仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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囚われの時間

烏間を介して防衛省から最強体操着が生徒達に送られた。

女子のはイリーナがデザイン案を出したという。が、彼女は沈んでいた。

 

10月10日は彼女の誕生日、烏間からプレゼントを貰えなかったことが悲しいらしい。

 

ということで生徒達が計画に出た。

女子達がイリーナの気を引いているスキに四班がプレゼントを買い出しに出る。

途中で遭遇した花屋に説得されて花束を購入にした。

それを烏間になんとか渡し、イリーナへ送るようにした。

 

結果的には花束自体は渡していたがプロに徹する烏間はイリーナに特別感情を抱かない。

それによってイリーナも自分が任務で依頼された殺し屋だと言うことに気づいてしまった。

 

 

それが、最凶最悪の殺し屋、死神の思い通りだと言うことにも気づかずに。

 

 

イリーナが教室に来なくなって二日、倉橋はたまたま一人で帰っていた。

 

「ビッチ先生、大丈夫かな………」

 

この日、タケルは用事があって早めに自宅の寺に帰っていた。

 

「はーあ。このまま会えないとかやだな………」

 

 

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ………。

 

「えっ? ………ッ!?」

 

 

 

翌日、殺せんせーがブラジルまでサッカー観戦に行っていた。

 

「陽菜乃は休みか………後で様子見に行こうかな」

 

「倉橋も心配だがビッチ先生も心配だ。まさか……こんなんでバイバイとか無いよな」

 

「そんなことはないよ。彼女にはまだやってもらうことがある」

 

「だよねー。なんだかんだいたら楽しいもん」

 

「そう。君達と彼女の間には充分な絆が出来ている。僕はそれを利用させてもらうだけ」

 

……………………。

 

「「「!!?」」」

 

平然と、クラスの全員が欺かれる程に平然と教室に溶け込んできた人物。

それは、数日前渚達に花束を売った青年だったが……。

 

 

「僕は"死神"と呼ばれる殺し屋です。今から君達に授業をしたいと思います」

 

 

死神、殺し屋屋のロヴロ曰く、死という称号そのものを得た最悪かつ正体不明の殺し屋。

 

「花はその美しさにより、人間の警戒心を打ち消し、人の心を開きます」

 

と、律にメールが届いた。

そのメールに添付されていたのは、

 

「でも、花が美しく芳しく進化してきた本来の目的は、虫を誘き寄せるためのものです」

 

縛られ、箱に閉じ込められたイリーナだった。

 

「「「び、ビッチ先生!!?」」」

 

「手短に言います。彼女の命を守りたければ、君達全員で僕が指定する場所に来なさい」

 

来なければイリーナは殺され、生徒の中から新たな人質を得るという。

なのに……そんな危険な人物なのに……安心してしまう。

 

「そんなこと…………今お前を倒せば済むだろう?」

 

と、タケルが眼魂を構える。

精神を振り切って本気で戦う構えだ。が、

 

「神代タケル君だね。変わった力を持つらしいが……君には特別な花を用意してあるよ」

 

新たなメールが律に送られる。

と、その中には、

 

 

「………陽菜乃!!!?」

 

 

十字にかけられた倉橋がいた。

 

「早く行かないと眼魔に殺されちゃうよ?」

 

「貴様………!!!」

 

「人間が死神を狩り取ることなどできはしない」

 

 

畏れるなかれ、死神が人を刈り取るのみだ。

 

 

花を巻き上げて死神は姿を消す。

残されたのは地図だけだった。

 

「くっ…………」

 

タケルにとっては倉橋は大切な人であり、イリーナも大切な恩師である。

流石の彼でも二人はいないのだ。

 

「(鷹岡やシロと同じだとして………確実に眼魔が関わってる!! どうする、どうすれば……!)」

 

「タケル。お前は倉橋を助けにいけ」

 

「磯貝………?」

 

「ビッチ先生は俺達でなんとかする。けど倉橋のことはお前にしかできない」

 

「男ならさっさと女を迎えてやれ」

 

磯貝に続いて前原も言う。

 

「最高の殺し屋だか知らねーがよ。そう簡単に計画通りにさせねーよ」

 

「あんたは早くお姫様を助けに行きな」

 

「寺坂……莉桜さん」

 

「その代わり、俺達の魂も一緒に頼む」

 

英雄眼魂を受けとるタケルは強く頷いた。

 

「分かった………行ってくる!!!」

 

◎◎◎◎◎

 

マシンゴーストライカーを飛ばすタケルが向かったのは廃工場だった。

 

「ここか……!」

 

と、唐突に眼魔コマンドが現れる。今までとは比べ物にならない程の数だった。

 

「雑魚に用はない!! 陽菜乃を必ず助ける。変身!!」

 

[カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!]

 

オレ魂に変身したゴーストはガンガンセイバーのブレードモードを構え、突撃する。

豪快な太刀筋で眼魔コマンドを次々と切り裂く。

 

「どれだけいようと俺は止められない!!」

 

[ダイカイガン! オメガブレイク!]

 

全周囲を切り裂く回転切りで二十体近い眼魔を倒す。

更にナギナタモードに変形させて振り回して倒していく。武器だけに頼らず拳や蹴りも使い、どんどん数を減らしていく。

 

「はあっ!! だあっ!!」

 

[オメガストリーム!!]

 

入り口の眼魔コマンドを全て倒したゴーストは廃工場内部へ侵入。

 

「中も眼魔だらけか……」

 

[ムサシ! 決闘、ズバッと、超剣豪!]

 

ムサシ魂に変身したゴーストは二刀流で次々に切り裂く。

 

「邪魔をするな!!」

 

まさしく無双、遠い位置にいる敵にはビリー・ザ・キッド魂で一層、集団で襲いかかってくればツタンカーメン魂で纏めて撃破。

行先を塞ぐ障害はベンケイ魂で破壊する。

 

「何処だ、何処にいる、陽菜乃!」

 

『見つけたぞ!! ゴースト!!』

 

「邪魔をするなって言ってるだろ!!」

 

[ニュートン! リンゴが落下! 引き寄せまっか~!]

 

ニュートン魂を装着、斥力を発生させて敵を全て吹き飛ばした。

 

「くそ……何処だ……なら」

 

[サンゾウ! 猿・豚・河童! 天竺を突破!]

 

サンゾウ魂に変更したゴーストは三体のお供を召喚、更にガジェットも全て展開して倉橋を探しに向かわせた。

 

『始末してやる!』

 

「倒されんのはお前らだ!!」

 

背面のゴコウリンを射出し、眼魔コマンドを蹴散らす。

 

「急いでくれよ………皆!!」

 

ナギナタモードとゴコウリンで眼魔を倒し続けるタケル。

どれだけ戦っただろうか、お供が戻ってきた。

 

「! 見つかったか!」

 

頷くお供達、彼らを戦闘にゴーストも走る。

 

「どけぇッ!!」

 

新たな武器、ガンガンキャッチャーを召喚したサンゾウゴーストはロビンフット眼魂を装填。

 

[ダイカイガン! オメガフィニッシュ!]

 

放たれた矢状のエネルギーが行く手を塞ぐ眼魔を撃退。

廃工場の更に奥に踏み込む。

 

 

 

「此処か!!」

 

辿り着いた最奥地、そこにいたのは。

 

「待っていたぞ。神代タケル」

 

「ジャック!? それにジャギア………蘇っていたのか………!」

 

かつてタケルが倒した眼魔の幹部だった。

加えてイレーザーもいる。

 

「死神はしっかり伝えたようですね。ようこそ神代タケル」

 

「陽菜乃を返してもらうぞ。何処にいる!!」

 

「知りたければ教えてあげましょう。此処です」

 

イレーザーが指をならすと照明が付く。

 

「陽菜……乃……!!?」

 

磔にされた倉橋は痛々しい姿だった。

切り傷や打ち傷、痣もあり、制服もボロボロになっている。

 

「折角拐ったので誘き寄せる為だけの餌にするのは勿体ないですよねぇ。なので少し私の実験に使わせてもらいました」

 

「………キッサマァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

タケルの視界が真っ赤に染まる。

 

[闘魂カイガン! ブースト! 俺がブースト! 奮い立つゴースト!]

 

闘魂ブースト魂に強化変身、サングラスラッシャーを持ってイレーザーに突貫した。

 

[[ウルティマ!]]

 

ジャックとジャギアが眼魔ウルティマに変身して立ちはだかる。

殴る、蹴る、斬るの激しい応酬が始まる。

しかしあまりのタケルの怒りは闘魂を燃やし、拳や脚を炎上させる。

 

「ぬおっ!?」

 

「ぐうっ!?」

 

「お前らに用はない!!」

 

[オメガシャイン!]

 

[オメガブレイク!]

 

二本の剣が降り下ろされ、二人を真っ二つに切り裂く。

 

「覚悟しろよ。イレーザー………もう許さない!」

 

「怒りとは愚かな感情ですねぇ。ですが無駄です」

 

と、なんと倒したはずのジャックとジャギアが復活した。

 

「何!?」

 

「貴方が何度倒そうとコアが無事なら私は復活させるだけ。更に………」

 

[スペリオル!!]

 

イレーザーが変身、眼魔スペリオル・パーフェクトに変わり、襲いかかってきた。

 

「ぐっ!?」

 

二刀流で応戦する闘魂ゴーストだが只でさえ苦戦する強敵が三体、徐々に追い詰められていく。

 

「くそ………ぐっ!! がっ!!?」

 

サングラスラッシャーを奪われて斬られる。

更に重い拳や蹴りを食らってついにゴーストは倒れ伏した。

 

「ぐはあっ………!」

 

「流石のゴーストもお手上げですか。二人とも、後の処分は任せますよ」

 

「(くそぉっ………! ごめん、陽菜乃……助けられなかった………!)」

 

悔しさが滲む。

と、その時、タケルの脳内に声が走った。

 

 

「(私は何時だってタケルを信じてるよ)」

 

 

「!! 陽菜乃………!」

 

顔をあげると磔の倉橋は僅かに此方を向いて元気付けるように笑った。

 

「………! ッおおおあああああああああぁぁぁっ!!!」

 

空に向かって吠えて立ち上がる。

ジャック達が警戒する中、タケルは静かに笑った。

 

「そうだよな陽菜乃………俺は冷静さを欠いてたな……改めて誓う。お前を必ず助ける!!!」

 

怒りに呑まれず、しかしその熱い心は消さない。

それが、闘魂の真の力を引き出す。

ゴーストはガンガンセイバーハンマーモードを構える。

ジャックとジャギアが向かってくるが、

 

「おらぁぁぁあっ!!!」

 

「「ぐおおっ!?」」

 

ハンマーの一撃で叩き潰す。

 

「………やりますね。しかし彼らは何度でも……なっ!?」

 

「言っておくがコアごと潰した。もう奴らは復活できない」

 

そう言いつつもザッザッとイレーザーに歩み寄る闘魂ゴースト。

その全身は赤く燃え上がる。

 

「ぐうっ………!」

 

「これは………陽菜乃と、俺の、怒りだ!!!」

 

[闘魂ダイカイガン! ブースト! オメガドライブ!]

 

「ぐふうっ!?」

 

業火の拳を叩き付ける。

その一発で眼魔スペリオル・パーフェクトは変身が解けて倒れた。

 

「陽菜乃!」

 

その隙に飛翔して十字架から倉橋を助け出す。

 

「陽菜乃、陽菜乃!」

 

「ん………タケル……信じてたよ………助けに来てくれるって」

 

「当たり前だろ……良かった……!」

 

倉橋を抱き締める。安心と喜びの混じった震える声だった。

 

「………タケル、ちょっとアイツのとこに連れていって?」

 

「お、おう」

 

倉橋を抱いてイレーザーに近づくゴースト。

 

「くう……またしても」

 

「ね」

 

「ぬ? ………ぶべぇっ!?」

 

二回目のビンタ。

かなり強かったのかイレーザーは気絶してそのまま消えた。

 

[オヤスミー]

 

「………タケル。皆は?」

 

「………死神って殺し屋の所にイリーナ先生を助けにいった」

 

「!! じゃあ早く行かないと!!」

 

「ああ。まだ終わってない……」

 

マシンゴーストライカーを呼び出すと自分の上着を着せた倉橋を後ろに乗せて走り出した。

 

仲間を助けに。




タケルブチ切れ(理性無しバージョン)
そりゃ最愛の人が痛め付けられたらキレますわ。


かなり痛め付けられてましたが倉橋さんが好きな人ごめんなさい。いや自分も好きなんで心が痛いです!
なお服は後々殺せんせーが手厚く直してくれます。

闘魂は使用者の強い意思によって強さが増す設定です。
倉橋さんへの想いでウルティマすら上回りました。

あとさらっとガンガンキャッチャー登場。

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