[1]ノーゲーム・ノーライフの世界にチート転生者がきたようです 作:型破 優位
では、さっそくですがネタバレを。
大戦時の人物全員重要人物です。
形勢は、見た目では一気に逆転した。
操作しているものがアバターである以上、捨て駒を使える。
つまり、空と白は[ ]とステフとプラムのアバター以外、いづな、巫女、いの、ライラ、アミラのアバターを全て捨て駒として使用したのだ。
そして、佑馬陣地の生存アバターはリクとシュヴィの二人のみ。
生存種族も、確認できる限りでは両陣地人類種と機凱種の二種類のみ。
さらには、人類種の数、機凱種の数まで全く同じなのだ。
状況を理解出来たものは、ここで一様に首を捻る。
「佑馬、これは一体どういうことでございましょうか」
「何が?」
「空様達の機凱種は、全攻撃を解析するために解析体ほぼ全機を使ったため、数が少なくなるのは分かります。ですが、何故
どう見ても、佑馬陣地の機凱種の数が減っているのだ。
ジブリールはその場の空気を代弁するように佑馬に問い掛け、答えを待っているかのように、その質問の理解者全員の視線が佑馬に集まる。
「もしや、流れ弾に当たったのでは――」
「当たったんじゃないよ。
「――え?」
最悪の可能性を危惧したジブリールだったが、まさかの返答に間の抜けた顔になってしまっていた。
他の人も、間の抜けた顔とはいかずとも、理解には至っていない。
「俺も、リクとシュヴィがどうやってその人数を割り出したのか知らないが、空たちが使った解析体と
その発言に、瞬間的に数を数える方法を持っているものはそれを行使して状況の確認を始めた。
でてきた結果は、両陣地共に数が同じだと言うこと。
「まぁ、一度はこの状況を作るつもりではいたから、手間が省けたとも言えるかもね」
佑馬が見つめる先に、一同もつられるように視線を移した。
そこにいるのは、今話している場所から少し離れた場所で、楽しそうに投函作業を行うリクとシュヴィ。
「この世界を一番願った二人なんだ。せっかくなんだからこの世界を楽しんでもらわないとね」
「まさか、佑馬はこうなることが分かって反射を使わなかったのでございますか?」
恐らく、機凱種の反撃のことを言っているであろうジブリールだが、その質問には佑馬も苦笑するしかなかった。
「いや、さすがにここまでは分かってないよ。ただ、反射を模倣されたら困るっていうだけだからね」
「そう言っている割にはぁ、あまりにも理解が早すぎると思うんですけどぉ、予想外のことではなかったのですかぁ?」
だが、シンクの言うとおり、確かに佑馬の理解速度は早すぎる。
「なんでそう思うんだ?」
「だってぇ~、私たちには命令してくるのにぃ、あの二人だけは完全に放置じゃないですかぁ?それもぉ、人類種に機凱種なんか任せちゃってぇ」
それが例え、能力が関係しているとしても、だ。
「予想外ではあっても、
◆◆◆
「……にぃ……これ……どういう、こと?」
「ごめん、それは俺にも分からない」
「どうしたんですの?」
佑馬たちがそんな会話をしている中、[ ]陣営には不可解な事が起きていた。
「なんでかはわからないが、今までは人類種の伝言を忠実に守ってくれていたのに、いきなり一部の機凱種が動かなくなったんだ」
「それってどういう――」
「……機械、だから……起きる……現象?……命令無視……一部……内応や裏切り、は……禁止……相手の仕業、では……ない……ううん、
ステフの言葉を遮るかのように単語を並べ始めた白。
そして、何かにハッとした。
「……これは、
「白も気がついたか。まさかそんなことが出来るなんて知らなかったわ」
「だから、どういうことですの!」
二人で勝手に話を進められるという恒例の行事になりつつあるが、相変わらずの反応を示すステフ。
そこでステフの背中から、一つの影がでてきた。
「はいはーい!それは忙しい二人を代行して、ボクから説明させていただきまーす!」
「ひっぎゃああぁぁぁ!?いきなり後ろから出てこないでくださいな!!」
「……うるさい……しゃらっぷ」
「不可抗力ですわあぁぁぁぁぁ!!」
いきなり後ろからプラムに話しかけられたステフは、驚きのあまり大声で叫んでしまい、白にジト目で注意された。
「では、説明させていただきまーす!」
◆◆◆
「どうだ、シュヴィ」
「……ぶい」
「さすがだ。よくやった」
作戦が上手くいったことでハイタッチを交わす二人。
二人の顔には、笑顔が浮かんでいた。
他の人には何が起きているのか、検討もついていない。
だが、何かをして[ ]陣営の『
「シュヴィ、後二回か三回試してみて貰ってもいいか?」
「……ゲーム……でも……あま、り……やりたく……ない、けど……りょーかい……」
リクの指示で一気に指令書を書き上げていくシュヴィ。
それに合わせて、リクも指令書を次々と書き上げていく。
指令書は、すぐさま投函するもの、投函せずに残しておくものの二種類に分けられているが、何故か投函せずに残してあるものの方が多い。
「……あ……バレ、た……」
「いや、連結体を二つも戦闘不能に出来たのはかなり大きい。よくやってくれた、シュヴィ」
「……ん……もっと、褒める……」
リクの素直な褒め言葉に、顔を赤くしながらもさらに催促をするシュヴィ。
本当に機凱種なのか、と疑うほど、シュヴィの感情表現は豊かだ。
「そうしたいんだが、それはこのゲームに勝ってからだ。それよりも、その指令書全部入れとけよ」
「……むぅ」
結局追加の褒め言葉を貰えることができず、頬を膨らませて不服とばかりに抗議の眼を向けるも、それも一瞬。
予め書いてあった指令書の山を投函して再び指令書を書く作業へと戻った。
そんな一連の流れを見て、少し離れた場所では再び議論が始まっていた。
「佑馬、何故空様達の機凱種は動かなくなったのでしょうか」
「機凱種の解析体であるシュヴィだからこそのやり方だと思うんだけど、一応仮説はある。ただ、自信はない」
「ジブリール。あまり人を頼るのは感心しないな」
「も、申し訳ございません!ラフィール姉様!つい気になってしまいまして……」
「まぁ、私も皆目検討もついていないし、その仮説とやらも気になってはいるがな。良ければ私にも教えてくれないか?」
ジブリールに注意をしつつも、ちゃっかり聞こうとしてるあたりラフィールも大概だろう。
「機凱種は連結体と呼ばれる群で行動するのは知っていると思うけど、相手の連結体には解析体が一体もいないんだ。そして、連結体内では全機が感覚を共有している。だから俺は、
「ウイルス感染?ウイルスって何だ?」
「まぁ、簡単に言えば、大戦時代に降っていた精霊の死骸にして致死の毒性を持つ『
「あのぉ、少しいいですかぁ?」
「なんだ?」
佑馬が説明している途中で、再びシンクが割り込んでくる。
その表情は、納得いかない、といったものだ。
「その毒、どうやって渡すのですかぁ?」
「相手側の連結体にその毒に汚染された機凱種を接続させることで渡すことができると思う」
「それぇ、不可能ですよねぇ」
「どうしてだ?」
「相手の『連合体』と繋がるということはぁ、つまりぃ、一時的とはいえ『裏切り』行為ですよねぇ」
シンクは、指令書を使っていろいろな可能性を模索していた。
その結果分かったことは――
8,内応、裏切り行為は禁止とする。
――このルールは例外なく、絶対であるということ。
例えそれが、演技で一時的に裏切ることだとしてもだ。
「シンク。残念だが、可能なんだ」
「……どういうことですかぁ?」
だが、佑馬はそれを否定する。
何事にも、例外は存在するものなのだ。
「今回の場合、『裏切り』ではなく、『攻撃』に部類されるだろう。スパイとは違い、連結体として迎え入れた瞬間に『感染』してしまうからね」
「……確証はあるのですかぁ?」
「言っただろ?全て仮説に過ぎない。それに、これだと一つ説明がつかないことがある」
「なるほど。それだと、毒と一緒に対抗手段も共有されてしまうな」
「その通り」
ここまで説明してきた佑馬だが、それは全て仮説でしかなく、答えではない。
だが、連結体単位で[ ]陣営の機凱種がやられているのもまた、事実。
「でも、確実に言えることは――」
◆◆◆
「――つまり、分かっているのは『連結体』という機凱種の特性を生かして攻撃を受けているということのみですぅ。だから、空さんと白さんは指令書でこう書いたと思いますよぉ?『機凱種へ、新規で連結体に参加しようとするものは入れてはならない』って♪」
「なるほど。分かりませんわ」
佑馬陣営で議論が行われているなか、プラムはステフにだいたいの現状を伝え終わっていた。
勿論、ステフにそれが理解できるはずもない。
「でも、とりあえずは大丈夫ですわよね?」
「恐らくですが、大丈夫だと思われますぅぅぅ」
だから、空と白は全てを仮定の上で成り立たせなければいけないのだ。
不確定要素ばかりの、この状況を。
それがどれほど難しいことなのかは、考えなくても分かることであり、現に原因不明の事態に陥れられているのも事実。
それを踏まえなかったとしても、[ ]に、いや、リクとシュヴィ以外の全員が、今回の原因を起こしているものは、理解できないであろう。
何故なら、その毒は人類種から無意識に産み出された猛毒なのだから。
最新刊のエルキア滅亡ってやつ、一応自分なりの結論は出してあるのでそれにのっとっていきます。
最新刊が出たら答え合わせをしますけども。