仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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無限の時間

かつて、タケルはオレ眼魂をこう説明した。

 

「命の無い自分の生命線」

 

それが砕かれたということは、つまり、

 

 

 

死。

 

 

 

「「「「「「タケル!!」」」」」」

 

倉橋が真っ先に駆け寄ってタケルを抱き上げ、他の生徒や殺せんせーも駆け付けた。

 

『『驚異対象の排除完了』』

 

ガンマイザーはそう無機質に告げて去っていくが、そんなものを気にしている暇はない。

 

「タケル! しっかりして、タケル!!!」

 

涙声でタケルに呼び掛ける倉橋。

他の者も口々に声をかけた。

 

「おい、タケル!! 死ぬな!!」

 

「タケル君!! お願い、生きて!!」

 

「ダメだ!! 行くなタケル!!」

 

「起きろよタケル!! 立ってくれ!!」

 

「ヤだよタケル君!! 死なないで!!」

 

しかし、そんな呼び掛けも虚しく、タケルは苦しそうな息を洩らし、体も少しずつ消えかかっている。

 

「は、はあっ、はっ、はあ、はっ……」

 

「タケル!! タケル!!! 嫌だ………死んじゃ嫌だ!!」

 

力の入らない腕を伸ばし、タケルは倉橋の涙を拭う。

 

「ひ、な、の……なか、な、い、で………」

 

「タケル……嫌だ……」

 

「ごめ、ん、ね………もう、めも、かすれて、こえも、ほとん、ど………」

 

「タケル……!」

 

ガバッと、力を振り絞ってタケルは倉橋を力強く抱きしめる。

 

「おれは、しな、な、い。み、んな、が、おれの、たまし、いを、つむいで、くれ、る、かぎり、おれの、いのちの、ほのおは、きえや、しな、い…………!」

 

そうこうしているうちにタケルの体は更に透明化が進み、粒子となって散り始める。

 

「タケル!! 消えちゃやだ!!」

 

「ひなの……みんな……あとは、たのんだ……」

 

倉橋の叫びも虚しく、タケルは光となって消滅した。

 

「「「「「タケルーーーーーーー!!!!」」」」」

 

 

仙人もまた、その様子を見ていた。

 

「ガンマイザーの力を侮りすぎたか………すまぬタケル………ワシの責任じゃ………」

 

◎◎◎◎◎

 

『神代タケルの排除に成功』

 

二体のガンマイザーはアビスの下に帰還した。

 

「ご苦労だった。……くく…クククク……これで最早、私を止められる者などいなくなった……ハハハハハハハハハハハ!!!」

 

アビスは天に向かって高く笑う。

 

「よし………ならばこのまま全ての眼魂を奪ってしまおう。そして奴等……E組と言ったか。奴等に希望が無いことを知らしめてこい」

 

と、宙に浮いていた全てのプレートが降りてくる。

その全てがアビスと同じ姿に変わる。

 

「行け。貴様らの力を見せつけてこい」

 

『承知』

 

 

 

E組の教室は沈んでいた。

 

皆の腕の中でタケルが消滅したのだ。

その悲しさは拭えるものではない。

 

「………タケル……」

 

「くそ……なんでアイツが………」

 

「うっ、うぁぁぁぁぁっ……!」

 

「うううっ………うああっ……!!」

 

皆が涙を流す。そこに殺せんせーが入ってきた。

 

「皆さん。これを」

 

と、殺せんせーが皆に一つずつ欠片を配った。

 

「………これは?」

 

「タケル君の眼魂です。彼は自分の魂を繋ぐように願いました。ならば、私達がやるべきことは一つでしょう」

 

「「「…………………」」」

 

なんの運命か、欠片は全部で三十一個。

殺せんせーや烏間、イリーナも含めたE組の全員分だった。

 

「…………タケル……」

 

「…………! ガンマイザーが接近しています! 計十五体!!」

 

と、そこで律が此方に向かってくるガンマイザーの気配を感知した。

 

「「「!!!」」」

 

「行こう皆!! タケルの思いを、僕達で繋げるんだ!!」

 

ツタンカーメン眼魂を持った渚が立ち上がる。

それに合わせて他の十四人も眼魂を持って立ち上がった。

 

「私達も行く!!」

 

「ああ!! E組全員で戦うんだ!!」

 

「………私達も行きましょう。烏間先生、イリーナ先生」

 

「ああ」

 

「ええ」

 

◎◎◎◎◎

 

一糸乱れぬ行進で迫ってくる十五体のガンマイザー。

その前に杉野達十五人が立ちはだかる。

 

「殺せんせーは皆を守ってください」

 

「はい。必ず」

 

と、皆がタケルの眼魂の欠片を握って決意を固める。

 

「………行くぞ、皆!!」

 

「「「「「変身!!!」」」」」

 

英雄パーカーゴーストを纏った皆が駆け出した。

 

 

 

それを見ていた仙人が呟く。

 

「………勇気は見事だが……只の人間ではいくら英雄の力を使おうとガンマイザーには敵わぬ……」

 

 

 

「うおおおっ!!」

 

ムサシ杉野がガンマイザー・ブレードに斬りかかる。

 

『排除』

 

「うっ、ぐううあっ!!」

 

しかし、ガンマイザー・ブレードの手刀を胸部に食らって破れた。

 

 

「当たってください!」

 

エレクトリックにガンガンセイバーガンモードの射撃を行うエジソン奥田。

しかし、それを意に介さずにエレクトリックは接近し、肩を掴んで電流を流した。

 

「あ、うぐぐうううっ!!?」

 

 

「当たれ!!」

 

「このぉっ!!」

 

アローにロビンフット千葉が射撃で応戦、ニュートン矢田も援護するが、

 

『消去』

 

「ぐはっ!!」

 

「きゃあああ!!」

 

アローとグラビティによって撃破されてしまう。

 

「よくも二人を!!」

 

『削除』

 

「ッ、ああああっ!?」

 

反撃に出たビリー速水だがライフルの連射で倒されてしまった。

 

 

『排除、消去』

 

「うあああっ!!」

 

クライメットに挑んだグリム不破だったが衝撃波になすすべもなく倒されてしまう。

 

「ジャジャジャジャーン!」

 

「やっ!!」

 

ベートーベン中村が音波を飛ばし、サンゾウ神崎もゴコウリンを投げる。

 

『排除』

 

「あぐっ!!」

 

「んああっ!!」

 

が、プラネットに吹き飛ばされ、オシレーションの衝撃波に倒れる。

 

 

「うっ、ぐっ、あっ、があっ!!」

 

タイムの時間を超越した高速攻撃に手も足も出ないツタンカーメン渚。

 

『排除』

 

「うっ、ああっ!!」

 

そのまま反撃できずに負けてしまう。

 

 

「オラッ!!」

 

フーディーニ吉田が鎖を飛ばして攻撃するが、マグネティックに鎖を取られ、そのまま地面に叩き潰された。

 

「うぐあっ!!」

 

「この………!」

 

ノブナガイトナがガンガンハンド銃モードで応戦する。

 

『削除』

 

「がっ……!」

 

しかしファイアーの業火に焼かれて敗北した。

 

 

ベンケイ寺坂はハンマーと戦っていたがその圧倒的なパワーに押されていた。

 

『排除』

 

「うがっ!」

 

最終的に叩き潰されて負けてしまう。

 

 

「うおらっ!!」

 

サングラスラッシャーで斬りかかるゴエモン前原だがスピアーは容易くかわし、槍を撃ち込んだ。

 

『排除』

 

「ぐっはあああっ!!」

 

 

「でやっ! はあっ!」

 

「おおおっ!!」

 

ヒミコ片岡とリョウマ磯貝が協力してウィンドとリキッドに挑む。

 

『排除』

 

『消去』

 

「キャアアッ!!」

 

「ぐあああっ!!」

 

だが、ウィンドに吹き飛ばされ、更にリキッドの水攻撃に撃ち抜かれた。

 

 

 

「皆!!」

 

変身が解除された皆が地面に倒れる。

 

「く、くそぉ………」

 

「つ、強い………」

 

と、ガンマイザー達の前にアビスが現れた。

 

「………貴方が眼魔の大帝、アビスですか………」

 

「貴様らに最早希望など無い、大人しく完璧な世界を受け入れろ」

 

「誰が………そんなものに………」

 

「ファイアー、グラビティ。後は任せる」

 

二体のガンマイザーが残り、他はアビスと共に姿を消した。

 

『排除!!』

 

「「「うああああああああああああっ!!!」」」

 

グラビティと融合したファイアーが放った火炎攻撃が生徒達を吹き飛ばす。

 

「皆さん!! おのれ!!」

 

殺せんせーがビームを放つ。が、グラビティファイアーは炎の壁でかき消した。

 

「そ、そんな!?」

 

「殺せんせーのビームも通じないなんて……!」

 

『無力化を完了。眼魂の収集を開始する』

 

「渡すもんか!!」

 

英雄眼魂とオレ眼魂の欠片を強く握って渚達は叫ぶ。

 

「僕達は、タケルの魂を繋げるんだ!!」

 

「一度負けたくらいで、そう簡単にやられるかよ!!」

 

「だって、私達は、タケルの仲間だ!!」

 

「力を合わせれば、乗り越えられる!!」

 

「お前達の好きになんか絶対にさせない!!」

 

「私達が……皆の命を守るんだ!!」

 

「タケルの思いは、絶対に消させやしない!!」

 

三十一人がタケルの眼魂の欠片を強く握りしめる。

 

 

「希望は絶対に捨てない………私達の心に、タケルの魂が宿っている限り!!」

 

 

 

「………皆………」

 

皆の声は、彼に確かに届いていた。

 

――さあ、早く戻ってあげて。皆が君のことを待ってるよ。

 

「………はい。ありがとうございます。貴方が俺の魂を留めてくれたお陰で、俺は皆のいる場所に帰ることができます」

 

――うん。まだ君は若いんだから、もう簡単に命を散らしちゃダメだよ?

 

「分かってます。……あの、本当にありがとうございました」

 

――礼はいらないよ。私が勝手にやったことだから。その代わり………私の妹と、生徒達と、あの人を、守ってあげてね。

 

「はい。この魂に誓って。………………今行くよ、皆!!!!」

 

 

 

突如、眼魂の欠片が輝いた。

そしてそれが皆の手から浮かび上がり、一つに集まる。

そして、復元されたオレ眼魂が光を放ち、人の形を成していく。

 

そして、その光から、タケルが復活した。

 

 

 

「「「「タケル!!!!?」」」」

 

「………皆、ありがとう」

 

 

 

「奇跡じゃ…………空前絶後で前代未聞のミラクル奇跡じゃぁぁぁぁ!!」

 

 

 

『原理不明、理解不能、消去!!』

 

グラビティファイアーが炎を放つ。

と、タケルから発生した∞形のオーラがそれを全て防いだ。

そしてタケルの体から虹色に輝く眼魂が飛び出した。

それを掴み、タケルは叫ぶ。

 

 

[無限進化!]

 

 

「………変身!」

 

 

 

[チョーカイガン! ムゲン! keep in going! ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴット・ゴースト!]

 

 

幻想的な白い羽が周囲を舞い散り、輝く真っ白なパーカーゴーストがクリアの体に被さる。

そして現れたのは、仲間達の思いによって誕生した光り輝く奇跡の姿。

 

 

 

仮面ライダーゴースト、[ムゲン魂]

 

 

 

「人間の可能性は……無限大だ!!」

 

[ヨロコビストリーム!]

 

掲げられたガンガンセイバーナギナタモードから放たれたイエローの斬撃がグラビティファイアーを切り裂く!

更に二枚のプレートを追加で放たれた斬撃が真っ二つに両断!

不滅のガンマイザーを完全に撃破した!

 

「「「「いよっしゃあああああああああ!!!」」」」

 

変身を解除したタケルに皆が一斉に走りよる。

 

「………皆!」

 

そしてタケルも同じように仲間達の下に駆け出した。

倉橋に抱きつかれ、皆にも抱かれたり軽く叩かれたりするタケルを見て仙人も呟く。

 

「タケル………やはりお前は奇跡の子じゃ………竜よ。お前の子は奇跡を起こしたぞ」

 

 

 

神代タケルの得た感情。

[喜][?][?][?][?][?][?]




本編の38話は結構印象に残っていたので途中の戦いはそれっぽく書きました。
次々と英雄が倒されていくのは中々キツいものがありましたね……

タケルを助けた人は……暗殺教室の本編を見ている人はすぐ分かるでしょうね。

そしてついにムゲン魂!
ようやく出せました! つまり物語も佳境へ入ります。

特別編も書かなくては

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