自慢の兄ずら!   作:しましょー

20 / 20
~もしも恋愛小説のくせに主人公がヒロインのどのルートにも入らなかったら~

というふざけた設定です。パラレルワールドだと考えてください。
…本編書けよって声は聞こえてますが、聞こえないふりをさせてください(;^^)

徳丸たちが成人式を迎えたらこんな感じ。


番外編
成人の日特別編 最終回じゃないよ!ちがうからね!


「徳兄ぃ。もう8時だよ。みんな迎えに来るよ?」

 

まるの声と布団の上から揺すられる感覚で目を覚ます。いつの間にかカーテンが開けられていたらしく、1月の眩しい日差しが部屋の中に差し込んでいた。いやしかし妹の目覚ましボイスというものはどんなにうるさいベルの音よりも効果があると思うんだ。商品化してくれないかなぁ。サンライズさん。

んんーっと両手を挙げてのびをする。昨日は夜遅くまで友人達と盛り上がっていたためまだまだ寝たりない。そう思いながら時計を見るとまるの言うとおり針は8時を指していた。

どうやら2度目の惰眠をむさぼる時間は俺には残されていないらしい。

今日は8時45分に公民館に集合だから、余裕を持って30分前にマリー達が迎えに来る手はずになってて…今8時?

 

「やっばいじゃねぇか!」

 

 

 

急いで布団から飛び出し、傍らに立つまるに何でもっと早く起こしてくれなかったのかと目線で訴えるが

 

「昨日『まるは起こさないからね』って言ったのに『大丈夫だ。がはは』とか言ってたのは徳兄ぃずら。今日だってお母さんが起こしてって頼んで来なかったら起こす気はなかったのに…。」

 

などとちょっと遅めの思春期に入ってしまった花丸ちゃんにはそんな抗議の意味も無いようで、淡々とそう言われた。

 

「じゃあまるはルビィちゃんと善子ちゃんと図書館で勉強してくるから。じゃあね。」

 

そう言い残して部屋を出て行ってしまった。行ってらっしゃいを言う暇も無かったぞあのやろう。

まぁ試験が近くなってきてピリピリしているということを考えれば仕方の無いことなのだろう。受験生だものね。

 

………さて。着替えなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"ぴーんぽーん"

8時15分ぴったりに家のチャイムが鳴らされた。まず間違いなくあいつらだろう。

こちらはやっとスーツに着替え終わったところで、あと5分くらい準備に時間がかかりそうである。

 

「お袋!あと3分待っててって伝えて!」

 

そう部屋から叫び、持って行くものを鞄に突っ込む。成人式なんて参加するの初めてだから(当たり前)、何持って行けば良いのか分からないけれど…。とりあえずスマホと財布とハンカチくらいで良いだろう。

最後に鏡の前に立って確認する。

2年間。この家を出て一人暮らしを始めてからもうそれだけの時間が過ぎた。けれども鏡に映る自分は少しも成長していないような気がする。

ふと目を閉じて高校生だった頃を思い出すと、一番に浮かんでくるのはAqoursのこと。もう今となっては9人のうち6人が浦の星を卒業してしまったが、なお語り継がれているスクールアイドルのこと。

 

(そんなやつらと一緒に駆け抜けたんだよなぁ。俺は。)

 

今までの人生、とは言っても20年ほどだが、の中で最も楽しかったと言っても過言ではない時間を過ごさせてもらった。

 

(久々に会ったらなんて言われるだろう…?もしかしたら変わってないと思ってるのは自分だけで意外と俺も変わってるのかもなぁ。変に遠慮されたらいやだなぁ…。)

 

そんなことを思いながら鏡の前から離れる。そういえばあいつらを待たせているのだった。

俺は急いで家の扉を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ・む・い・の・よ!さっさと出てきなさいよこのアホ徳丸!」

 

「………はい。すいませんでした。」

 

遠慮など無かった。

2年ぶりに会ったマリーからの第一声がコレである。

 

「あなたさっき『あと3分待って!』ってさけんでたわよね?あれからもう10分以上すぎてるんだけど!?」

 

鏡の前で黄昏れてたときに思ってたよりも時間が過ぎてたようで、ちょいおこなマリーだった。

 

「まぁまぁ。どうせ遅れてくるだろうって話してたし、分かってたことじゃない。そんなことよりほら、会場でダイヤが待ってるから早くいこ?」

 

そんなマリーを止めてくれたのが松浦さんだった。フォローになってないフォローをありがとう!

 

寒い中3人で仲良く会場への道を歩き始める。

少し話をして思ったのは二人ともラインやTwitterなどで話してはいたし今何をしているのかとかは大体把握していたのだが、実際に会ってみると変わっていないな~ということだ。

もちろん見た目も中身も変化してはいるのだろう。うっすらと化粧もしているし、すこし大人びたような印象がある。

でも二人ともあの頃の明るいマリーと優しい松浦さんのままだった。

 

「しかしトック-が県外に行くとは意外だったわね。てっきり花丸ちゃんから離れたくないとかそう言う理由で実家に残りそうな気がしたんだけれど。」

 

「それを言うならお前が海外に行ったのだって相当だろ。俺の場合は心からやりたいことが見つかったってだけだ。」

 

「まったく皆して地元出て行っちゃうんだから。寂しいんだからもっとちょくちょく帰ってきてよね。」

 

「「ごめんごめん」」

 

「あ、帰ってくる気無いでしょ二人とも。」

 

こんな風に話してると昔に戻ったような…感じは不思議とあまりない。

どちらかといえば昨日も一昨日もこんな風に一緒にいた気がしてくる。これが親友というやつなのだろう。

 

「あ、そういえば徳丸くん。寝坊したのは別に怒らないけど、会場つくまでに言わなければならないセリフを言わなかったら、私とマリー本気で拗ねるから覚悟しといてね。」

 

「なんなら親友やめてやるわ。」

 

今お前達は親友だって心の中で再確認したとこなのに!?

 

「えぇ…なにそれ。久しぶりとか?」

 

「違う。」

 

「おはようとか」「違う」「彼氏できた?」「殴るよ?」「目が怖いよ。ハイライトが仕事してないよ。」

 

わっかんねえよ…。ヒントは?

 

「いつもの私たちと違うところがあるでしょう?」

 

2年も会ってないからいつもって言われても分からないんだけどな…。

そう思いつつも2人の姿をゆっくりと観察してみる。あぁ確かに改めてみると女の子には言わなきゃいけないことがあったな。

 

「髪切った?」

 

………。

 

「ごめんごめん冗談だから許して!着物でしょ着物!似合ってるよ!めちゃくちゃかわいい!」

 

せっかく平日の昼十二時からあってた長寿番組の某グラサン司会者風に言ってみたのに…。スルーしやがって。

まぁ冗談はさておき、二人とも成人式ということで着物を着ていた。

マリーはピンクから紫へのグラデーションが鮮やかな花柄の着物。所々に『鞠』がデザインされているのは本人なりの遊び心だろうか。髪もいつもの編み込みだけではなく、それに加えて後ろ髪をまとめてお団子のようにしている。さっきコイツの後ろを歩いてるときに思ったが、真っ白なうなじがなんていうか…色気がありました(小声)

 

松浦さんは深い蒼の色に真っ白な大輪の花が映えている着物。昔よりまた少し伸びた黒髪が着物という日本の文化にマッチしていて、大和撫子って感じがする。髪飾りも小さなティアラのような形でよく似合っていた。昔から着物には小さい方がよく似合うというけれど大きくても(以下自主規制)

 

「それで?私と果南の晴れ着姿を見て言うことはめちゃくちゃ可愛いだけで良いのかしら?(充分なのだけれどどうせならもっと言って欲しいじゃない!)」

「(まったくマリーったら欲張りなんだから。でも)そうだね。私たち一生懸命準備したんだけどなぁ…。」

 

二人とも微妙にほほを赤らめながら催促してくるが、心の中で散々褒めてるからね?ただ口に出せないってだけで。

だって正直に言ったらちょっと怒られそうな気がするから…。

 

「ほら、遅れちゃうよ?早く行こう?」

 

そう言って逃げ出したヘタレがいましたとさ。もちろん後ろから「「ぶーぶー」」と不満の声はついてきたけど。

 

「でもホントに綺麗だよ。」

 

ボソッと呟いておいた。そういうこと面と向かって言えるほどまだ大人じゃないんだなぁと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予定より少しだけ遅れて公民館の入り口に到着する。ここにもう一人会わなきゃいけない人が待ってるはずなのだが。

ちょっと見回してみると同じようにキョロキョロしてる人を見つけた。相変わらずオーラが…あれ?

その人がこっちに向かって走り寄ってきて。

 

「おっそーーーーーーーーーい!ですわ!」

 

と大声で叫んだ。皆から注目される俺たち。

 

「まったく。早く来てくださらないと寂しいじゃないですか!ただでさえ新成人代表としてご挨拶しなければならないのに、さらに不安にさせないでください!」

 

「「「……。」」」

 

「卒業以来この4人が揃うって言うのに私だけ遅い集合ってちょっと辛かったんですからね?そりゃあ式の中で大事な役目を受けたからしょうがないんですけれども。」

 

「「「……。」」」

 

「ちょっと聞いてますの?」

 

目の前の大和撫子(ダイヤさん)がそう尋ねてきたところで我に返った。

ダイヤさんは真っ赤な振り袖に黄色の帯。模様はツツジの花…だろうか?花が至る所に咲いている。顔の作りや髪型、身長などは2人以上に変わってないと思うが、着物を着ていることによってオーラというか、存在感が違った。どこの芸能人かと思った。…流石名家の娘。

とりあえずさっき怒られたので最初に着物について褒めておく。

 

「あ、あぁ。聞いてるよ。ちょっとダイヤさんの晴れ着姿に見とれていて。とっても綺麗だね。」

 

口 説 い て る の か

 

なぜかそんな歯の浮くような台詞がすらすらっとでてきてしまった。見とれていたの部分は言い訳のしようのない事実なので、思考が停止していたのかも知れない。

その結果

 

「ぼふんっ!」

 

漫画みたいな音を立ててダイヤさんが頭から煙を出して倒れた。だ、大丈夫ですか…?

急いでマリーと松浦さんが近寄って抱き起こすと、意識が戻ったようで

 

「はっ…。今徳丸さんに口説かれる夢を見ていた気がするのですが。」

 

「それは夢じゃな「「それは夢よ。今すぐ忘れなさい。」」……。」

 

必死な表情の2人に何か感じ取ることがあったのか、ダイヤさんは何も追求せず素直に立ち上がった。2人の俺を見る目が怖い。今日何度目だろうか。

そんなことよりと、久々の挨拶を交わす3人。俺は外から傍観してるだけだが、なかなかの盛り上がりだ。決して会話に入るタイミングを伺ってるわけではないぞ!べ、別に構って欲しいわけじゃないんだからね!

10分ほど(彼女たちが)話し込んでいると館内放送が間もなく式が始まることを告げた。

 

「あ、じゃあ私そろそろ舞台袖に行きますわ。」

 

「そうだね。ダイヤの名演説期待してるよ。」「ベリーベリーファンタスティックな式にしてちょうだいね?」

 

「2人ともプレッシャーかけないでいただけますか!」

 

さて、俺たちもそろそろ行かなきゃな。

 

「ダイヤさん頑張ってね。」

 

そう背中に声をかけると彼女は拳を高く突き上げガッツポーズして去って行った。なにあれかっこいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

式はつつがなく進行した。市長の話や市民団体の様々な出し物。さらにダイヤさんの演説も素晴らしいもので、俺たちの門出を祝うものとして最高だったと思う。

 

「き、緊張しましたわ~…。」

 

「ダイヤ、お疲れ様。ハグしてあげよっか?」

 

「お願いしますわ…。」

 

公民館から外に出た俺たちはダイヤさんと合流し、ある場所に向かっていた。

そこの2人。ハグしながら歩くとかいう器用なことはやめなさい。怪我するでしょう。

 

朝は俺も会話に混じって話していたが、今は3人の後ろをのんびりと歩いてるだけだ。さっきは俺も混ざりたいなんて言ったが、実際はこのままで充分楽しい。

時折聞こえてくる昔の思いではそこにいなかった俺にもありありと思い出せるほど具体的で、面白くて、楽しかった。

いろんな話を聞くことが出来たがその舞台の多くはやはりここだった。

目的地について足を止める。

彼女たちの青春の場所。そして俺にとっても大事な場所。

 

浦の星女学院。

 

「懐かしいね。もうここに入学したのは5年も前なんだよ?」

 

松浦さんの台詞でダイヤさんとマリーも懐かしむように目を細める。

入学し、仲良し3人組でスクールアイドルを結成。一度は疎遠になったものの後輩達の力も借りて9人となって生まれ変わった。そしてーーーーー。

 

「3人は過去に戻りたいと思うか?」

 

ふと気になったので問いかける。

 

「今の生活に不満があるってことはあんまり無いと思う。でも嫌なことだってあると思うんだ。それなら数年前に戻ってやり直したら今度は上手くいくかも知れない。もしかしたら別の道を選ぶかも知れない。それに」

 

「あの頃の楽しい時間をもう一度体験できる。ですか?」

 

「うん。まぁね。今ここに立つとあの頃は楽しかったなぁってばかり考えちゃうんだ。みんなとバカやって、一生懸命練習して、試行錯誤して。なんか充実してたなぁって。」

 

「だからもう一度高校生活をやり直したいって思うかな~とね。聞いてみたんだけど。」

 

3人とも思うことは確かにあるのだろう。俺を含むみんなが別々の道に進み、お互い会うことも少なくなった。悩みだってあるだろうし、これから出来ていくだろう。心から泣くことももしかしたらあるかもしれない。けれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のままで良いわ。」「私も。」「私もですわ。」

 

こうやって一致するんだよなぁ。

 

「おっけ。理由はなんとなく分かるからいいや。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから俺たちは成人として社会に出て行く。過去を振り返るときだってあるだろう。それでも前に足は進めていく。

見たことない夢に向かって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

if route① ~中途半端に親密度上げてるとハーレムにもなりきれずに友情エンドで終わるよね~

 

ending

 




その後十千万に行って飲み会を開く(なお徳丸のみ未成年)

「それで私たち3人の中でトック-は誰が一番タイプなのよ~~~?」

「わ、わたくしも気になりますわね!誰を選びますの????」

「もちろん果南お姉さんですよね~?」

この酔っ払いども鬱陶しい…!(オレンジジュース飲みながら)

千歌「お酒追加持ってきましたよ~。って大丈夫ですか徳丸さん。大体何があったかは分かりますけど。」

助けて…。千歌ちゃん。


「みんなそれだけ徳丸さんのことが好きなんですよ。久々にあったんですから優しくしてあげてくださいね?」

この子しっかりしてきたな……。助けてくれないけど。

「「「それで?誰よ?」」」

…だ、だれかたすけてぇ~!














筆者「だ、だれかたすけてぇ~!(近いうちに本編の続き投稿します!3度目の正直ですので!)」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。