面に落ちていった。

 

「さて、一夏あとはお前だけだぞ」

 

「分かってる、今度こそ勝ってやるよ」

一夏は持っていたライフルを戻し、その手にもう一本の剣が握られた。上条もライフルを戻し剣を握りお互いに二刀流でやる事になった。

 

「ああ、勝負だ」

ゴッと風が吹き一夏と上条は鍔迫り合いになったその衝撃で衝撃波が撒き散らされ、剣はギチギチの不気味な音を立てぶつかっていた。

上条は2本の剣を横に瞬時して振り払い、距離を開けると更に速度を上げ接近するが当たる手前で体を一気に仰け反らせ一夏の横振り上げる剣を避けた。そこから振り下ろされる剣を一本で受け、残ったもう一本で切りはずかに隙を作りそこから体勢戻しあと、緩急をつけたフェイントですれ違いざまに重い一撃を入れシールドエネルギーをゼロにした。

 

「お疲れ一夏」

 

「はぁ今日も勝てないか。まだまだ弱いな」

 

「十分強くなってるよ」

すると辺に周りが少し騒がしくなっているのに気がついた。

 

「ねぇあれって・・・」

 

「え、ドイツの第三世代型のIS!?」

 

「まだ試作段階だって聞いたけど」

上条はISを解除しようとしていると何故か、ピットにはISを装備したラウラがこちらを向いていた。

 

「おい、上条私と戦え」

 

「戦う理由がない、せめて言葉使いに気をつけろ」

 

「ふん、随分と生意気なやつだな」

 

「そんな事はとっくに昔から知ってる。俺でなくとも暇な秋十のところにでも行ったらどうだ?」

 

「あいにく、負けてるやつとやるつもりは無いからな。それなら、教官をお遊びとは言え倒したことのあるお前とやるのが一番早い」

 

「何を求めてるのか知らないけど、俺は命令で動く軍人とは違うぞ。俺は人であって駒じゃないそこを間違えるな」

 

「人並みの扱いすらされてない貴様がそんな事を言うとはな」

 

「だからなんだ、人並みの扱いなんか受けなくてもこの位は言えるんだよ。でそれだけか、言いたい事がその程度ならさっさと帰れ」

 

「貴様は私と戦え、そこに座ってる教官の汚点ともやりたいがいまは動けそうにないみたいだからな」

 

「なら、俺と一夏で組んでお前の相手する方が早いと思うけどな俺は」

 

「お前らが何人集まろうと私が勝つに決まってる」

 

「上条、本気でやるのか?」

 

「やるしかないだろ、それに汚点なんて言われてなんとも思わないのか?」

 

「それは・・・分かったけどそれは個人トーナメントのときでいいだろ、どうせ当たることになるんだから」

 

「俺もいまは戦うつもりはない」

 

「いいだろう、今日のところは引く。個人トーナメントで待ってろ」

一夏の話にのったラウラはISを解除し引き返したが上条はラウラの言っていた一言が気になっていた。

 

「なぁ一夏、ラウラとどういう仲なんだ?」

 

「直接は知らない。けど、数年前にあった第2回モンド・グロッソの事でだろうな。俺は千冬姉の応援の為に秋十とドイツに行ったんだ、その時俺は誘拐されたんだよ。目的は知らないけどな」

 

「それで織斑先生が助けに来てくれたのか。決勝戦を棄権して」

 

「その通りだよ。その後千冬姉は情報を提供してくれたドイツに一年間教官として向かったんだ。それからは家で秋十と2人で過ごす毎日だよ。学校でも家でも気の休まらない日が続いたな、唯一休めたのは鈴の家と弾の家くらいだったから」

 

「どうりで、妙に寝たりする事が多いと思ったわ」

 

「その内、努力の意味も分からなくなってどんどん落ち込んだのか」

 

「上条のおかげで今は楽しく過ごしてるけどな」

 

「俺はただ相談に乗って後は、その中途半端な気持ちをへし折っただけだ。それから努力はお前が頑張ってやった事だ、大した事はしてない」

 

「へし折るって、何やったのよ」

 

「ただ真正面からボコボコにして説教した、そのくらいだ。あとは頑張れる場所を作ったくらいかな。あ、一夏今日も行っていいか?」

 

「いいぞってよく考えたらずっと地面に座って休んでたな」

 

鈴と別れ、シャワーを浴びた上条は一夏の部屋に入っていくと、部屋に備えられてるシャワーの音が聞こえていた。上条は暇なのか何処からか出した茶葉を取り出しお湯を沸かしていた。

 

「あ、ボディーソープが足りなかったな、追加してこないと」

ベットの横に備えられた棚から追加の容器を取り出しシャワー室に入った。まぁ男しかこの部屋にいないし問題無いだろうと近くにいた上条は思いながらお茶を注いでいると、渡したのか一夏すぐに出てきた。

 

「シャルルが女の子だった」

 

「ヘェ〜って、え!まじ?」

 

数分後、着替え終わったシャルルがベットに座ったが気まずい雰囲気が漂い始めたので上条は2人にお茶を渡したのか。

「ほい、シャルル」

 

「あ、ありがとう。熱っ」

片手で取ろうとしたが思ったよりも熱かったのか思わず手を離してしまい上条が慌てて下で掴み取った。

 

「うおっ!危な。落ち着け、両手で取ればいいだろ」

 

「う、うんごめん」

 

「・・・シャルル、どうして男のふりなんてしてたんだ?」

 

「君達のISのデータを集めるためだよ、父親に命令されてね。でも失敗したよ、君達2人のデータだけはどうしても手に入らないしこうやって本性もバレたんだ」

 

「それでこの学園に入って来たのか。妙だと思ったよ、4人目が出てきたのにニュースじゃ何も報道されてないしな。あれ、待てよ。デュノア社って世界シェア第3位なのに資金面で困る事なんてあるのか?」

 

「最近の欧州では第三世代型の開発が進んでるせいで第二世代型の需要が伸びなくて無いんだよ。他のドイツやイギリスは第三世代型の開発に成功したけどフランスは失敗して政府からの資金援助も大幅にカットされて経営難に陥ってるんだよ」

 

「そして援助の断絶を阻止する為にデュノア社が講じたのが僕を男として学園に送り込んで、社の広告塔になること。そして一夏、秋十君に上条君、3人に接触することで第三世代のIS、白式、須佐乃男、黒龍の情報を取得する事」

 

「でもこうしてバレたと、このあとはどうするつもりなんだ?」

 

「本国に呼び戻されるだろうね。よくて牢屋に入れられるくらいかな。ありがとう話したら少し楽になったよ、それと今まで騙しててごめんね」

 

「本当にそれでいいのか?」

 

「良くも悪くも、僕にはもう選ぶ権利なんて無いよ」

 

「ある、お前にも選ぶ権利はある」

 

「え?」

 

「人の言いなりで一度しかない人生を無駄にするのか。そんな事で一生を棒に振るのか?お前の人生を決めるのはお前だ、他の誰でもない。家族に言われたからやった?もう使えなくなったから捨てるだ?ふざけるな!」

 

「そ、それは・・そうだけど」

 

「じゃあこれからも親に道具として使われたいのか?親に媚を売って残りの人生を服従して終わりたいのか?!」

 

「僕だって、・・僕だってやりたいように生きたいよ!でも」

 

「別に俺達が黙っていればいい事だ。IS学園特記事項ま21項、本学園における生徒は在学中にいかなる国家、組織、団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする。つまりこの学園にいれば最低でも3年は身の安全は確保される。どこの国が相手でも手出しは出来ない、その間に解決策を教えればいい」

 

「よく覚えてたね一夏、この学園の特記事項って全部で55項もあるのに」

 

「これでも勤勉なんだよ、上条と違ってな」

 

「悪かったな、馬鹿で。大体、全部覚える必要も無いだろ。まぁここにいればお前の立場は確立される。もし、何処かの国がこれを無視して干渉すれば他の国が黙ってないからな」

 

「それじゃ・・僕はここにいていいの?」

 

「ああ、此処にいていいんだ。シャルルが望んだように話したり遊んだり・・いろんな事が出来るんだよ」

 

「2人とも、・・ありがとう!」

涙を浮かべながら、感謝の言葉を述べるシャルルに上条と一夏は笑顔を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 




上条当麻 魔神オティヌスが世界の修復に失敗しISのある世界に飛ばされた。位相による訓練を繰り返し、運動神経と肉体の強度はアックアと同等になっている。前兆の予知は健在で以前とは違く武器の取り扱いに長けているが本気で使いこなしている人には負けるが素手の白兵戦では誰にも負けない。

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