仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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射手の時間

椚ヶ丘中学の三年生は中間テストが終わればすぐに修学旅行がある。

 

行き先は京都。E組も班決めの真っ最中だった。

 

「タケル~。うちの班に来る?」

 

「陽菜乃。うん。まだフリーだからいいよ」

 

イリーナの一件以来、仲良くなったタケルと倉橋。

現在ではお互いに名前を呼び捨てにするくらいに親しくなっている。

 

「メンバーは?」

 

「磯貝君と、前原君と、木村ちゃんと、メグちゃんと、ひなたちゃんと、桃花ちゃんと私」

 

「分かった。じゃあ早速ルート決めようか」

 

E組では修学旅行先でも暗殺がある。

京都という複雑に入り組んだ町は狙撃の絶好の場所であり、既に狙撃のプロが手配されている。

 

「タケル誘ったよ~!」

 

「お、よろしくなタケル」

 

「こちらこそ。さて、どうしようか………」

 

「私は保津川下りとトロッコ列車がいいと思うな」

 

「確かに、あそこは見通しもいいしな」

 

「後は清水寺とかも高低差があって狙いやすいと思うよ」

 

…………普通の修学旅行の行き先の決め方ではないが暗殺教室ではこれが普通だ。

 

「普通に見所が多いから決めるのも楽しいよな」

 

「京都と行ったら歴史もあるし、関係する英雄眼魂も見つかるかもね」

 

「そうかもね~~」

 

……………………………

聞きなれないはっちゃけた老人の声。

 

「「「誰!?」」」

 

「あ、おっちゃん」

 

「はーい。仙人の仙ちゃんだよ~」

 

相変わらず妙なテンションの仙人である。

 

「仙人ってことは……」

 

「タケル君を蘇らせた人!?」

 

「そうだよ~。いやー修学旅行!! ワシも若い頃は行ったんだよ」

 

そもそも仙人に若い頃があったのか。

この仙人も殺せんせー並みに謎な存在である。

 

「で、おっちゃんが出てきたってことは次の偉人が分かったの?」

 

「その通り!! 今回の偉人は京都にちなんで………」

 

ゴクリと固唾を飲んで仙人が予言する英雄を待つ。

 

「…………弓の名手!! ロビンフットだ!!」

 

「「「「京都関係ねぇ!!?」」」」

 

「「「「しかも日本ですらない!!!」」」」

 

◎◎◎◎◎

 

そして修学旅行当日。

駅中スイーツを買っていた殺せんせーが乗り遅れるなどのトラブルがあったが無事に東京を出立出来た。

 

「なんやかんや言っても楽しみだな。京都」

 

「タケルは行ったことあるのか?」

 

「幼い頃一度父さんとね。父さんは何かを調べるために行ってたみたいだけど」

 

「タケル君のお父さんって何してる人なの?」

 

「分からない。今は旅をしているみたいだけど……」

 

「はいあがり」

 

「あっ!? 木村、お前人がシリアスっぽい話をしている時に!!」

 

「お、俺も上がりだ」

 

「ああっ!? 前原まで!?」

 

どうやらタケルはゲームには弱いらしい。

 

そんな会話をしながら新幹線で約二時間。

古都京都に到着した。

なお殺せんせーは新幹線とバスで酔い、グロッキー状態になっていた。

しかも枕を忘れて一度東京に戻るらしい。

 

二日目の九時半、早速タケル達一班と殺せんせーは暗殺予定場所であるトロッコ列車に乗っていた。

 

「おおー。窓が無いから凄い迫力!!」

 

「これだけ開放的なら酔いませんし、しかし時速25kmとは速いですねぇ」

 

「マッハ20がなに言ってんだ」

 

呆れた様子の前原と磯貝である。

 

「ところでタケル君。旅行の最中よくロビンフットの本を読んでいたようですが」

 

「はい。どうもこの修学旅行の最中でロビンフットの眼魂が見つかるらしく」

 

「けどうちのクラスにはロビンフットに憧れている人って………」

 

「千葉だな………。けどアイツは2班だからな……」

 

しかし悩んでいる暇はない。

暗殺結構場所の鉄橋に到着したのだ。

 

「あ、見て見て殺せんせー!! 川下りしてる!!」

 

「どれどれ、おお!!」

 

依頼を受けたスナイパー、レッドアイは既に待機している。

倉橋が誘導して窓から身を乗り出した殺せんせーの頭部目掛けて撃ち抜く。

 

結果は………。

 

 

八ツ橋でライフル弾を止められた。

 

「おっと。八ツ橋に小骨が、危ないこともあるもんですねぇ」

 

さっと視線を逸らす一班メンバー。

流石にこれは予想外過ぎた。

 

「……………!」

 

と、タケルは一瞬、視界に入ったレッドアイから黒い気が涌き出てるのが見えたような気がした。

 

「(………気のせいか?)」

 

◎◎◎◎◎

 

「あーあー。失敗かー」

 

「まあそう簡単には殺れないよね………」

 

「まあここからは普通に散策しようか」

 

磯貝の言葉に反対をする声も上がらず、そのまま京都の町を見て回ることになった。

金閣寺や清水寺、銀閣寺などの有名どころを見て回る一行。

なお前原曰く、タケルが一番話しかけた班員は倉橋だという。

 

最後の伏見稲荷大社に着いたとき、丁度同じ場所に来ていた2班とたまたま合流した。

 

「お、そっちの暗殺はどうだった?」

 

「失敗だよ。そっちは」

 

「こっちも。て言うか全部失敗したってさ」

 

実際は渚達の四班がトラブルに遭っていたらしく、中断になったらしい。

 

「まあ仕方ないか。とりあえずここ行こうぜ」

 

伏見稲荷大社の観光を開始する一行。

道中、2班の千葉龍之介がタケルに声をかけてきた。

 

「なあタケル。お前らの方ってスナイパーは狙撃していたのか?」

 

「ああ。殺せんせーは防いだけど狙い自体は完璧だったよ」

 

「そうか………やっぱりスナイパーって凄いんだな」

 

千葉はE組では狙撃能力が一段と優れている。

故にプロのスナイパーの腕前が気になるのだろう。

 

「…………ん?」

 

そんな千葉から一瞬緑色の煙が上がる。

しかしそれを訪ねる前に前方の不破が声をかけた。

 

「二人とも~。早くいこー!!」

 

「ああ!! 今いく!!」

 

と、その時、

 

「!! 危ない!!」

 

咄嗟に何かに気づいたタケルが不破を押し飛ばして庇う。

 

「きゃっ!?」

 

バキュン!!

 

「!! 銃声!?」

 

「何処だ……? 不破は皆に知らせて殺せんせーに連絡を!!」

 

急いで周囲を見渡すと遠くにスナイパー、レッドアイがいた。

しかし目は正気を失っている。

 

「暗殺者のスナイパーの人か!?」

 

「! あの人、眼魔に操られている!!」

 

「何だって!?」

 

よく見ると確かにレッドアイの背後にライフルを持った眼魔がいた。

 

「アイツが人を操っているのか!?」

 

「させるか!! 変身!」

 

[カイガン! エジソン! エレキ閃き発明王!]

 

エジソンゴーストに変身したタケルがガンガンセイバーの銃モードを構える。

が、それを撃とうとするとライフル眼魔は持っている銃をレッドアイに向ける。

 

「くっ、これじゃ迂闊に手を出せない………」

 

『ゴースト。下手な真似をすればこいつの命は無い。大人しく眼魂を渡せ』

 

「くそ…………」

 

「駄目だタケル!! 奴の好きにさせたらいけない!!」

 

「だけどこのままだと…………」

 

「俺が何とかする!!」

 

そう言った千葉がバックから対先生用のライフルを取り出した。

 

『馬鹿め、そんなものでは俺は傷一つ付かないぞ』

 

「それはどうかな……!」

 

千葉がライフルを構え、狙いを定める。

 

「(奴の言う通り、対先生弾は威力不足で他の生物には殆ど効果がない!! どうするつもりだ……千葉!)」

 

「…………………そこだ!!」

 

千葉がトリガーを引く。発射された対先生弾は目標に向かって一直線に飛び…………、

 

ライフル眼魔の目に直撃した。

 

『ぐおおおっ!!? 目が、目がぁ!!』

 

「タケル!! 今のうちだ!!」

 

「ああ!!」

 

ゴーストのエネルギーを込めた特殊な弾丸をレッドアイに向けて放つ。

埋め込まれていた眼魔眼魂が破壊され、洗脳から解放されたレッドアイを直ぐ様エジソンゴーストが助け出した。

 

「千葉………凄いな!!」

 

「この程度じゃまだ殺せんせーは撃てないけどな」

 

『ぐ、き、貴様ら!!』

 

激昂したライフル眼魔は千葉に向かって発砲。

しかし間に入ったエジソンゴーストの電撃で弾丸は防がれた。

 

「! 千葉!! お前……」

 

と、再び千葉から緑色の煙が上がる。

スナイパーとして覚醒した彼にかの英雄が答えたのだ。

 

「………分かっている。タケル!! 俺の憧れてるロビンフットの力をお前に!!」

 

「ああ。ありがたく使わせてもらう!!」

 

紋様を描くと煙が収束、緑色のパーカーゴースト、ロビンフット魂が誕生した。

 

『新たな英雄眼魂か!?』

 

「来い!! ロビンフット!!」

 

ロビンフット魂が変化した眼魂をしっかりと掴むゴースト。

エジソンを解除し、新たに装填。

 

[カイガン! ロビンフット! ハロー!アロー!森で会おう!]

 

何処からか飛来したタケルの黒電話が変形したコンドルデンワーとガンガンセイバーが合体。アローモードになる。

弓を模した顔や森のような造形、まさしくロビンフットである。

 

「狙った的は外さない!」

 

『新しい力がなんだと言うのだ!! 消えろ!』

 

銃を構えるライフル眼魔だがそれより早くロビンゴーストが弓を引き、矢を放って相手の銃を破壊した。

 

『馬鹿な!!』

 

「タケル!! お前の狙撃も凄いな!」

 

「俺よりもロビンフットのお陰だよ。さて………命燃やすぜ!!」

 

[ダイカイガン!!]

 

ガンガンセイバーを構え、弦を限界まで引き絞る。

 

『ま、待ってくれ………』

 

[オメガストライク!!]

 

『ぐおあああああ!!?』

 

高速で放たれた矢はライフル眼魔を体を容易く貫く。

そしてライフル眼魔は爆発四散した。

 

◎◎◎◎◎

 

「二人とも!! 大丈夫だったか!?」

 

と、爆発を聞いて磯貝達が戻ってきた。

 

「ああ。千葉のお陰で助かった。スナイパーさんも無事だよ」

 

「いやいや、眼魔を倒したのはタケルだろ?」

 

と、岡野ひなたがタケルが持つロビンフット眼魂に気づいた。

 

「あ!! それ新しいロビンフットの眼魂!?」

 

「じゃあこれで三つめか!! 五分の一は達成だな!!」

 

「ああ………あ、でももうお参りする時間は無いな………」

 

少し落ち込むタケルを倉橋が励ました。

 

「大丈夫だよ。私が代わりにお願いしたから!」

 

「えっ、なんて?」

 

「タケルがちゃんと甦れますようにって!」

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ(対話済)][02 エジソン][03 ロビンフット]

=三個




いずれ番外編を書いてその時に修学旅行の書けなかった場面を書きたいです。
(旅館での出来事やレッドアイに眼魔が取りついた経緯など)

千葉龍之介とロビンフットはスナイパー繋がり

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