仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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挑戦の時間

六月も中旬に入る。

イリーナの授業も大分板に入り、クラスの状況が安定してきた頃合いだ。

 

そんな折である。

 

「(狙ってる)」

 

「(狙ってるぞ)」

 

「(なんか狙ってるぞ)」

 

体育の時間、烏間を狙い、木陰に身を潜めるイリーナと壮年の男性、そして妙なコスプレの殺せんせーがいた。

 

壮年の男性はロヴロ・ブロフスキ。

殺し屋を斡旋する殺し屋屋であり、イリーナに暗殺技術を叩き込んだ師匠である。彼女をこのE組に送ったのも彼だ。

 

そんな彼は教師をしている彼女を見てこの任務を撤収させようとやって来たのだ。

しかし、それに待ったをかけたのが殺せんせー。

彼は烏間をターゲットにした模擬暗殺を提案、先にイリーナが烏間に攻撃を当てられた場合に彼女の存続を許すというものだった。

 

というわけで烏間の苦労は相も変わらずであった。

体育の授業後、

 

「カラスマ先生~。おつかれさまでしたぁ~。ノド乾いたでしょ。ハイ冷たい飲み物!」

 

「「「……………」」」

 

猫なで声で暗殺者が差し出す飲み物。

烏間やタケルで無くても何かが入ってると分かる。

 

「おおかた筋弛緩剤だな。……言っておくが、そもそも受けとる間合いまで近寄らせないぞ」

 

「………あ、ちょ、待って。じゃここに置くから………あっ」

 

ズベシャ

 

「「「(わざと転んだ……)」」」

 

「いったーい!! おぶってカラスマおんぶ~~~!!」

 

やっていられないとばかりに校舎に戻っていく烏間だった。

 

「………ビッチ先生…」

 

「流石にそれじゃ俺らだって騙せねーよ」

 

「仕方ないでしょ! 顔見知りに色仕掛けとかどうやったって不自然になるわ!!」

 

イリーナ曰く客が偶然父親だったキャバ嬢のようなものらしいが、生徒達にそんなこと分かりはしない。

イリーナには明らかな焦りがあった。

 

「…………!? エジソン!?」

 

「へ、きゃっ!?」

 

と、突然エジソンの眼魂がタケルから飛び出し、奥田の体内に入り込んだ。

 

「奥田さん!?」

 

「いや、今エジソン眼魂が入ったってことは……」

 

 

『Yes I am EGISON』

 

 

「「「やっぱりか!!」」」

 

奥田の服装が白衣を着て電球を持った科学者のような姿になった。

まさしくトーマス・エジソンである。

エジソン奥田はそのままイリーナに語りかけた。

 

『何か目標があるときに必要なのはchallenge。即ち努力。私の有名な言葉はご存知かな?』

 

「…………天才は1%の閃きと99%の努力で生まれる、ですか?」

 

磯貝の言葉にエジソンは頷いた。

 

『That,s right しかしそれは「1%の閃きの為に99%の努力が必要」ということ』

 

「え、そうだったんだ」

 

事実、エジソンに限らず偉人が残した言葉には異なる本当の意味が存在することが多い。

 

『私は発明の為に必要な閃きを得るためにあらゆる努力をした。そして様々な発明の成功を収めた。ミス、ビッチ。貴方は既に何度も挑戦している。それを思い出せば必ず目標は達成できる』

 

「は、はい………ていうか偉人まで私をビッチ先生と呼ぶの!?」

 

「……………御愁傷様です」

 

と、エジソン眼魂が奥田から離れタケルに帰ってきた。

 

「………私にエジソンが……」

 

「………チャレンジ、か」

 

◎◎◎◎◎

 

「…………………」

 

「? 神代。何やってんだ?」

 

「ん、ああ木村か」

 

四つの英雄眼魂を見つめるタケルに木村正義が声をかけた。

 

「いや……俺にムサシが憑依したりさっきもエジソンが愛美さんに憑依しただろ? 英雄眼魂ってもしかしたら会話できるんじゃないかって」

 

「確かにな………けど今までの二つは発生した本人に取りついただろ? ならロビンフットは千葉に、ビリー・ザ・キッドは速水なんじゃないか?」

 

「そうかもね…………あ、ところで暗殺勝負はどうなった?」

 

「あー。烏間先生の反撃でロヴロさんはリタイアだって」

 

熟練の殺し屋に打ち勝つとは、流石の腕前である。

 

「神代! 木村!」

 

「「?」」

 

「あれ見てみろよ!!」

 

杉野が示す先には木陰で食事をする烏間とそれに近づくイリーナがいた。

 

「………殺る気か? けど………正面から?」

 

「……………あっ!?」

 

飛び出したエジソン眼魂が奥田の肩にちょこんと乗ってイリーナの様子を見る。

 

「わっ、エジソンさん!?」

 

「なんか可愛い………」

 

と、イリーナが上着を脱いだ。

 

「なんだ。また色仕掛けかよ」

 

「………違う」

 

「え。違うって何が?」

 

「イリーナ先生は何か隠している」

 

教室から生徒達が見守る中、イリーナは言葉で誘惑しながら烏間が座る木の後ろに回る。

 

『…………………』

 

直後。

 

イリーナがワイヤーを引っ張り、それを仕込んでいた服で烏間の足を取り、転倒させた。

直ぐ様、烏間が立ち上がる前にイリーナが上に乗る。

 

「うおお!! 烏間先生の上を取った!!」

 

「やるじゃんビッチ先生!!」

 

イリーナは殺せんせーを殺すのに必要な技術を自分なりに考え、挑戦と克服をしていた。

事実、殺せんせーがロヴロに見せた彼女のバックにはその努力の証拠があった。

 

と、降り下ろしたナイフを受け止める烏間。

力勝負になってはイリーナに勝ち目はない。

 

「………カラスマ。殺りたいの。ダメ……?」

 

「……殺させろとすがりつく暗殺者がいるか! 諦めが悪い!」

 

しかし、そんな諦めの悪さが勝因になった。

呆れたように溜め息を吐いた烏間は手を離し、そのままイリーナにナイフを当てさせた。

 

「当たった!!」

 

「すげぇ!!」

 

「ビッチ先生残留決定だ!!」

 

と、再びエジソンが奥田に憑依した。

 

「! エジソンさん!!」

 

『挑戦の大事さが分かっていただけただろうか? 君達も大きな目的には失敗を恐れず、どんどん立ち向かい、挑戦していきなさい』

 

「「「はい!!」」」

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ(対話済)][02 エジソン(対話済)][03 ロビンフット][05 ビリー・ザ・キッド]

=四個




今回はエジソンとの会話でした。
英雄眼魂は自分を生んだ人物に憑依します。

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