仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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宇宙の時間

普通に考えて、各国首脳は本当に殺せんせーを殺す事しか考えてないのだろうか。

竹林は否だと考えていた。

 

「だって本来の目標は地球を救うことなんだから。殺せんせーを爆発しないように出来るなら殺す以外の方法も立派な選択肢になるはずだ」

 

殺す研究と平行で必ず少しは助ける研究も進めている筈と予測する。

それを探ろうと考えるが、烏間は不可能と判断した。

曰く、殺せんせーを作った研究組織は、月の爆発の責任を問われ、先進各国に研究のデータと主導権を譲り渡している。

 

「今では各国トップの科学機関が研究を分担し、国際プロジェクトチームを形成している。当然プロジェクトの情報は全て最高機密。内容を君らが知るのは至難だろう」

 

の、筈だが………。

 

「プロジェクトのデータベースに侵入しました」

 

「何ィ!?」

 

一年、機能拡張を続けた律は最早オンラインで繋がっているCPUなら大体侵入可能になった。

 

「ただ……具体的内容は機密保護が厳重すぎてわかりません。研究の核心に関わる情報はほぼ全てオフライン。最重要情報のやり取りに至っては……専用回線すら使われた形跡がありません」

 

つまり核心情報は人が手渡しで渡し合っている。

原始的だが最も情報が盗まれにくいのだ。

肝心の殺せんせーを救う研究だが、それらしいのはアメリカ班が行っている研究のただ一つ。

 

[触手細胞の廊下分裂に伴う反物質の破滅的連鎖発生の抑止に関する検証実験]

 

その最終結果サンプルは1月25日、ISSより帰還予定。

 

「ISSって………」

 

「こ、国際宇宙ステーション!?」

 

実際無重力や真空という環境や、リスクを考えても宇宙空間効率がよいのだ

 

「………おそらく、結論がどちらにせよ、現場の君らにすぐに伝わる可能性は低い。機密の多い最先端技術を含むデータだし、すぐには渡さず外交の材料に使うかもしれん」

 

国というものを考えれば充分に有り得ることだし、仮に日本にその情報が渡ったとしても、上から見ては一端の暗殺者である生徒達には情報は最後まで来ない。

 

「………烏間先生。結果はどうあれ俺らは暗殺やめないよ。けど半端な気持ちで殺りたくない」

 

と、烏間に言ったのはカルマ。

渚と信念をぶつけ合った彼はもう焦りや苛立ちは無く、しっかりとした意志が籠っている。

 

「救う方法がもしあればまず救うし、無いなら無いで皆も腹を決められる。……でしょ渚?」

 

「………うん。クラスの大事な目標だもんね」

 

「だから今、はっきりと知りたいんだ。卒業まで堂々と暗殺を続けるために」

 

彼らの思いも無下には出来ないので、悩む烏間。

と、何故か土星になった殺せんせーが少し席を外すように促した。

 

「さて、つまり君達の望みはこうですね。宇宙から戻ったデータがアメリカに渡る前にちょっと盗み見させて欲しいと」

 

言い方がやけにいやらしいがつまりはそういうことだ。

 

「そこでです! 近々これが打ち上げられるのを知ってますか!?」

 

殺せんせーがタブレットで見せたのは日本で開発中の有人宇宙往還船の実証試験機。

センサー付きのダミー人形を実際に座らせて打ち上げて計測、軌道上でISSとドッキング。補給物資を下ろして荷物を積んで地球へ帰還するという計画だ。

 

「もしもこの時、ダミーではなく本物の人間が乗っていたら?」

 

「「「!!!!」」」

 

「……はっ。うちの先生やっぱ頭おかしーわ」

 

「そう!! 暗殺教室! 季節外れの自由研究テーマ!! 宇宙ステーションをハイジャックして実験データを盗んでみよう!!!」

 

「自由にもほどがあんだろ!!?」

 

今回タケルが初めて口を開いた瞬間だった。

 

◎◎◎◎◎

 

そうして殺せんせーの手引きで計画が立てられた。

1月18日。

島津崎宇宙センターに侵入作戦が開始された。

 

まず律が管制室をハイジャックする必要があり、端末を差し込む必要がある。

矢田と倉橋による交渉術で警備の気を引き、霊体化したタケルが潜入。

幽霊化、透明化は三分も持たないので端末をパソコンに仕込んで即退散した。

待機していた木村の元まで戻ると、幽霊化を解く。

 

「………ふう……間に合った」

 

「お疲れ様。俺が代わりに行っても良かったんだけどな」

 

「より確実な方法をとった方がいいだろ……律、どうだ?」

 

「成功です。管制室のパソコンに遠隔操作ウィルスを侵入させました。以後は私の命令でも管制センターを動かせます」

 

「よし。第一段階クリア……! 俺達は離脱するぞ」

 

「あ、もう矢田と倉橋は撤退したぞ」

 

「ちゃっかりしてるよ……」

 

遅れてタケルと木村も脱出。二人と合流した。

 

「他の皆は?」

 

「もう発射台に向かったみたい。あとは………」

 

「! 眼魔が来る!!」

 

と、タケルの予知能力が発動した。

その言葉に緊張が走る。

 

「眼魔に来られたら計画もおしまいだぞ!!」

 

「………発射まで時間がない。行こう。俺達でくい止める!!」

 

「分かった!」

 

◎◎◎◎◎

 

眼魔が警備の目に触れればロケット発射も中止になりかねない。

眼魔軍団が基地に侵入する直前、タケル達が駆けつけた。

 

「間に合った!!」

 

「桃花さん。木村。コマンドの相手は任せる……俺と陽菜乃はアサルト以上を!!」

 

[グレイトフル! ゼンカイガン! 剣豪・発見・巨匠に王様・侍・坊主にスナイパー! 大変化~!]

 

[ゲンカイガン! ディープゴースト! ゲットゴー! 覚悟! ギ・ザ・ギ・ザ・ゴースト!]

 

グレイトフル魂とディープゼロゴーストが立つ。

 

『退け。我々は宇宙ステーションに用がある』

 

「何……?」

 

「目的は同じか……けどな。破壊が目的のお前達の好きにはさせない!」

 

[ムサシ! ラッシャイ!]

 

[ニュートン! ラッシャイ!]

 

[リョウマ! ラッシャイ!]

 

三体の英雄を召喚したグレイトフル。

そのうちニュートンはパーカーゴーストに変わり、矢田に被さった。

 

「おい、俺は!?」

 

「カメハメハがあるだろ」

 

「あ、そうか」

 

「長引けば気づかれる。一気に決めよ!!」

 

と、ディープスラッシャーを持ったディープゼロが真っ先に斬りかかった。

 

「ちょ、陽菜乃ちゃん!?」

 

「………なんか好戦的になってるな倉橋」

 

「たぶんディープ眼魂の影響」

 

とにかく、まずニュートン矢田が斥力で宇宙センターから一気に眼魔軍団を引き離す。

そのままカメハメハ木村がガンガンハンドで次々と眼魔を打ち倒していく。

 

「流石木村、足の早さはピカイチだな!!」

 

「まあな!! ほらタケル!! やったれ!!」

 

[レッツゴー! 剣豪! ダゼヨ! オメガフォーメーション!]

 

ムサシとリョウマ、そしてグレイトフル。

三人が一斉に放った斬撃がアサルトを含む大半の眼魔を殲滅した。

 

『ておい!! ワシの掛け声がただの語尾とはどういうことぜよ!!』

 

「いや……俺に言われても……」

 

『敵を前にして何を余裕な………!』

 

「ていっ!!」

 

『ぐぁああ!?』

 

いつの間にか眼魔スペリオルの背後に回って切り裂くディープゼロ。

 

「ひ、陽菜乃ちゃん怖い……」

 

「え~そんなこと無いよ~!」

 

「タケル!!」

 

と、そこに磯貝達が駆けつけた。

 

「皆!! ロケットはどうした!?」

 

「もう渚とカルマが乗り込んでるぜ!! あとはこいつらを倒すだけだぜ!!」

 

「渚とカルマが……? まだ一度も成功してない試験機なのに……勇気あるな」

 

「けど確かに人選としては最善かもな」

 

と、その時である。

 

「またしても邪魔をするか……貴様らは」

 

「!! アビス!!」

 

ゲートが開き、アビスが姿を現した。

更にそこから桃色のプレートが現れ、ガンマイザー・プラネットに変化した。

 

「ガンマイザーもか……」

 

「神代タケル………貴様に何がある。私の完璧な世界を作るという目的を阻むだけの大義が貴様にあるのか?」

 

「………大義か……それが無いと戦っちゃいけないのか?」

 

「何……?」

 

「少なくとも俺は自分の手の届く命を助けたい。けどそれは戦う力がなくても、出来る事だ。だから俺はこの力で助けられる命を助ける為に戦っている!!」

 

それが、何があっても譲れないタケルの勇気。

そんな彼がパープルの光を放った。

 

「………どうやら私と貴様は分かりあえないようだ。プラネット、行け」

 

『命令受託、排除開始』

 

と、プラネットが両手を掲げると、地面が大きく揺らいだ。

 

「!? うわわ、地震!?」

 

「あいつ、星に干渉できるのか……!」

 

「だったら!!」

 

グレイトフルがハンマーと鎌を召喚。

それを地面に叩きつけて揺れを収めた。

 

「ガンマイザーが相手なら……これだ!」

 

[無限進化!]

 

[チョーカイガン! ムゲン! keep in going!ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴッド・ゴースト!]

 

ムゲン魂にチェンジしたタケルは直ぐ様ナギナタモードを構える。

 

[ヨロコビストリーム!]

 

『迎撃』

 

プラネットは正面からそれを受けるがエネルギーの強さを感じて身を退き、かわした。

 

「…………それが新たな力か……」

 

と、その時、ロケットが打ち上げられた。

もうスピードで飛んでいくロケットだが殺せんせーがある程度追従どうやら渚とカルマは無事らしい。

 

「………プラネット。あのロケットを落とせ」

 

「何!?」

 

『命令受託』

 

プラネットは宙に浮かぶと猛スピードでロケットを追った。

アビスは大量の眼魔を追加で呼び出すとゲートを潜って消える。

 

「不味い! このままじゃ二人が……!」

 

「俺が行ってくる! 眼魔は皆に任せるぞ!!」

 

「え!? 行くってどうやって………!」

 

と、現れたキャプテンゴーストの腕に掴まって飛んでいくムゲンゴースト。

死んでいるので真空でも彼は問題ない。

ないのだが………。

 

「………こんな大規模潜入ミッションをしなくたってタケルがいれば良かったんじゃ………」

 

「それは言うな………」

 

◎◎◎◎◎

 

「おお………マジで宇宙だ………」

 

キャプテンゴーストから手を離したムゲンゴーストは宇宙空間を漂っていた。

 

「宇宙……キターーーーーーーー!!!」

 

これもお約束である。

 

『障害を確認、排除』

 

「はあっ!!」

 

プラネットが放つエネルギー弾をガンモードからの銃撃で全て撃ち落とす。

 

「行くぞ………二人の勇気の邪魔はさせない!」

 

更にサングラスラッシャーのブラスターモードを召喚。二丁拳銃をプラネットに向ける。

 

[命! ダイカイガン!]

 

「人間の可能性は………無限大だ!!」

 

[イサマシュート!]

 

パープルの高エネルギーが込められた弾丸は∞形の起動を描いてプラネットを貫通。

桃色のプレートはそのまま爆発する。

 

「ふう………やったか。後は任せたぞ。渚、カルマ」

 

一直線に飛んでいくロケットを見てムゲンゴーストは後を託した。

 

 

 

神代タケルの得た感情

[喜][怒][?][楽][勇][信][?]




宇宙キター! はやらなければいけない義務
久しぶりにグレイトフルを出したけどやっぱり楽しいw

イサマシュートが登場ですね。やっぱり宇宙に行くのは勇気がいる行動ですし

次回はようやく彼が復活します!!
殺せんせーのことが一段落すれば今度は仙人のことになりますね

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