仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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謝罪! 犯す過ちと正しさ!

二学期の中間が迫ったある日、校舎の近くで飛行機眼魔・パーフェクトとグレイトフル魂に変身したタケルが戦っていた。

その上空には不気味な赤い空が漂っている。

 

「何を企んでいる……空を元に戻せ!」

 

『折角変えたのに戻すバカがどこにいる!!』

 

飛行機眼魔と激しく戦いを繰り広げるグレイトフルだが少し手を焼いていた。

 

『どうした、こんなものか!!』

 

「それはどうかな………」

 

と、その時、倉橋と奥田が校舎から出てきた。

 

「赤い空の中和剤が出来ました!!」

 

『なにぃ!?』

 

「ナイスだ愛美さん! あっ!?」

 

そうはさせないとばかりに奥田に襲いかかる飛行機眼魔、だが、

 

「はあっ!!」

 

『ぐふぉ!?』

 

「ひ、陽菜乃!?」

 

倉橋が岡野並みのハイキックで飛行機眼魔を撃退する。

 

「私を甘く見ないでよね!」

 

「う、おう……」

 

実はナイフ術も高い成績を誇る倉橋。

なおハイキックのせいでタケルにはその短いスカートの中が一瞬見えたりしたのだが黙っていることにした。

 

「えいっ!!」

 

その隙にライフルで空に向けて中和剤を撃つ奥田。

と、赤い空は霧散した。

 

『くそ! ここは一時撤退だ!』

 

「逃がさない! ベンケイさん!」

 

[ベンケイ! ラッシャイ!]

 

と、空に逃げ出そうとする飛行機眼魔を追うためにグレイトフルはベンケイを召喚する。

 

「頼む! 俺を空に!」

 

『任された!』

 

ベンケイのハンマーに乗り、飛ばしてもらうグレイトフル。

しかし、まだ届かない。

 

「なら、ツタンカーメン!」

 

[ツタンカーメン! ラッシャイ!]

 

『任せて! 飛んでけ~!』

 

鎌による追加の勢いをプラスしさらに上空に飛翔。

 

「まだだ。ムサシさん!」

 

[ムサシ! ラッシャイ!]

 

『決めろ、タケル!』

 

更にムサシの援護でついに飛行機眼魔を追い越した。

 

『何!? ぐはっ!!』

 

拳で叩き落とし、止めの急降下蹴りを叩き込む!

 

[ゼンダイカイガン! グレイトフル! オメガドライブ!]

 

「魂は永遠に不滅だ!」

 

『ぐおおおおおおっ!!!』

 

鋭い一撃が体を貫き、飛行機眼魔を撃破する。

そして、地面に着地したグレイトフルは変身を解除した。

 

[カイサーン!]

 

「凄いな愛美さん。眼魔の物質を解析するなんて」

 

「いえ……私の科学の知識が役にたったのでそれが何よりです」

 

「むう~。タケル~! 私も誉めてよ~!」

 

「ああ、陽菜乃もありがとうな」

 

と、ここでタケルのコブラケータイが鳴った。

 

「あれ、殺せんせーからだ。もしもし?」

 

「タケル君。今何処に誰といますか?」

 

「え、校舎の近くに陽菜乃と愛美さんと居ますよ。さっき眼魔を倒した所です」

 

「そうですか。なら良いタイミングでした。今から二人と一緒に保育所のわかばパークに向かってくれませんか?」

 

「はい? え、なんでですか?」

 

「理由は追って伝えます。既に他の生徒達は向かってますよ」

 

と、通話が切れる。

タケルは倉橋、奥田と顔を見合わせて首をかしげた。

 

◎◎◎◎◎

 

「要するに、烏間先生の言いつけを無視して町中でフリーランニングを行った結果、突き当たりで老人と衝突して怪我を負わせたと。その弁償として二週間テスト勉強を返上してタダ働きと」

 

「「「はい……」」」

 

「ちょっと待って今このどう表現したらいいか分からない感情を整理するから」

 

口ではそう言っているが腕を組み、額に青筋を浮かべているタケル。

恐ろしいまでの怒りの表情だった。

 

「「「(怖い…………)」」」

 

何が怖いかというとタケルの周囲の十五個の英雄眼魂がジロッと睨んでいることである。

 

「…………俺は同じクラスメートだから何かを言う資格とかはないと思うからさ………」

 

と、エジソンとサンゾウ以外の英雄が姿を現した。

タケルがグレイトフル魂を使えるようになったことで英雄眼魂も単体で実体化出来るようになったのだ。

 

「そんな事じゃ眼魔と変わらない。もしかしたら英雄の中にはそんな皆に失望した方もいるかもしれない」

 

「「「……………!」」」

 

「失った信頼は話し合いで取り戻せ。その間は俺達で代わりのやることをやるから。いいな」

 

「「「………分かった」」」

 

早速自分の生成した英雄に向き合う生徒達。

彼らに背を向けたタケルに倉橋が声をかけた。

 

「珍しく突っぱねたね」

 

「俺と一緒に戦う以上、予め失敗は経験していてほしかった。下手な過信を抱いているといつか大変なことになる」

 

『貴方の言う通りです。神代タケル』

 

と、いつの間にか神崎に憑依したサンゾウが口を開いた。

 

『時には手を離し、厳しい状況に向き合わせることも大切なのです』

 

「サンゾウさん……他の英雄の方達は……本当に皆を見限ったりするんですか……?」

 

茅野が不安そうに問いかけるがサンゾウは静かに微笑んで答えた。

 

『それはありません。私も彼らもかつて何度も大きな失敗をしました。ですから見捨てることはありません』

 

「………そうですね。俺もそう思います」

 

◎◎◎◎◎

 

英雄達にもしっかりと謝罪をして、ちゃんと和解をしたE組の面々。

改めてみると建物はかなり老朽化が進んでいる。園長の松方さんは待機児童や不登校児を片っ端から格安で預かっている。その為修繕費はおろか職員すら満足に雇えず、本人が一番働いているのだと言う。

 

「………………」

 

「……29人で二週間か、なんか色々できんじゃね?」

 

「できるできる」

 

「よし皆、手分けしてあの人の代役を務めよう。まずは作戦会議だ」

 

◎◎◎◎◎

 

茅野が中心となって劇を行い、子供達の相手をする。

空気の掴み方を分かっているからなのか体型が近いから茅野はかなり子供ウケが良かった。

一方で小学校くらいの子の相手は渚や中村達が勉強を見ることになった。

 

「……で、俺ら力仕事班は?」

 

「千葉が今設計図面仕上げてる。烏間先生の部下の……鵜飼さんだっけ、あの人が建築士の資格持ってて助言くれる」

 

力のある男子達を中心として木材などの建築材を運ぶ。

 

「タケル……その、悪かったな」

 

「気にするなって。もう怒ってないしな」

 

ニコッといつも通りに笑うタケル。と、

 

「タケル!」

 

「ん、どした?」

 

「ちょっとあれ………」

 

倉橋が指差す先には木の上から降りられなくなった子猫がいた。

 

「助けてあげられないかな」

 

「いや俺が行くと逆効果……」

 

幽霊故に動物には拒まれるタケルである。彼がいっても助けられないだろう。

 

「俺がいくよ。岡島、棒倒しのアレな」

 

「オッケー」

 

岡島が木の下で待機、走ってきた木村を足場として投げあげる。

 

「「「えええええええっ!?」」」

 

そんな超次元的な動きを初めて見た子供達は吃驚仰天。

そのまま木村は枝を伝い、子供を保護した。

 

「痛った!」

 

思いっきり顔面を引っ掻かれていたが。

 

「ほら木村降りてこい。早く猫を陽菜乃に返して作業再開するぞ」

 

「少しは心配しろよ!?」

 

◎◎◎◎◎

 

そんなことをしているうちに一週間が経った。

そんな時にトラブルが起こる。

 

『お前達の魂を頂こうか!』

 

「眼魔………! こんな時に………」

 

現れたのは青竜刀眼魔。

子供達がいる以上下手に変身を見せるわけにはいかないのだが………。

 

と、その時、

 

「皆! わかばパークに悪い怪人が現れちゃった!!」

 

『ぬう……?』

 

「茅野!? まさか……この事態を劇にするつもりか!?」

 

しかし、ある意味効果的である。

 

「こうなったら、怪人をやっつけるヒーローを喚ぼう! 大きな声で"ゴースト"って呼んで! せーの!」

 

「「「ゴーストーーー!!!」」」

 

[ゼンカイガン! 剣豪・発見・巨匠に王様・侍・坊主にスナイパー! 大変化~!]

 

「仮面ライダーゴースト! 此処に参上!」

 

大見得を切ったグレイトフルの登場に子供達から活性が巻き起こる。

 

「悪い怪人め!! 覚悟しろ! この俺が倒してやる!」

 

『ふざけているのか!!』

 

「うおおっ!!」

 

グレイトフルと青竜刀眼魔の応酬。

ガンガンセイバーとサングラスラッシャーを召喚すると子供達から歓声が沸く。

 

「せい! やっ!」

 

『ぬぐう!? おのれ……ならば……』

 

青竜刀眼魔の視線が子供達に向いた。

 

「!! 人質を取るつもりか。なら!!」

 

[グリム! ラッシャイ!]

 

グリムを召喚、ニブショルダーでぶん投げて青竜刀眼魔を子供達から引き離す。

 

「グリムさん。名乗って!!」

 

『!? あ……わ、私達は二人で一人の童話作家、グリム!』

 

何処かで聞いたような名乗りである。

 

「さあ皆! 悪い怪人に止めをさすよ!! 皆で大きな声で応援して! せーの!!」

 

「「「頑張れーーーーー!!」」」

 

[レッツゴー! 読書! オメガフォーメーション!]

 

『「たああああああ!!」』

 

『ぐおっ!? が……あがあっ!!』

 

グレイトフルとグリムのダブルパンチを食らった青竜刀眼魔は倒れた。

 

「皆! 悪い奴は倒した! 皆の応援のお陰で平和は守られたんだ! じゃあ、また会おう!!」

 

「はーい。それじゃあ仮面ライダーゴーストに拍手~!」

 

こうして劇に見せかけることにより、なんとか騒ぎを起こさずに眼魔の撃退に成功した。

 

『タケルよ。何故私達にしたのだ……/楽しかったけどね』

 

「いや。貴方達ならノリも良さそうでしたから………」

 

◎◎◎◎◎

 

此処での仕事もあっという間に二週間が経った。

老朽化が進んでいた木造平屋は見事な木造ハウスに生まれ変わる。

内部も子供達が勉強や遊びがしっかりできるような設備が整えられている。

しかもその遊具が、吉田やイトナが改造した松方園長の自転車(エジソンの太鼓判付き)の充電にもなる。

また、渚を中心にしっかりと子供達ともしっかりと心を通わせた。

しっかりと働きを松方園長に認められ、責任を果たしたE組の二週間の特別授業は幕を下ろした。

 

◎◎◎◎◎

 

数日後

 

「本当に凄いよねタケル」

 

「何が?」

 

「それ」

 

特別授業の翌日は中間テストだった。

ほとんど勉強できなかったクラスの面々は大きく点数を落としてしまった。が、

 

神代タケル、総合点486点、学年6位

 

 

「ちゃっかり順位あげてるし」

 

「戦いにばかり気を取られてもいられないからね。ちゃんと生き返ってからの為にも勉強はしないといけないんだよ」

 

「そうだね」

 

「それよりも、A組とのテスト対決は今学期の期末が最後だろ? その時ちゃんとリベンジしないとな」

 

「うん。私、タケルにも勉強教わりたいな」

 

「社会なら任せとけ」

 

 

また一つE組は成長した。

そんな彼らに新たなる試練が待ち構えることはまだ誰も知らない。




タケルの性格的にやってはダメという言いつけは絶対に守るタチだと思ったので。

実は最初の赤い空は体が老いている人を不調にする影響もあって松方園長はそれの影響もあった……という

にしても劇扱いで倒される青竜刀眼魔哀れ………。

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