仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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銃撃! 人工知能とガンマン!

五月末、修学旅行が終わり通常授業に入る。

 

『おはようございます。今日から転校してきた自律思考固定砲台と申します。よろしくお願いします』

 

「………はあ?」

 

朝のHRで烏間が詳しく説明した。

どうやらノルウェーで開発された最新式のAI搭載の機体らしい。

殺せんせーは生徒に危害を加えてはならないという契約を逆手にとって機械を生徒に仕立てたのだろう。

 

「(………烏間先生、色々とお疲れ様です)」

 

眉間に深い皺を寄せた烏間に思わず合掌するタケルであった。

 

しかし、その強さは折り紙つきだった。

 

一時間目、固定砲台は側面のパネルを開き、機関銃とショットガンを展開、殺せんせーに一斉射撃を開始した。

 

「(ていうかカッコいい!!)」

 

ゴーストも大概だが男はやはりこういったものが好きなのだ。

しかしその弾幕を殺せんせーは容易くかわす。

 

「授業中の発砲は禁止ですよ」

 

『気を付けます。続けて攻撃に移ります』

 

「(気を付けますの意味無い!!)」

 

と、固定砲台は先程と同じ射撃を行う。

余裕の表情で避ける殺せんせーだが………。

 

バチュッ!

 

殺せんせーがチョークで弾いた弾の死角になっていた二発目が殺せんせーの指を吹き飛ばした。

 

『右指先破壊。増設した副砲の効果を確認しました』

 

これが彼女の真価。学習し改良し進化する。

 

『次の射撃で殺せる確率、0.001%未満。次の次の射撃で殺せる確率、0.003%未満』

 

 

卒業までに殺せる確率、90%以上。

 

 

彼女なら、やれるかもしれない。

 

その後も怒濤の連続攻撃は続き、殺せんせーを追い詰めていった。

 

「確かにこれならいずれは………」

 

「ふん、そう上手くいくかしら。この教室がそんなに単純な暗殺場なら……私はここで先生なんてやってないわ」

 

一時間目が終わると、床はばらまかれた先生用弾まみれになっていた。

 

「……これ、俺らが片すのか」

 

「掃除機能とかついてねーのかよ。固定砲台さんよぉ」

 

『…………』

 

村松拓也が絡むが機械には意味がない。

その後も彼女による砲撃は続いた。

 

◎◎◎◎◎

 

「流石にあれはきついよね~」

 

翌日、倉橋が共に登校していたタケルに声をかけるが何かを考えている彼には聞こえていない。

 

「タケル!?」

 

「ん!? あ、ごめん何?」

 

「だからあの固定砲台のことだけど………何かあったの?」

 

「ああ。実は昨日また仙人が現れて………」

 

 

~ロビンフットに固定砲台……ガンナーに誘われて伝説のカウボーイが目覚めるぜ!!~

 

 

「伝説のカウボーイ……ってビリー・ザ・キッド!?」

 

「多分そういうことだと思う。問題は誰がビリー・ザ・キッドを生み出すのか………」

 

「多分凜香ちゃんじゃない?」

 

速水凜香。

千葉と同じく射撃に優れる生徒だが狙撃を得意とする彼と異なり、機動と連射に長けている。

 

「とりあえず凜香さんに危険が及ばないように気を付けよう………ん?」

 

と、教室に着くと寺坂が固定砲台にガムテープを巻いていた。

 

「寺りんどーしたの?」

 

「ん? おお、邪魔だからよ、いっそ縛ろうとな」

 

「………まあ、乱暴だけどこれで落ち着いて授業は出来るかな」

 

 

その日の放課後。

速水は一人、射撃訓練をしていた。

 

「はあ……はあ……」

 

「凜香さん」

 

「あ……神代? どうかした?」

 

「いや、凄い熱心だなって」

 

「………まあ、少しはね」

 

「ただ少しは休まないと」

 

持ってきた水を渡すと速水は礼を言って飲み始めた。

 

「………今から話すのは独り言だから」

 

「うん?」

 

「千葉はロビンフットを顕現させた。クラスには優れた射撃能力を持った転校生が来た」

 

紛れもなく固定砲台のことだろう。

 

「………少しは私もやらないと。だから、特訓する」

 

それが、決して素直ではない速水のタケルに対する協力の姿勢だった。

 

「…………そうか。その気持ちならビリー・ザ・キッドも答えてくれるかもね」

 

「ビリー・ザ・キッド?」

 

「次に現れる偉人だって。もしかしたら凜香さんが誕生させるかもしれないから」

 

「………そう」

 

『なるほど。いい情報を聞いた』

 

「「!!」」

 

いつの間にか右手がマシンガンになった眼魔が現れていた。

 

『貴様らを始末すれば一気に四つの眼魂が手に入る! さあ、死ね!!』

 

「やらせるか!! 凜香さん隠れてて!!」

 

直ぐ様ロビンフット眼魂を装填するタケル。

 

[アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!]

 

飛び出したロビンフットパーカーゴーストがマシンガン眼魔の弾丸を弾いて防ぐ。

 

「変身!」

 

[カイガン! ロビンフット! ハロー!アロー!森で会おう!]

 

「正義の矢を食らえ!!」

 

ガンガンセイバーアローモードを構えて射抜くロビンフットゴースト。

しかしマシンガン眼魔はその矢を次々と弾いた。

 

「くっ、なら更に強い矢をお見舞いしてやる!!」

 

『そんなのさせるわけないだろうが!!』

 

「ぐあああっ!!」

 

「神代!!」

 

ロビンフットゴーストが弓を構えて力を込めた時を見計らってマシンガン眼魔が連射する。

攻撃直前の無防備な状態で食らった為にダメージが大きく、思わず倒れこむ。

 

「くそ………!」

 

『やらせねぇって言ってんだろ!!』

 

「ぐううっ!!」

 

起き上がりながらも構えようとするが再び弾幕を食らって倒れこむ。

 

「神代! 神代!!」

 

「凜香……さん……逃げ……!」

 

『呆気ねえな……先にその女を始末してやる!!』

 

マシンガン眼魔の銃口が速水に向く。

 

「!!」

 

『死ね!!』

 

発射される弾幕。しかしそれは間一髪で庇ったゴーストによって阻まれた。

 

「ぐあああああああっ!!」

 

「か、神代!? なんで……」

 

「………凜香さんの努力を……消させやしない……!」

 

『死にたがりめ。そんなに死にたきゃ殺ってやるよ!!』

 

マシンガンに力を込める眼魔。

その射線はゴーストの頭部を狙っている。

 

「ッ、ダメッ!!」

 

パンッ!

 

咄嗟に速水は対先生弾を撃った。

それはマシンガンの銃身にヒット、暴発させることに成功した。

 

『どわっ! な、なにぃ!!』

 

「や、やった!!」

 

『おのれこの女ァ!!』

 

怒りのままに速水を狙う眼魔だが彼女から飛び出したパーカーゴーストがマシンガン眼魔に体当たりして護った。

 

「!? ビリー・ザ・キッド!?」

 

「ありがとう凜香さん。助かった!!」

 

ゴーストは速水の射撃の瞬間、彼女から発生した煙を見逃さなかった。

そして即座に印を描き、ビリー・ザ・キッドゴーストを誕生させたのだ。

 

「………神代! 使って! そして……あいつに勝って!!」

 

「任せろ!!」

 

ビリー・ザ・キッドの眼魂を手にしたゴーストが装填する。

狙撃に長けたロビンフットに代わり、連射に長けた姿へ。

 

[カイガン! ビリー・ザ・キッド! 百発百中ズキューンバキューン!]

 

ウエスタンハットに長袖、まさしくカウボーイとなったゴースト。

飛来した蝙蝠、バットクロックが変形した銃とガンガンセイバー銃モードを構えたその姿は西武のガンマン。

 

「蜂の巣にしてやるぜ!!」

 

二丁拳銃を乱射し、仕返しとばかりに何発も撃ち込むビリー・ザ・キッドゴースト。

 

『うぐおぁああぁあ!?』

 

「まだまだこんなもんじゃない!!」

 

地味にダメージと共に怒りが貯まっていたようだ。

あまりに激しい乱射にマシンガン眼魔が大きく後退する。

 

「フィニッシュ決めてやる!! 命燃やすぜ!!」

 

[ダイカイガン!!]

 

ガンガンセイバーとバットクロックを合体させたライフルモードを構える、と、時計が回りだし、蝙蝠のオーラが発生。

トリガーを引き、超威力の弾丸を発射!!

 

[オメガインパクト!!]

 

『ぐほあああああ!!!』

 

マシンガン眼魔を倒すことに成功した。

 

「はあ………はあ……今までで一番苦戦した……」

 

「お疲れ様。守ってくれてありがとう」

 

「お互い様だよ。………ビリー・ザ・キッドも、ありがとう」

 

◎◎◎◎◎

 

その後、殺せんせーから大事を貰ったタケルは一日休んだ。

そんな彼になんと固定砲台からのお見舞いのメールが届いた。

どうやら殺せんせーが大幅な改良を施したらしく、協調性を身に付けさせたらしい。

また、片岡メグ達に"律"という名前も貰ったそうだ。

 

前原から送られてきたメールでの彼女に心底(眼魔を見つけたとき以上に)驚いたのは余談である。

 

さらに翌日、眼魔襲撃から二日後、タケルが投稿すると律は元に戻っていた。

 

「今後は改良行為も危害と見なすと言ってきた。君らも縛って壊れでもしたら賠償を請求するそうだ」

 

それを聞いたタケルはやや腹を立てた。

律の開発者は暗殺教室を実験場、戦争を掌握し利益をもたらすことを目的としている。

そんなことに律を使うことが許せなかった。

しかし彼がなんと言おうと変わらない。

 

一時間目。またもあの射撃が来るのかと皆はノートなどで防御を取った。

 

が、

 

律が出したのは花束だった。

 

『殺せんせーは私のボディに計985点の改良を施しました。その殆どは開発者が「暗殺に不要」と判断し、削除、撤去、初期化してしまいましたが。私個人は「協調能力」が暗殺に不可欠な要素と判断し、消される前に関連ソフトをメモリの隅に隠しました』

 

「…………素晴らしい。つまり律さん。あなたは」

 

『はい』

 

 

「私の意志でマスターに逆らいました」

 

 

「こういった行動を反抗期と言うのですよね。律は悪い子でしょうか?」

 

「とんでもない。中学三年生らしくて大いに結構です」

 

顔に丸を浮かべる殺せんせーは非常に嬉しそうだった。

 

「それから、神代さん」

 

「ん、俺?」

 

「私も眼魂捜索、協力しますね。貴方が復活できるように」

 

「………ああ、よろしく」

 

 

こうして、E組の仲間が一人増え、タケルは新たな英雄眼魂を手にしたのだった。

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ(対話済)][02 エジソン][03 ロビンフット][05 ビリー・ザ・キッド]

=四個

 

残り、十一個/十ヶ月




速水凜香とビリー・ザ・キッドの共通点はガンナー。
千葉がライフル。彼女がピストルをよく使うことからロビンフットとビリー・ザ・キッドで差別化しました。

原作ゴーストではニュートンやベートーベンよりも後でしたが此方ではかなり早い登場
暗殺教室のシナリオに合わせてるので偉人の登場も番号順とは限りません

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