仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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愛情! 本当の恋心の形!

2月14日。バレンタインデーである。

完全消滅の期日が迫っているタケルだが恋人持ちの彼からすればこの日だけはどうしても外したくないのだ。

割とウキウキしている彼が早速登校すると。

 

「………ナニコレ」

 

何故か前原が怒っている岡野にチョコを渡している様子だった。

 

「あ、タケル君」

 

「桃花さん説明を頼む」

 

「女タラシクソ野郎自爆」

 

「つまり前原が悪いと……」

 

「あ、はいタケル君の分」

 

「お、ありがと」

 

詳しい話を聞くと、先日、一日先にバレンタインデーチョコを渡そうとした岡野を前原が失態で怒らせたのが事態のきっかけ。

今日改めて前原が岡野からチョコを貰えなければ彼の内申評価がチャラ男にされるとか。

 

「………よりにもよってひなたさんはそういうのを嫌うからなあ………あなたのせいですよ殺せんせー」

 

「やめてタケル君そんな冷たい目で見ないで!!」

 

とはいえ岡野の前原への思いは周知の事実なのでこの拗れた関係のまま卒業する二人は見たくない。

 

「ねぇ岡野さん少し話を聞いてあげ危ないッ!?」

 

仲介に入った渚に椅子を投げつける程に荒れている岡野。

流石は荒くれ者コロンブスの眼魂を生み出しただけはある。

 

なお、椅子は渚が咄嗟に召喚したガンガンハンド鎌モードで斬った為真っ二つになってしまった。

 

「ふん!」

 

さっさと教室から出ていく岡野に肩を落とす前原。

そんな彼にゴエモン眼魂が話しかけた。

 

『よよぃ! ぁだらしねぇなぁ前原よぉ!』

 

「ゴエモン……」

 

『まあおめぇはやっちゃあいけねぇことをやらかしちまったからなぁ!!』

 

「なんだって……?」

 

『おめぇは大切なもんを盗んでおきながらぁ、そぉいつを、ぁ捨てやがったあ。あの子のぉ~、ぁ心よぉ!』

 

「それ俺が一昨日見てたカリ〇ストロだろ!?」

 

盗賊の癖に何処かの刑事のような言葉を放つゴエモン眼魂。

 

「………アルティメットルパン」

 

「出たよタケルの発作」

 

 

 

その後も休み時間になる度に試行錯誤して岡野からチョコを貰おうとする前原の姿があった。

 

殺せんせーが言うには、優れた殺し屋は万に通ずる。それは異性の扱いとて例外ではない。

女の子の心ひとつ掴めないようでは暗殺教室の卒業資格は得られない。

 

そして昼休み。

窓の外からタケルは二人の様子を伺っている。

 

「………………………あ、蹴られた」

 

「何やってんだよ前原……」

 

とはいえ、岡野が普段上履きに仕込んでいるナイフがチョコにすり替えられている。

若干反則っぽいがこれでちゃんと前原は岡野から改めてチョコを貰うことに成功したのだった。

 

………最終的に膝蹴りを食らっていたが、結果オーライと言った所だろう。

 

 

では、当の問題のタケルと倉橋の様子も見てみよう。

 

 

放課後。

タケルの下駄箱には倉橋からの手紙が入っていた。

 

[私を見つけてね。見つかったらご褒美あげるよ~]

 

とのこと。

 

「陽菜乃らしい………」

 

恐らくはこの山の何処かに隠れているのだろう。

そう判断したタケルは校舎付近から探すことにした。

 

「まあ流石に此処には居ないだろうな………。フリーランニングとか使われてたらやっかいだぞ」

 

そんな事を考えているとどこからかドンッ! ドンッ!という何かがぶつかり合う音が聞こえてきた。

 

「!? なんだ?」

 

まさか眼魔かとその音が聞こえる場所に走り出すタケル。

と、そんなタケルにサンゾウ眼魂立ちはだかった。

 

「………サンゾウさん?」

 

『此方です』

 

サンゾウ眼魂に導かれる形で森の中に入っていく。

と、見えたのは何故か木にタックルをかましている杉野だった。

その近くにはにこやかに微笑む神崎がいた。

 

「………ああ、有希子さんにチョコを貰った杉野が狂喜乱舞しているだけか………」

 

神崎は平然としているので恐らくは義理だろう。

が、彼女は他の人に渡すようなことはしていないらしいのでやはり嬉しいだろう。

 

「………まあ、眼魔の問題ではないし、いいか」

 

その場を後にし、倉橋探しを再開するタケル。

その途中で今度は千葉と速水を発見した。

 

「………粒チョコを弾丸にして撃つってどういう」

 

『あの二人らしいと言えばらしいがな』

 

更に寺坂組には狭間が意外にも手作りのチョコを渡していた。

もっとも、添えられている手紙を見た寺坂の反応をみる辺り、込められているのは想いではなく呪いのような気がするが。

 

「………あれでいいんですかねベンケイさん」

 

『拙僧の関知するところではない』

 

「貴方の主の恋は中々悲恋でしたけどね……」

 

源義経と静御前である。

それを聞いて苦い顔をするベンケイが見えた気がした。

 

「………ん? あれは……磯貝とメグさん?」

 

彼女が茂みから取り出して磯貝に渡したのは大量の様々なチョコ菓子が入った業務用セットだった。

 

「そういや、磯貝には弟と妹が居たな。…………流石だな」

 

手作りという手もあるだろうが、相手の家庭の事情の事を考えて何を渡すかを決める。

心から相手を思うが故に出来た行いである。

 

「………バレンタインと一口に言っても皆それぞれだなぁ」

 

互いが互いに"愛情"がある。

そんな皆の温かい気持ちを感じたタケルから白い光が溢れる。

 

「…………その思いの邪魔はさせない」

 

宙に浮かぶガンマイザーの紋様を睨み付け、タケルはそのまま走っていった。

 

◎◎◎◎◎

 

『標的を確認』

 

現れたガンマイザーは灰色のプレートが変化したオシレーション。

すぐさまタケルはムゲン眼魂を召喚してセットした。

 

「…………変身!!」

 

[チョーカイガン! ムゲン! keep in going! ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴッド・ゴースト!]

 

「目的を問い質す気はない。此処から出ていってもらう!!」

 

『排除開始』

 

ぶつかり合うムゲンゴーストとエレクトリック。

エレクトリックは常に帯電しているが、ムゲンゴーストのパーカーがそれを拡散させる。

 

「はあっ!!」

 

一本背負いの要領で投げ飛ばすが、あまり効いていない模様。

だが、距離をとったことでタケルはガンガンセイバーのガンモードを召喚できた。

 

[イサマシュート!]

 

強烈な一発、だがエレクトリックは放電を行って迎撃した。

 

「電気バリアか………」

 

射撃系の技は無効。そう察したタケルはハンマーモードに変形させた。

 

「叩き潰す!」

 

『標的の強化を確認』

 

エレクトリックが電撃弾を放つが、ムゲン魂はそれをハンマーで弾き飛ばす。

 

「でぇりゃああああああ!!」

 

そのまま接近したムゲンゴーストは勢いを着けたハンマーで殴り飛ばす。

更に柄のナギナタ部分で切り裂く。元々ハンマーモードはナギナタモードにクモランタンが合体した形態なのでこういうことも可能なのだ。

 

『危険性の上昇を確認』

 

と、エレクトリックは電気バリアを常時展開状態に。

その状態のまま放たれる電撃を∞のエネルギーで相殺した。

 

「決めさせてもらう……人を想う心は、どんな障壁でも打ち砕く!」

 

[命! ダイカイガン!]

 

ハンマーにホワイトのエネルギーが収束していく。

そのエネルギーは鎚の周囲に留まりきれずに溢れ始めた。

 

「人間の可能性は……無限大だ!!」

 

[ラブボンバー!]

 

ホワイトの巨大化したハンマーは電気バリアに降り下ろされる。

 

[記録に無い力を確認、解析]

 

「おらあああああああああああああああああ!!」

 

凄まじく強いハンマーによる攻撃はバリアに亀裂を走らせる。

そしてガラスが砕け散るような音が響き渡り、そのままエレクトリックを脳天から叩き潰した。

そのまま黄色いプレートごと砕き割り、撃破することに成功した。

 

「………喜びも怒りも楽しさも勇気も信念も愛情もないお前達に負ける事はないんだよ」

 

そういうとタケルは再び駆け出す。

今度は、自分の愛情を確かめる為に。

 

◎◎◎◎◎

 

「…………やっぱりここだったか」

 

倉橋がこの山で一番思い入れがある場所。そう考えたタケルが向かったのは彼女がアルビノの白目ミヤマクワガタを見つけた木の根本だった。

 

時期としてはニュートン騒動の時。その際に彼女に見せて貰ったのだ。

倉橋の念願の生き物だったらしく、そこが印象に残っているであろう可能性は十分にあった。

 

「あは、見つかっちゃった」

 

「全く、探したよ。途中でガンマイザーも出たし」

 

「え、大丈夫!?」

 

「ああ、ちゃんと倒したよ。それで、勝負に勝ったわけだが何をくれるんだ?」

 

「じゃあ………はい」

 

倉橋がタケルに渡したのは20cm程の正方形の箱である。

 

「デカくね?」

 

「開けてみていいよ」

 

そう促されてタケルが開けてみると、中に入っていたのはゴーストやゼロゴースト、眼魂やユルセンなどの形をしたキャラチョコだった。

 

「………すごっ」

 

「えへへ、気合い入れちゃった」

 

試しに一つ食べてみると、

 

「…………美味い!」

 

「本当!?」

 

「ああ、今までの中で一番美味い!」

 

元々、幽霊のタケルは生存に必要な食事を取る必要はなく、嗜好に過ぎない。

故に味覚も生きている人間よりか鈍い。

 

それでも、そんなタケルでも、その味を噛み締めていた。

 

それは、直接の味もあるだろうが、倉橋が込めてくれた愛情をタケルの魂が直に受け止めているからだろう。

 

「………ありがとう。陽菜乃」

 

「うん。喜んでくれてうれしいよ~♪」

 

太陽のように笑う倉橋を見て、改めて自分に向けられている想いを噛み締めるタケルなのだった。

 

 

 

神代タケルの得た感情

[喜][怒][?][楽][勇][信][愛]




ラブボンバー出すならここしかないでしょう

ということてバレンタイン
倉橋さんはどうやってあのチョコを作ったのか

次回からいよいよ最終章
全ての因縁に決着を!!

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