そんな彼方にアザレアの花束を   作:ゐろり

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言い訳はしません。二週間もほったらかしにしてすみませんでした!
いや、提出物とか提出物とかでですね?
忙しかったわけですよ!
内申が固まりそうだったからつい執筆怠っちゃったんです!


本当に心の底からお詫び申し上げます。すみませんでした!
さて、今回は彼方や曜が梨子が、千歌が、いろいろやります(ごめんなさいいい言葉が見当たりませんでした故)
それではどうぞ!


第十二話~一歩の彼方に~

~前回のあらすじ~

曜のお陰でしっかり千歌の事を応援できるようになった彼方。外からは何故か千歌と梨子が落ちる音がした…一体なにが…

 

 

家からバスタオルと小さなライター(ただし俺は未成年なので買えない。倉庫にあったのを拝借してきた)を持って小走りで海岸に向かった。

「おーいお前らー生きてるかー」

「あれ、彼方君!どうしたの?」

「え、江口君!?」

見ると予想通り高海と桜内がびしょ濡れだった。そして何故か桜内は水着になっていた。本当に何故…

「というかあなた、江口君の知り合いなの?」

「そっちこそ!まさか彼方君の知り合いだったなんて!…へくちっ」

「事情説明は後だ。取り敢えずこれで体やら髪やらは拭いとけ。適当なドラム缶とボロ木持ってくるから体拭くならその間な。」

「「う、うん…」」

二人は驚きの表情を見せながらも俺の言う通り体やらなんやらを拭き始めた。さて、ドラム缶とボロ木っと…

 

一旦家に戻り倉庫を漁っているといいサイズのドラム缶と木材が見つかった。いや、本当になんでもあるよな我が家の倉庫…大家さんに感謝感謝。

高海から体拭き終わったという連絡をもらったのでまた小走りで海岸に戻った。

「ほれ、取り敢えずこれで暖をとっとけ」

「ありがとう~はぁ…暖かい」

「待っている間に大体の話は高海さんから聞いたわ。なんかすごいことになっているのね…」

「自分でもそう思う…」

「それより、桜内さん。なんで海に入ろうとしてたの?沖縄じゃないんだから…」

全くだ。一体この時期の海になんの用だというのか。

「海の音を聞きたいの」

「海の音?」

「こりゃまた風情が漂う…」

しかし桜内はだんまり。何か言えない事情でもあるのだろうか。

「わーかったきーかーなーいー…海中の音ってこと?」

「そんなチープな理由なわけ無いだろ…イメージとか想像の話なんじゃないか?」

「ふふっ…まぁ、そんな感じかな。あのね、私ピアノで曲を作ってるんだけど」

「へぇ…ピアノで?」

「うん。海の曲を作りたいの。でもうまくいってなくて…海の音を聞けたら何か変わるんじゃいかって、そう思って」

行きの新幹線ではあまりそういう話を聞かなかったものだからちょっと面食らった。

「それで、どこから来たの?」

「…東京」

「東京!?わざわざ!?」

「わざわざっていうか…」

まぁ、桜内がこっちに来たのには複雑な事情がある。おいそれと人に話すわけにはいかない。

「じゃあスクールアイドル知らない?東京って有名なグループ多いでしょ?」

「えーっと…ごめんなさい。私、そういうの疎くて。江口君も言ってたけどそんなにすごいの?スクールアイドルって」

「とりあえず見てみて!すごいよ、ナンジャコリャー!ってなるから」

「なんじゃこりゃ?」

「なんじゃこりゃ♪」

そう言って高海が見せてきた動画。うん、ものすごく見たことある。

「なんというか…普通?あ、あぁ悪い意味じゃなくてその…アイドルっていうからもっと芸能人みたいなのかと思って」

そうか、桜内にはこれが普通に見えたのか。

少なくとも金髪碧眼のクォーターとか高三のくせにツインテにしてる合法ロリとか日本人なのに親子揃って赤毛の大富豪がいるアイドルグループを普通だとは思わないけど…黙っておこう。

「…だよね」

「え?」

「私ね、普通なの。普通星に生まれた普通星人。」

 

 

 

 

 

「普通星に生まれた普通星人、ねぇ…」

あのあと桜内達と別れた俺は家に帰って高海が言った言葉を思い出していた。そして、また思考をはべらせていた。

かよねぇ達は、μ'sは、普通だったのか。しかしこればっかりは俺の経験でわかるものじゃない。とりあえず、かよねぇに連絡することにした。

「あ、もしもしかよねぇ?」

『彼方君!久しぶりだね~!』

「今大丈夫?」

『大丈夫だけど…どうしたの?』

「ちょっと相談」

そこで高海達のスクールアイドル活動のことは伏せた上でμ's時代自分たちは普通だという認識があったかどうかを聞いてみた。

『んー…ただがむしゃらにやってたからあんまり意識してなかったかな…』

「え、そうなの?」

『わかりやすく言うとね、弱小野球部が死ぬほど練習して甲子園で優勝する感じ。その選手たちは自分のことを普通じゃないなんて思ってないでしょ?』

なるほど、確かにそうだ。「ラブライブ!で優勝した後もだったのか?」

『そうでありたかったけどアメリカ行った上にドームでライブしちゃったからねぇ…』

「あはは…」

しばらくお互いの近況報告をして電話は終わった。

 

一つ、わかったことがある。

 

大事なのは普通だとか普通じゃないとかそういうことじゃない。

がむしゃらに、ひたむきに、一生懸命努力することが何よりも大切であるということだ。

簡単な様に見えて簡単ではないと思う。がむしゃらに、ひたむきに、一生懸命努力して全てがどうにかなるなら母さんは助かっていたし世界に戦争は起きないだろう。

だからきっと、俺は彼女達を助けるヒーローの一人でありたいのだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ…………ぁ」

気付いたら寝てたらしくだらしない格好で目覚めた。それでも生活習慣とは乱れないのだから人間よくできてるよな…。

どうにも昨日は頭を使いすぎた。出来ることなら休みが欲しい。

「おーい千歌ちゃーん!」

が、現実は甘くない。なんならカフェオレのほうが甘いまである。渡辺が高海を起こしに来たみたいだ。

「じゃあ俺もボチボチ学校行くかなー…」

 

昨日同様適当な朝飯をかきこんでバス停に向かった。

バス停に着くと見慣れた顔が一人発見。

「おっす」

「おはヨーソロー!」

「…朝から元気良いなお前」

「むしろなんで彼方君はそんなにローテンションなのさ」

「低血圧だよ低血圧。朝は弱いんだ」

「よく寝坊しないね…」

「とある人のお陰だ。それより高海どうした?」

回りを見回すと高海が見当たらない。さっき渡辺が来てたはずだから一緒にいるものだと思ってたんだがな…

「千歌ちゃんなら大丈夫。そろそろ来るから」

「なに予言?」

「おーい曜ちゃーん!」

「嘘だろ!?」

見事渡辺氏の予言的中!さて、どんなタネがあるのやら…

「彼方君おはよー!なんか曜ちゃんが話があるから先行ってるよっておいてかれたんだけど…」

「人聞きのわるい言い方しないでよ~」

「は、はぁ…んじゃ俺はいない方が良さそうだな」

「あ、彼方君はここにいて。というかいなきゃダメ」

一体なんの話だというんだ…修羅場とかマジで勘弁っす。

「千歌ちゃん、私ね。昔から千歌ちゃんと一緒になにかやりたいなぁって思ってたの」

「う、うん」

「だからね、しばらく考えてみたんだ」

「…何をだ?」

「千歌ちゃんが本気なのかどうか」

「…!」

その言葉にどれ程の重みがあっただろうか。過去になにがあったかはわかりかねるが高海には感じるものがあったようだ。

「で、どうだったんだ?」

だがそんなことはわかりきっている。高海が本気でスクールアイドル活動を始めたいと思ってるなど一目瞭然だった。それは渡辺も然り。

「だからね、最後にもう一回だけ聞かせて?」

 

 

「…本気でスクールアイドル始めるの?」

 

 

この質問に対する高海の答えは言うまでもなかった。

「…うん!だってあの人達も言ってたもん!諦めちゃダメなんだ、その日は絶対来るって!」

「そっか…じゃあ、私も」

「「え?」」

私も…?私もってまさか…!

「私も、スクールアイドルやりたい!千歌ちゃんと一緒に!」

なんてこったい、まさか渡辺がやりたいなんて言い出すとは…!

「曜ちゃん…!曜ちゃーん!」

ガバッと高海が渡辺に抱きつく。全く…ゆりゆりならいいけどがちゆりはフォローしきれないからね俺?

二人がイチャコラしている間にわざと入り込む。

「俺に、二人の手伝いをさせてほしい。」

「へっ?」

「初めて出来た友達が何かやろうって言ってんだ、全力で応援させてくれ!」

「彼方君まで…!うん!二人とも大歓迎だよ!」

高海が嬉しそうに笑う。心なしか涙ぐんでるようにも見えた。

 

 

バスに乗ったあと、今後について楽しそうに話す二人を尻目にふと思った。

スクールアイドルの頂点から様々な事を学び、スクールアイドルのたまごのサポートをする。最高じゃないか。灰色だった心に、ちょっとだけ色がついてる。ならこれから、俺がもっとたくさんの色でカラフルにしたい。

 

少年少女はすこしだけ、それでも確実に一歩踏み出した。




さて、とうとうAqoursが仮結成ですね!
一話が微妙な所で終わっていますが次回で一話分完結予定です。
これからもよろしくお願いします!

活動報告の方で特別企画「Aqoursにしやがれ!」について記載していますのでそちらの方もよろしくお願いします。

それではみなさん、アディオス!

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