そんな彼方にアザレアの花束を   作:ゐろり

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どうも皆さんお久しぶりです!
最近世間は俺にやさしくないです。
でも曜ちゃんにやさしいので良しとしましょう。
さて、今回は曜ちゃんと彼方君のイチャラブが見られます。
それではどうぞ!


第十七話~転寝の彼方に~

~前回のあらすじ~

衝撃の事実を前にして言葉を無くす曜達。だがここで取り乱さないのが江口彼方だ。冷静に状況を判断し今やるべき事を正しく見極めた。そして、彼らは自らの目標を達成するために動き出すのだった…

 

 

件の作戦会議から一日後。俺達は昨日と変わらず、今日も潮風が吹くこの教室で授業を受けている。

あんなに脅しをかけたのだから何か仕掛けてくるだろうと警戒していたのだが杞憂だったみたいだ。

 

結果から言うと何もなかった。

 

昨日決めた通り被方と話してみようと決意していたのにその本人もいないんじゃあ話にならないっていうな…

 

昼休み、いつも通り(厳密には俺が来てかららしいが)屋上で昼飯を食べてると如何にも不満げな顔した高海がぶーたら文句を言ってた。

「なーんだぁなんにも起こんなかったじゃーん…」

「いやいや何を言ってるんだお前は」

「だぁーってぇ…」

と、こんな調子である。何か起こって欲しかったって…無い方が良いに決まってるだろうが…

「それで、桜内の件はどうなった?」

「うーん…今日中には…」

「…そっちもダメなんだなよくわかった」

何もなかった訳ではなく常に何かあった俺達であった。

 

 

結局なんのアクションも無いまま迎えた放課後。色々あって疲れたのか両サイドでは二人の美少女が静かな寝息を立ててる。ただ立てるだけならまだ良かったのだが…

「なぁーんで二人して俺の肩使うのかね…」

別に肩を貸すのが嫌な訳ではない。ただ二人共超が付くほど美少女な上に立派なメロン(比喩表現)をお持ちときた。後は想像に任せるぞ、男子諸君。

要するに落ち着かないのだ。東京にいた頃ふざけてにこさんがあざとく肩に頭乗っけてきた時は何も感じ無かったと言うのに。一体この差はなんなんだ…。

このままでは本格的に寝入ってしまいそうだったので二人を起こすことにした。

「おーいお二人さん。そろそろ起きなされ。」

「んぁ…?あれ、千歌ってば寝てたの…?」

「おはよう。昨日あんまり眠れなかったんじゃないか?」

「あぁ…そうかも。あれ、曜ちゃん起きないね」

「ありゃ、手遅れだったか。」

渡辺はまだ俺の肩に頭を預けっぱなしである。顔をよく見たら薄いクマが出来てる。よほど不安だったのかほとんど眠れなかったのだろう。

「あ、そろそろバス停だよ彼方君。」

「マジか。参ったな…」

「どうするの?」

「…このまま送ってく。渡辺の降りる所わからんから後でメッセくれ」

「りょーかい!じゃあね!曜ちゃんに変な事しないでよ!」

「す、するかバカ!」

他に客がいなくて心底良かった…あの、運転手さん?なぜニヤニヤしているんですか?

 

 

あれから数分後。高海から送られてきたバス停が近づいてきたにも関わらず未だ目を覚ます様子の無い渡辺。

「おい渡辺。流石に目を覚ませ」

軽くデコピンをしてやるとあいたっと声を漏らしながら起きた。

「んぁ…彼方君おはよ…」

「おはよう。そろそろバス停だから目覚ませ」

「んん…眠いぃ…」

「ほら、立って立って」

「んーん…やだー…」

寝起きで頭が回っていないのか子供のように駄々をこね始める渡辺。

「じゃあどうすんだよ…」

 

「…おんぶ、して」

 

「…どうせ俺に拒否権とかないんだろ」

「えへへ…」

結局うつらうつらしてる渡辺を背負ってバスを降りた。

しかし、なんだ。あんまりにも無防備すぎるんだよな、こいつ。

立派なメロン(比喩表現)を押し付けてくるわ、ミニスカートから伸びた美しい太ももを躊躇いなく触らせるわ、抱きついてくるわともう誘ってんじゃないかと錯覚するレベルである。ここまで耐えれてる自分を絶賛したい!

この状況を見越したのか、高海からのメッセにはバス停と一緒に渡辺ん家への行き方も書いてあった。変な所で鋭いよな、女子って。

バスを降りてから何分かたった。渡辺は未だに目を覚まさない

――――かに思えた。

「ん、んん…あれ、私寝ちゃってたのか…………んん!?彼方君!?」

「おはようさん。お目覚めは如何ですかな?」

「如何ですかな?じゃないよ!なんで彼方君がわ、私をおんぶしてんの!?」

「なんでって…お前が頼んだからおぶってんだろうが」

「私そんなこと頼んで………あっ」

そこで渡辺の顔が赤くなった。自分が言ったことを思い出したのだろう。

「私から頼んどいて言うのもなんだけど…お、重かったら下ろしていいからね?」

「…こんな事言うのも癪だけどな。俺さ高校二年男子の平均筋力大幅に下回ってるんだよ。その俺が息切らさずに運べてんだからお前は相当軽いって事だ」

「い、いやでも…」

 

「どうせ不安で昨日ろくに寝てないんだろ?今くらいゆっくり休め」

 

「…………ありがと」

海に沈む夕日をバックに俺達は二人ボッチでゆっくり歩いた。

 

 

 

高海からの『明日午後一時に果南ちゃん家来て!』というメールに気付いたのは翌日だった。

 

 

 

 

天災とは忘れた頃にやってくるのが常なのだ。




少し短めでしたがどうでしたか?
これ見てクリボッチのみなさんは心を癒してください。
わたくしめは塾とロマンチックなひと時を過ごしてきました。つらいです。
あとお知らせが一つ。
次回の話はこの話の後からはじまります。
ぶっちゃけて言うとお泊り回です。ぜひお楽しみに!
それではみなさん、アディオス!

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