仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

6 / 61
試験! 振るう第二の刃!

四月が終わり、五月になる。

この学校でも、そして暗殺教室でも、一学期の中間テストが迫ってきていた。

そして教室には分身した殺せんせーが。

 

「さて、始めましょうか」

 

「「「………何を?」」」

 

「学校の中間テストが迫ってきました」

 

「そんなわけでこの時間は」

 

「高速強化テスト勉強を行います」

 

「先生の分身が一人ずつマンツーマンで」

 

「それぞれの苦手科目を徹底して復習します」

 

ちなみに苦手科目が複数ある寺坂は特別コース(NARUTO)である。

 

「さてタケル君。君は社会は得意でしたね」

 

「はい。こうなる前から英雄や偉人には憧れていましたから」

 

「ヌフフフ。他の強化も中々高い。若干数学が苦手なようなのでそこを優先して全体を向上させていきましょう」

 

「はい……ってうわっ!?」

 

突然殺せんせーの顔面が大きく歪む。

 

「急に暗殺しないで下さいカルマ君!! それ避けると残像が全部乱れるんです!!」

 

「意外と繊細なんだこの分身!!」

 

どちらにせよ、こんな高速生物。殺し屋にはやっかいなターゲットで、テストを控えた生徒には心強い先生である。

 

◎◎◎◎◎

 

翌日。

 

「さらに頑張って増えてみました。さあ授業開始です」

 

「「「(増えすぎだろ!!!)」」」

 

一人につき四人の殺せんせーの分身が授業をしている。

残像がかなり雑になり、最早別のキャラクターに変貌してしまっている。

 

「何があったんだ………」

 

「なんかこの学校の理事長に挑発されたみたいで………」

 

「なるほど………」

 

授業後、殺せんせーはぐったりとしていた。

 

「なんでここまで一所懸命先生をすんのかね~~」

 

「ヌルフフフ………全ては君達のテストの点を上げるためです。そうすれば先生は尊敬されて殺される危険もなくなり、評判を聞いて近所の巨乳女子大生も来て………」

 

「国家機密なんだから女子大生は評判なんか聞かないだろ………」

 

タケルの現実的な発言に殺せんせーは相当ショックを受けた。

 

「………いや、勉強の方はそれなりでいいよな」

 

「………うん。なんたって暗殺すれば賞金百億だし」

「百億あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だしさ」

 

「にゅやッ。そ、そういう考えをしてきますか!!」

 

焦る殺せんせーだが生徒達の表情は諦めがあった。

 

「俺達エンドのE組だぜ殺せんせー」

 

「テストなんかよりも暗殺の方がよほど身近なチャンスなんだよ」

 

「…………………」

 

そんな彼らの様子をタケルは黙ってみていた。

 

その時。

 

「ッ!? うおっ!?」

 

タケルの服から飛び出したムサシゴースト眼魂がタケルの体内に入り込んだ。

 

「タケル君!?」

 

『貴様ら。全くなっておらんぞ!!!』

 

「「「!!?」」」

 

勢いよく立ち上がったタケルは教卓の前まで歩いていく。

しかし彼の風貌は大きく変わっていた。

何時もの制服の上から羽織を来ており、鉢巻きに腰に刀を差している。

 

「た、タケル君……?」

 

『否! 拙者は宮本武蔵なり!』

 

「「「え、ええええええ!?」」」

 

クラスに響く驚きの声、殺せんせーすらも驚いている。

 

「も、もしかしてムサシ眼魂がタケルの中に入ったから………?」

 

『如何にも!! しかしそのような些細な事は今は関係無い!!』

 

教卓の上に胡座で座ったタケルに憑依した宮本武蔵は全員をキリッと見つめる。

 

『お主らには二本目の刃が無い!! 決闘では二本目の刃の存在が戦いの勝敗を決めると言っても過言ではない。それは暗殺でも勉強でも変わらぬ事実』

 

「武蔵さんの言う通り。自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる。対して君達はどうでしょう」

 

『お主らは暗殺という一本の付け焼き刃しか持っとらん。その刃が折られた時にお主らにはこの学舎の劣等感しか残らぬ』

 

「そんな危うい君達に先生からの警告です」

 

 

第二の刃を持たざる者は、暗殺者を名乗る資格なし!!

 

 

いつの間にか校庭に出た殺せんせーは高速回転で竜巻を起こしグラウンドを手入れした。

 

「もしも君達が自信を持てる第二の刃を示せなければ、相手に値する暗殺者はこの教室にはいないと見なし、校舎ごと平らにして先生は去ります」

 

「………第二の刃……いつまでに?」

 

「決まっています。明日です」

 

そういうと殺せんせーは額に50の数字を浮かばせて告げた。

 

「明日の中間テスト。クラス全員50位以内を取りなさい」

 

「「「!!?」」」

 

『案ずる事はない。拙者はこの一月の間、お主らを見定めていた。既にお主らは第二の刃を持っておる。後はその刀を抜くのみ』

 

「自信をもってその刃を振るってきなさい。仕事を成功させ、恥じることなく笑顔で胸を張るのです。自分達が暗殺者であり、E組であることに」

 

と、タケルの体内からムサシ眼魂が飛び出して彼は元に戻った。

 

「……………武蔵さん………ありがとう」

 

◎◎◎◎◎

 

翌日、殺せんせーのそれまでの教えによって多くの生徒達がテスト問題の攻略に成功した。

しかし、その勢いは中盤で途切れる。

 

多くの生徒は後半に差し掛かった所で見えない問題に殴り殺された。

 

二名を除き。

 

 

テスト返却日、烏間は本校舎に抗議の電話をかけていた。

中間テストの二日前、学園の浅野學峯理事長が自らの主義を成すために自ら教鞭を取って授業を行い、出題範囲を全教科で大幅に変えてしまったのだ。

故にE組の生徒は目標である50位以内に入れなかったのだ。

 

「………先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見すぎていたようです。……君達に顔向けできません」

 

悲嘆に暮れる殺せんせーと生徒達。

 

その時、ナイフと銃弾が先生を狙った。

 

「にゅやッ!!」

 

「いいの~~? 顔向けできなかったら俺らが殺しに来んのも見えないよ」

 

カルマとタケルである。

 

「お二人とも!! 先生は今落ち込んで……」

 

そんな殺せんせーに目もくれず答案を渡す二人。

 

 

赤羽業 合計点数494点 186人中 4位

 

神代タケル 合計点数474点 186人中 10位

 

 

「俺、問題変わっても関係無いし」

 

「俺は昨晩更に勉強しました。武蔵さんが伝えたかったことに応えたかったので」

 

「けど、俺はE組を出る気無いよ。暗殺の方が全然楽しいし、タケル君との約束もまだ出来てないからね」

 

「カルマ………」

 

タケルに向かってニッと笑うカルマ。軽薄に見える彼だが友のタケルと交わした約束は最後まで守ることに決めたらしい。

 

「で、どーすんのそっちは。全員50位に入んなかったって言い訳つけてここからシッポ巻いて逃げちゃうの? それって結局さぁ。殺されんのが怖いだけなんじゃないの?」

 

「大丈夫ですよ殺せんせー。死ぬときは一瞬ですから怖がらなくても」

 

カルマの挑発とタケルの諭しに思わず青筋立てる殺せんせー。

それに触発されてクラスの皆にも波紋する。

 

「なーんだ殺せんせー怖かったのかぁ」

 

「それなら正直に言えば良かったのに」

 

「ねー。怖いから逃げたいって」

 

「………にゅやーーッ!! 逃げるわけありません!! 期末テストであいつらに倍返しでリベンジです!!」

 

「はは………んっ!?」

 

と、再びムサシ眼魂がタケルに憑依した。

 

「武蔵さん!?」

 

『お主らは今回は相手の策に破れた。だが振るった刀は決して無駄にはならん。その経験を活かし、次の戦に全力で望むが良い』

 

「「「はい!!」」」

 

中間テストで大きな壁にぶち当たったE組。

しかしそれでも彼らは心の中で胸を張った。自分がこのE組であることに。

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ(対話済)][02 エジソン]

=二つ




原作仮面ライダーゴーストとは異なり、早い段階から偉人との交流があります。
タケル個人だけでなくE組全体と、でしたが。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。