[1]ノーゲーム・ノーライフの世界にチート転生者がきたようです   作:型破 優位

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そろそろこちらの更新が一気に遅くなりそうです。


久しぶりの再開

エルヴン・ガルドの全権代理者となったフィールの戴冠式やらなんやらがあったので、暇を潰すために応接間で寝そべっていた。

 

ジブリールは涎を垂らしそうな顔であちこちを見回している。

 

クラミーは従者として戴冠式に参加しているため、ここにはいない。

 

「そういえば、これからはどうされるのでしょうか?」

 

一通り見終わったのか、ジブリールがこちらを見ながら聞いてくる。

 

「んー、そろそろ俺以外の奴が行動を起こしてくれるから、それを待ってる。」

 

その質問に、口を吊り上げながら答える佑馬。

 

「・・・そうでございますか。」

 

誰を、と聞こうとしたが、なんとか思い留まるジブリール。

 

そこで静寂が部屋に訪れるが、それも長くは続かなかった。

 

「ふぅ、疲れたのですよぉ・・・。」

 

「お疲れ様、フィー。」

 

「クラミーも、お疲れ様なのですよぉ。」

 

戴冠式が終わったのか、フィールとクラミーがお互いを労いながら帰ってきた。

 

「ははは、お疲れ様。フィールとクラミーはしばらく休んでいて良いよー。」

 

佑馬も二人を労うが、

 

「・・・フィーと私だけなのは何故かしら?」

 

佑馬とジブリールはまだ何かがある、とでも言いたげな様子の佑馬に、クラミーは疑問を持つ。

 

「それはな・・・もうすぐわかるよ。そうだな、例えば・・・今とかな。」

 

そこで、部屋の扉が勢い良く開かれて、

 

「大変です!エルキアからフィール様宛に手紙が送られてきました!」

 

と、告げた。

 

その言葉にクラミーは驚きを隠せず、

 

「ソラ達から・・・?」

 

手紙を受け取り、フィールと共に手紙を見て、

 

「よーし、ジブリール、いくぞー。」

 

佑馬は用件が何かを知っているかのようにジブリールに声をかけるという様子に、また驚いた。

 

「えーと、どちらへ?」

 

だが、ジブリールも理解してはなく、

 

「空から協力要請だ。手紙にも書いてあるだろ。」

 

と、言われたので手紙を見てみる。

 

そこに書いてあったのは

 

『拝啓、佑馬殿

 

この度、神霊種の全権代理者就任、天翼種、森精種と同盟成立、心からお祝い申し上げます。

 

さて、今回このような手紙を送ったのは言うまでもなく、我が人類種も是非力を貸していただきたいと思った次第です。

それなりの報酬も用意してありますので、是非とも、よろしくお願い致します。

 

エルキア王国二百五代国王 空ならび白より 敬具』

 

佑馬の言った通り、協力要請だ。

 

「さぁ、行くぞ。」

 

「了解です。ならばさっそくエルキア城へ・・・ 」

 

跳びます、と言おうとしたところで、

 

「そこじゃない。」

 

待ったがかかった。

 

「ならば何処へ?」

 

しかし、よく考えれば簡単なこと・・・

 

「東部連合、"巫社"だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、東部連合では、巫女、空、白でゲームをしていた。

 

「よーし、また俺らの勝ちなー。」

 

「またかいな・・・ホンマにどうなってんねん、あんたらの頭は。」

 

「どうって?それよりも、そろそろ来る頃だと思うんだよなー。」

 

その言葉に巫女はハテナを浮かべるが、

 

「ッ!?」

 

すぐに神霊種の気配を感じ、警戒を高める・・・が、

 

(この力は・・・あのハゲザルに似た者か。)

 

五感では足音を感知しており、間違いない、と結論付けるが、何故ここにいるのか、と考える巫女。

 

その間にも足音はだんだんと近づいてきて、

 

「いきなり後ろからこんにちはー!」

 

「なっ!??」

 

いきなり後ろに現れた佑馬に、声を上げて驚く巫女。

 

「悪い悪い、驚かす気はあったし悪気はあったから反省はしてないけど悪いとは思ってる。」

 

「反省してないんかいな・・・。」

 

はぁ・・・と溜め息を付く巫女だが、

 

「おー、やっときたか、久しぶりだな。」

 

「・・・おひさ。」

 

呼んだ本人である空と白は、待ってましたとばかりに立ち上がる。

 

「おー、久しぶりだな、空、白。」

 

と、佑馬が言った瞬間、

 

「さっきのすげぇ力はなんだ、です!?」

 

いづながとてつもないスピードで飛んできた。

 

「おー、いづなか。久しぶり。」

 

「・・・佑馬と天翼種、です?」

 

すぐに力の正体を知ることになったいづな。

 

「さぁて、報酬は一体何かな?」

 

佑馬はいづなを一瞥しながら、空へ報酬の詳細を聞く。

 

「佑馬の要求を可能な限り1つだけ飲む、でどうだ。」

 

「のった。」

 

それは、佑馬にとっても大きい見返りだったために、即答する。

 

そこで空が切り出す。

 

「よし、ステフといのを迎えに行きますか!」

 

「あのぉー、これから何をするんですかぁー?」

 

プラムはプラムで日を避けるために箱に隠れている。

 

その質問に、

 

「何処って、『オーシェンド』に向かうんだよ。」

 

当たり前だろ?とでも言いたげな空だが、その言葉に対してプラムは、

 

「それは迎えの舟があると・・・」

 

「待てない。」

 

迎えの舟で行こう、というプラムの案をバッサリと切り捨てる空に、

 

「と、言うと思ってたから。ほれ、いのとステフだ。後、水着一式もな。」

 

いつの間にかいのとステフを連れてきた佑馬。

 

水着はステフが空に頼まれて編んだらしい。

 

「・・・ッ!いきなり何するんですのよ!」

 

いきなり空間転移されたステフは、開口一番にそう言うが、

 

「あれ、これってもしかしたら誘拐とかなら出来るんじゃね?」

 

勝手にステフといのを連れてきた佑馬は、その事実から誘拐なら出来るかも、と考えていたため、届くことはなかった。

 

ちなみに、いのは苦しそうに頭を抱えて床で悶えている。

 

「よし、人数も水着もあることだし、海へ行きますか!」

 

そして一同は、海に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海についた一同。

 

佑馬はついた瞬間寝ることをきめたが、今は女性陣が素晴らしい水着姿を見せているので、それを見ている。

 

「目の保養になるなぁー。」

 

木陰で寝ながら言う佑馬に、

 

「佑馬、似合っていますか?」

 

ジブリールが横に転移してきて、そう訪ねた。

 

「うん、最高にいいけど・・・やばいね。」

 

確かに素晴らしい、素晴らしいのだが、これ以上はいろいろとやばかった。

 

特に、理性が。

 

だが、そんなことも露知らず、顔を覗き込んでくるジブリール。

 

その姿に顔を赤くしながら、

 

「ジブリール・・・これ以上はいろいろとヤバそうだし少しだけ休みたいから、向こうに行ってもらってもいいか?」

 

とりあえず、逃げることを選択した。

 

「わかりました。」

 

そして、その言葉に頷き、海へと向かうジブリール。

 

それを見ながら、中断していた睡眠をまた取り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佑馬が起きたのは、夕暮れのとき。

 

伸びをしてから海の方を見てみると、ステフを除いた全員が浜へ上がっていた。

 

空とプラムは何やら言い合いをしているらしく、巫女は白にモフられていた。

 

それを見ながら、一先ず立ち上がり、その集団へと向かう。

 

一応話は聞こえているので内容は掴めているのだが、簡単に言えば

 

舟早く来いよ

 

ということだった。

 

そして痺れを切らした空は一言。

 

「佑馬、どでかいの一発、ヤっちゃってくれるか?」

 

だが、その言葉にはあえてノーと答え、

 

「やるならジブリールだ。」

 

と、言った。

 

その言葉にジブリールは目を輝かしながら、

 

「本当によろしいのですか?」

 

と、うずうずしながら聞いてくるが、それを肯定で返すと、体をクネクネさせながら、

 

「えへ、えへへへぇー、何年ぶりでしょう。うぇへへー楽しみですございますー・・・。」

 

と、溢した瞬間に、ジブリールの周囲が歪んだ。

 

「ほれ、全員下がりゃ!」

 

その瞬間、巫女が冷静な、だが、鋭い声を放つ。

 

その一言で、その場にいた全獣人種が大きく後ろへ跳ぶ。

 

「・・・え?なんですの?」

 

と、巫女の声で意識を取り戻したかのような反応をするステフ。

 

だが、気づいたときには既に遅かった。

 

ステフがジブリールの方を見ると、手が光っていた。

 

つまりそれは、人類種ですら可視出来るほど莫大な量の精霊が集められていることを示しており、

 

「それでは、全力五%程度でまいります♥」

 

その言葉を置き去りにする速度で、腕が振り落とされ、

 

一瞬辺りが真っ白に包まれ、文字通りに海が割れていた。

 

「はぁ・・・♥力を出せるのはなんと素晴らしいことでしょう。いつか全力、百%を出す機会に恵まれることを祈るばかりでございます♥」

 

スッキリしたような顔でそう言うジブリールに、佑馬以外の全員は冷や汗を浮かべ、

 

「まぁ、近いうちにくると思うぞ?」

 

「本当でございますか!?」

 

佑馬は何事もなかったかのように、対応していた。

 

「ああ。それより、行くんだろ?オーシェンド。」

 

その佑馬の一言により、みんな我に返って、

 

「今度は俺が転移するよ、そこらへんにいる獣人種のお嬢さん方、しっかりとその木に捕まってなよ?」

 

巫女の従者であろう獣人種に声をかけてから、その場にある空気ごと転移をした。

 

瞬間、抜き取られた大気のゆり戻しで、爆発的な低気圧が発生し、

 

「「「きゃああぁぁぁぁ!!」」」

 

その場には悲鳴が響き渡っていた。




後1,2話で章が変わります。

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