「ねえタケル」
「…………どうしたカルマ?」
「赤を選んだ時にさ、理由言ったじゃん? あれって口実だよね?」
「……………………」
「本当は向こうに倉橋さんがいるから。違う?」
「お見通しか…………」
本当の意味で殺せんせーの命を救いたいのも本心である。
だが………、
「俺は………どのみち、戦い続ける運命にある。だけど……今は初めて自分で戦いたいって思えるんだ」
ずっと守ってきた大切な女性が共に戦うと言ってくれた。
故に、その気持ちを互いにぶつけたい。
「…………それがタケルの信念なんだよな」
「ああ。どのみちゼロゴーストの力を使われたら他の皆じゃ勝ち目はない。だから…………陽菜乃の相手は俺がする」
「分かった。皆にも言っとくよ。お前の戦いには手を出すなって」
「ああ。ありがとう」
◎◎◎◎◎
烏間の開戦宣言直後、スナイパー二人によって青側の竹林と片岡が開幕アウトに。
対してFPSゲームで戦場の地形を熟知していた神崎が逆に千葉と彼を護衛していた岡島を容赦無く撃ち倒した。
さらに菅谷を倒した神崎を待ち伏せていたカルマが仕留める。
これで両軍脱落は三人。
「おー。皆やってるね」
「カルマの指揮は完璧だからな。此処からがうちの本番だろ」
「まあ、今の私達には関係ないけどね」
カルマが指揮せずとも、赤青両軍共に各自に既に暗黙の了解があった。
神代タケルと倉橋陽菜乃の戦いには手出し無用。
「最初に戦ったときは私は操られていたからね。今度は私自身の意思で戦う」
「ああ。俺も今のお前と戦えるのが嬉しいよ。不謹慎だけどね」
「ふふ。じゃあやろうか」
「ああ。全力で来い!!」
敵対し、共闘し、そして今、互いの信念の下に再び戦う。
[[カイガン!]]
[オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!]
[ゼロ! スタート! 覚悟! 1・2・3・4・ゴースト!]
互いのパーカーゴーストがぶつかり合って牽制しあい、それが両者に被さる。
「はあっ!!」
「だあっ!!」
まず、ドライバーから出現した互いのガンガンセイバーのブレードモードがぶつかり合った。
「おいおい、三回しか変身してないのに大分戦いなれてないか?」
「あれから結構練習してたんだ。脚を引っ張るわけにはいかないからね!!」
「そうか」
更に何度も刃をぶつけ合う二人のゴースト。
と、同時に戦況は赤側が狭間と引き換えに青側の杉野と不破を倒した。
「うわ、ちょっと押されてる。なら!」
「来るか!!」
二人が同時にドライバーにブレードをアイコンタクト。
そしてエネルギーが高まった刃を同時に振るう。
[オメガブレイク!]
[オメガバッシュ!]
凄まじいぶつかり合いで発生した衝撃が二人を引き離した。
「くっ!!」
と、ゴーストはガンガンセイバーをガンモードに変えて射撃。
それに対してゼロゴーストもガンモードで弾丸を逆に撃ち落とした。
「簡単に勝負ついたら詰まらないでしょ。私の全力を見せてあげるからね」
「ああ。来い。全部受けてやる!!」
[オメガシュート!]
[オメガショット!]
ゼロゴーストの放った弾丸はゴーストのビームが打ち消す。
と、そこにナギナタモードを構えたゼロゴーストが突撃。
すぐさま同じナギナタモードで応戦。
「同じ武器で戦うっていうのは……私に合わせてくれてるのかな」
「ああ。その方が力比べとしてはちょうどいいだろ?」
「そうだ……ねっ!!」
振り回し、何度も刃を重ねて、唾競り合いも行う。
「てやああ!!」
「はあっ!!」
[オメガストリーム!]
[オメガトルネイド!]
二つの竜巻がぶつかり合う。その威力は互角。
と、同時に青側の茅野を仕留めた岡野と木村が先走ったことで原の罠に捕らえられて脱落した。
「あ、ひなたちゃん負けちゃったか。ひなひな対決したかったのに」
「今はそれ所じゃないだろ?」
「ん、そうだね! 今度はこれで!!」
と、ゼロゴーストのナギナタモードにクモランタンが取りつき、ハンマーモードになった。
「っておい!! それ俺のクモランタンじゃねえか!?」
「あ、大丈夫。仙ちゃんから貰った予備だから」
「あ、ああ。そうなのか」
なんとか納得したゴーストも同じくハンマーモードに合体させる。
「ていうかこれ重いね…………」
「そりゃハンマーだしな………」
「まあ……やるけどね!!」
ゴン! ガン!
ナギナタモードとは重量があまりに違うので、一回一回が大きなぶつかり合いになる。
[オメガボンバー!]
[オメガパニッシュ!]
「うおりゃああっ!!」
「てやああああっ!!」
お互いの渾身の一撃がぶつかり合い、そのあまりの威力に大きくのけぞり、膝をついた。
「まだまだ!!」
「バットクロックか……ならこっちも!!」
更にライフルモード。
ガンモード以上の激しい撃ち合いが行われるが、その末にお互いがライフルをアイコンタクトさせる。
[オメガインパクト!]
[オメガスナイプ!]
ゴーストは球体の弾丸、ゼロゴーストは直線状の高エネルギーを放ち、それが相殺しあう。
「うっ!? くそ、爆煙が………」
視界を奪われたゴーストを狙って光の矢が連続で放たれた。
「!!」
間一髪でそれを察知したゴーストはなんとかそれをかわす。
ルール上一発でも直撃すればアウトで脱落という条件故に当たるわけにはいかない。
既にゼロゴーストはアローモードを構えていた。
「くっ………ならこっちも……!」
[オメガストライク!]
[オメガドラグーン!]
両者の放った渾身の一矢が衝突。
ここまで全ての武器での戦いが互角だった。
戦況は三村と原が脱落し、赤が8、青が6、互いの戦力が半分を切り、そろそろ互いの旗を
「なら最後はこれだ!!」
「二刀流………タケルが一番得意な武器だよね……うん。受けてたつよ!」
ガンガンセイバーを分割した二刀流モードに変形させる。
「今更だけどさ」
「ん?」
「陽菜乃は皆の戦いに参戦しなくていいのか? 現状は青チームが人数、戦力的にも不利だろ」
「まあね………勝ちに行くなら今からでもここを離脱して皆を助けに言った方がいいんじゃないかと思う」
だけど、と倉橋はその事実を否定した。
「私はチームの勝ちは皆に託したの。……そして渚に青チーム勝利を賭けて秘密を施した」
「秘密……?」
「それは教えない。それに………私は逃げるつもりはないよ。皆の為には私がタケルに勝たなきゃいけないんだから」
「………ああ。そうだな。元より逃がすつもりも無いからな!! 負けないぞ陽菜乃!!」
各二本、合計四本のガンガンセイバーが唸りをあげてぶつかりあう。
「………凄まじい戦いね、あの二人」
観客席及び脱落者席からその様子を見ていたイリーナが戦慄したように感想を洩らした。
「ええ………タケル君の戦闘力はもはや他の追従を許しません。しかしゴーストとなった経験のある倉橋さんだからこそ、彼に対抗出来るのでしょう」
「それもカルマの思惑通りか」
「ああ。それよりも………」
仮面であるが故に表情は両者共に見えない。
が、
「く、ふふ。ははっ!!」
「ふふ、あは、あははっ!!」
「………笑ってる?」
「人間が一人で出来ることには限界があります。タケル君はずっと守らなければならない存在だった倉橋さんと、倉橋さんはずっと力になりたかったタケル君と、ようやく共に戦える。その嬉しさや心強さは段違いでしょう」
「………この戦いはその照明って訳か。全く、俺達が殺せんせーを巡って戦っているでいうのに」
「そう言ってはいけませんよ。タケル君には長い間、皆さんとは異なり、一人でずっと消滅の恐怖と戦っていましたから」
自分の本心を打ち明けられる大切な人の存在のありがたさ。
それは、殺せんせーが雪村あぐりとの交流で学んだこと。
「それに彼は、私を生かすにしろ殺すにしろ、どちらも私の命を守る事だと考えています。故に信頼している仲間達にその決意を委ねたのでしょう」
彼も、殺せんせーと同じく、クラスが分裂したまま終わってしまうのは何よりも嫌なのだろう。
[オメガスラッシュ!]
[オメガスレイブ!]
互いの二刀流による最大の斬撃を捌き、ついにガンガンセイバーが両者の手から離れた。
「これで………最後だ!」
「分かってる……いくよ!」
[[ダイカイガン!]]
二人の背後にそれぞれの目の紋様が浮かび上がる。
[オレ!]
[ゼロ!]
そして、そのエネルギーが足に収束。
一気に飛翔し、
[[オメガドライブ!]]
「「たああああああああああああああああっ!!!」」
両者のキックが、交錯した。
倉橋さんにはライダーの力が残ってます
生身になってもマコト兄ちゃんもアラン様も変身してたし………汗
今まで義務感や責任感から戦っていたタケルが今回初めて自らの闘争本能で戦いました
なんだかんだ言っても仙人が言う通り 二人のゴーストは戦う運命にあるのです
タケルは今後ガンマイザーと戦わなければならないので普通の眼魔は倉橋さんが相手していくということになります。
大分楽になりましたかね 彼も