「ん、食いついたけど技術の差で負けたかな。次は俺か、目立ちたくはないがこれくらいはやらないと楯無さんを止めることは出来そうにないな」
それからエネルギーの補給が終わるまで上条は軽くストレッチなどをして時間を潰し残ったひまな時間は寝転んでいると補給が終わったのか相変わらず気が抜けるような声が聞こえた。
「上条君もう出てきていいわよ〜」
「はぁ今行きますよ。さてと、生意気なあの人には…少し黙ってもらうか」
上条はすぐにアリーナ内に移動すると見下すように上から見ていた。楯無さんのISは第三世代ミステリアス・レイディって名前だったかな、興味もないのに何故かぽんぽん頭に入ってくる。教師まで許可を取るなんて織斑先生達も了承したのかよ、本当に面倒だ。上条は左手に長さ3.5mもあるアスカロンを出しに握っていたが横にも少しは長いせいが地面に着きそうになっていた。
「一夏君もなかなかいいところまでは行きましたけど、やっぱり倒せませんね」
「まだ実力が足らんのだろう、今度少しは相手になるか。だが問題はこっちだ、あれはふざけてやっているのか?」
「はい、ダメです。全くつけようとはしません、もしかしてあれでやるつもりなんでしょうか?」
『おい、上条早くISを展開しろ。それでは試合を始めないぞ』
『俺はこれ勝負をしたいんです。早くして下さい』
『それでは始めん。これはお前の為に言ってる、生徒には怪我をされたくない、だから早く展開しろ』
『2人しかいない唯一の家族も守れない貴方には言われたくありませんね。そんな物をどうやって信じろって言うんですか?これは俺が決めた事です、げんに楯無からは何も言ってきませんからね。すみませんが早くしてくれませんか、やる気が無くなるので』
『一部だけでも構わん展開しろ!』
さすが家族の事について言ったせいか、少しは声を荒げて言うと上条は仕方なく足の部分だけ展開した。それを確認したのか、試合開始のブザーが鳴らせたがある部分を千冬達は見逃していた。上条の方にはシールドエネルギーの表示がされていな事に。
「さあ、かかって来なさい上条君」
「そうですか後悔しないで下さいよ・・・」
「ノンノン、後悔なんてしないから」
そう言い切った後、上条の姿が消え目の前で剣を振り下ろす上条の姿があった。慌てて水のベェールで守るが気持ちはまだ追いついてなかった。
「なんて速さなの、こんな性能だなんて聞いてないわよ!」
「防ぎましたか、でもそれじゃ止めるのは無理ですよ」
「えっ!って何よこの力は」
上条が持っていた剣に更にギリギリと力を込め水のベェールをたったの1秒で押し切り、振り下ろしたがその前には横に移動された。しかし、剣を手放し逃げようとした楯無の首を掴み殺意のこもった目で見ると自分に引き寄せるとそのまま、頭突きをかました。その衝撃に絶対防御が働い楯無も頭を抑えよろめいていた。まだふらついてる楯無に視認出来ない速さの右ストレートを顔に入れ地面に叩き落とした。
「少しは痛みが出るかやっぱりもう少し鍛えないとな」
上条は重力にしたがってそのまま落下し着地した。上条は楯無に近づく前に落としたアスカロンを地面から抜き取ってから近づいていった。そこには殴られた場所を触りなが信じられないような目をして上条を睨んでいた。上条はそれが気にならないのか独り言をこぼしていた。
「空中だと相変わらず動きづらいな。あの時みたいな事はあんまり起こってほしくないけどな」
「絶対防御を貫通できるなんて力よ。まさか顔にはいるなんて思わなかったわ」
「ただ殴っただけなんですけどね。ん?さっきよりジメジメしてるなこんなに湿度上がってたっけ?」
それを気にしてるうちに楯無は空に飛び離れ中指と親指を擦り合わせていた。
「クリア・パッション」
パチンッと音がなり上条が立っていた場所を中心に爆発が起こり地面を抉り取っていた。
「上条君もろに受けましたけど大丈夫でしょうか?一夏君はギリギリで避けてましたけど、こんな早く出してくるという事はあまり余裕がないのでしょうか」
「そうだろうな、上条の強さは圧倒的な速度と力だからな。奇襲攻撃くらいしか攻撃を加える事は無理だろう」
客席では一夏を除いたクラスメイトやフォルテ、ケイシーも驚いていた。
「あいつ大丈夫っすかね、爆心地にいましたけど」
「どうだろうな、ある程度は残ってるとしてもだいぶ削られてるはずだな。一夏はどこまでいけると思う?」
「上条なら無傷ですよ。俺もあれには手が出なかったな」
「え、ちょっと待ってよあの広範囲で受けたのよ少しくらいは受けてるはずでしょ」
「そうですわ、だいたいほとんど前兆のない攻撃ですわよ」
「なら、アリーナの反対側で立ってるのは誰なんだ?」
一夏は丁度爆発が起こった場所の反対を指差すとそこには人影があった。
「え、ってまさか本当に逃げたの!?」
空中では爆発して土煙が舞っている場所を楯無が気を緩ませず見ていた。が少しの間出てこないのを確認すると殴られた跡が残った頬を触っていた。
「これで少しは、懲りたでしょうね。ああんもう、じかに殴られたせいで痛い」
「そうですか、保冷剤でも使いますか?」
「ありがとう。はぁまさか本当に殴るなんて思わなかったわ。女の子の顔を殴るなんてこれは責任を取ってもらわないとね」
「俺にはそんな責任を負うつもりはないですよ。楯無さん」
「え!?」
楯無は一気に下がりながら振り返ると、ニッコリと笑いながら剣を振り回す上条がいた。圧倒的な速度で振り回される剣に避けることも出来ず横薙ぎの一撃が入りアリーナのシールドにぶつかっていた。
「はぁ疲れた、あんな広範囲に来るとは思わなかったな。走って逃げる事になるとわな。もう時間をかける必要は・・ない」
また上条は地面に降りると何処からか湧いた黒い煙が巻き上がり上条を覆った。楯無はは動かないかみに向けもう一度、クリア・パッションを起こしたが手応えがなく逆に出してはいけないものが見えてしまった。体長は8mに達し体中を真っ黒な鱗で覆われたドラゴンが出てきた。
「あれ・・上条君だよね」
あれ楯無は自分の武器でもあるランスを構えていたがその手は小刻みに震えており、目の焦点はあっていなかった。すると頭の中に誰かの声が響いてきたがすぐに誰だか分かった。
「楯無さん、まだ試合ほ終わってないんですよ。そんなに震えてどうするですか?」
その声とともにドラゴンは楯無のいる方向を見ていた。急に翼を広げ口を開けると
「グオァアアアアー!」
と咆哮を上げ飛び上がると一気に楯無に接近してきた。飛び方に無駄がなく、ISの飛行速度の数倍の速さで接近し激突すると楯無をISごと足で掴み地面に更に倍の速さでぶつかろうとしていた。楯無も危険だが自分と足の間に爆発を起こしギリギリで避けることが出来たが自分もダメージを受けかなりエネルギーを削られていた。
「大きい割に動きが速いけど、機敏じゃないわね」
一矢でも報いる為、ランスについているガトリングで射撃を行おうとしたが、構えた途端ドラゴンの尻尾に斜め下にはたき落とされ、振り向いたドラゴンからのブレスを受けシールドエネルギーはゼロになった。するとドラゴンは霧のようにいなくなり中にいたと思われる上条が楯無に近寄り倒れていた楯無を持ち上げていた。
「大丈夫ですか、楯無さん」
「大丈夫じゃないわよ!せめてあの状態で終わらせて欲しかったんだけど」
「すいませんね、ちょっと数日前にあなたの言葉にイラっとしてこのくらいやれば手を引いてくれるだろうと思って、ここまでやったんですよ」
「す、少しくらいは手加減してよ」
「イラつくとどうしても加減が出来なくなるんですよ。じゃあこれからはやめて下さいね。俺は生徒会には入りませんから」
「はぁ分かったわ。ってあれ、動けない」
「なんかこんな事が前にもあった気がする。仕方ないですね、捕まってください連れて行きますから」
上条はISを装着した状態の楯無を持ち上げてをピットまで連れて行った。しかし、着いた時には千冬が仁王立ちし待っていた。
「すいませんここに置きますね」
「え、ええありがとう。それより、よく持ち上げられたわね」
「大型トラックに比べれば軽いですこんな物は、で何ですか織斑先生」
「何故私達の指示を無視した。ISでロシア代表に挑戦するのは構わんだが、何故生身で出た」
「え、上条君あれを生身でやってたの?!でもあの高さまで上がるなんて・・いや、さっきも上がってたし出来るかも」
「映像だけを出してたのによく気づきましたね」
「ISのシールドエネルギーが全く出ていないのに後々気づいたがな、一歩間違えれば死んだかもしれないんだぞ!」
「俺に死んでほしい人間なんてたくさんいると思いますけどね。まあ、あんなおもちゃで死ぬつもりも無いですけど」
「・・上条あとで寮長室に来い、話がある」
「生徒会長にはなりませんからね俺は、これは楯無さんと約束をしたので。今度同じようなやり方でいれようとしたら俺は本気で潰しにかかりますよ」
「分かっている。あと1つ聞いていいか、何で1つの機体に単一仕様能力があるんだ?」
「知りませんよ、俺がそんな事をいちいち気にすると思ってるんですか?それと俺はあなたの奴隷でも従者でもありません、ただの生徒ですからね。そこは間違えないで下さい、俺は他人の命令を聞くつもりも動くつもりはありませんから」
上条はそれだけ言ってロッカールームに向かって歩いていくのを見つめながら千冬はため息をついていた。
「更識、上条の事については調べたのか?」
「はい、どれもひどいの一言でしか言い表せないようなものばかりでした。町に住んでいる人のほとんどが迫害をするような物ばかりで、町長や警官も全て権力で揉み消していたようでした」
「頭を抱えたくなる、それより何故あいつは私達しか知らないあれについて知ってる。・・それはあとで聞けばいいか。すまないこちらで調べる事を頼んでしまって」
「いえ、私も彼の事は気になったので、それに妹とまた仲良くなれたのも彼のお陰ですから」
「そうか」
千冬も仕事が残っているのか職員室に向かったが楯無は上条が歩いて行ったロッカールームと向かったが上条はすでにいなくなくなり、部屋に向かった。
「少し言い過ぎたかな、でもこれくらいは言わないと本当に何度もやってきそうだからな。もうシャワーでも浴びるか、気分も正直悪いし」
はぁとため息を吐き着替えていると何故か簪と虚さんが入ってきた。
「あれ、どうしたんだ簪こんな時に」
「あ、あの今回は姉さんが迷惑をかけてしまってごめんなさい」
「上条君今回は会長が迷惑をかけました。もし訳ありませんでした」
「気にしなくていいです、もう済んだ事ですから。あなた達が謝るような事じゃ無いです。それに俺も謝りたい事がありますから、あの試合俺は手加減して相手をいてましたから」
「え、それ本当なの?!」
いつの間にか部屋まで来ていた楯無が驚きながら入ってきたがそれ以上に簪が驚いたような顔をした。
「お姉ちゃん、仕事は終わったの?」
「え、まあそれは後でやるから待ってちょうだい、ね?であれで手加減したのって本当なの?」
「はい、俺は本気でやる時は武器は一切持たないので。持ってるうちはお遊びで相手をしてます。もちろん今回もそうです」
「あれ手加減だったの?!はぁ1年生に遊ばれるなんてまだまだ経験不足だわ」
「そうでもないですよ、前の自分ならすぐに負けてましたから。これからはISで相手をすることになりますし、勝てるか分かりませんしね」
「上条君、それただの嫌味にしか聞こえないよ」
「俺は本音しか言ってないんだけどな」
その時、アリーナから帰ってきた一夏が入り上条に千冬姉が呼んでたと伝えすぐに上条はその部屋を出た、残った一夏にとってはかなり気まずい部屋になった。
「さて、じゃあ一夏君には仕事を手伝ってもらうからついてきてちょうだい」
「え、まだ帰ってきたばかりですよ」
「大丈夫、ただの書類整理だから早く行くわよ」
一夏は楯無によって連れて行かれその後に続くように簪と嘘もついて行ったが側から見たらたた連行されているようにしか見えなかった。
その頃上条は寮長室まで来ており中に入っていた。
「とりあえずそこに座ってくれ上条、少し長くなりそうだからな」
「分かりました、それで話は一体何ですか?」
「そうだな、何故お前があの事を知ってるのかがきになってな」
「それなら一夏から聞きましたよ、あなたに迷惑を掛けたって。ただ最強のIS乗りと神童と呼ばれた姉弟に挟まれた一夏がどんな気持ちか分かりますか?これは自分の勝手な解釈ですけど、相当な迫害を受けていたでしょうね」
「それは、」
「世の女性に神のように崇められてるあなたと文武両道で誰もが天才だと思う秋十。その間に普通の人がいたとしたらどうなるか。予想できますよね、あとこれはこっちで勝手に調べ上げた資料です、あとで目を通してみてください。じゃあ話を戻します、天才の間に生まれた普通の一夏かがどうなるか、迫害以外の何も起こりませんよ。一夏も回りに認めて欲しくて血の滲むような努力を続けてあなた達がに追いつこうとしてましたけど、追いつきたい人間と比べられるせいで折れたんでしょうかね。努力しなくなったって聞きましたよ」
「・・・」
「でも、根は折れてなかったみたいですね。自分が一夏に訓練をつける前になんで強くなりたいか聞いてみましたよ」
「・・それで一夏はなんと言ってたんだ」
「あなたに追いついて、誰かを守れるようになりたいと言ってましたね。自分が守ってもらえなかったからなのか分かりませんが」
「どういう事だ!」
「知らないんですか、学校の虐めの大半はあなたのもう1人の弟、秋十が仕組んだものなんですからね。影で人を操って自殺させよとしてたみたいですよ。どうしても自分の手で消すのはまずいとでも思ったんでしょうか」
「上条いい加減しろ!私の家族を馬鹿にするな!」
何時までも分かったような口で話す上条を胸ぐらを掴み壁に叩きつけていた。ドスンッ!と音が聞こえ並みの人間なら失神する勢いで千冬は上条を睨めつけていた。
「お前に何が分かる!親に捨てられ毎日必死に生活を送っている大切な家族に赤の他人お前が知ったような話をするな!」
「知ってますよ、俺は一夏本人から聞いたって言いましたよね。それと織斑先生、俺は他人の過去が見れます。それで見させてもらいましたよ、確かに毎日必死にアルバイトをして生活費を稼ぎながらも学業もおろそかにしないで頑張っていたのは知ってます」
「!だからなんだと言うんだ、それにお前は関係のない事だ。それなら私も無人機の襲撃時に通路の電子ロックを外したのも知っているが」
「ああ、あれですか。正直壁に穴を開けた方が速いと思ったんですけど、治すのが面倒なのでこじ開けさせてもらいましたよ。でもわざわざ他の教師に頼まなくても、一番コンピュータに強い人がいると思いますよ、白騎士事件を一緒に起こした篠ノ之束が」
「・・何故それを知っている」
「だからさっき言ったはずですよ、俺は他人の過去を見れると。じゃあ俺は出ます、あとここゴミは出しておきますからね」
上条は部屋に散らかっていた空き缶などを近くにあった袋に詰めすぐに出て行ったが部屋に残った千冬はため息を吐きながら上条が渡してきた資料を目に通し始めたがすぐに驚愕した。そこには一夏ぎ受けていた迫害の数々が乗せられ、写真まで付いていた。
「上条お前は一体何者だ?」
上条さんを書いていて、善人なのか悪人なのか分からなくなって来ました。