とりあえずごめんなさい。
俺の妹がこんなに可愛い(事実を述べただけですが何か?)
「スクールアイドルを始める!?マジで言ってんのか?」
「本気だよ。まるも見てるだけじゃ嫌だ。他人に合わせたわけじゃなくて本気で心の底から”やりたい”って思えたことなんだ。だから…。」
ある日の国木田家の夕食。食卓を囲むのは僧である父、専業主婦の母、長女の花丸。そして花丸の兄であるこの俺。
「”一郎丸”。」
「違う。他人のモノローグに入ってきた上にボケをぶっこむな。馬鹿親父。」
この前の金曜ロードショーに引きずられすぎだろう。いい話だったけど『バケモノ○子』。親父これが最後の出番かも知れないんだぞ?開始早々で悪いけど。
「それで?すくーるあいどる?って何をするの?どうしてやりたいってまるは思ったのかしら?」
お袋が親父のボケを華麗にスルーし、ひらがな発音で尋ねたところ、花丸は第4話…もとい『スクールアイドル部』に入るきっかけとなったエピソードを聞かせてくれた。
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俺は国木田
昔から本を読んだり歌を歌ったりと文化系だった妹とは正反対に、体育会系の活動が好きだった。小学校と中学校では野球部に所属しレギュラーとして活躍した。高校に入って部活には入らなかったが、ダイビングに行ったり山登りをしたりしている。
体を動かしてないと落ち着かない性分である自分だが別にカラオケとか楽器とかが嫌いなわけじゃない。まるには及ばないが歌は好きだし、ピアノも個人的に習っていたので多少は弾ける。
成績は中の上程度だ。これで成績が良かったらキャラ設定上かなりのハイスペックになってしまう…らしい。
自己紹介はこんなもんかな。まぁおいおい詳しいことは分かってくれると嬉しい。
父は祖父と一緒に寺で住職をしている。俺も将来は継ぐんだろうが今はまだ深くは考えてない。母は専業主婦のためずっと家にいる。と思ってたが、意外と忙しいらしい。一日のスケジュールを聞いてみるとプライベートな時間はほとんど無かった。むしろ父の方が多いまである。
みんなもお母さんには感謝するんだぞ?
妹との仲は悪くない。むしろ良い方だと思う。小さい頃はよくお寺の中を一緒に走り回ったし大きくなってからも勉強を教えてあげたり、あいつの所属する聖歌隊の合唱を見に行ったりしている。
もちろん"世間一般での"仲が良い兄妹だ。"ラノベ界での"仲が良い兄妹ではないのでそういう展開にはならねぇよ。
だから、あいつの助けになるようなことはできる限りやってあげたい…んだが。
「踊りを教えてほしいと言われても…俺知らねぇし。」
まるが食卓でスクールアイドルについて話したのは両親に部活の許可をもらうためと、もう一つ。俺にダンスを教えてほしいと頼むためだったらしい。
いや、何でだよ。
「俺ダンスとかしたことねぇし。その子達のパフォーマンスを見たこともねぇもん。さすがに無理だ。」
「それもそうずら。だったら今度一緒に練習に来て踊りを覚えるずら!」
「…えぇー……その部活って女子だけなんだろ?俺が入っちゃ駄目じゃん。」
「大丈夫。徳兄ぃに関しては間違いはおこらないずら!」
「おいこらどういう意味だ。」
「と、とにかく!まろがしっかり踊れるようにサポートしてほしいんだ!」
な…なんか今日のまるは押しが強いな…。いつもならこんなに強引に話を進めたりしないし。
「俺に踊りを覚えてほしいっていうのは家で練習するってことだよな?なんでそこまでしようと思うんだ?」
今までのこいつだったら絶対にしなかっただろう。まるはさめてるって程でもないが、皆と一緒に何かを一生懸命やるようなキャラではなかった。どちらかというと一人が好きだし。公式設定で『所詮人間は一人』とか言っちゃうくらいだし。俺もだが。
そんなまるがやる気に満ちあふれている理由を聞いてみると、真剣な表情で語ってくれた。
「おらは運動が苦手ずら。体力もないし物覚えも悪い。正直自分がスクールアイドルに向いているとは思わないずら。だけど…。」
「だけどルビィちゃんが言ってくれたんだ。まると一緒にスクールアイドルやりたいって。千歌さんも言ってくれた。大事なのはできるかどうかじゃなくて、やりたいかどうかだって。」
「大先輩のスクールアイドルも当時は『自分はスクールアイドルに向いてない』って思ってたらしいし。…なによりまるはまるを信じて誘ってくれた二人の気持ちに応えたいんだ…。変かな?」
これで変とか言うヤツはお兄ちゃんが捕まえてカッパの着ぐるみを着せた上で荒川に捨ててきてやる。
ここまでまるがワガママを言ってきたのは初めてだしな。
「…よし。できる限りの手伝いをしよう。」
「いいの?迷惑じゃない?」
「大丈夫だ。世の中の兄という生き物は妹の相談には必ず乗ってあげないといけないんだよ。」
イニシャルK.Kのシスコンで有名な兄がそんな趣旨のことを言ってた気がする。
「とりあえずまるに教えられる程度には踊りうまくならないとな。そのアイドル達の名前。何て言うんだっけ?」
「Aqoursだよ。」
「そうか。そのAqoursのライブの映像とか無いのか?」
「あ、それならルビィちゃんが…。」
こうして俺、国木田徳丸は浦の星女学院スクールアイドル『Aqours』と関わっていくことを決めた。
俺が花丸のために出来ることなんて限られているだろう。でもやれることが少しでもあるならやってあげたい。
俺はあいつの兄で。
生まれたときからのファンなのだから。
「なぁ、まる。まるがどうしてもって言うならお兄ちゃんまると結婚してあげても良いぞ?」
「それは良いずら。」
「良いってそr「遠慮するって方の意味。」…はい。」
「よ…善子ちゃん。どうしたの?その姿。」
「ヨハネと呼びなさい。私は以前までの姿が仮初めだったと気づいたのよ…。今はすごく楽よ…体中から力が溢れてくる。」
「でも善子ちゃんのその力、なんか禍々しくて怖いよ…。多分良くないものなんじゃない?」
「ヨハネと呼びなさい。私にとってはこれが本当の力。禍々しい?だって私の本質は悪魔なんですもの!」
「ヨハネちゃん!正気に戻って!私達は9人の女神μ’sに仕える9人の天使なのよ!堕天なんかしたら…。」
「だから善子と呼びなさい……って間違えた!?」
次回、『大天使ズラ丸vs堕天使ヨハネ』(嘘ですごめんなさい。)