ありがとうございます。
翌日は土曜日では学校も休み。部活にも参加せず塾にも通っていない俺は昼過ぎまで寝れる日のはずだった。だったのだが。
「じゃじゃん!これがまるの兄ずら!」
なぜか朝から自分の通っていない高校の屋上で。
「私と一緒にダンスレッスンする予定だけど、何か雑用とかあれば積極的に使ってもらって欲しいです!」
年下の美少女5人に囲まれて。
「「「よろしくおねがいします!」」」
頭を下げられてるのは何でなんだろうなぁ...。
遡って思い出されるのは...あれは...そう...1時間前の事だった。意外と直近の事だった...。今の溜めは文字数稼ぎだ。ついでに今の一文も(ry
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「兄ちゃん朝だぞこらー。起きないと遅刻しちゃうぞー。」
朝8時。平日だったらこの時間には家を出ていないと間に合わないが、今日は休日。気の済むまで惰眠をむさぼる予定だった。
目を開くとこちらを見つめる妹の姿。手には俺の掛布団の裾が握られている。どうやら布団をひっぺがしてでも俺を起こしたいようだ。
あと、どうでもいいけど俺の部屋とまるの部屋は別だが、鍵などは無いため割と自由に行き来できる。基本的にまるがこっちに来ることのほうが多い。
さて。起こしに来たこいつをどうしようか。
まるがいっしょにそとにでたがっています▽
あなたはどうしますか?▽
・ともにタイヨウのくにのぼうけんのたびへ
・ことわってひとりでトコヤミのくにへ
・なぜかここで大喜利←コレダ!
「お題。俺が一瞬で飛び起きるような一言。」
「また始まった…。しょうがないなぁ…。」
俺たち兄妹の間ではよくある光景。え?世間一般でもあるよね?
「質問です!解答権は何回ですか?」
「じゃあ3回で。」
「そうだなぁ。じゃあ…。」
まるは何やらスマホをいじり調べ物をしているようだったが、こちらに向き直ると
「お兄ちゃん…怖いから一緒に寝ていい?」
と上目遣いでかわいい声で「ぐふぅっ」…い、いかんいきなりクリティカルをもらってしまった。上目遣いやべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!いいよ!ここのこのスペースにおいでよ!なんなら手も握ってあげるよ!
「ぐふっ…はぁ…はぁ…。いや…妹よ。確かに心臓が飛び出そうだったがそれだとベッドから飛び起きたりはしねぇぞ。むしろずっと居続けるぞ。」
「あぁ。確かに。」
ってか何を調べてたの?……妹に言われたい一言?な、なるほど。
「二つ目はど~れにしよっかな~。」
笑顔でスマホをいじるまるでした、まる。ってかお前ネットとか苦手な設定どうしたのよ。「よし!」おお怖い。次は吐血しないように身構えないと…。
「全くこれだからゴミいちゃんは。」
…………。
「あれ?徳兄ぃ?おーい?停止してる…。え…?息をしてない…!?そこまでショックだったの!?」
………はっ。なんだ?ちょっと意識が飛んでたぜ。
「それで?まる。普通に『全くこれだからお兄ちゃんは。』とか言ってもなんの驚きもなかったぞ?」
「…しかも記憶ねつ造してるし。はぁ。じゃあ最後いくよ?」
よっしゃどんと来い!
「もぉ!お兄ちゃん妹のおっぱいさわりすg「はい起きましたー!」」
あぶねぇ。何言いだすんだこいつは。それはダメなやつだろう。あの兄妹だからこそ、いやあの兄だからこそ許される台詞だろう。俺はあそこまでじゃない…と思いたい。
まるがにやにやしながら勝ち誇った顔でこっちを見てくるが無視。
こんな朝っぱらから起こしに来た理由を聞こうではないか。
「さて。なんでまるはこんな朝早くに俺を起こしに来たのかな?」
「昨日も言ったけど、練習に着いてきてほしいんだ。私一人の力じゃ皆の踊りにはついていけないし、迷惑をかけちゃう。だから徳兄ぃと一緒に練習して、家でも練習が出来るようにしたいんだ。」
昨日の今日でか…。なんかまるは家の中だと行動力とか決断力とか増すよなぁ。このお寺にステータス付与の効果でもあんのか?
「ビデオじゃダメなんだっけ?」
「それだと話の展開が…。じゃなくて、やっぱり的確なアドバイスをくれる人が欲しいから。」
なんか今すごいメタな発言を聞いた気がするが今更なのでスルー。見ればさっきまでの馬鹿な会話が嘘のようにまじめな表情をしているので、俺も意識を覚醒させる。
「俺が行くかも知れないってことは他のメンバーは知ってんのか?突然年上の男が押しかけちゃ悪いだろ。」
「大丈夫。昨日のうちにラインで言っといたよ。」
「みんな何て言ってたんだ?」
「千歌さんとか曜さんは大歓迎モード。梨子さんはちょっと緊張してるみたい。ルビィちゃんは会ったことあるから大丈夫だって。」
そうか。まぁあまりに俺が悪影響を及ぼすようだったら引き下がれば大丈夫かな…?その反応だと何とかなりそうだが。
一度行ってみなくちゃ始まらないっぽいな、これは。
「よし。良いよ。行こうか。何時からなんだ?練習。」
「えっと9時半に屋上に集合。」
「じゃあぼちぼち準備しないとな。着替えるから少し出といてくれ。」
「はーい。」
…ちなみに妹の胸を触ったことはないぞ?揉みしだいたことなんてもっとないからな?勘違いすんなよ?
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そんなこんなで冒頭に戻る。
「おいまる。お前俺の事なんて言って紹介した?」
「優しくてとても頼りになる兄が千歌さん達の話を聞いて『ぜひ俺にできることをしたい』とか言い出したのでとりあえず連れてきても良いですかって。」
なんでだよ。普通に自分が踊りを覚えられないからって言えばいいじゃねぇか。「だってそっちの方が面白そうだから。」案の定だよっ。
「えぇと。花丸の兄の国木田徳丸です。妹がいつもお世話になってます。まるはちっさい頃から人見知りで人前で踊るなんて考えられなくて…「徳兄ぃそれ長くなる…ね。じゃあこっちの自己紹介をやっちゃいましょう。良いんです。あれはああいう生き物なので。」おい。」
するとややオレンジっぽい髪の子…いやだいぶオレンジだけれども、が一歩前に近づいてくると。
「こんにちは!徳丸さん!私は高海千歌です!花丸ちゃんから話は聞いてます。Aqoursのお手伝いをしてくれるんですよね?これからよろしくお願いします。」
そう言って深々と頭を下げた。……お手伝い?あれ?踊るだけじゃなかったの?なんかおかしくない?
ちょっと思考停止していると隣の赤みがかった茶髪の子が口を開く。
「えぇと…桜内梨子です。一応Aqoursの楽曲の作曲をしています。これからは作曲のお手伝いもしてくださるって聞いて…。本当に助かります!私アイドルの曲とかあまり聞いたことなくて…。アドバイス、お願いしますね?」
この子がまるの言ってた梨子ちゃんか。俺に会うの緊張してたみたいだけど、これなら普通に話せそうだ。
そいで?作曲のお手伝い?ほほう?
「お兄さん作曲とか出来るんですね!あ、渡辺曜です。特技は飛び込み!Aqoursでは衣装を担当してるんだけど、お兄さんが助けてくれるって聞いて嬉しいです!それでは!敬礼!」
とりあえず銀っぽい髪の元気ッ子には敬礼を返しつつ。衣装ときたか…。
「ちょっと待ってね皆。まるから俺のことなんて紹介されてる?完璧超人とか?」
「「「何でも出来る自慢の兄」」」
…あ、そう。それはそれで普通に嬉しいわ…。でもいくらお兄ちゃんパワーを発揮したところで無理なものは無理というか。
「けどね?3人とも。さすがに作曲とかはしたことないし、裁縫も家庭科で習う以上のことは出来ないからアイドルの衣装とかは…。そこまでの時間はとれないというか…。」
「そっか。ルビィ、徳丸さんが作る曲とか衣装とか凄く楽しみにしてたんだけどなぁ…。でも忙しいならしょうがないよね…。」
「…だからできる範囲での協力になっちゃうけどよろしくね?」
ここにはもう一人俺の妹みたいな存在がいたのを失念していた…。お兄ちゃんパワー倍増キャンペーンだよ!
赤いツインテールをした引っ込み思案の女の子。だけどそんなところがまると似ているのか中学校からの付き合いで、家にも何度か遊びに来た子。
彼女の名は黒澤ルビィ。俺も何度か話したことはあるが、守ってあげたくなるようなタイプの妹属性持ちだと記憶している。
そんな子にこんな悲しい顔をさせるわけにはいかないのだよ。
「やった!徳丸さん!これからよろしくお願いしますね!」
あぁ。その笑顔を見られただけでお兄ちゃん満足だよ。
ここに『浦の星女学院スクールアイドルAqours』の作曲手伝い兼衣装手伝い兼雑用兼ダンス見習いが誕生した。
彼と彼女達は時に笑い、泣き、ともに汗を流してお互いにさまざまな影響を与えていく。
彼らの行く末に待ち受けるのは多くの苦難。だがその先には光が…。
どうか試練を乗り越えられますように。
それでは聞いてください。Aqoursで『青空Jumping Heart』
~音楽が流れています。心の中で聞いてください。~
「………これで終わり?」「終わりずら。」
花丸のキャラがかなり元気寄りになっているのは参考にした妹キャラが、ちっさい方の妹とポイント高い妹と秘伝ピザソースの妹だったからです。
…カオスだなぁ。